電気工作物の区分とは|一般用・事業用・自家用・小規模事業用の違い
電験三種の法規で最初に押さえる電気工作物の区分を整理。一般用・事業用・自家用・小規模事業用の違い、低圧・高圧・特別高圧の電圧区分、電気主任技術者が必要になる設備を図と例題で確認できます。

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電気工作物は、電気事業法によって一般用電気工作物と事業用電気工作物に分けられ、事業用はさらに電気事業用、自家用、小規模事業用に分かれます。区分によって保安の仕組みが変わり、電気主任技術者が必要になるのは事業用のうち自家用などです。電験三種の法規では、この区分の判断と覚え方が最初の土台になります。
- 電気工作物とは
- 発電・変電・送電・配電・使用のための設備の総称
- 一般用と事業用に大別される
- 各区分の違い
- 事業用 = 電気事業用 + 自家用 + 小規模事業用
- 区分の判断の流れ
- 事業の用か、受電電圧か、発電設備の規模かで決まる
- 電圧の区分
- 低圧・高圧・特別高圧の境目は 600 V・750 V・7000 V
- 保安の仕組み
- 事業用は主任技術者や保安規程などで保安を確保する
- 例題
- 設備の実例から区分を判定する
電気工作物とは?電気事業法での位置づけ
電気工作物とは、発電、変電、送電、配電、または電気の使用のために設置する機械、器具、ダム、水路、貯水池、電線路その他の工作物をいいます。ただし、船舶や車両などに設置されるもののうち、別の法令で保安が確保されるものなどは除かれます。電気工作物には感電や火災といった危険があるので、電気事業法がその保安の仕組みを定めています。
電気工作物は、保安上のリスクの大きさに応じて、まず二つに分けられます。
一般用・事業用・自家用・小規模事業用の違い
それぞれの意味を、設備の持ち主と使い方から押さえます。
- 一般用電気工作物:低圧(600 V 以下)で電気を受け、同じ構内で使う設備が基本です。発電設備を持つ場合も、小規模なものに限られます。一般家庭の屋内配線や、住宅用の小さな太陽光発電がこれにあたります。
- 電気事業の用に供する電気工作物:電気事業者が、発電・送電・配電などの事業のために使う設備です。
- 自家用電気工作物:電気事業の用に供するもの、および一般用電気工作物以外の電気工作物です。高圧や特別高圧で受電するビル・工場・病院・商業施設などが代表例です。
- 小規模事業用電気工作物:太陽光発電や風力発電など、小規模な発電設備のうち一般用に当たらないものです。自家用より手続きを簡素にした保安の仕組みが当てはめられます。

- 太陽光パネル 住宅用の小さな発電設備。出力が小さければ一般用の範囲
- 引込線 電柱から軒先へ引き込む低圧の電線。受電の入口
- 電柱 高圧の配電線を柱上変圧器で下げた低圧を、各家庭へ配る
- 住宅(需要場所) 100 V・200 V で使う屋内の設備。低圧受電なので一般用が基本

低圧受電の住宅でも、屋根に太陽光パネルがあれば発電設備を持つことになります。その出力が小さければ一般用、一定の範囲を超えれば小規模事業用や自家用になります。
発電設備の出力による線引き(小出力発電設備と小規模事業用)
600 V 以下で受電する構内の発電設備は、種類と出力で次のように分かれます(電気事業法施行規則第48条)。一般用に入る小さな発電設備を小出力発電設備といいます。
| 発電設備 | 一般用(小出力) | 小規模事業用 |
|---|---|---|
| 太陽電池 | 10 kW 未満 | 10〜50 kW 未満 |
| 風力 | なし | 20 kW 未満 |
| 水力 | 20 kW 未満(※) | なし |
| 内燃力 | 10 kW 未満 | なし |
| 燃料電池 | 10 kW 未満 | なし |
| スターリングエンジン | 10 kW 未満 | なし |
※ 水力は、最大使用水量 1 m³/s 未満で、ダムを伴わないもの。表の範囲を超える発電設備は自家用です。
- 同じ構内で電気的につながった発電設備の出力の合計が 50 kW 以上になると、一般用にも小規模事業用にも当たりません
- 小規模事業用になるのは太陽電池(10 kW 以上 50 kW 未満)と風力(20 kW 未満)の 2 つだけです
- 小規模事業用では電気主任技術者の選任と保安規程の届出は要りません。代わりに、技術基準への適合の維持、基礎情報の届出、使用前自己確認が求められます
発電設備の規模がさらに大きくなると、一般用には当たりません。広い敷地に何千枚ものパネルを並べるメガソーラーは、事業用電気工作物として保安が求められます。

- 太陽光パネル 日光から直流の電気をつくる
- パワコン 直流を交流へ変換する装置(パワーコンディショナ)
- 変圧器 発電した電圧を、つなぐ系統の電圧に合わせて上げる
- 鉄塔・送電線 電力系統へ電気を送り出す


- 高圧母線 銅の棒で、電気を各機器へ分ける
- 高圧ケーブル 配電線から高圧の電気を引き込む
- 遮断器 電気を入り切りし、事故のときは回路を切り離す
- 変圧器 高圧を 100 V・200 V などの低圧に下げる
区分を判断する流れ
試験で区分を問われたら、次の順に考えます。まず電気事業のための設備かどうかを見て、次に受電電圧、最後に発電設備の規模を確かめます。
低圧・高圧・特別高圧の電圧の区分
区分の判断では、受電電圧が低圧か、高圧か、特別高圧かをすぐに言えることが前提になります。電気設備の技術基準では、電圧を次のように分けています。
| 区分 | 交流 | 直流 |
|---|---|---|
| 低圧 | 600 V 以下 | 750 V 以下 |
| 高圧 | 600 V を超え 7000 V 以下 | 750 V を超え 7000 V 以下 |
| 特別高圧 | 7000 V を超えるもの | 7000 V を超えるもの |
区分で変わる保安の仕組み(電気主任技術者の免状の範囲)
事業用電気工作物の設置者には、保安を確保するための義務が課されます。代表的なものは、電気主任技術者の選任、保安規程の作成と届出、技術基準への適合維持です。一般用電気工作物は保安上のリスクが小さいので、電気主任技術者の選任は要りません。小規模事業用電気工作物も、電気主任技術者の選任は要らない代わりに、設置者が技術基準に適合させる義務などを負います。
| 区分 | 主任技術者 | 設置者の主な義務 |
|---|---|---|
| 一般用 | 不要 | 技術基準に適合させる。電気を供給する事業者が調査する |
| 電気事業用 | 必要 | 技術基準適合維持、保安規程の届出、工事に関する手続き |
| 自家用 | 必要(選任か外部委託) | 技術基準適合維持、保安規程の届出、工事に関する手続き |
| 小規模事業用 | 不要 | 技術基準適合維持、基礎情報の届出など |
電気主任技術者は、免状の種類によって保安を監督できる設備の範囲が決まっています。第三種は、電圧 5 万 V 未満の事業用電気工作物が範囲です。ただし出力 5000 kW 以上の発電所とこれに係る送電線路などは除かれます。
保安管理を外部へ委託する制度もあります。一定の規模以下の自家用電気工作物では、保安管理業務を外部の法人や個人に委託する承認を受ければ、主任技術者を自社で選任しなくても済みます。規模の条件は法令で決まっているので、必要なときは最新の規定を確認します。
電気工作物の区分の例題
設備の実例から区分を判定します。ここまでの流れ(図9)の順に確かめます。
| 設備 | 区分 |
|---|---|
| 電力会社の発電所・送電線 | 電気事業の用に供する電気工作物 |
| 高圧で受電する工場・ビル | 自家用電気工作物 |
| 低圧受電の住宅と小さな太陽光発電 | 一般用電気工作物 |
解答と解説を見る
電気事業の用ではなく、低圧受電です。発電設備は出力が小さく、小規模な発電設備の範囲に収まるので、一般用電気工作物にあたります。なお、出力が大きくなると区分が変わることがあるので、数値は最新の資料で確認します。
解答と解説を見る
は高圧( を超え 以下)で、自家用電気工作物にあたります。電圧は 5 万 V 未満で、出力 以上の発電所もないので、第三種で足ります。
解答と解説を見る
(a) 交流 は 以下なので低圧です。(b) 直流 は直流の低圧の上限 を超え 以下なので高圧です。(c) 交流 は高圧です。(d) 交流 は を超えるので特別高圧です。
解答と解説を見る
第三種の範囲は電圧 5 万 V()未満です。 は特別高圧で、この範囲を超えるので、第三種では選任できません。第二種以上の免状が必要です。
よくある質問
自家用電気工作物と事業用電気工作物は何が違いますか?
事業用電気工作物は、一般用以外の電気工作物の呼び方で、電気事業の用に供するもの、自家用、小規模事業用に分かれます。自家用は、事業用のうち電気事業の用に供するものと小規模事業用を除いた設備で、ビルや工場の受電設備が典型です。小規模事業用は、事業用の保安の考え方のもとで、小規模な発電設備を対象にした区分です。
太陽光発電は、どの区分の電気工作物になりますか?
太陽光発電設備も電気工作物にあたり、規模と受電の形で区分が変わります。小さな住宅用は一般用、それを超える規模は小規模事業用、さらに大きな発電設備や高圧の受電設備と一体のものは自家用です。具体的な出力の境目は、最新の法令と経済産業省の資料で確認してください。
小規模事業用電気工作物に電気主任技術者は必要ですか?
選任する義務はありません。ただし、技術基準への適合維持や基礎情報の届出など、設置者の義務はあります。一般用より厳しく、自家用より簡素な保安の仕組みと考えるとつかみやすくなります。
思い出してみよう
答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。
電気工作物は、まずどう分けられますか?
一般用電気工作物と事業用電気工作物に分けられます。事業用は、電気事業の用に供するもの、自家用、小規模事業用に分かれます。
一般用と自家用の代表例は何ですか?
一般用は、低圧で受電する住宅の屋内配線や小さな住宅用太陽光発電です。自家用は、高圧や特別高圧で受電するビル・工場・病院などです。
区分を判断するとき、何をどの順に確かめますか?
電気事業のための設備かどうか、次に受電電圧、最後に発電設備の規模の順に確かめます。
低圧・高圧・特別高圧の境目を、交流と直流で言えますか?
低圧は交流 以下・直流 以下、高圧はそれを超え 以下、特別高圧は を超えるものです。
交流 と、直流 は、それぞれ何に分類されますか?
どちらも高圧です。交流 は を超え 以下、直流 は を超え 以下だからです。
第三種電気主任技術者が監督できる範囲は?交流 で受電する工場は選任できますか?
電圧 5 万 V 未満の事業用電気工作物が範囲です(出力 以上の発電所などは除く)。 は特別高圧で範囲を超えるので、第二種以上が必要です。
まとめ
- 電気工作物は、一般用と事業用に分かれる。事業用は、電気事業の用に供するもの、自家用、小規模事業用
- 区分は、電気事業の用か、受電電圧、発電設備の規模の順に判断する
- 低圧は交流 600 V・直流 750 V 以下、高圧はそれを超え 7000 V 以下、特別高圧は 7000 V 超
- 第三種は電圧 5 万 V 未満の事業用電気工作物が範囲(出力 5000 kW 以上の発電所などを除く)
| 区分 | 目安 |
|---|---|
| 一般用 | 低圧受電で、発電設備は小規模なもの |
| 自家用 | 高圧・特別高圧で受電する需要設備など |
| 小規模事業用 | 低圧受電の太陽電池(10 kW 以上 50 kW 未満)と風力(20 kW 未満) |
保安の体制を学ぶ人は 電気主任技術者の選任、工事をする人の資格は 電気工事士法、技術基準の全体像は 電気設備技術基準と解釈、設備の安全を守る工事の基準は 接地工事の種類 と 絶縁耐力試験、屋内の配線は 低圧屋内配線の工事 と 電線の許容電流、電線路の施設の基準は 電線のたるみと支線 と 地中送電線路、発電所の側から設備を見たい人は 水力発電の出力、受電電圧の変換を学ぶ人は 変圧器の巻数比、電気の基本から確認したい人は オームの法則と直列回路 と 並列回路、クーロンの法則 へ進んでください。








