電気主任技術者の選任とは|兼任・免状の範囲・外部委託をやさしく整理
電験三種の法規で出る電気主任技術者の選任を整理。設置者の義務、第一種から第三種の免状の範囲、兼任の承認、外部委託承認制度の対象を、判定の流れ図と例題で確認できます。電気事業法の要点も押さえます。

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電気工作物の区分の記事で、自家用電気工作物には電気主任技術者が要ると書きました。この記事では、その選任を誰が・どの免状で・どんな手続きで行うのかを整理します。選任するのは設置者で、免状ごとに監督できる電圧が決まり、条件を満たす小さな設備は外部委託で選任を省けます。
- 電気主任技術者の選任とは
- 事業用電気工作物の設置者が、免状のある人を選ぶ義務
- 選任・解任の届出と兼任の承認
- 届出は遅滞なく、兼任は承認が要る
- 免状の範囲
- 第一種は制限なし、第二種は 170000 V 未満、第三種は 50000 V 未満
- 外部委託承認制度
- 小さな設備は承認を受ければ選任しなくてよい
- 免状の線と外部委託の線
- 二つは別の基準で、混ぜない
- 例題
- 数値を変えて判定の型を練習する
電気主任技術者の選任とは?設置者の義務と判定の流れ
電気主任技術者の選任とは、事業用電気工作物を設置する人(設置者)が、電気の保安の監督をする人を決めて任命することです。電気事業法の第43条が定めていて、義務を負うのは設置者です。主任技術者本人ではありません。主任技術者は、選ばれたあとで保安の監督を誠実に行います。事業場で働く人は、主任技術者の指示に従います。
選任の対象は、小規模事業用を除く事業用電気工作物です。一般用と小規模事業用の設置者に、選任の義務はありません。判定は次の順で進みます。
選任された人は、キュービクルのような受電設備を、日々の巡視や点検で見守ります。

- 高圧の碍子 高圧の充電部を支える部品。通電中は近づかない
- 技術者 設置者が選任した人が、保安を監督する
- キュービクルの扉 点検のときに開ける。普段は閉じておく
- 受電設備の盤 変圧器や保護装置を収めた盤
選任・解任の届出と兼任の承認
選任と解任は、遅滞なく主務大臣に届け出ます。免状のない人を選任できる許可(図1)を受けた場合は、届出が要りません。
一人の主任技術者が、複数の事業場を兼ねることは原則できません。保安上の支障がなく、承認を受けたときだけ認められます(電気事業法施行規則第52条第4項)。承認するのは経済産業大臣で、設備が一つの産業保安監督部の管轄区域だけにあれば、その産業保安監督部長です。
| 手続き | 求められること | 先 |
|---|---|---|
| 選任・解任 | 遅滞なく届出 | 主務大臣 |
| 兼任 | 承認を受ける | 経済産業大臣など |
| 外部委託 | 承認を受ける | 経済産業大臣など |
「など」は、産業保安監督部長を指します。届出と承認は別の手続きなので、試験では「届出」と「承認」「許可」を取り違えないようにします。
免状の範囲は第一種・第二種・第三種で決まる
主任技術者免状には、電気主任技術者のほか、ダム水路・ボイラー・タービンがあります(第44条)。電気主任技術者の免状は第一種から第三種まであり、監督できる範囲が違います(施行規則第56条)。
第三種の範囲は、電圧 50000 V 未満の事業用電気工作物です。ただし、出力 5000 kW 以上の発電所と蓄電所は、電圧が低くても範囲に入りません。第二種の 170000 V 未満も、同じく境の値を含みません。
外部委託承認制度で選任しなくてよい設備
小さな設備では、主任技術者を選任せず、保安管理の業務を外部に委託する方法があります。経済産業大臣(または産業保安監督部長)の承認を受ければ、選任しなくてよいことになります(施行規則第52条第2項)。
委託先は、個人なら電気管理技術者、法人なら電気保安法人です。承認の条件は第53条にあり、次の点が柱です。
- 委託契約は、保安管理業務の委託だけを内容とする
- 点検は、告示で決まった頻度で行う
- 委託先の連絡場所は、事業場へ遅滞なく行ける所にある
- 設置者は、委託先の意見を尊重する(第53条第4項)
委託先の人が点検する場面では、停電させた状態で絶縁抵抗を測るなどの作業が行われます。

- 赤の測定棒 端子に当てて、絶縁抵抗などを測る
- 黒の測定棒 もう一方の端子に当てる
- 碍子 充電部を支えて絶縁する部品
- 手袋の手 作業者の手。作業は停電を確かめてから行う
免状の範囲と外部委託は別の線で判断する
免状の範囲(図3)と外部委託の対象(図4)は、別の基準で決まる別の線です。片方に当てはまっても、もう片方が当てはまるとは限りません。
22000 V の需要設備は、第三種の免状を持つ人が監督できます。しかし外部委託の対象は 7000 V 以下なので、承認で選任を省くことはできません。設置者は、免状のある人を選任して届け出ます。
例題で選任の判断を確かめる
最後に、判定で迷いやすい境の値を表で整理します。
| 項目 | 境 | 境の値 |
|---|---|---|
| 第三種の範囲 | 50000 V 未満 | 含まない |
| 委託の需要設備 | 7000 V 以下 | 含む |
| 委託の配電線路 | 600 V 以下 | 含む |
解答と解説を見る
ビルの設備を設置している設置者です。主任技術者本人ではありません。選任して、遅滞なく主務大臣に届け出ます。
解答と解説を見る
(a) は 未満なので監督できます。(b) は境の値で、未満に含まれないので監督できません。(c) は出力 以上の発電所なので範囲の外です。答えは (a) だけです。
解答と解説を見る
(a) は 以下の受電なので対象です。(b) は太陽電池で 未満なので対象です。(c) は風力で、条件の 未満を超えるので対象外です。(d) は を超えるので対象外です。答えは (a) と (b) です。
解答と解説を見る
は 未満なので、第三種の人を選任できます。しかし外部委託の対象は 以下の受電なので、選任を省くことはできません。選任はできて、省くことはできない、が答えです。
よくある質問
主任技術者の選任は、誰の義務ですか?
設備の設置者の義務です。主任技術者になった人は、保安の監督を誠実に行う義務を負い、事業場の従事者はその指示に従います。試験では、義務の主体が設置者か主任技術者かを問う文があるので、分けて覚えます。
一人で複数の事業場を兼任できますか?
原則はできません。保安上の支障がなく、承認を受けたときだけ認められます。承認するのは経済産業大臣で、設備が一つの産業保安監督部の管轄区域だけなら産業保安監督部長です。
外部委託すれば、設置者は何もしなくてよいですか?
そうではありません。承認の条件に、委託契約の内容や点検の頻度が決まっています。設置者は、委託先の意見を尊重しなければなりません。
免状がなくても主任技術者になれますか?
自家用電気工作物(小規模事業用を除く)では、主務大臣の許可を受ければ、免状のない人を選任できます。その場合は、届出は要りません。
思い出してみよう
答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。
電気主任技術者を選任する義務を負うのは誰ですか?
事業用電気工作物(小規模事業用を除く)の設置者です。選任・解任は遅滞なく主務大臣に届け出ます。
免状のない人を選任するには、何が必要ですか?
主務大臣の許可です。許可を受けて選任した場合は、届出が要りません。
一人の主任技術者の兼任は、できますか?
原則できません。保安上の支障がなく、承認を受けたときだけ可能です。
第一種・第二種・第三種の監督範囲は、どう違いますか?
第一種は制限なし、第二種は 未満、第三種は 未満です。境の値は含まず、出力 以上の発電所と蓄電所は第三種の外です。
外部委託承認制度で、需要設備と配電線路の対象は何ですか?
需要設備は 以下で受電するもの、配電線路は 以下のものです。
受電の需要設備は、第三種で監督でき、外部委託もできますか?
第三種では監督できますが、外部委託の対象にはなりません。免状の線と委託の線は別です。
まとめ
- 選任の義務を負うのは設置者。小規模事業用と一般用には選任の義務がない
- 選任・解任は届出、兼任と外部委託は承認、免状のない人の選任は許可
- 免状の範囲は第一種が制限なし、第二種が 170000 V 未満、第三種が 50000 V 未満
- 外部委託は、小さな発電所や 7000 V 以下の需要設備などが対象。免状の線とは別に判断する
| 区分 | 選任 |
|---|---|
| 一般用・小規模事業用 | 不要 |
| 自家用など | 要。外部委託の承認で省ける設備あり |
区分の判断を確かめたい人は 電気工作物の区分、設備の保安を支える次の仕組みとして、事故が起きたときの報告は 電気事故報告 へ進んでください。工事をする人の資格は 電気工事士法 で確かめられます。竣工のときに立ち会う代表的な試験は 絶縁耐力試験 で計算できます。








