電気設備技術基準とその解釈とは|電技と電技解釈の違い・電圧の区分と押さえる数値
電験三種の法規で問われる電気設備技術基準(電技)と電技解釈の違いを整理。法令の階層、低圧・高圧・特別高圧の電圧の区分、絶縁抵抗や接地抵抗などの数値、条文の読み方を図と例題で確認できます。

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電気工作物の区分で、設備にどんな保安の仕組みがかかるかを見ました。では、設備を施設するとき、具体的に何を守ればよいのでしょうか。その答えが、電気設備に関する技術基準を定める省令(電技)と、電気設備の技術基準の解釈(電技解釈)です。電験三種の法規で学ぶ技術的な規定は、この2つが中心です。
電技は守るべき要件を定め、電技解釈はその要件を満たす具体的な方法と数値を示します。この記事では、2つの関係、章の構成、電圧の区分、試験に出る数値、条文の読み方を順に整理します。
- 法令の階層
- 電気事業法の下に電技(省令)、その下に電技解釈がある
- 電技と電技解釈の構成
- 電技は3つの章、電技解釈は8つの章に分かれる
- 電圧の区分
- 低圧・高圧・特別高圧の境目は 600 V・750 V・7000 V
- 試験に出る数値の早見表
- 絶縁抵抗・漏えい電流・試験電圧・接地抵抗を条番号つきで整理
- 条文の読み方
- 以下は含み、超えるは含まない
- 例題
- 電圧の区分と数値を当てはめる
電気設備技術基準とは?電気事業法・省令・解釈の関係
電気設備技術基準という言葉は、一般に、電気設備に関する技術基準を定める省令(電技)と、電気設備の技術基準の解釈(電技解釈)をあわせて指します。電技は、電気事業法 第39条第1項・第56条第1項に基づく省令で、電気工作物が守るべき技術上の要件を定めています。
法令の階層は、法律、省令、解釈の3段です。電気事業法は、電気工作物を技術基準に適合させることを求めています。その技術基準にあたるのが電技です。電技は要件を述べるだけなので、どの方法で満たすかを示すのが電技解釈です。
たとえば電技 第56条 第1項は、配線は施設する場所の状況と電圧に応じて、感電や火災のおそれがないように施設することを求めています。これは「感電や火災を防ぐ」という要件で、どの電線をどう使えばよいかまでは書いてありません。具体的な電線や工事の方法は、電技解釈の側に書かれています。
| 項目 | 電技 | 電技解釈 |
|---|---|---|
| 内容 | 満たすべき要件 | 具体的な方法・数値 |
| 例 | 電路は大地から絶縁する(第5条) | 絶縁耐力試験の倍率(第15条) |
| 性格 | 基準そのもの | 満たすと認められる内容 |

電技の章構成と電技解釈の章立て
電技は、3つの章でできています。第一章は総則(第1〜19条)、第二章は電気の供給のための電気設備の施設(第20〜55条)、第三章は電気使用場所の施設(第56〜78条)です。
第二章は発電所・変電所・電線路など供給側の設備、第三章は配線や電気機械器具など需要側の設備を扱います。需要側とは、ビルや工場、家庭など、電気を使う場所のことです。試験で出る数値の多くは、第三章と、第一章の用語・絶縁の条文にあります。
第三章は6つの節に分かれています。
| 節の題名 | 条 | 主な中身 |
|---|---|---|
| 感電、火災等の防止 | 第56〜61条 | 配線の施設、低圧電路の絶縁 |
| 他の配線、他の工作物等への危険の防止 | 第62条 | 他の配線や工作物との接近・交さ |
| 異常時の保護対策 | 第63〜66条 | 過電流・地絡・過負荷の保護 |
| 電気的、磁気的障害の防止 | 第67条 | 無線設備への障害 |
| 特殊場所における施設制限 | 第68〜73条 | 粉じん・可燃性ガスなどの場所 |
| 特殊機器の施設 | 第74〜78条 | 電気さく・電気浴器など |
低圧幹線や分岐回路の保護(電技 第63条)は許容電流と幹線の記事で、配線の工事の種類は低圧屋内配線の工事の記事で扱います。
電技解釈は、8つの章でできています。条の数は電技よりずっと多く、第234条まであります。
| 章 | 条 | 主な中身 |
|---|---|---|
| 第1章 総則 | 第1〜37条の2 | 用語・電線・絶縁と接地・保護対策 |
| 第2章 発電所・変電所等 | 第38〜48条 | 発電所・蓄電所・変電所などの施設 |
| 第3章 電線路 | 第49〜133条 | 架空電線路・地中電線路など |
| 第4章 電力保安通信設備 | 第134〜141条 | 保安のための通信設備 |
| 第5章 電気使用場所の施設及び小規模発電設備 | 第142〜200条 | 屋内配線・特殊場所・特殊機器 |
| 第6章 電気鉄道等 | 第201〜217条 | 電車線など鉄道の設備 |
| 第7章 国際規格の取り入れ | 第218・219条 | IEC 60364 規格の適用 |
| 第8章 分散型電源の系統連系設備 | 第220〜234条 | 発電設備と系統の連系 |
電気使用場所の配線や、絶縁・接地の数値は、第5章と第1章にあります。第1章の第3節「電路の絶縁及び接地」(第13〜19条)には、絶縁耐力試験の第15条と接地工事の第17条が入っています。
電技解釈の条には、見出しの横に、もとになる電技の条が書いてあります。たとえば第14条は「低圧電路の絶縁性能」で、省令の第5条第2項と第58条に対応します。
発電所や変電所の施設は、電技では第二章、電技解釈では第2章にあります。

- 鉄構 電線や機器を支える鉄の骨組み
- がいし 電線を支えて絶縁する磁器
- 変圧器 電圧を変える機器
- フェンス 人が近づかないようにする柵
低圧・高圧・特別高圧の電圧の区分と用語
電技 第2条 第1項は、電圧を低圧・高圧・特別高圧の3つに分けています。境目の数は、交流と直流で違います。
| 区分 | 交流 | 直流 |
|---|---|---|
| 低圧 | 600 V 以下 | 750 V 以下 |
| 高圧 | 600 V を超え 7000 V 以下 | 750 V を超え 7000 V 以下 |
| 特別高圧 | 7000 V を超えるもの | 7000 V を超えるもの |
境目の数は、交流が 600 V と 7000 V、直流が 750 V と 7000 V です。以下は含み、超えるは含まないので、交流 600 V ちょうどは低圧、7000 V ちょうどは高圧です。この区分は、電気工作物の区分で受電電圧から一般用か自家用かを判断するときにも使いました。
電圧に関する用語は、電技解釈 第1条で定義されています。まず3つを押さえます。
| 用語 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 使用電圧 | 電路を代表する線間電圧 | 6600 V |
| 最大使用電圧 | 通常の使用状態で電路に加わる最大の線間電圧 | 6600 V の電路で 6900 V |
| 電気使用場所 | 電気を使う設備を施設した1の建物など | 工場の1棟 |
最大使用電圧は、使用電圧が公称電圧に等しい電路では、使用電圧に係数を掛けて求めます。係数は、1000 V 以下で 1.15、1000 V を超え 500000 V 未満で 1.15/1.1 です。公称電圧 6600 V の電路なら、次のようになります。
最大使用電圧は、絶縁耐力試験の試験電圧を決めるときに使います。詳しくは絶縁耐力試験で扱います。
電圧の区分を、実物で見てみます。電柱の上の配電線は 6600 V の高圧で、柱上変圧器で 100 V や 200 V の低圧に下げて、家庭や店へ届けます。

- がいし 高圧の電線を支えて絶縁する
- 柱上変圧器 高圧を低圧に下げる
- 低圧電線 変圧器から家庭や店へ引く
- コンクリート柱 電線や機器を支える柱
ビルや工場は、高圧のまま受電して、構内のキュービクルで低圧に下げることが多くあります。

- キュービクル 高圧の受電設備を収めた箱
- 接地線 緑の線。大地へつなぐ
- 金属管 電線を通して保護する管
- コンクリート基礎 箱を支える土台
試験に出る数値の早見表
法規では、条文の数値をそのまま答える問題があります。ここでは、電技と電技解釈の数値を、条番号をつけて一覧にします。詳しい説明は、それぞれの記事にまとめています。
| 項目 | 値 | 根拠 |
|---|---|---|
| 低圧電路の絶縁抵抗 | 0.1・0.2・0.4 MΩ 以上 | 電技 第58条 |
| 絶縁抵抗を測れないとき | 漏えい電流 1 mA 以下 | 電技解釈 第14条 第1項 第二号 |
| 低圧電線路の漏えい電流 | 最大供給電流の 2000 分の 1 以下 | 電技 第22条 |
| 絶縁耐力試験(7000 V 以下の交流) | 最大使用電圧の 1.5 倍を連続10分間 | 電技解釈 第15条 |
接地工事の抵抗値は、電技解釈 第17条で決まっています。
| 接地工事 | 接地抵抗値 | 根拠 |
|---|---|---|
| A種 | 10 Ω 以下 | 第17条 第1項 |
| B種 | 17-1表による(地絡電流で決まる) | 第17条 第2項 |
| C種 | 10 Ω 以下 | 第17条 第3項 第一号 |
| D種 | 100 Ω 以下 | 第17条 第4項 第一号 |
C種とD種は、低圧電路で地絡を生じたとき 0.5 秒以内に自動的に遮断する装置を施設すれば、500 Ω 以下でよいと決められています。試験電圧の求め方は絶縁耐力試験、接地の種類と使い分けは接地工事の種類で詳しく説明しています。
低圧の絶縁には、2つの数値があります。電線路(供給側)は電技 第22条の漏えい電流、電気使用場所(需要側)は電技 第58条の絶縁抵抗です。場所が違うので、混ぜないようにします。
電技 第58条は、使用電圧と対地電圧で下限値を決めます。
| 使用電圧 | 対地電圧 | 絶縁抵抗 |
|---|---|---|
| 300 V 以下 | 150 V 以下 | 0.1 MΩ 以上 |
| 300 V 以下 | 150 V を超える | 0.2 MΩ 以上 |
| 300 V を超える | 問わない | 0.4 MΩ 以上 |
対地電圧は、接地式の電路では電線と大地の間の電圧、非接地式の電路では電線間の電圧です。絶縁抵抗は、開閉器や過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに測ります。

- 色分けケーブル 電線の色で回路を見分ける
- 遮断器 電路を開閉して区切る
- 作業員の手 測る回路を指で確かめる
- 銅バー 回路をつなぐ導体の板
条文の読み方のこつ
条文の言い回しには決まりがあります。読み方で答えが変わる問題があるので、型で押さえます。
| 言い回し | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 〜しなければならない | 義務 | 電技 第5条 第1項 |
| 〜してはならない | 禁止 | 電技 第57条 第2項 |
| 〜こと | 解釈で求める要件 | 電技解釈 第14条 第1項 |
| ただし、…この限りでない | 例外 | 電技 第57条 第2項 |
たとえば電技 第57条 第2項は、配線には裸電線を使用してはならないと禁止しています。ただし書きで、使用上十分な強度があり、絶縁性がないことを考慮して感電や火災のおそれがないように施設する場合は、例外としています。ただし書きがある条は、本文と例外の条件をセットで読みます。
境目の数の扱いは、次のとおりです。以上と以下は、その数を含みます。超えると未満は、その数を含みません。
たとえば電技 第58条は「300 V 以下」と「300 V を超えるもの」で分けています。300 V ちょうどの電路は、0.4 MΩ ではなく、0.1 MΩ か 0.2 MΩ の側です。
例題で電圧の区分から接地抵抗までを解く
数値を使って、手を動かしてみましょう。先に、問題の型と見る条文を表で押さえます。
| 問い | 見る数値 | 条文 |
|---|---|---|
| 電圧の区分 | 600・750・7000 V | 電技 第2条 |
| 絶縁抵抗 | 300 V と 150 V の分かれ目 | 電技 第58条 |
| 漏えい電流 | 最大供給電流の 2000 分の 1 | 電技 第22条 |
| 接地抵抗 | 10・100・500 Ω | 電技解釈 第17条 |
解答と解説を見る
直流の境目は と です。以下は含み、超えるは含みません。
(1) は 以下なので、低圧です。
(2) は を超え、 以下なので、高圧です。
(3) は 以下なので、高圧です。特別高圧は を超えるものです。
答えは (1) 低圧、(2) 高圧、(3) 高圧です。
解答と解説を見る
交流の境目は と です。直流の と取り違えないようにします。
(1) は 以下なので、低圧です。
(2) は を超え、 以下なので、高圧です。
(3) は 以下なので、高圧です。
(4) は を超えるので、特別高圧です。
答えは (1) 低圧、(2) 高圧、(3) 高圧、(4) 特別高圧です。
解答と解説を見る
使用電圧が 以下かを見て、次に対地電圧が 以下かを見ます(図9)。
(1) 使用電圧は 以下です。接地していない電路の対地電圧は電線間の電圧で、 です。 を超えるので、 以上です。
(2) 使用電圧は 以下です。接地した電路の対地電圧は電線と大地の間の電圧で、 です。 以下なので、 以上です。
(3) を超えるので、対地電圧に関係なく、 以上です。
答えは (1) 、(2) 、(3) です。
解答と解説を見る
漏えい電流は、最大供給電流の 2000 分の 1 を超えてはいけません。
上限は です。 は を超えるので、適合しません。 ちょうどなら、超えないので適合です。
解答と解説を見る
A種は 以下、D種は 以下です。以下は、その数を含みます。
(1) ちょうどは、 以下なので、適合です。
(2) ちょうどは、 以下なので、適合です。
(3) を超えますが、低圧電路で、地絡時に 秒以内に自動的に遮断する装置があるので、 以下まで認められます。適合です。
(4) 遮断する装置がないので、 以下が必要です。 は超えるので、適合しません。
答えは (1) 適合、(2) 適合、(3) 適合、(4) 不適合です。
よくある質問
電技と電技解釈は、どちらも問われますか?
どちらも出題の根拠になります。電技の条文をそのまま問う問題も、電技解釈の数値を問う問題もあります。条番号を添えて数値を整理しておくと、どちらにも対応できます。
電技解釈と違う方法で施設すると、違反になりますか?
電技解釈は、省令の要件を満たすと認められる内容を示したもので、これだけが方法ではありません。十分な保安水準を確保できる技術的根拠があれば、解釈と違う方法でも、省令に適合すると判断されます。
以下と超えるは、どう違いますか?
以下は、その数を含みます。超えるは、その数を含みません。たとえば電圧の区分では、交流 600 V ちょうどは低圧で、高圧は 600 V を超えるものです。
電技 第58条の絶縁抵抗と、第22条の漏えい電流は、何が違いますか?
第58条は、電気使用場所(需要側)の低圧の電路で、絶縁抵抗の下限値を MΩ で決めます。第22条は、低圧電線路(供給側)で、漏えい電流を最大供給電流の 2000 分の 1 以下と決めます。場所が違うので、問題文で電気使用場所か電線路かを確かめます。
思い出してみよう
答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。
電技と電技解釈は、どんな関係ですか?
電技は満たすべき要件、電技解釈は満たすと認められる具体的な方法と数値です。解釈と違う方法でも、十分な保安水準の技術的根拠があれば、省令に適合すると判断されます。
低圧・高圧・特別高圧の境目は?
交流は 600 V と 7000 V、直流は 750 V と 7000 V です。以下は含み、超えるは含みません。
低圧電路の絶縁抵抗の下限は?
300 V 以下で対地電圧 150 V 以下なら 0.1 MΩ、300 V 以下のその他は 0.2 MΩ、300 V を超えるものは 0.4 MΩ 以上です(電技 第58条)。
低圧電線路の漏えい電流の上限は?
最大供給電流の 2000 分の 1 です(電技 第22条)。最大供給電流が 120 A なら 60 mA です。
7000 V 以下の交流の電路の絶縁耐力試験は?
最大使用電圧の 1.5 倍の交流電圧を連続10分間加えます(電技解釈 第15条)。
A種・C種・D種の接地抵抗は?
A種は 10 Ω 以下、C種は 10 Ω 以下、D種は 100 Ω 以下です。C種・D種は、低圧電路で地絡時に 0.5 秒以内に自動遮断する装置があれば 500 Ω 以下です(電技解釈 第17条)。
まとめ
- 電気事業法の下に電技(省令)があり、その下に電技解釈があります。電技は満たすべき要件、電技解釈は満たすと認められる具体的な方法と数値です。
- 電技は3つの章、電技解釈は8つの章でできています。条番号は別なので、「電技 第○条」「電技解釈 第○条」と書き分けます。
- 電圧の区分は、交流が 600 V と 7000 V、直流が 750 V と 7000 V の境目です。
- 数値は、条番号とセットで覚えます。以下は含み、超えるは含みません。
| 場所 | 条 | 見る数値 |
|---|---|---|
| 電気使用場所(低圧) | 電技 第58条 | 絶縁抵抗 0.1・0.2・0.4 MΩ |
| 低圧電線路 | 電技 第22条 | 漏えい電流 2000 分の 1 |
| 高圧(交流 7000 V 以下) | 電技解釈 第15条 | 試験電圧 1.5 倍・10 分間 |
| 接地工事 | 電技解釈 第17条 | A・C種 10 Ω、D種 100 Ω |
電圧の区分の土台は電気工作物の区分、数値の詳しい説明は絶縁耐力試験と接地工事の種類にあります。続けて、幹線の太さは許容電流と幹線、工事の種類は低圧屋内配線の工事で確かめましょう。








