遮断器と断路器の違い|役割・操作順序・消弧方式を図解で整理
電験三種の遮断器と断路器の違いを図解で解説。役割、投入・開放の操作順序とインターロック、アークと消弧、SF6・真空・空気・油の遮断器、GIS、負荷開閉器との違いを例題つきで整理します。

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遮断器と断路器の違いは、電流を切れるかどうかです。遮断器は負荷電流だけでなく事故電流(短絡電流)も遮断できますが、断路器は電流が流れていない状態でしか開閉できず、機器を電路から切り離すために使います。電験三種の「電力」では、この役割の違いと操作の順序(遮断器が先に切り、断路器が先に入れる)が、正誤問題で問われます。
- 遮断器と断路器とは
- 遮断器は電流を切る、断路器は回路を切り離す
- 操作の順序とインターロック
- 入れるときは断路器から、切るときは遮断器から
- アークと消弧の原理
- 電流を切ると生じるアークは、電流零点で消える
- 遮断器の種類と特徴
- ガス(SF6)・真空・空気・油の4種類と GIS
- 負荷開閉器との違い
- 負荷電流は切れるが、事故電流は切れない
- 例題と注意点
- 順序の問題と正誤の問題で確かめる
遮断器と断路器とは
遮断器(CB:Circuit Breaker)は、通常の負荷電流を開閉し、短絡などの事故電流を自動的に遮断する装置です。保護継電器が事故を検出すると、遮断器が動いて事故の部分を電路から切り離します。
断路器(DS:Disconnecting Switch)は、電流が流れていない状態で回路を開閉する装置です。電流を切る能力はありません。点検や修理のときに機器を電路から切り離し、「確かに切れている」ことを目で見て確認できるようにするのが役目です。
図1は、変電所の回路を一本の線で表した単線結線図の一部です。変圧器の前後で、遮断器をはさむように断路器が置かれています。
実際の設備では、図2のように遮断器と断路器が同じ構内に並んでいます。タンクをもつ大きな機器が遮断器、鉄の枠に碍子を立てた機器が断路器です。

- ブッシング タンクの内部から外へ電気を取り出す碍子
- ガス遮断器 タンク内の SF6 ガスで電流を遮断する
- 断路器 電流が流れていないときに回路を切り離す
- 変流器 大電流を小さな電流に変えて計器・継電器へ送る
役割の違いを表にまとめます。
| 項目 | 遮断器 | 断路器 |
|---|---|---|
| 負荷電流の開閉 | できる | できない |
| 事故電流(短絡電流)の遮断 | できる | できない |
| 消弧装置 | ある | ない |
| 主な役目 | 回路の開閉と事故の除去 | 機器の切り離しと開路の目視確認 |
| 操作できる状態 | 通電中でも可 | 電流が流れていないときだけ |
操作の順序とインターロック
断路器は電流を切れないので、電流が流れている状態で操作してはいけません。そこで順序が決まっています。回路をつなぐときは「断路器を閉じてから遮断器を閉じる」、切るときは「遮断器を開いてから断路器を開く」です。
理由は単純です。断路器を先に開くと、電流が流れたまま接点が離れ、強いアークが飛びます。アークは機器を傷め、操作する人にも危険です。遮断器は消弧装置をもつので、電流が流れたまま開いても、安全に電流を切れます。
誤った順序での操作を防ぐために、インターロックを設けます。たとえば「遮断器が閉じている間は断路器の操作ができない」ようにする機械的・電気的な仕掛けです。
断路器は、図4のように電流が流れていないことを前提にした、単純な構造をしています。

- 接触部(刃) 回転して閉じる・開く部分
- 支持碍子 充電部を架台から絶縁して支える
- 連動軸 三相分の刃をまとめて動かす
- 操作機構 電動や手動で刃を動かす
点検では、遮断器を開き、断路器を開き、最後に接地開閉器で機器を大地につなぎます。接地開閉器は、点検する機器に残った電荷や誘導電圧を逃がし、作業者の安全を守る装置です。
アークと消弧の原理
通電中の接点を開くと、接点の間の空気やガスが電離して、アーク(電弧)と呼ぶ放電が起きます。アークは数千度以上の高温で、導体の一種なので、接点が離れても電流が流れ続けます。電流を遮断するとは、このアークを消すことです。これを消弧といいます。
交流の電流は、1 周期に 2 回、瞬間的にゼロになります。この電流零点でアークは細くなり、消えやすくなります。ただし、電流が零点を越えたあと、接点間に電源から回復電圧がかかります。接点間の絶縁が回復電圧に負けると、アークが再び点いてしまいます(再点弧)。
つまり、遮断器の性能は「電流零点のあとに、接点間の絶縁をどれだけ速く回復させられるか」で決まります。ガスを吹き付ける、真空にする、油を使うなど、遮断器の種類の違いは、この絶縁回復の方法の違いです。
遮断器の種類と特徴
遮断器は、アークを消す媒体(消弧媒体)で分類します。電験三種では、ガス(SF6)・真空・空気・油の4種類が問われます。
ガス遮断器(SF6)
SF6(六ふっ化硫黄)ガスは、無色・無臭・無毒で燃えず、化学的に安定したガスです。絶縁耐力は空気の 2〜3 倍、消弧能力は空気の約 100 倍とされ、小さな装置で大きな電流を切れます。圧縮した SF6 ガスをアークに吹き付けて消弧します。特別高圧の変電所で広く使われています。
SF6 ガスは、二酸化炭素の 2 万倍を超える温室効果をもつため、点検や廃棄のときはガスを大気に放出せず回収します。
真空遮断器
真空は、絶縁が回復する速さが際立っています。真空バルブの中で接点が離れると、接点から出た金属の蒸気だけでアークが続きますが、電流零点で蒸気が拡散して絶縁がすぐ戻ります。

小形軽量で、騒音が小さく、点検の手間が少ないのが長所です。一方で、電流が零点に達する前に強制的に切ってしまう電流裁断が起きると開閉サージが出るため、必要に応じてサージ吸収器を併用します。
空気遮断器と油遮断器
空気遮断器(ABB)は、圧縮空気をアークに吹き付けて消します。圧縮空気をつくる設備が要り、遮断のたびに大きな音が出ます。
油遮断器(OCB)は、油の中で接点を開き、アークで油が分解して出る水素などのガスで消弧します。油は燃えるため火災や爆発の恐れがあり、油の劣化管理も要ります。そのため、どちらも新設は少なくなり、SF6 や真空に置き換わっています。
| 種類 | 消弧媒体 | 長所 | 短所 |
|---|---|---|---|
| ガス(GCB) | SF6 ガス | 高電圧でも小形、消弧能力が高い | 温室効果ガスなので回収が必要 |
| 真空(VCB) | 高真空 | 小形軽量、保守が楽、騒音小 | 電流裁断による開閉サージ |
| 空気(ABB) | 圧縮空気 | 不燃、消弧が速い | 騒音大、圧縮空気設備が必要 |
| 油(OCB) | 絶縁油の分解ガス | 構造が単純 | 火災の恐れ、油の保守 |
GIS(ガス絶縁開閉装置)
GIS(Gas Insulated Switchgear)は、遮断器・断路器・接地開閉器・母線などを金属容器に収め、SF6 ガスで絶縁した装置です。充電部が空気にさらされないため、気中絶縁の変電所より設置面積を大幅に小さくできます。

- ガス区画 SF6 ガスを満たした容器に機器を収める
- 母線ダクト 容器に入った母線で各機器をつなぐ
- 制御箱 遮断器や断路器の操作・監視の回路
充電部が露出しないので、塩害・雪・汚損の影響を受けにくく、感電の危険も減ります。一方で、内部の点検や修理には手間がかかり、ガスの管理も必要です。
負荷開閉器との違い
負荷開閉器(LBS:Load Break Switch)は、負荷電流を開閉できますが、短絡電流は遮断できません。 遮断器と断路器の中間の性能をもつ機器です。高圧受電設備では、負荷開閉器と限流ヒューズを組み合わせ、事故電流はヒューズに切らせる構成がよく使われます。
見分けるコツは、「事故電流を切れるのは遮断器だけ(ヒューズと組み合わせた負荷開閉器は、ヒューズが切る)」と、「負荷電流を切れない機器は断路器」の 2 点です。
例題と注意点
解答と解説を見る
正解はイです。
断路器は電流を切れないので、電流が流れる前に閉じ、電流が流れなくなってから開きます。電流を入り切りするのは遮断器です。投入では「断路器を閉じる → 遮断器を閉じる」、停止では「遮断器を開く → 断路器を開く」の順になります。ア・ウ・エは、電流が流れている状態で断路器を操作する場面が生じるため誤りです。
解答と解説を見る
誤っているのは2です。
断路器は消弧装置をもたず、負荷電流が流れたまま開くとアークが飛びます。電流が流れていない状態で、機器を切り離すために使います。1・3・4・5 は正しい記述です。
出題でよく見る言い回しを、正誤で整理します。
| 記述 | 正誤 |
|---|---|
| 断路器は負荷電流を遮断できる | 誤り(電流を切れない) |
| 遮断器を開いてから断路器を開く | 正しい |
| 負荷開閉器は短絡電流を遮断できる | 誤り(負荷電流まで) |
| SF6 ガスは空気より消弧能力が高い | 正しい |
| 真空遮断器は圧縮空気を吹き付けて消弧する | 誤り(真空の絶縁回復を使う) |
よくある質問
遮断器と断路器の違いは何ですか。
遮断器は電流を切れる機器で、事故電流も遮断できます。断路器は電流を切れず、電流のない状態で機器を切り離すための機器です。
なぜ断路器を先に閉じ、遮断器を先に開くのですか。
電流を入り切りするのは遮断器の役目で、断路器には消弧装置がないからです。電流が流れている間は遮断器を閉じたままにし、断路器は電流が流れていないときだけ操作します。
SF6 ガスは環境に悪いのですか。
SF6 は大きな温室効果をもつため、大気への放出が問題になります。無毒で燃えないので安全性は高い一方、点検や廃棄のときは回収して再利用します。
思い出してみよう
答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。
遮断器にできて、断路器にできないことは何ですか?
負荷電流の開閉と、事故電流の遮断です。断路器は電流を切れません。
回路を投入するとき、遮断器と断路器のどちらを先に閉じますか?
断路器を先に閉じ、そのあとで遮断器を閉じます。開放はその逆順です。
インターロックは何を防ぐための仕掛けですか?
遮断器が閉じたまま断路器を操作するなど、誤った順序の操作を防ぎます。
交流のアークが消えやすいのはどのタイミングですか?
電流が零になる電流零点です。その後の絶縁回復が回復電圧に勝てば遮断できます。
SF6 ガスが遮断器に向いている理由は何ですか?
絶縁耐力が空気の 2〜3 倍、消弧能力が約 100 倍と高いからです。
負荷開閉器と遮断器の違いは何ですか?
負荷開閉器は負荷電流を開閉できますが、短絡電流は遮断できません。
まとめ
- 遮断器は負荷電流を開閉し、事故電流も遮断する。断路器は電流のない回路を切り離すだけ
- 投入は断路器 → 遮断器、開放は遮断器 → 断路器。誤操作はインターロックで防ぐ
- アークは交流の電流零点で消え、遮断器は零点後の絶縁回復の速さで性能が決まる
- 遮断器は SF6・真空・空気・油の4種類。現在は SF6 と真空が主流で、GIS は機器を SF6 の容器に収める
- 負荷開閉器は負荷電流を切れるが、短絡電流は切れない
変電所の主役である変圧器については、変圧器の巻数比と電圧・電流の関係もあわせて読むと、変電所全体の流れがつかめます。








