許容電流と幹線の太さ|電動機がある幹線の1.25倍・1.1倍と遮断器の定格電流
電験三種の法規で問われる許容電流と低圧幹線の太さを整理。周囲温度や管内の電線数による補正、電動機等がある幹線の1.25倍・1.1倍、遮断器の定格電流の上限、分岐回路の3m・8mの決まりを図と例題で確認できます。

法規を図解で読む図解でわかる 電験三種 法規 1電気事業法Kindle Unlimited 対象Kindle で読む
電気設備技術基準とその解釈で、電技解釈に具体的な数値が書かれていることを見ました。その数値の中でも、電線の選び方の土台になるのが、電線に流してよい電流の限度である許容電流です。
この記事では、電線の太さと許容電流の関係、周囲温度や管内の電線数による補正、低圧幹線の許容電流の下限、遮断器の定格電流の上限、分岐回路の決まりを、電技解釈 第146条・第148条・第149条にそって整理します。
- 許容電流
- 電線の種類と太さで決まる。これを超える電流は流さない
- 補正
- 周囲温度が高いほど、管内の電線が多いほど、許容電流は小さくなる
- 幹線の許容電流
- 負荷の定格電流の合計以上。電動機等が多いときは 1.25 倍・1.1 倍を加える
- 幹線の遮断器
- 定格電流は許容電流以下。電動機等があれば、3 倍まで見込める
- 分岐回路
- 遮断器は分岐点から 3 m 以下。条件つきで 8 m 以内や、それ以上も可
- 例題
- 下限・上限・位置・補正を数値で求める
許容電流とは?電線の太さと発熱の関係
電線に電流を流すと、電線の抵抗で熱が出ます。電流が大きすぎると、電線の温度が上がって絶縁物が傷みます。そこで、電線の種類と太さごとに、流してよい電流の限度が決められています。これが許容電流です。絶縁の性能を確かめる試験は、絶縁耐力試験の記事で扱っています。

電線は太いほど、許容電流が大きくなります。電技解釈 第146条 第2項は、低圧配線に使う 600 V ビニル絶縁電線などの許容電流を、導体の太さごとに表で示しています。単線は直径で 146-1 表、成形単線とより線は断面積で 146-2 表を使います。軟銅線の値を抜き出すと、次のとおりです。
| 導体 | 太さ | 表の許容電流 |
|---|---|---|
| 単線 | 直径 1.6 mm | 27 A |
| 単線 | 直径 2.0 mm | 35 A |
| 単線 | 直径 2.6 mm | 48 A |
| より線 | 8 mm² | 61 A |
| より線 | 14 mm² | 88 A |
| より線 | 22 mm² | 115 A |
表は「以上〜未満」の区分で読みます。たとえば断面積 10 mm² のより線は、8 以上 14 未満の区分なので 61 A です。14 mm² ちょうどは次の区分に入るので 88 A です。
なお、低圧配線の電線は、原則として直径 1.6 mm の軟銅線か、これと同等以上の強さと太さのものとされています(第146条 第1項)。使用電圧 300 V 以下の制御回路などには、より細い電線を使える例外もあります。
周囲温度と管内の電線数で許容電流は小さくなる
146-1 表・146-2 表の値は基準の値です。周囲温度が高いと電線の熱が逃げにくくなり、管の中に電線が多いと、互いの熱がこもりやすくなります。そこで、実際の許容電流は、表の値に2つの係数を掛けて求めます(電技解釈 第146条 第2項)。
周囲温度の補正係数は、146-3 表の式で計算します。絶縁体の材料ごとに、式に入れる数が決まっています。
は周囲温度(℃)で、30 ℃ 以下のときは 30 とします。 は絶縁体の材料で決まる数で、耐熱性の高い材料ほど大きくなります。
| 絶縁体の材料 | |
|---|---|
| 60 | ビニル混合物(耐熱性を有するものを除く)、天然ゴム混合物 |
| 75 | ビニル混合物(耐熱性を有するもの)、ポリエチレン混合物(架橋したものを除く)など |
| 80 | エチレンプロピレンゴム混合物 |
| 90 | ポリエチレン混合物(架橋したものに限る) |
たとえば耐熱性を有しないビニル混合物()で、周囲温度が 30 ℃ 以下なら、補正係数は 1 です。40 ℃ なら約 0.82、45 ℃ なら約 0.71 まで下がります(例題4)。

絶縁電線を、合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・金属線ぴに収めて使うときは、更に 146-4 表の電流減少係数を掛けます。
| 同一管内の電線数 | 電流減少係数 |
|---|---|
| 3 以下 | 0.70 |
| 4 | 0.63 |
| 5 又は 6 | 0.56 |
| 7 以上 15 以下 | 0.49 |
| 16 以上 40 以下 | 0.43 |
| 41 以上 60 以下 | 0.39 |
| 61 以上 | 0.34 |
合わせると、許容電流は次の式で求まります。
は表の値、 は周囲温度の補正係数、 は電流減少係数です。管に収めないときは、 を掛けません。
低圧幹線の許容電流の求め方
低圧幹線は、引込口に近い箇所に施設する開閉器(第147条)などを起点とし、過電流遮断器を施設する電路をつなぐ、電気使用場所の低圧の電路です。幹線から分かれて電気機械器具に至る電路が、低圧分岐回路です(第142条 第一号・第二号)。ビルでいえば、受電盤から各階の分電盤までが幹線、分電盤から各部屋の機器までが分岐回路です。

幹線の電線の許容電流は、その部分を通じて供給される電気使用機械器具の定格電流の合計以上とします(電技解釈 第148条 第1項 第二号)。ただし、電動機やこれに類する起動電流が大きい機器(電動機等)の定格電流の合計 が、他の機器の定格電流の合計 より大きいときは、 に電動機等の分を割増しして加えた値以上とします。
| 条件 | 許容電流の下限 |
|---|---|
| で、 | |
| で、 |
電動機等は起動のときに大きな電流が流れるので、余裕を見込む考え方です。
負荷がすべて同時に使われるとは限らないので、需要率や力率などが明らかなときは、これらで適当に修正した値にできます(第三号)。需要率の考え方は、需要率・負荷率・不等率の求め方で扱っています。
幹線の太さは、次の順で決めます(例題5)。
- 負荷から、許容電流の下限を求める
- 電線の種類と施設の条件から、周囲温度の補正係数と電流減少係数を決める
- 146-1 表・146-2 表の値に係数を掛けた許容電流が、下限以上になる最小の太さを選ぶ
幹線を守る過電流遮断器の定格電流
幹線の電源側には、その幹線を保護する過電流遮断器を施設します(電技 第63条 第1項、電技解釈 第148条 第1項 第四号)。その定格電流は、原則として、幹線の許容電流以下です(第五号)。許容電流より大きい遮断器では、電線が危険な温度になっても遮断できないからです。
ただし、電動機等がつながる幹線では、電動機の起動電流で遮断器が動作してしまわないよう、定格電流を大きくできます。
| 電動機等 | 遮断器の定格電流の上限 |
|---|---|
| なし | |
| あり | 。ただし まで |
は幹線の許容電流です。この場合の には、電流減少係数を掛けない値を使います(前の節の注意の1つ目)。電動機等の合計の3倍に、他の機器の合計を加えた値を上限とします(第五号 イ)。その値が許容電流の 2.5 倍を超えるときは、2.5 倍が上限です(ロ)。許容電流が 100 A を超え、求めた値が遮断器の標準定格でないときは、その値の直近上位の標準定格にできます(ハ)。
幹線から分岐するときの遮断器の位置
幹線から分岐回路を取り出すときも、分岐回路を保護する過電流遮断器を施設します。その位置は、分岐点から電線の長さで 3 m 以下の箇所が原則です(第149条 第1項 第一号)。
分岐点から遮断器までの電線が 3 m を超えてもよいのは、電線の許容電流が次の条件を満たすときです。
| 分岐点から遮断器までの長さ | 電線の許容電流 |
|---|---|
| 3 m 以下 | 条件なし |
| 3 m 超 8 m 以下 | 幹線の遮断器の定格の 35% 以上 |
| 8 m 超 | 幹線の遮断器の定格の 55% 以上 |
55% 以上あれば、3 m を超える位置に長さの上限なく施設できます。電線が長くなるほど、遮断器に守られない電線が増えるので、条件が厳しくなります。

- 主幹の遮断器 幹線を保護する大きな遮断器
- 分岐の遮断器 分岐回路を保護する遮断器
- 幹線の電線 太い電線で、各回路へ電気を送る
- 分岐の電線 遮断器から機器へ向かう細い電線
幹線にも、遮断器を省略できる場合があります(第148条 第1項 第四号)。幹線の許容電流が、電源側の幹線の遮断器の定格電流の 55% 以上なら省略できます(イ)。遮断器に直接つなぐ幹線か、イの幹線につなぐ長さ 8 m 以下の幹線で、35% 以上なら省略できます(ロ)。同じようにつなぐ長さ 3 m 以下の幹線で、負荷側にほかの幹線をつながないなら、許容電流の条件なしで省略できます(ハ)。分岐回路と同じ 3 m・8 m・35%・55% の数が出てくるので、幹線と分岐回路を取り違えないようにします。
分岐回路の電線の太さと電動機の分岐回路
分岐回路の遮断器の定格電流が 50 A 以下のときは、電線の太さを 149-1 表で決めます(第149条 第2項 第一号)。表の太さの軟銅線か、これと同等以上の許容電流のある電線を使います。
| 分岐回路の遮断器 | 軟銅線の太さ |
|---|---|
| 15 A 以下 | 直径 1.6 mm |
| 15 A 超 20 A 以下(配線用遮断器) | 直径 1.6 mm |
| 15 A 超 20 A 以下(配線用遮断器を除く) | 直径 2 mm |
| 20 A 超 30 A 以下 | 直径 2.6 mm |
| 30 A 超 40 A 以下 | 8 mm² |
| 40 A 超 50 A 以下 | 14 mm² |
電動機等のみに至る分岐回路は、起動電流が大きいので、別の決まりがあります(第二号)。電線の許容電流は、電動機等の定格電流の合計の 1.25 倍(合計が 50 A を超えるときは 1.1 倍)以上です。遮断器の定格電流は、電線の許容電流の 2.5 倍以下です。
は分岐回路の電線の許容電流、 は電動機等の定格電流の合計、 は分岐回路の遮断器の定格電流です。電線の許容電流の条件は、間欠使用など特殊な使い方の場合を除いて適用されます。電動機の金属製の外箱などの接地は、接地工事の種類で確かめます。

- 端子箱 電線をつなぐ箱
- 可とう管 電線を通して保護する金属の管
- 電動機 起動のとき大きな電流が流れる
- ポンプ 電動機が回す機械
定格電流が 50 A を超える1つの電気使用機械器具(電動機等を除く)に至る分岐回路は、その機器だけを接続します。遮断器の定格電流は、機器の定格電流の 1.3 倍以下です(第三号)。
幹線と、電動機等のみの分岐回路を並べると、次のとおりです。
| 幹線 | 電動機等のみの分岐 | |
|---|---|---|
| 電線の許容電流 | 以上 | 以上 |
| 遮断器の上限 | (2.5 倍まで) | 電線の 2.5 倍 |
| 50 A を超えるとき | 係数は 1.1 | 係数は 1.1 |
例題で許容電流と遮断器の定格を計算する
先に、問題の型と見る条文を表で押さえます。
| 求めるもの | 式 | 条 |
|---|---|---|
| 幹線の許容電流の下限 | 第148条 第1項 第二号 | |
| 幹線の遮断器の上限 | 、 まで | 第148条 第1項 第五号 |
| 分岐の遮断器の位置 | 3 m、8 m と 35%、55% | 第149条 第1項 第一号 |
| 許容電流の補正 | 表の値 × 補正係数 × 減少係数 | 第146条 第2項 |
| 電動機のみの分岐 | 電線 、遮断器 | 第149条 第2項 第二号 |
解答と解説を見る
まず と の大小を見ます(図5)。
(1) は より大きく、 以下なので、1.25 倍を加えます。
(2) は より大きく、 を超えるので、1.1 倍を加えます。
(3) は 以下なので、割増しはありません。
答えは (1) 以上、(2) 以上、(3) 以上です。
解答と解説を見る
と を求めて、小さいほうが上限です(図6)。
(1) 2つの値は次のとおりです。
は を超えないので、上限は です。
(2) 2つの値は次のとおりです。
は を超えるので、上限は です。
答えは (1) 以下、(2) 以下です。
解答と解説を見る
分岐点から遮断器までの電線の長さで、条件が変わります(図7)。
(1) 以下なので、許容電流の条件はありません。
(2) を超え 以下なので、幹線の遮断器の定格電流の 以上です。 以上です。
(3) を超えるので、 以上です。 以上です。
答えは (1) 条件なし、(2) 以上、(3) 以上です。
解答と解説を見る
(1) 146-2 表で、 は 14 以上 22 未満の区分なので です。周囲温度が 以下なので 、電線3本なので です。
(2) 146-1 表で、直径 は 2.0 以上 2.6 未満の区分なので です。管に収めないので、 は掛けません。
(3) 合計が 以下なので、1.25 倍です。遮断器の上限は、許容電流の 2.5 倍です。
答えは (1) 約 、(2) 約 、(3) 電線は 以上、遮断器は 以下です。
解答と解説を見る
順に、許容電流の下限、表の値の下限、区分の選択を求めます。
許容電流の下限は、 が より大きく、 以下なので、1.25 倍を加えます。
周囲温度が 以下なので 、電線3本なので です。表の値 は、次を満たす必要があります。
146-2 表で、8 以上 14 未満の区分は で足りません。14 以上 22 未満の区分は で、 となり、 以上です。
答えは、(14 以上 22 未満の区分)です。
よくある質問
許容電流と定格電流は、どう違いますか?
許容電流は、電線に流してよい電流の限度です。定格電流は、機器や遮断器について定められた、使用の基準となる電流です。幹線の電線は、供給する機器の定格電流の合計を超える許容電流を持たせます。
電動機があると、幹線が太くなるのはなぜですか?
電動機は起動のときに大きな電流が流れるので、定格電流の合計に割増しをして、電線の許容電流の下限を決めるからです。電動機等の合計が他の機器の合計より大きいときに、1.25 倍(50 A 超は 1.1 倍)を加えます。
1.25 倍と 1.1 倍は、どう使い分けますか?
電動機等の定格電流の合計が 50 A 以下なら 1.25 倍、50 A を超えるなら 1.1 倍です。電動機等の合計が他の機器の合計以下のときは、そもそも割増しをしません。幹線の許容電流の下限でも、電動機等のみの分岐回路の電線でも、この使い分けは同じです。
遮断器の定格電流は、許容電流より大きくしてよいですか?
幹線では、原則として許容電流以下です。ただし、電動機等があるときは、電動機等の合計の3倍に他の機器の合計を加えた値まで大きくできます。その値が許容電流の 2.5 倍を超えるときは、2.5 倍までです。
思い出してみよう
答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。
電動機等がある幹線の、許容電流の下限は?
電動機等の合計が他の機器の合計より大きいとき、他の機器の合計に、電動機等の合計の 1.25 倍(50 A を超えるときは 1.1 倍)を加えた値以上です(電技解釈 第148条)。
電動機等の合計が、他の機器の合計以下のときは?
割増しはなく、電動機等と他の機器の合計以上です。
電動機等がある幹線の、遮断器の定格電流の上限は?
電動機等の合計の3倍に他の機器の合計を加えた値です。ただし、幹線の許容電流の 2.5 倍を超えるときは、2.5 倍が上限です。
分岐点から遮断器までの電線の長さと、許容電流の条件は?
3 m 以下は条件なしです。3 m を超えると、幹線の遮断器の定格の 35% 以上(長さ 8 m 以下)か、55% 以上が必要です(第149条)。
絶縁電線を管に収めるときの電流減少係数は?
同一管内の電線数が 3 以下で 0.70、4 で 0.63、5 又は 6 で 0.56、7 以上 15 以下で 0.49 です(第146条)。
耐熱性を有しないビニル混合物の、周囲温度の補正係数の式は?
60 から周囲温度を引いて 30 で割り、平方根をとります。周囲温度が 30 ℃ 以下のときは、30 として計算します。
まとめ
- 許容電流は、電線の種類と太さで決まる、流してよい電流の限度です。表の値に、周囲温度の補正係数と、管に収めるときの電流減少係数を掛けます。
- 幹線の許容電流の下限は、負荷の定格電流の合計です。電動機等の合計が他の機器の合計より大きいときは、1.25 倍(50 A 超は 1.1 倍)を加えます。
- 幹線の遮断器の定格電流は、許容電流以下です。電動機等があるときは、3 倍まで見込め、許容電流の 2.5 倍が上限です。
- 分岐回路の遮断器は、分岐点から 3 m 以下が原則で、許容電流の条件つきで 8 m 以内やそれ以上も施設できます。
| 項目 | 数 | 条 |
|---|---|---|
| 電流減少係数 | 0.70(3 本以下)〜 0.34(61 本以上) | 第146条 第2項 |
| 割増し | 1.25(50 A 以下)・1.1(50 A 超) | 第148条 第1項 |
| 遮断器の上限 | 3 倍まで、許容電流の 2.5 倍が上限 | 第148条 第1項 |
| 分岐の位置 | 3 m、8 m と 35%、55% | 第149条 第1項 |
全体の位置づけは電気設備技術基準とその解釈、需要率の扱いは需要率・負荷率・不等率の求め方にあります。続けて、配線の工事の種類は低圧屋内配線の工事で確かめましょう。








