フローチャートの読み方|記号の意味とトレース表で解く電験三種の流れ図
電験三種のフローチャートの読み方を、記号の意味、変数と代入、トレース表の書き方から順に解説します。合計・最大値・2進変換・並べ替えの流れ図を図解し、例題4問で終わる条件の1回ずれまで確かめます。

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フローチャート(流れ図)は、処理の順番を記号と矢印で描いた図です。流れ図の問題は、プログラムを書く力がなくても、変数の値を1ステップずつ書き出して追えば解けます。この記事では、記号の意味、変数と代入、トレース表の書き方を押さえ、合計・最大値・2進変換・並べ替えの流れ図と、例題4問を順にたどります。
- フローチャートとは
- 処理の順番を、記号と矢印で描いた図
- 記号と3つの基本形
- 順次・分岐・繰り返し
- 変数・代入とトレース表
- X ← X + 1 は方程式ではない
- 合計・最大値・2進変換・並べ替え
- 4つの代表的な流れ図
- 解き方のこつと例題
- 終わる条件の1回ずれに注意
フローチャートとは
フローチャートは、処理の順番を、決まった形の記号と矢印で表した図です。日本語では流れ図といいます。「合計を求めて、5 を超えたら終わる」と文章で書くより、図にしたほうが、どこで道が分かれ、どこへ戻るのかが一目で分かります(図1)。

- 始まり 丸みのある端子から始まる
- 判断 ひし形で道が2つに分かれる
- 処理 四角い箱に1つの処理を書く
- 終わり 道が合流して端子で終わる
電験三種の機械科目の範囲には、「電力システムに関する情報伝送及び処理」があり、2進数や論理回路のほかに、フローチャートとプログラムも含まれます。流れ図を読んで変数の値を求める形や、空欄に入る式を選ぶ形の問題があります。
使う道具は、記号の意味、変数と代入、トレース表の3つだけです。プログラミング言語の知識は要りません。流れ図は、言語ごとの書き方の違いを取り除いて、手順だけを表したものだからです(図2)。

フローチャートの記号と3つの基本形
流れ図の記号の形は、JIS X 0121 に決められています。この記事で使う6つを、図3にまとめます。
- 端子は、流れの始まりと終わりに置きます。
- 処理は、計算や代入を1つ行います。
- 判断は、条件が成り立つか(はい)、成り立たないか(いいえ)で、道が2つに分かれます。
- 入出力は、データの入力と、結果の出力です。
- ループ端は、くり返す範囲を始端と終端で囲みます。2つで1組です。
- 定義済み処理は、別に決めた処理のまとまりを、1つの箱として呼び出します。
くり返しの書き方には、判断のひし形で前に戻る形(図7)と、ループ端で囲む形(図9)があります。どちらで描かれていても、読み方は同じです。
どんな流れ図も、順次・分岐・繰り返しの3つの形の組み合わせでできています(図4)。
| 形 | 動き | 使う記号 |
|---|---|---|
| 順次 | 上から順に実行 | 処理 |
| 分岐 | 条件で道を選ぶ | 判断 |
| 繰り返し | 条件のあいだ戻る | 判断・ループ端 |
順次は、手順を1つずつ書いた付箋を、矢印の向きに並べて読むのと同じです(図5)。

- 付箋 1枚に1つの処理を書く
- 矢印 次に進む向きを示す
- 5枚目 最後の付箋で処理が終わる
分岐の条件が「A かつ B」「A または B」のように複数あるときは、論理回路とカルノー図で扱う AND・OR の考え方で、条件が成り立つかを確かめます。
変数・代入とトレース表の書き方
変数は、値を入れておく名前つきの箱です。流れ図では、、、 のような1文字の名前をよく使います。箱に値を入れる操作を代入といい、「←」で書きます。右辺を先に計算し、その結果を左辺の箱に入れます。
この式は、方程式ではありません。「 の中身に 1 を足して、結果を に入れ直す」という動作です。
| 実行前 | 処理 | 実行後 |
|---|---|---|
| X = 3 | X ← X + 1 | 4 |
| S = 10 | S ← S + 2 | 12 |
| i = 5 | i ← i - 1 | 4 |
変数の値を処理ごとに書き出した表がトレース表です。変数1つにつき1列、処理1つにつき1行で、値が変わったところだけを書き換えます。たとえば、次の3つの処理を順に実行します。
| 処理 | X | Y |
|---|---|---|
| 1 | 2 | — |
| 2 | 2 | 5 |
| 3 | 10 | 5 |
3行目で は 10 に変わりますが、 は 5 のままです。代入した変数以外は変わらないことを、表で確かめられます(図6)。

- 見出し行 変数の名前を書く
- 列 変数1つに1列を使う
- 鉛筆 1行ずつ値を書き込む
合計・最大値・2進変換・並べ替えの流れ図
流れ図で扱う処理は、いくつかの型にまとめられます。この記事では、次の4つを取り上げます。
| 型 | 目的 | 最初の準備 |
|---|---|---|
| 合計 | 足し込む | S ← 0 |
| 最大値 | 大きさを比べる | M ← A(1) |
| 2進変換 | 2で割る | N を入力 |
| 並べ替え | 隣と比べる | 配列を用意 |
合計を求める流れ図
1 から 5 までの整数の和を求める流れ図が、図7です。 は合計を入れる箱、 は足す数を表します。
トレース表にすると、次のようになります。
| i | i ≦ 5 | S |
|---|---|---|
| 1 | はい | 1 |
| 2 | はい | 3 |
| 3 | はい | 6 |
| 4 | はい | 10 |
| 5 | はい | 15 |
| 6 | いいえ | 15 |
が 6 になると判断が「いいえ」になり、 を出力して終わります。最初に を置くのは、足し込む前の値が残らないようにするためです。この初期化を忘れると、前の値に足してしまいます。
同じ動作を条件が成り立つあいだ何度もくり返すのが、繰り返しの働きです(図8)。

- ロボットアーム 同じ動作をくり返す
- コンベア 次の箱を運んでくる
- 制御盤 動作の順序を決める
最大値を探す流れ図
配列 〜 から最大値を探す流れ図が、図9です。 は、配列の 番目の値を表します。最初に を に入れておき、残りの値と順に比べて、大きいものが見つかったら を置き換えます。
〜 が 7、3、9、4、6 のとき、 は次のように変わります。
| i | A(i) | M |
|---|---|---|
| 2 | 3 | 7 |
| 3 | 9 | 9 |
| 4 | 4 | 9 |
| 5 | 6 | 9 |
出力は です。最小値を探すときは、比べる向きを逆にするだけで、形は同じです。
10進数を2進数に直す流れ図
10進数を2進数に直すには、2で割った余りを、下の桁から順に取り出します。図10は、 が 0 より大きいあいだ、余りを出力し、 を 2 で割った商に置き換えます。
を入力すると、次のようになります。
| N | 余り R | 次の N |
|---|---|---|
| 13 | 1 | 6 |
| 6 | 0 | 3 |
| 3 | 1 | 1 |
| 1 | 1 | 0 |
余りは 1、0、1、1 の順に出力されます。最初に出た余りが最下位の桁なので、2進数は逆順に並べた 1101 です。 で、確かめられます。2進数と論理回路は、論理回路とカルノー図の記事とつながっています。
並べ替え(バブルソート)の流れ
数を小さい順に並べる代表的な方法が、バブルソートです。隣り合う2つを左から順に比べ、左が大きければ入れかえます。図11は、5、3、8、1、4 に対して、1回目の比較を行った様子です。
1回目は、比較4回のうち交換が3回起こり、並びは 3、5、1、4、8 になります。最大の 8 が右端に来ました。2回目以降も同じ比べ方をくり返すと、右から順に大きい数が決まっていきます。
入れかえには、作業用の変数 を使い、、、 の3手で行います。 を で上書きすると元の値が消えるので、先に へ退避させます。
フローチャートの解き方のこつと例題
流れ図の問題は、次の手順で解きます。
まず、図7とは別の流れ図で、トレース表を書く練習をします。図12は、1 から 6 の整数のうち、奇数だけを足す流れ図です。
解答と解説を見る
ごとにトレース表を書きます。
| i | 奇数か | S |
|---|---|---|
| 1 | はい | 1 |
| 2 | いいえ | 1 |
| 3 | はい | 4 |
| 4 | いいえ | 4 |
| 5 | はい | 9 |
| 6 | いいえ | 9 |
で が「いいえ」になり、終わります。
答え:
次は、空欄を埋める形の問題です。図13は、配列 〜 の最小値を求める流れ図で、判断の条件が「ア」、置き換える処理が「イ」になっています。
解答と解説を見る
最小値を探すので、いまの より小さい値が見つかったときに置き換えます。ア は (b) です。
置き換えるのは配列の値なので、イ は (a) です。(b) は、番号 を入れてしまうので誤りです。
ア を (b)、イ を (a) として、 を追います。
| i | A(i) | M |
|---|---|---|
| 2 | 4 | 4 |
| 3 | 9 | 4 |
| 4 | 2 | 2 |
答え:ア (b)、イ (a)、出力
解答と解説を見る
を 2 で割りながら、余り を追います。
| N | 余り R | 次の N |
|---|---|---|
| 22 | 0 | 11 |
| 11 | 1 | 5 |
| 5 | 1 | 2 |
| 2 | 0 | 1 |
| 1 | 1 | 0 |
出力の順は 0、1、1、0、1 です。最初の余りが最下位の桁なので、逆順に並べた 10110 が2進数です。 で、確かめられます。
答え:0、1、1、0、1 の順。2進数は
解答と解説を見る
なので、 のときは判断が「いいえ」になり、足されません。
| i | i < 5 | S |
|---|---|---|
| 1 | はい | 1 |
| 2 | はい | 3 |
| 3 | はい | 6 |
| 4 | はい | 10 |
| 5 | いいえ | 10 |
答え:(条件が のときの 15 より、5 だけ小さくなる)
よくある質問
プログラムが書けなくても、フローチャートの問題は解けますか。
解けます。流れ図は、プログラミング言語を使わずに手順だけを表した図で、問題で求められるのは、変数の値を順に追うことです。トレース表を書いて、矢印のとおりに1行ずつ進めれば、答えが出ます。
X ← X + 1 は、方程式として成り立たないのではありませんか。
方程式ではなく、代入という動作です。右辺を先に計算し、その結果を左辺の変数に入れ直します。 が 3 なら、実行後は 4 になります。等号の式として読むと、解けなくなるので、「←」は「入れる」と読み替えます。
ループが何回まわるかは、どう数えますか。
判断の条件と、 の初期値・増え方から数えます。 を 1 から始めて 1 ずつ増やし、 のあいだ回るなら 5 回、 なら 4 回です。迷うときは、トレース表の行を数えるのが確実です。
記号の形は、すべて覚える必要がありますか。
問題の図には、記号とその中の文字が描かれているので、形を暗記して描く必要はありません。ただし、ひし形が判断、角を切った箱がループ端、丸みのある箱が端子というように、読むための区別はつけておくと迷いません。
思い出してみよう
答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。
流れ図で、ひし形は何を表しますか?
判断です。条件が成り立つか(はい)、成り立たないか(いいえ)で、道が2つに分かれます。
は、何をする処理ですか?
の中身に 1 を足して、結果を に入れ直します。
トレース表は、何のために書きますか?
変数の値を、処理ごとに1行ずつ書き出して追うためです。
合計を求める流れ図で、最初に を置くのはなぜですか?
足し込む前の値が残らないようにするためです。
最大値を探す流れ図で、 を置き換えるのはどんなときですか?
のとき、 とします。
10進数を2進数に直す流れ図で、出力された余りは、どの順に読みますか?
出てきた順の逆です。 なら、余りの 1、0、1、1 を逆にして です。
まとめ
- 流れ図は、順次・分岐・繰り返しの3つの形でできている
- 端子は始まりと終わり、処理は長方形、判断はひし形、入出力は平行四辺形で表す
- 代入 は、右辺を計算して左辺に入れる動作
- 変数の値を1行ずつ書き出すトレース表で、プログラムを書けなくても解ける
- くり返しの終わる条件は、 か かで回数が1回違う
次は、流れ図の判断条件や2進数の土台になる論理回路とカルノー図で、AND・OR・NOT の組み合わせを整理しましょう。








