電気工事士法とは|第一種・第二種電気工事士と軽微な工事の違い
電験三種の法規で出る電気工事士法を整理。第一種・第二種電気工事士など四つの資格の範囲、免状の携帯と保安講習、軽微な工事の判定、電気工事業法の登録と通知を、図と例題でしっかり確認できます。

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電気事業法が設備の保安を定めるのに対し、電気工事士法は、電気工事をする人の資格と義務を定める法律です。資格は四つに分かれ、軽微な工事なら資格がなくてもできます。工事を仕事にする事業者の登録や通知は、電気工事業法が決めています。
- 電気工事士法とは
- 工事をする人の資格と義務を定め、工事の欠陥による災害を防ぐ
- 四つの資格
- 第一種・第二種電気工事士、特種電気工事資格者、認定電気工事従事者
- 電気工事士の義務
- 免状の携帯と、第一種の保安講習
- 軽微な工事の判定
- 軽微な工事と軽微な作業は、資格がなくてもできる
- 電気工事業法
- 登録か通知か、営業所の備え
- 三つの役割
- 電気主任技術者・主任電気工事士・電気工事士の違い
電気工事士法とは?目的と電気工事の定義
電気工事士法の目的は、電気工事の作業に従事する人の資格と義務を定め、工事の欠陥による災害を防ぐことです(第1条)。電気事業法は設備の持ち主の保安を、この法律は工事をする人の資格を、それぞれ定めます。
対象になる電気工事は、一般用電気工作物等または自家用電気工作物を設置し、または変更する工事です(第2条)。政令で定める軽微な工事は除かれます。「一般用電気工作物等」は、一般用電気工作物と小規模事業用電気工作物をあわせた呼び方です。
この法律の自家用電気工作物は、電気事業法のものより狭い範囲です。発電所・蓄電所・変電所・送電線路・保安通信設備と、最大電力 500 kW 以上の需要設備は、除かれます(施行規則第1条の2)。499 kW の需要設備は対象で、500 kW は対象外です。

- ケーブル 平形の電線。屋内配線で広く使われる
- 電工ペンチ 電線の被覆をむき、切る工具
- 圧着工具 スリーブを締めて電線をつなぐ工具
- スリーブ 電線を重ねて圧着する金属の筒
- 差込形コネクタ 電線を差し込んでつなぐ部品
第一種・第二種電気工事士など四つの資格の範囲
電気工事ができる資格は、第3条で四つに分かれています。工事の対象と範囲が違います。
特種電気工事資格者は、特殊電気工事(ネオン工事、非常用予備発電装置工事)の種類ごとに認定されます(施行規則第2条の2)。認定電気工事従事者が行う簡易電気工事は、600 V 以下で使用する設備の工事で、電線路に係るものは除かれます(第2条の3)。
免状は都道府県知事が交付します。特種電気工事資格者と認定電気工事従事者の認定証は、経済産業大臣が交付します(第4条、第4条の2)。
電気工事士の義務は免状の携帯と保安講習
電気工事をする人には、第4条の3と第5条で義務が定められています。
- 電気設備の技術基準に適合するように作業する(一般用は電気事業法第56条第1項、小規模事業用・自家用は第39条第1項)
- 作業のときは、免状または認定証を携帯する(第二種にも義務がある)
- 第一種電気工事士は、自家用電気工作物の保安講習を受ける
保安講習は、免状の交付を受けた日から 5 年以内に受け、以後も受けた日から 5 年以内ごとに受けます。
義務に違反すると、免状の返納を命じられることがあります(第4条第6項)。
軽微な工事と軽微な作業の判定の流れ
電気に関わる作業のすべてに資格が要るわけではありません。「軽微な工事」と「軽微な作業」は、資格がなくてもできます。ただし、法令上の位置づけが違います。
- 軽微な工事(施行令第1条)は、電気工事に当たりません。
- 軽微な作業(施行規則第2条)は、電気工事ですが、資格が要りません。
軽微な工事は、次の六つです。
- 600 V 以下で使用する接続器・開閉器に、コードなどを接続する工事
- 600 V 以下で使用する電気機器・蓄電池の端子に、電線をねじ止めする工事
- 電力量計・電流制限器・ヒューズの取付けと取外し
- 電鈴・インターホーンなどに使う、二次電圧 36 V 以下の小型変圧器の二次側の配線
- 電線を支持する柱や腕木の設置と変更
- 地中電線用の暗渠や管の設置と変更
軽微な作業は、条文が資格の要る作業を並べ、それ以外は要らないという書き方です。電線相互の接続、配線器具の取付けと電線の接続、電線管への電線の収め込み、配電盤の取付けなどは、資格が要ります。ただし、露出型の点滅器やコンセントの取換えは、資格が要りません。
| 作業 | 資格 | 理由 |
|---|---|---|
| 埋込コンセントの取替え | 要 | 配線器具の取付け |
| 延長コードのプラグ付替え | 不要 | 軽微な工事 |
| 引掛シーリングへのコード接続 | 不要 | 軽微な工事 |
| 露出型コンセントの取換え | 不要 | 軽微な作業 |
分電盤の中で、ブレーカを取り付けたり電線をつないだりする作業は、資格が必要な電気工事です。

- 主幹ブレーカ 分電盤に入る電気をまとめて入り切りする
- 分岐ブレーカ 回路ごとに入り切りし、回路を保護する
- 手袋の手 作業者の手。作業は電気を切ったうえで行う
- 電線 赤・黒・白の電線が分電盤に引き込まれる
電気工事業法の登録と通知と営業所の備え
電気工事業法は、電気工事業を営む人の登録と、業務の規制を定める法律です(第1条)。電気工事士法が人の資格を決めるのに対し、事業者のほうを決めます。
自家用電気工事のみを行う者は、登録ではなく、開始の 10 日前までの通知で足ります(第17条の2)。通知した人は、通知電気工事業者と呼びます。それ以外は登録が必要で、営業所が二つ以上の都道府県にあれば経済産業大臣、一つの都道府県だけなら都道府県知事が登録します(第3条)。有効期間は 5 年で、更新できます。変更の届出は 30 日以内です(第10条)。
登録した営業所には、次の備えが必要です。
| 項目 | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 主任電気工事士 | 一般用の営業所に置く | 第19条 |
| 器具 | 絶縁抵抗計など | 第24条 |
| 標識 | 営業所と施工場所に掲示 | 第25条 |
| 帳簿 | 営業所ごと、5 年保存 | 第26条 |
主任電気工事士になれるのは、第一種電気工事士か、免状の交付後 3 年以上の実務経験がある第二種電気工事士です。欠けたら、知った日から 2 週間以内に選任します。器具は、一般用なら絶縁抵抗計・接地抵抗計・回路計で、自家用も行うなら低圧検電器・高圧検電器・継電器試験装置・絶縁耐力試験装置を加えます。標識は、施工が 1 日で終わる場所には要りません。
電気工事業者には、次の行為が禁じられています。資格のない人を電気工事の作業に従事させること(第21条)、電気工事業者でない者に請け負わせること(第22条)、表示のない電気用品を使うこと(第23条)です。
電気主任技術者・主任電気工事士・電気工事士の違い
名前が似ている三つの役割は、置く人と仕事が違います。
| 名称 | 置く人 | 役割 |
|---|---|---|
| 電気主任技術者 | 設置者が選任 | 保安の監督 |
| 主任電気工事士 | 登録業者が営業所ごと | 一般用工事の管理 |
| 電気工事士 | 免状を受けた人 | 作業に従事 |
電気主任技術者は電気事業法の仕組みです。選任の手順は 電気主任技術者の選任 で整理しています。
例題で電気工事士法の判断を確かめる
判定で迷いやすい数値を、先に表で確かめます。
| 項目 | 値 | 境の扱い |
|---|---|---|
| 自家用の需要設備 | 500 kW | 499 kW まで対象 |
| 軽微な工事の接続器 | 600 V 以下 | 含む |
| 小型変圧器の二次側 | 36 V 以下 | 含む |
解答と解説を見る
は 未満なので、電気工事士法の自家用電気工作物にあたり、第一種電気工事士などの範囲に入ります。 は境の値で、除かれるので対象外です。
解答と解説を見る
(a) は接続器へのコードの接続で、軽微な工事です。(c) は二次電圧 以下なので軽微な工事です。(d) も軽微な工事です。(b) は配線器具の取付けにあたるので、資格が必要です。答えは (b) だけです。
解答と解説を見る
第二種電気工事士の範囲は、一般用電気工作物等の工事です。自家用の工事は範囲に入らないので、してはいけません。500 kW 未満の需要設備の自家用の工事は、第一種電気工事士の範囲です。
解答と解説を見る
最初の講習は、交付の日から 5 年以内なので、間に合っています。次の講習は、受けた日から 5 年以内に受けます。以後も、受けた日から 5 年以内ごとです。
解答と解説を見る
(a) は登録でなく、開始の 10 日前までの通知です。(b) は営業所が二つ以上の都道府県にあるので、経済産業大臣の登録です。(c) は一つの都道府県だけなので、都道府県知事の登録です。
よくある質問
軽微な工事と軽微な作業は、何が違いますか?
軽微な工事は、電気工事そのものに当たらないものです。軽微な作業は、電気工事ですが、資格が要らないものです。どちらも資格なしでできますが、条文の位置が違うので、試験では区別が問われます。
第二種電気工事士は、自家用電気工作物の工事ができますか?
できません。第二種の範囲は、一般用電気工作物等の工事です。自家用の工事は、第一種、特種電気工事資格者、認定電気工事従事者の範囲です。
電気工事士法の自家用電気工作物は、電気事業法と同じですか?
同じではありません。電気工事士法のほうが狭く、発電所・変電所・送電線路など、最大電力 500 kW 以上の需要設備を除きます。
電気工事業は、すべて登録が必要ですか?
自家用電気工事のみを行う者は、登録ではなく、開始の 10 日前までに通知します。それ以外は登録が必要です。
思い出してみよう
答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。
電気工事士法の目的は何ですか?
電気工事の作業に従事する人の資格と義務を定め、工事の欠陥による災害を防ぐことです。
電気工事ができる四つの資格を挙げられますか?
第一種電気工事士、第二種電気工事士、特種電気工事資格者、認定電気工事従事者です。
第一種電気工事士の保安講習は、いつ受けますか?
免状の交付日から 5 年以内に受け、以後も受けた日から 5 年以内ごとに受けます。
軽微な工事と軽微な作業の違いは何ですか?
軽微な工事は電気工事に当たらず、軽微な作業は電気工事ですが資格が要りません。
電気工事業の登録と通知は、どう使い分けますか?
自家用のみなら開始の 10 日前までの通知、それ以外は登録です。営業所が二つ以上の都道府県なら経済産業大臣、一つなら都道府県知事です。
電気主任技術者・主任電気工事士・電気工事士は、誰が置き、何をしますか?
電気主任技術者は設置者が選任し保安を監督、主任電気工事士は登録業者が営業所ごとに置き一般用工事を管理、電気工事士は作業に従事します。
まとめ
- 電気工事士法は、工事をする人の資格と義務を定める。電気事業法の自家用より範囲が狭く、500 kW 以上の需要設備は除く
- 資格は四つ。第二種は一般用等、第一種は 500 kW 未満の自家用が加わる
- 軽微な工事は電気工事に当たらず、軽微な作業は資格が要らない
- 電気工事業法は、登録か通知、営業所の備えを定める
| 区分 | 手続き |
|---|---|
| 自家用の工事だけ | 通知(10 日前まで) |
| それ以外 | 登録(5 年・更新可) |
設備の区分を確かめたい人は 電気工作物の区分、同じ単元の保安の仕組みは 電気主任技術者の選任 と 電気事故報告 へ進んでください。








