情報伝送の基本と伝送速度の計算|調歩同期・パリティ・変調方式を図解
電験三種の機械で学ぶ情報伝送を図解で整理します。bps と伝送時間の計算、調歩同期式、パリティビット、AM・FM と ASK・FSK・PSK、多重化、光ファイバまで、例題で手を動かして確かめられます。

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データを遠くへ送るとき、電気や光の信号が運ぶのは、0 と 1 の列です。どれだけの速さで送れるか、途中で起きた誤りをどう見つけるか、1 本の線を何人で分け合うか。情報伝送は、この 3 つの見方で整理できます。
この記事では、情報伝送の流れと伝送速度から始めて、シリアル伝送と調歩同期式、パリティビットによる誤り検出、変調方式、多重化と伝送路を順に確認します。最後に、電力設備の遠方監視制御で、これらがどう使われるかを見ます。例題では、伝送時間、調歩同期式の 1 文字、パリティビット、変調速度を、手を動かして求めます。
- 情報伝送とは
- 0 と 1 の列を、伝送路で送る。速さは bps で表す
- 伝送時間は、データ量 [bit] を伝送速度 [bps] で割る
- シリアル伝送と調歩同期式
- 1 本の線で、1 ビットずつ送るのがシリアル伝送
- 調歩同期式は、文字ごとにスタートビットとストップビットをはさむ
- パリティビット
- 1 の数の偶奇をそろえて、1 ビットの誤りを見つける。訂正はできない
- 変調方式
- 搬送波の振幅・周波数・位相を変える(AM・FM・PM、ASK・FSK・PSK)
- 伝送速度は、変調速度に 1 シンボルのビット数をかける
- 多重化と伝送路
- 時分割・周波数分割・波長分割
- 光ファイバは、電磁誘導の影響を受けにくい
情報伝送とは
情報伝送とは、データを、離れた場所へ送ることです。送る側(送信側)が、データを信号に変えて、ケーブルや光や電波の道(伝送路)へ送り出します。受ける側(受信側)が、信号をデータに戻します。
伝送路には雑音が入るので、信号がゆがみ、0 が 1 に、1 が 0 に変わることがあります。この誤りを見つける工夫が、あとで見るパリティビットです。
機器の間でデータを運ぶのは、たとえば、サーバを並べた部屋で、機器どうしをつなぐケーブルです。

- サーバ機器 箱形の機器が縦に並ぶ
- 黄色のケーブル 束になって縦に走る
- 青のケーブル 機器の脇へ分かれる
- 通路 左右に棚の列が続く
ビット・バイト・bps
0 と 1 の列は、2 進数として読めます。2 進数と論理回路は、論理回路とカルノー図で確かめられます。情報伝送では、次の 3 つの単位を使います。
| 単位 | 意味 |
|---|---|
| bit | 0 か 1 の 1 桁分 |
| byte | 8 ビットのまとまり |
| bps | 1 秒間に送るビット数 |
1 kbps は 1000 bps、1 Mbps は bps です。データ量の 1 kB は 1000 byte、1 MB は byte として計算します。コンピュータの分野では 1024 を単位にする場合もあるので、問題の指定に従います。
伝送時間の求め方
伝送時間 [s] は、データ量 [bit] を、伝送速度 [bps] で割ると求まります。
データ量が byte で与えられたときは、8 倍して bit に直してから割ります。bit と byte、kbps と Mbps を取り違えないことが、計算のコツです。実際には、制御用のビットや、送り直しの分があるので、データとして届く速さ(実効速度)は、伝送速度に効率をかけた値になります。
解答と解説を見る
(1) データ量を bit に直します。
伝送時間は、次のとおりです。
(2) 実効の速さを求めます。
bit は 9.6 Mbit なので、次のとおりです。
答えは (1) 1.2 s、(2) 1.5 s です。
シリアル伝送と調歩同期式
シリアルとパラレル
複数のビットを送るとき、1 本の線に 1 ビットずつ順に送る方式をシリアル伝送、複数の線で同時に送る方式をパラレル伝送といいます。
パラレルは、同じ時間に多くのビットを送れますが、線の数だけ、ケーブルが太く高くなります。遠くへ送ると、線ごとの到着の時間差も問題になります。そのため、離れた機器の間の伝送には、線が少なくて済むシリアル伝送が向いています。
| 方式 | 線の数 | 向く場面 |
|---|---|---|
| パラレル | 多い | 近い距離 |
| シリアル | 少ない | 遠い距離 |
機器どうしをつなぐケーブルの先には、コネクタが付いています。ケーブルの中には細い導線が通り、コネクタの端子を通じて、機器とつながります。

- 透明な樹脂 コネクタの外側を覆う
- 細い導線 色分けされ、端子へ続く
- 金色の端子 機器側と接触する部分
- ケーブル 信号を運ぶ
調歩同期式
シリアル伝送では、受信側が、どこからどこまでが 1 文字なのかを知らなければなりません。この合わせ方を同期といいます。調歩同期式は、文字ごとに、頭にスタートビット(0)、終わりにストップビット(1)をはさんで、同期を取る方式です。
何も送らないあいだは、信号は 1 の状態です。受信側は、1 から 0 に変わった点を、1 文字の始まりと知ります。そこから決まった間隔でビットを読み、最後のストップビット(1)で、1 文字が終わります。文字ごとに同期をやり直すので、送信側と受信側のクロックが少しずれていても、ずれが積み重なりません。
1 文字のビット数は、取り決めで変わります。データは 7 ビットや 8 ビット、パリティは付けない場合もあり、ストップビットは 2 ビットの場合もあります。この記事では、図5の 11 ビットで計算します。
1 文字の 11 ビットのうち、データは 8 ビットだけです。残りの 3 ビットは、同期と誤り検出のための分です。データの効率は、 で、約 73% になります。
もう 1 つの方式が、クロック同期式です。クロックの信号を、送信側と受信側で共有して、スタートビットとストップビットをつけずに、データを続けて送ります。
| 項目 | 調歩同期式 | クロック同期式 |
|---|---|---|
| 同期 | 文字ごとに取る | クロックで取る |
| 効率 | 下がる | 高い |
| 向く場面 | 低速・不定期 | 高速・連続 |
解答と解説を見る
(1) 1 文字は 11 ビットです。
答えは約 2.29 ms です。
(2) 960 文字のビット数を求めます。
伝送時間は、次のとおりです。
(3) 11 ビットのうち、データは 8 ビットです。
答えは約 3.5 kbps です。4800 bps の約 73% にあたります。
パリティビットによる誤り検出
雑音で、ビットが 1 つ変わることがあります。受信側が、これに気づく仕組みの 1 つがパリティビットです。データのあとに 1 ビットの P を付けて、データと P を合わせた 1 の数を、決めた偶奇にそろえて送ります。
- 偶数パリティ:1 の数が、偶数になるように P を決める
- 奇数パリティ:1 の数が、奇数になるように P を決める
受信側は、1 の数を数えて、決めた偶奇と合っているかを確かめます。合っていなければ、誤りがあったと分かります。
図6のとおり、1 ビットが誤ると、1 の数の偶奇が変わるので、誤りを検出できます。2 ビットが誤ると、1 の数が 2 つ増えるか減るか、または 1 つ増えて 1 つ減るので、偶奇は変わりません。このため、誤りを見逃します。
| 方式 | P の決め方 | 例の P |
|---|---|---|
| 偶数 | 1 の数を偶数に | 0 |
| 奇数 | 1 の数を奇数に | 1 |
パリティビットには、限りがあります。
- 検出できるのは、1 ビットのような、奇数個の誤りです。2 ビットのような、偶数個の誤りは見逃します。
- 誤りに気づくだけで、どのビットが誤ったかは分かりません。訂正はできないので、誤りが見つかったら、再送を求めます。
より強い方法として、まとまったデータの誤りを高い確率で見つける CRC や、誤りの位置まで分かって訂正できるハミング符号があります。
解答と解説を見る
(1) データ 1100101 の 1 の数は 4 個で、偶数です。奇数パリティにするには、P を 1 にして、全体を 5 個にします。答えは P = 1 です。
(2) 1100001 の 1 の数は 3 個で、P を足すと 4 個です。偶数なので、奇数パリティと合いません。誤りを検出できます。元のデータと比べると、1 ビットが誤っています。
(3) 1111101 の 1 の数は 6 個で、P を足すと 7 個です。奇数なので、奇数パリティと合ってしまいます。誤りを検出できません。元のデータと比べると、2 ビットが誤っています。
変調方式
0 と 1 の方形の信号を、そのまま遠くへ送ると、波形がくずれます。電波で送るには、信号の周波数も低すぎます。そこで、一定の周波数の正弦波(搬送波)に、信号の情報を乗せて送ります。これを変調、受信側で元の信号に戻すことを復調といいます。
搬送波は、振幅・周波数・位相の 3 つの量で決まります。どれを信号に合わせて変えるかで、方式が分かれます。
アナログ信号の変調
音声のような、連続して変わる信号を乗せる変調です。
| 方式 | 変える量 | 特徴 |
|---|---|---|
| AM | 振幅 | 回路が簡単 |
| FM | 周波数 | 雑音に強い |
| PM | 位相 | FM と関係が深い |
AM は振幅変調、FM は周波数変調、PM は位相変調です。AM は、雑音が振幅に乗ると、そのまま信号の誤りになります。FM は、振幅の変化を無視して復調できるので、雑音に強くなりますが、広い周波数の帯が要ります。
ディジタル信号の変調
0 と 1 の信号を乗せる変調です。振幅を変えるのが ASK(振幅偏移変調)、周波数を変えるのが FSK(周波数偏移変調)、位相を変えるのが PSK(位相偏移変調)です。
| 方式 | 変える量 | 0 と 1 の区別 |
|---|---|---|
| ASK | 振幅 | 振幅の大小 |
| FSK | 周波数 | 2 つの周波数 |
| PSK | 位相 | 位相の違い |
変調速度と伝送速度
PSK で、位相を 4 通りにすれば、1 回の変化で 2 ビットを送れます。位相を 8 通りにすれば、3 ビットです。このように、1 回に多くのビットを送る方式を、多値変調といいます。
1 秒間に信号が変わる回数を、変調速度といい、単位は baud(ボー)です。変調速度を [baud]、1 回の変化で送るビット数を 、変化の種類の数を とすると、伝送速度 [bps] は、次のようになります。
1 回の変化で 1 ビットなら、 で、bps と baud の数は等しくなります。
アナログ信号を、ディジタルで送る(PCM)
音声のようなアナログ信号を、ディジタルの 0 と 1 にして送る方式が、PCM(パルス符号変調)です。次の 3 段階で行います。
- 標本化:一定の間隔で、信号の大きさを取り出す
- 量子化:取り出した値を、段階の値に丸める
- 符号化:段階の値を、2 進数にする
標本化と量子化のくわしい計算は、A-D変換の分解能と量子化誤差で確かめられます。たとえば、音声を 1 秒間に 8000 回標本化して、1 回あたり 8 ビットで符号化すると、伝送速度は次のようになります。
つまり、64 kbps です。
多重化と伝送路
多重化
1 本の伝送路を、複数の通信で分け合って使うことを、多重化といいます。
- 時分割多重(TDM):時間を短く区切って、通信 A・B・C に順番に割り当てる
- 周波数分割多重(FDM):周波数の帯を分けて、A・B・C が同時に使う
- 波長分割多重(WDM):光ファイバに、波長の違う光を重ねて送る。光の波長を分ける点で、周波数分割と同じ考え方
| 方式 | 分けるもの | 使い方 |
|---|---|---|
| TDM | 時間 | 順番に使う |
| FDM | 周波数 | 同時に使う |
| WDM | 光の波長 | 光で重ねる |
伝送路の種類
伝送路には、信号の種類に合わせて、次のようなものがあります。
| 伝送路 | 信号 | 特徴 |
|---|---|---|
| より対線 | 電気 | 安価で近距離向き |
| 光ファイバ | 光 | 大容量で損失小 |
| マイクロ波 | 電波 | ケーブルが不要 |
| 電力線搬送 | 高周波 | 送電線を使う |
光ファイバは、屈折率の高い中心(コア)を、屈折率の低い層(クラッド)が囲んだ、細いガラスの線です。光は、境の面で全反射をくり返して、コアの中を進みます。

- 光ファイバの束 細い線がまとまる
- 先端の光 線の中を光が進む
- 細い線 ガラスでできている
光ファイバの長所は、次のとおりです。
- 損失が小さく、遠くまで送れる。大容量のデータを送れる
- 電気を通さない絶縁物なので、電磁誘導の影響を受けにくい。電力設備のそばでも、雑音が入りにくい
- 細くて軽い
電力の設備では、送電線の鉄塔の最上部に張る架空地線に、光ファイバを入れた OPGW(光ファイバ複合架空地線)が使われます。雷から送電線を守る役と、通信の役を兼ねます。
電力線搬送は、送電線に高周波の信号を重ねて送る方式です。マイクロ波は、見通しのきく範囲に、アンテナを向け合って送る無線で、ケーブルを敷きにくい場所に向きます。
遠方監視制御
発電所や変電所は、給電指令所から離れた場所にあります。給電指令所は、電力系統の運転の中心です。そこから、離れた設備を監視して、操作する仕組みが遠方監視制御で、伝送の技術が使われます。
- テレメータ(TM):電圧・電流・電力などの計測値を、遠方へ送る。機器の状態(遮断器の入り・切りなど)も、発電所や変電所から給電指令所へ送られる
- テレコン(TC):給電指令所から、遮断器の開閉などの操作の指令を送る
伝送路には、前に見た光ファイバやマイクロ波、電力線搬送などを使います。鉄塔の上には、マイクロ波の通信に使うアンテナが付くことがあります。

- 白い円形のアンテナ マイクロ波の通信に使う形
- 鉄塔 アンテナを高い所に支える
- 変圧器 電圧を変える機器
- 鉄構 電線や機器を支える骨組み
給電指令所では、監視室の大きな画面に、系統の状態を映して、運転を監視します。

- 大型モニタ 系統の状態を映す
- 電話機 連絡に使う
- 机上のモニタ 手元で操作する画面
- 黒い椅子 運転員が座る
保護継電器の中には、送電線の両端の電気量を、伝送路でやりとりして、判断するものがあります。保護継電器の種類は、保護継電器の種類と役割で確かめられます。
解答と解説を見る
(1) 4 相では 1 回に 2 ビット、8 相では 3 ビットを送ります。4 相のときは、次のとおりです。
8 相のときは、次のとおりです。
(2) 誤りは (ウ) です。パリティビットでは、誤りに気づくだけで、位置は分かりません。訂正はできないので、再送を求めます。
ほかは、正しい説明です。
- (ア):スタートビット(0)とストップビット(1)をはさみます。
- (イ):偶数パリティの決まりです。
- (エ):時間を区切って、順番に割り当てます。
- (オ):光ファイバは絶縁物なので、電磁誘導の影響を受けにくくなります。
よくある質問
bps と baud は、どう違う?
bps は、1 秒間に送るビット数です。baud は、1 秒間に信号が変わる回数です。1 回の変化で 1 ビットを送る方式では、数が同じになります。1 回で複数ビットを送る多値変調では、bps は、baud に 1 回あたりのビット数をかけた値で、baud より大きくなります。
パリティビットで、誤りを訂正できないのはなぜ?
1 の数の偶奇が合わないことは分かっても、どのビットが誤ったかは分からないからです。1 ビットの誤りなら、データのどのビットが変わっても、P が変わっても、1 の数の偶奇は同じように変わるからです。誤りの位置まで分かって訂正するには、ハミング符号のような、別の方法を使います。
調歩同期式は、なぜ効率が下がる?
文字ごとに、スタートビットとストップビットを付けるからです。図5の形では、11 ビットのうち、データは 8 ビットで、効率は約 73% です。そのかわり、文字ごとに同期をやり直すので、クロックが多少ずれても、ずれが積み重なりません。
電力設備で、光ファイバが選ばれるのはなぜ?
電気を通さない絶縁物なので、送電線や変電所の、強い電磁誘導の影響を受けにくいからです。損失が小さく、大容量のデータを送れます。送電線の架空地線に入れた OPGW なら、雷から守る役と、通信の役を、1 本で兼ねられます。
思い出してみよう
答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。
伝送時間の求め方は?
データ量 [bit] を伝送速度 [bps] で割ります。byte は、8 倍して bit に直します。
調歩同期式の 1 文字は、どの順に並びますか。
スタートビット(0)、データ、パリティ、ストップビット(1)の順です。図5の形では 11 ビットです。
パリティビットで、検出できる誤りと、できない誤りは?
1 ビットのような、奇数個の誤りは検出できます。2 ビットのような偶数個は見逃します。訂正はできません。
AM・FM・PM と、ASK・FSK・PSK は、それぞれ何を変えますか。
順に、振幅・周波数・位相を変えます。
時分割多重と、周波数分割多重は、どう違いますか。
時分割は、時間を区切って順番に使います。周波数分割は、周波数の帯を分けて同時に使います。
光ファイバの特徴と、TM・TC は?
損失が小さく、電磁誘導の影響を受けにくい伝送路です。TM は計測値を送り、TC は操作の指令を送ります。
まとめ
- 伝送時間は、データ量 [bit] ÷ 伝送速度 [bps]。byte は 8 倍して bit にする
- シリアル伝送は 1 本の線で順に送る。調歩同期式は、1 文字をスタート 1・データ 8・パリティ 1・ストップ 1 の 11 ビットで送り、効率は約 73%
- パリティビットは、1 の数の偶奇をそろえて、奇数個の誤りを検出する。偶数個の誤りは見逃し、訂正はできない
- 変調は、搬送波の振幅・周波数・位相を変える。AM・FM・PM はアナログ、ASK・FSK・PSK はディジタル。伝送速度は、変調速度 × 1 シンボルのビット数
- 多重化は、時分割・周波数分割・波長分割。光ファイバは電磁誘導の影響を受けにくく、遠方監視制御は、テレメータで計測値を、テレコンで操作の指令を送る
アナログ信号をディジタルにする標本化と量子化は、A-D変換の分解能と量子化誤差で、0 と 1 の扱いの基礎は、論理回路とカルノー図で、伝送路を使う保護の仕組みは、保護継電器の種類と役割で確かめられます。








