接地工事の種類と接地抵抗値|A種・B種・C種・D種の違いと150/Igの計算
電験三種の法規で出る接地工事を、A種・B種・C種・D種の使い分けと接地抵抗値、B種の150/Igと遮断時間、機器の外箱の接地、接地線の施設まで整理します。地絡時の外箱の電圧も例題で確かめます。

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絶縁耐力試験は、電路を絶縁で大地から切り離せているかを確かめる試験でした。ただ、絶縁は破れることがあります。そのとき電流を大地へ安全に逃がす道をつくるのが接地工事で、A種・B種・C種・D種の4種類があります。法規では、種類ごとの接地抵抗値と、B種の 150/Ig の計算が問われます。
- 接地工事とは
- 電技第10・11条。対象と電圧で A種〜D種が決まる
- 4種の接地抵抗値と接地線
- A種・C種 10 Ω、D種 100 Ω。C・D種は 0.5 秒遮断で 500 Ω
- B種の役割
- 混触したときの電位 Ig × RB を 150 V 以下に抑える
- B種の抵抗値と施設箇所
- 150/Ig・300/Ig・600/Ig。低圧側の中性点に施す
- 機器の外箱の接地
- 第29条。地絡時の外箱の電圧は V × RD/(RB + RD)
- 接地線の施設
- 地下 75 cm から地表上 2 m を保護管で覆う
- 例題
- 5問で抵抗値から外箱の電圧まで解く
接地工事とは?目的と4つの種類
電気設備に関する技術基準を定める省令(以下「電技」)第10条は、電気設備の必要な箇所に、異常時の電位上昇や高電圧の侵入などによる感電、火災その他の危害や物件の損傷のおそれがないよう、接地その他の適切な措置を講じることを求めています。第11条は、接地を施す場合に、電流が安全かつ確実に大地に通ずることができるようにすることを求めています。
この2つを具体的に決めているのが、電気設備の技術基準の解釈(以下「解釈」)第17条です。接地工事は A種・B種・C種・D種の4種類で、どれを施すかは、接地する対象と使用電圧で決まります(図1)。
A種・C種・D種は、機器の金属製の外箱などに施します。機器が地絡したとき、外箱の電圧を下げて、人が触れても感電しにくくするための接地です。B種だけは、高圧・特別高圧の電路と低圧の電路を結ぶ変圧器に施す接地で、役割が違います。
接地工事の実物は、地中に埋めた接地極と、そこへつなぐ接地線でできています(図2)。

- 接地極 地中に埋めた銅の棒。大地と電気的につながる
- 接続金具 接地線を接地極に固定するクランプ
- 接地線 緑の線。機器や変圧器から来て、接地極へつなぐ
- 地中 接地極の下側は地中に埋まっている
4種の接地抵抗値と接地線の太さ
接地抵抗値と接地線の太さは、解釈第17条が種類ごとに決めています。接地線は、故障のときに流れる電流を安全に通じられるものとしたうえで、金属線なら引張強さ、軟銅線なら直径で下限が決まります。
| 種類 | 接地抵抗値 | 接地線(軟銅線) |
|---|---|---|
| A種 | 10 Ω 以下 | 直径 2.6 mm 以上 |
| B種 | 17-1表の値 | 直径 2.6 mm または 4 mm 以上 |
| C種 | 10 Ω 以下 | 直径 1.6 mm 以上 |
| D種 | 100 Ω 以下 | 直径 1.6 mm 以上 |
引張強さで示すと、A種は 1.04 kN 以上、C種・D種は 0.39 kN 以上です。B種の接地線は17-3表で決まります。高圧電路(または解釈第108条の特別高圧架空電線路の電路)と低圧電路を結合する変圧器は、1.04 kN 以上または直径 2.6 mm 以上、それ以外は 2.46 kN 以上または直径 4 mm 以上です。
C種とD種には緩和があります。低圧電路で、地絡を生じたときに 0.5 秒以内に電路を自動的に遮断する装置を施設するときは、どちらも 500 Ω 以下とできます。B種の17-1表は、次の節で説明します。
金属体を接地極の代わりに使う場合の決まりもあります。C種接地工事を施す金属体と大地の間の電気抵抗値が 10 Ω 以下なら、C種を施したものとみなされます(第5項)。D種は 100 Ω 以下なら、D種を施したものとみなされます(第6項)。
機器ごとの接地線は、接地母線にまとめてつなぐことがあります(図3)。

- ボルト 端子を母線に締め付ける
- 圧着端子 接地線の先に付けた金具。ボルトで母線に固定する
- 接地線 緑の線。機器ごとに1本ずつ母線につなぐ
- 接地母線 接地線を集めて大地へつなぐ銅の板
B種接地工事の役割と、混触したときの電位
電技第12条は、高圧又は特別高圧の電路と低圧の電路を結合する変圧器に、高電圧の侵入による低圧側の電気設備の損傷、感電、火災のおそれがないよう、変圧器の適切な箇所に接地を施すことを求めています。これを具体的に定めているのが、解釈第24条のB種接地工事です。
変圧器の内部で高圧側の巻線と低圧側の巻線が触れることを、混触といいます。混触すると、高圧の電気が低圧電路へ入り込みます。低圧の機器や配線は高い電圧に耐える設計ではないので、絶縁破壊や感電のおそれがあります。
B種接地工事を施しておくと、混触で流れる地絡電流 が大地へ逃げます。そのとき低圧電路の対地電圧は、 が B種接地抵抗 を流れるときの電圧降下になります(図4)。
この電圧を 以下に抑えるものとして、 の上限が決まります。
17-1表の 150 は、この考え方から来た数値です。17-1表が、混触時に低圧電路の対地電圧が 150 V を超えた場合に自動的に遮断する装置を条件にしていることとも合っています。
は、変圧器の高圧側(または特別高圧側)の電路の1線地絡電流 です。大きさは高圧電路の中性点の接地方式で変わるので、中性点接地方式の記事も見ておきましょう。
B種接地工事の抵抗値と遮断時間・施設箇所
B種接地工事の接地抵抗値は、解釈第17条第2項第一号の17-1表が決めています。基本は 150/Ig 以下です。ただし、高圧、または 35000 V 以下の特別高圧の電路と低圧電路を結合する変圧器で、混触して低圧電路の対地電圧が 150 V を超えたときに自動的に電路を遮断する装置を設けるなら、遮断時間に応じて上限が緩和されます(図5)。
遮断が 1 秒を超え 2 秒以下なら 300/Ig、1 秒以下なら 600/Ig です。早く電路が切れるほど危険な電圧が続く時間が短くなるので、上限を大きくできると考えます。遮断装置がない場合や、遮断に 2 秒を超える場合は、基本の 150/Ig です。
は、解釈第17条第2項第二号により、次のいずれかで求めます。
- 実測値
- 高圧電路では、17-2表の計算式で求めた値。小数点以下を切り上げ、2 A 未満なら 2 A とする
- 特別高圧電路で実測が困難なときは、線路定数等による計算値
17-2表の式は、電路の種類ごとに変わります。試験では が問題文で与えられることが多いので、この記事では式を省きます。
B種接地工事を施す箇所は、解釈第24条第1項第一号が次のとおり定めています。
| 低圧側の状況 | 接地を施す箇所 |
|---|---|
| 通常 | 低圧側の中性点 |
| 使用電圧 300 V 以下で、中性点に施し難い | 低圧側の1端子 |
| 低圧電路が非接地 | 高圧巻線と低圧巻線の間の金属製の混触防止板 |
同条第二号は、B種接地工事の接地抵抗値を、17-1表にかかわらず、5 Ω 未満であることを要しないと定めています。計算した上限が 5 Ω より小さくなるときでも、5 Ω 未満まで下げる必要はないという意味です。
柱の上の変圧器も、B種接地工事を施す対象の代表です(図6)。

- 高圧側のがい管 高圧の電線を絶縁して、変圧器につなぐ磁器
- 変圧器 高圧を低圧に変える円筒形の機器。放熱フィンが付く
- 接地線 緑の線。柱に沿って下りている
- 電柱 変圧器や電線を支える
機器の外箱の接地と、地絡したときの外箱の電圧
解釈第29条第1項は、電路に施設する機械器具の金属製の台と外箱(外箱のない変圧器・計器用変成器は鉄心)に、使用電圧に応じた接地工事を施すことを求めています。
| 機械器具の使用電圧 | 接地工事 |
|---|---|
| 低圧 300 V 以下 | D種 |
| 低圧 300 V 超過 | C種 |
| 高圧・特別高圧 | A種 |
外箱を充電して使用する機器に人が触れるおそれがないよう、さくなどを設けて施設するときや、絶縁台を設けて施設するときは、接地工事を要しません。
同条第2項は、接地工事を施さなくてよい場合も挙げています。主なものは次のとおりです。
- 交流の対地電圧が 150 V 以下、または直流の使用電圧が 300 V 以下の機器を、乾燥した場所に施設する
- 低圧用の機器を、乾燥した木製の床など絶縁性のものの上で取り扱う
- 電気用品安全法の適用を受ける2重絶縁構造の機器を施設する
- 水気のある場所以外で、低圧用の機器に電気を供給する電路に、定格感度電流 15 mA 以下・動作時間 0.1 秒以下の電流動作型漏電遮断器を施設する
- 低圧用の機器の電源側に絶縁変圧器(2次側線間電圧 300 V 以下、容量 3 kV·A 以下)を施設し、負荷側の電路を接地しない
洗濯機を水気のある場所に置くときは、乾燥した場所の例外(第一号)も、漏電遮断器の例外(第五号)も使えません。ほかの例外に当たらなければ、100 V の機器でもD種接地工事が必要です。
外箱の接地が電圧を下げる様子を、式で確かめます。単相の低圧電路で、機器が地絡して外箱が充電されたとします。地絡電流は、外箱から D種接地の抵抗 を通って大地へ流れ、B種接地の抵抗 を通って電源側の変圧器へ戻ります。線路の抵抗を無視すると、外箱の電圧は の両端の電圧です(図7)。
電源の電圧を とすると、地絡電流 と外箱の電圧 は次のようになります。
が小さいほど、外箱の電圧は低くなります。たとえば のとき、 が なら の 、 なら の です。D種接地工事の抵抗値を下げるほど、安全側になります。
洗濯機の外箱は、接地端子からアース線で、接地端子つきのコンセントへつなぎます(図8)。

- 金属の外箱 地絡したとき、電圧が現れるおそれのある部分
- アース端子 外箱とアース線をつなぐ接地端子
- 緑のアース線 床を渡って壁側へ伸びる
- コンセントの接地端子 アース線をつなぐ壁側のねじ
接地線の施設で守る深さと高さ
接地線の施設の決まりは、解釈第17条第1項第三号にあります。これは A種の規定で、B種も第2項第四号で準用しています。接地極と接地線を人が触れるおそれがある場所に施設するときの決まりです。
| 対象 | 決まり |
|---|---|
| 接地極 | 地下 75 cm 以上の深さに埋設 |
| 金属体の近くの接地極 | 金属体の底面から 30 cm 以上の深さ、または地中で 1 m 以上離す |
| 接地線 | 絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く)か、通信用ケーブル以外のケーブル |
| 接地線の保護 | 地下 75 cm から地表上 2 m を、合成樹脂管などで覆う |
接地線の保護には、電気用品安全法の適用を受ける合成樹脂管(厚さ 2 mm 未満の合成樹脂製電線管と CD 管を除く)か、同等以上の絶縁効力・強さのあるものを使います(図9)。
接地線を、鉄柱その他の金属体に沿わせない場合は、地表上 60 cm を超える部分に、絶縁電線やケーブルを使わなくてもかまいません。接地線を、避雷針用地線を施設してある支持物に施設することも、同条第四号が禁じています。
ただし、移動して使用する機器の可とう性を必要とする部分や、発電所・変電所などで接地極を第19条第2項第一号に準じて施設する場合は、この決まりの対象外です。
電柱の下部では、接地線を合成樹脂管で覆って柱に留めた姿が見られます(図10)。

- 固定金具 保護管を柱に留める金具
- 保護管 灰色の合成樹脂管。中を接地線が通る
- 接地線 管の下端から地面へ出る緑の線
- コンクリート柱 接地線を沿わせる電柱
例題で接地抵抗値から外箱の電圧までを解く
5問で、式の使い分けを確かめます。使う式は次のとおりです。
| 求めたいもの | 使う式 | 例題 |
|---|---|---|
| B種の接地抵抗値の上限 | 150/Ig、300/Ig、600/Ig | 1、2 |
| 地絡時の外箱の電圧 | 3 | |
| D種の接地抵抗値の上限 | 外箱の電圧の式を について解く | 4 |
| 接地工事の種類と抵抗値 | 29-1表、17条 | 5 |
解答と解説を見る
17-1表から、遮断時間に合う式を選びます。
- (1) 遮断装置がないので、基本の です。
- (2) 秒は 秒を超え 秒以下なので、 です。
- (3) 秒は 秒以下なので、 です。
答えは (1) 、(2) 、(3) 以下です。遮断が早いほど、上限は大きくなります。
解答と解説を見る
式を について解きます。
答えは (1) 、(2) です。
解答と解説を見る
地絡電流は、 と の直列に流れます。
外箱の電圧は、 の両端の電圧です。
答えは、地絡電流 、外箱の電圧 です。 が大きいと、外箱の電圧は電源の電圧に近くなります。
解答と解説を見る
外箱の電圧の式を、限度 以下として、 について解きます。
検算します。 のとき、外箱の電圧は です。答えは 以下です。
解答と解説を見る
まず使用電圧から、29-1表で種類を選びます。
- (1) 低圧で 以下なので D種です。水気のある場所なので省略できません。上限は です。
- (2) 低圧で を超えるので C種です。上限は です。
- (3) 高圧なので A種です。上限は です。
- (4) 低圧電路で 秒以内に自動遮断する装置があるので、C種の上限は に緩和されます。
答えは (1) D種 、(2) C種 、(3) A種 、(4) です。
よくある質問
A種接地工事とB種接地工事は、何が違いますか?
施す対象と目的が違います。A種は、高圧・特別高圧の機械器具の金属製外箱などに施し、地絡したときに外箱の電圧を下げて感電を防ぎます。B種は、高圧・特別高圧と低圧を結ぶ変圧器の低圧側に施し、混触したときに低圧電路の対地電圧が上がりすぎないようにします。抵抗値も、A種は 10 Ω 以下、B種は 150/Ig などの式で決まります。
C種・D種の接地抵抗値が 500 Ω まで認められるのは、いつですか?
低圧電路で、地絡を生じたときに 0.5 秒以内に電路を自動的に遮断する装置を施設するときです(解釈第17条第3項第一号、第4項第一号)。すぐに電気が切れるので、接地抵抗値が大きくても危険が小さい、という考え方です。高圧の機器に施すA種には、この緩和はありません。
B種接地工事の計算に使う Ig は、どう求めますか?
変圧器の高圧側の電路の1線地絡電流で、実測値、または高圧電路では17-2表の計算式で求めます。計算値は小数点以下を切り上げ、2 A 未満なら 2 A とします。試験では、Ig が問題文で与えられることが多いです。
機器の外箱の接地は、いつでも必要ですか?
いいえ。解釈第29条第2項に、乾燥した場所の低圧機器や、2重絶縁構造の機器など、省略できる場合があります。ただし、水気のある場所の機器では、乾燥した場所の例外は使えません。
思い出してみよう
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A種・B種・C種・D種の接地抵抗値は?
A種 10 Ω 以下、C種 10 Ω 以下、D種 100 Ω 以下。B種は 150/Ig などの式です。C種・D種は、低圧電路で 0.5 秒以内に自動遮断する装置があれば 500 Ω 以下です。
B種接地工事は、何のために施しますか?
変圧器の高圧側と低圧側が混触したとき、低圧電路の対地電圧が上がりすぎないようにします。低圧側の中性点などに施します。
B種接地抵抗値の上限は?
基本は 150/Ig です。自動遮断が 1 秒を超え 2 秒以下なら 300/Ig、1 秒以下なら 600/Ig です。
機器の外箱には、何種の接地工事を施しますか?
低圧 300 V 以下はD種、300 V 超はC種、高圧・特別高圧はA種です(第29条)。
地絡時の外箱の電圧を求める式は?
です。 を小さくするほど、外箱の電圧は下がります。
A種・B種の接地線は、どこを保護管で覆いますか?
地下 75 cm から地表上 2 m までを、合成樹脂管などで覆います。接地極は地下 75 cm 以上に埋めます。
まとめ
- 接地工事は A種〜D種の4種類で、接地する対象と使用電圧で決まる
- 接地抵抗値は A種 10 Ω、C種 10 Ω、D種 100 Ω 以下。C種・D種は、低圧電路で 0.5 秒以内に自動遮断する装置があれば 500 Ω 以下
- B種は、高圧・特別高圧と低圧を結ぶ変圧器に施す。混触時の低圧電路の電圧を抑えるため、 が基本
- 混触時の自動遮断が 1 秒を超え 2 秒以下なら 300/Ig、1 秒以下なら 600/Ig。5 Ω 未満であることは要しない
- 機器の外箱は、低圧 300 V 以下がD種、300 V 超がC種、高圧・特別高圧がA種。地絡時の外箱の電圧は
- A種・B種の接地線は、地下 75 cm から地表上 2 m を合成樹脂管などで覆う。接地極は地下 75 cm 以上
絶縁を確かめる側は絶縁耐力試験の記事で、接地の方式ごとの地絡電流の違いは中性点接地方式の記事で確認できます。B 種接地工事を施す中性線の役割は単相3線式で、電柱の支線の強さは電線のたるみと支線で扱います。金属管に施すD種接地工事と、それを省略できる条件は低圧屋内配線の工事で、接地を定めた基準の全体像は電気設備技術基準と解釈で確認できます。








