Kindle で読む

理論電子計測 / ディジタル計器とA-D変換14分で読めます

A-D変換の分解能と量子化誤差|ビット数の計算と逐次比較形・二重積分形を図解

電験三種の理論で扱うA-D変換を図解で整理します。標本化・量子化・符号化、分解能と量子化誤差の計算、逐次比較形と二重積分形のしくみ、D-A変換のR-2Rラダーまで、例題で確かめられます。

シェア

灰色の計器から出た赤と黒のプローブを、基板に載った IC の端子に当てている手元の写真
この記事の目次
  1. A-D変換とは
  2. 標本化・量子化・符号化とサンプリング定理
  3. サンプリング定理とエイリアシング
  4. 分解能と量子化誤差の計算
  5. 量子化誤差は最大 ±1/2 LSB
  6. ディジタル計器の表示桁数
  7. A-D変換の方式と、逐次比較形・二重積分形
  8. 逐次比較形
  9. 二重積分形
  10. 並列比較形とΔ-Σ形
  11. D-A変換とR-2Rラダー
  12. よくある質問
  13. サンプリング周波数は、信号の最高周波数のちょうど2倍でよい?
  14. 分解能と確度は、どう違う?
  15. 二重積分形は、なぜ雑音に強い?
  16. ビットを1つ増やすと、分解能はどうなる?
  17. まとめ
図解でわかる 電験三種 理論 1 直列回路 の表紙理論を図解で読む図解でわかる 電験三種 理論 1
直列回路
Kindle Unlimited 対象Kindle で読む

針の振れを目盛で読む計器は、指示電気計器の種類で確認しました。一方、数字で値を表示する計器は、測った電圧をいったん数に直してから表示します。その入口にある回路が、A-D変換器です。

この記事では、A-D変換の3つの手順(標本化・量子化・符号化)、分解能と量子化誤差の計算、逐次比較形と二重積分形の違い、逆向きのD-A変換を順に確認します。例題では、1 LSB やサンプリング周波数、二重積分形の入力電圧、R-2R ラダーの出力電圧を、手を動かして求めます。

A-D変換の全体像
  • A-D変換とは
    • 連続したアナログ量を、0 と 1 の数(ディジタル量)に直す
    • ディジタル計器の入口にあたる
  • 標本化・量子化・符号化
    • 標本化は時間を区切り、量子化は大きさを区切り、符号化は2進数にする
    • サンプリング周波数は、信号の最高周波数の2倍より大きくする
  • 分解能と量子化誤差
    • n ビットなら 2n2^n 段階、1 LSB は VFS/2nV_{\mathrm{FS}}/2^n
    • 量子化誤差は、最大で ±12\pm\frac{1}{2} LSB
  • 変換の方式
    • 逐次比較形は、上のけたから1ビットずつ決める
    • 二重積分形は、積分の時間で測る。雑音に強い
    • 並列比較形は、比較器を並べて一度に決める
  • D-A変換
    • R-2R ラダーで、ビットの数を電圧に戻す

A-D変換とは

電圧や電流は、本来、連続して変わる量です。時間が少し進めば値も少し変わり、途中の値はいくらでも細かく取れます。このような量をアナログ量といいます。これに対して、0 と 1 の並びで表した、とびとびの値をディジタル量といいます。

アナログ量をディジタル量に直す回路がA-D変換器で、逆に、ディジタル量をアナログ量に戻す回路がD-A変換器です。ディジタル計器の中では、測りたい電圧が次の順に進みます。

測りたい電圧 入力回路 レンジに合わせて整える A-D変換器 電圧を数に直す 計数・表示 数字にして見せる 連続した電圧 1 0 1 1 0 と 1 の数 1.234 V 読み取る値
図1 ディジタル計器の構成。A-D変換器が、連続した電圧を 0 と 1 の数に直す

入力回路は、分圧器や増幅器を使って、測りたい電圧を A-D変換器が扱える大きさに整えます。レンジの切り替えも、ここで行います。A-D変換器が数を決め、最後の回路が、その数を数字にして表示します。針の位置で値を読む指示電気計器と比べると、針の代わりに A-D変換器が値を決めている、と考えると分かりやすくなります。

ディジタルマルチメータは、この入力回路・A-D変換器・表示が、1つの本体にまとまった計器です。

黄色いケースのテスターの正面。上に液晶表示部、中央に丸いダイヤル、下に測定用の端子が並んでいる写真
  1. 液晶表示部 数字で結果を表示
  2. ダイヤル 測る量とレンジを選ぶ
  3. 入力端子 リード線をつなぐ
図2 ディジタルマルチメータの例。測る量とレンジをダイヤルで選び、結果を液晶に表示する(写真はイメージ)

アナログ式とディジタル式を、読み方で比べると次のとおりです。

比べる点アナログ式ディジタル式
値の形連続して変わるとびとびの値
読み方針と目盛を読む数字をそのまま読む
例可動コイル形ディジタルマルチメータ

標本化・量子化・符号化とサンプリング定理

A-D変換は、次の3つの手順で進みます。

手順区切るものできるもの
標本化時間とびとびの時刻の値
量子化大きさ段階のどれか
符号化なし2進数
  1. 標本化(サンプリング):一定の時間ごとに、電圧の値を取り出します。取り出す回数が1秒あたり何回かを、サンプリング周波数 fsf_s といいます。
  2. 量子化:取り出した値を、あらかじめ決めた段階のうち、いちばん近いものに丸めます。
  3. 符号化:段階の番号を、2進数で表します。2進数と10進数の変換は、論理回路とカルノー図で確かめられます。

図3は、3ビットの例です。電圧を 8 段階に分けて、10 回標本化しています。標本点の下に並んだ3けたの数が、符号化の結果です。

0 1 2 3 4 5 6 7 段階 100 101 111 111 101 100 010 000 000 010 元のアナログ信号 標本点 量子化後 下の 3 けたは、各標本点の符号(2進数) 時間
図3 標本化・量子化・符号化。3ビットなら 8 段階で、標本点ごとに3けたの2進数が決まる

量子化された信号は、なめらかな波ではなく、階段のようにとびとびの値になります。段が細かいほど、元の波に近づきます。

暗い画面に、緑色の階段状の波が、山を2つ描いて表示されている写真
図4 階段状にとびとびの値をとる波形の表示例。量子化した信号は、このように段のある形になる(写真はイメージ)

データを取り込んで記録する装置では、一定の間隔で標本化した値を、数にして保存します。

木の机の上に置かれた灰色の箱形の装置と、そこから出ている赤・黒・黄・青の配線4本の写真
  1. 本体 信号を取り込む箱
  2. 配線 測る信号をつなぐ
  3. ネジ ふたを留める
図5 信号を取り込んで記録する装置の例。取り込む間隔が、サンプリング周波数を決める(写真はイメージ)

サンプリング定理とエイリアシング

標本化の間隔が粗すぎると、元の信号を取り戻せません。サンプリング定理(標本化定理)は、元に戻せる条件を、次の式で示します。

fs>2fmax⁡f_s > 2 f_{\max}

信号に含まれる最高周波数 fmax⁡f_{\max} の2倍より大きいサンプリング周波数 fsf_s で標本化すれば、元の信号を取り戻せます。

この条件を満たさないと、高い周波数の成分が、低い周波数の成分に化けて見えます。これをエイリアシング(折り返しひずみ)といいます。図6は、9 Hz の波を、1 秒に 10 回標本化した例です。標本点は、1 Hz のゆっくりした波の上にも同じように並ぶため、1 Hz の波に見えてしまいます。

0 1 秒 元の信号 9 Hz 標本点(10 Hz) 標本点を通る見かけの信号 1 Hz 1 秒に 10 回の標本化。9 Hz の波は 9 回うねる
図6 エイリアシング。9 Hz の波を 10 Hz で標本化すると、1 Hz の波に見える

見かけの周波数は、fsf_s の整数倍のうち、元の周波数 ff にいちばん近いものとの差で決まります。図6では、∣9−10∣=1 Hz|9 - 10| = 1\,\mathrm{Hz} です。対策として、A-D変換器の前に、ローパスフィルタ(アンチエイリアシングフィルタ)を入れ、fs/2f_s/2 より高い成分を、あらかじめ取り除きます。

解答と解説を見る

(1) サンプリング定理 fs>2fmax⁡f_s > 2 f_{\max} より、

fs>2×4=8 kHz\begin{aligned} f_s &> 2 \times 4 \\ &= 8\,\mathrm{kHz} \end{aligned}

8 kHz より大きくします。

(2) 6 kHz は 8 kHz より小さく、条件を満たしません。4 kHz の波を、1 周期に 1.5 回(6÷46 \div 4)しか標本化できないためです。4 kHz にいちばん近い 6 kHz の整数倍は 6 kHz で、差は、

∣4−6∣=2 kHz|4 - 6| = 2\,\mathrm{kHz}

となり、2 kHz の信号に見えます。

分解能と量子化誤差の計算

分解能は、A-D変換器が見分けられる、電圧のいちばん小さな変化です。n ビットの A-D変換器は、2n2^n 段階を区別できます。変換できる最大の電圧をフルスケール電圧 VFSV_{\mathrm{FS}} とすると、最下位ビット(LSB)1つぶんの電圧は、次の式です。

1 LSB=VFS2n1\,\mathrm{LSB} = \frac{V_{\mathrm{FS}}}{2^n}

VFS=10 VV_{\mathrm{FS}} = 10\,\mathrm{V} のときの値は、次のとおりです。ビットが 2 つ増えるごとに、段階数は 4 倍になり、1 LSB は 4 分の 1 になります。

ビット数段階数1 LSB
825639.1 mV
1010249.77 mV
1240962.44 mV
16655360.153 mV

量子化誤差は最大 ±1/2 LSB

連続した電圧を段階に丸めるので、変換結果と実際の電圧の間には、差が出ます。これが量子化誤差です。いちばん近い段階に丸める(四捨五入形の)変換器では、誤差は最大でも 1/2 LSB で、±12\pm\frac{1}{2} LSB の範囲に収まります。切り捨てる形の変換器では、0 から 1 LSB の範囲になります。

0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 1/2 LSB 1/2 LSB 出力の数 D 入力電圧 +½ 0 −½ 量子化誤差(出力 − 入力) 単位は LSB
図7 量子化誤差。出力は階段状で、理想の直線との差は ±1/2 LSB に収まる

ビット数を増やすと、1 LSB が小さくなり、量子化誤差も小さくなります。

ディジタル計器の表示桁数

ディジタル計器の表示は、「3½桁」のように書きます。この「½桁」は、最上位のけたが、0 か 1 しか表示されないことを表します。3½桁の最大の表示は 1999 で、0 から 1999 までの 2000 通りを区別します。4½桁なら、最大は 19999 です。

2000 通りを区別するには、210=10242^{10} = 1024 では足りず、211=20482^{11} = 2048 の 11 ビットが必要です。

解答と解説を見る

(1) 式に当てはめます。

1 LSB=5210=51024≒4.88 mV\begin{aligned} 1\,\mathrm{LSB} &= \frac{5}{2^{10}} \\ &= \frac{5}{1024} \\ &\fallingdotseq 4.88\,\mathrm{mV} \end{aligned}

(2) 最大は ±12\pm\frac{1}{2} LSB です。

±4.882≒±2.44 mV\pm\frac{4.88}{2} \fallingdotseq \pm 2.44\,\mathrm{mV}

(3) 入力を 1 LSB で割って、いちばん近い整数にします。

D=2.005/1024=409.6→410\begin{aligned} D &= \frac{2.00}{5/1024} \\ &= 409.6 \\ &\to 410 \end{aligned}

(4) 5/2n≤0.0015/2^n \le 0.001 より、

2n≥50002^n \ge 5000

212=40962^{12} = 4096 では足りず、213=81922^{13} = 8192 で足ります。13 ビット以上です。

A-D変換の方式と、逐次比較形・二重積分形

A-D変換器には、いくつかの方式があります。小さな IC にまとめられたものが、多く使われています。

緑色の基板の上に、黒い四角いICが載っている写真
  1. IC 回路をまとめた部品
  2. 端子 基板の配線へつなぐ
  3. チップ部品 抵抗やコンデンサ
  4. 基板 部品をつなぐ板
図8 基板に載った IC の例。A-D変換器は、このような IC にまとめられることが多い(写真はイメージ)

代表的な3つの方式を比べます。

方式速さ特徴
逐次比較形中くらいn 回の比較で決まる
二重積分形遅め雑音に強い
並列比較形速い比較器が 2n−12^n - 1 個

逐次比較形

逐次比較形は、てんびんで重さを量るのとよく似ています。分銅を、重いものから順にのせ、重すぎたら外します。これを、軽い分銅まで繰り返せば、重さが決まります。

逐次比較形では、D-A変換器が作る基準の電圧と、入力電圧を、上のけた(MSB)から順に比べます。基準が入力より小さければそのビットを 1 に残し、大きければ 0 に戻します。n ビットなら、入力の大きさによらず、n 回の比較で結果が決まります。

図9は、フルスケール 16 V の 4 ビットで、入力が 11.4 V のときです。1 LSB は 1 V になります。

0 4 8 12 16 V 8 V b3 1 残す 12 V b2 0 戻す 10 V b1 1 残す 11 V b0 1 残す 入力 11.4 V 結果 4ビット、フルスケール 16 V の例(1 LSB = 1 V)
図9 逐次比較形(4ビット)。上のけたから順に試し、入力を超えたビットは 0 に戻す
  1. 8 V は 11.4 V より小さいので、b3 は 1 に残します。
  2. 8 + 4 = 12 V は 11.4 V より大きいので、b2 は 0 に戻します。
  3. 8 + 2 = 10 V は小さいので、b1 は 1 に残します。
  4. 10 + 1 = 11 V は小さいので、b0 は 1 に残します。

結果は (1011)2=11(1011)_2 = 11 で、11 V を表します。残りの 0.4 V が、量子化誤差です。

二重積分形

二重積分形は、積分回路を2回使います。積分回路は、オペアンプで作る回路で、入力を時間で積み重ねた電圧を出力します。

図10のように、まず、入力電圧 VxV_x を、一定の時間 T1T_1 だけ積分します。次に、逆の向きの基準電圧 VrV_r をつないで、積分器の出力が 0 に戻るまでの時間 T2T_2 を測ります。戻る傾きは、基準電圧で決まって一定です。入力が大きいほど、たくさん積分されているので、戻るのに時間がかかります。

0 積分器の出力(下向きに大きい) T2 T2 T1(一定の時間) 入力を積分 同じ傾きで 戻る 入力が大きい 入力が小さい
図10 二重積分形。T1 は一定で、入力が大きいほど T2 が長くなる

積分回路の定数を R と C とすると、T1T_1 の終わりの出力の大きさは VxT1RC\dfrac{V_x T_1}{RC} で、T2T_2 の間に減る量は VrT2RC\dfrac{V_r T_2}{RC} です。この2つが等しいので、

VxT1RC=VrT2RCVx=VrT2T1\begin{aligned} \frac{V_x T_1}{RC} &= \frac{V_r T_2}{RC} \\ V_x &= V_r \frac{T_2}{T_1} \end{aligned}

となり、R と C が消えます。部品の値のばらつきの影響を受けません。時間は、クロックのパルスを数えて測ります。

また、T1T_1 を、商用周波数の周期の整数倍にすれば、その周波数の雑音は、積分の間に平均されて 0 になります。50 Hz の周期は 20 ms、60 Hz の周期は約 16.7 ms で、T1=100 msT_1 = 100\,\mathrm{ms} なら、50 Hz の 5 周期と 60 Hz の 6 周期にあたります。

解答と解説を見る

(1) Vx=VrT2T1V_x = V_r \dfrac{T_2}{T_1} より、

Vx=2.00×62.5100=1.25 V\begin{aligned} V_x &= 2.00 \times \frac{62.5}{100} \\ &= 1.25\,\mathrm{V} \end{aligned}

(2) 10 kHz の周期は 0.1 ms です。

T1=1000.1=1000T2=62.50.1=625\begin{aligned} T_1 &= \frac{100}{0.1} = 1000 \\ T_2 &= \frac{62.5}{0.1} = 625 \end{aligned}

T1T_1 は 1000 カウント、T2T_2 は 625 カウントです。カウントの比 625/1000625/1000 に VrV_r を掛けても、1.25 V になります。

並列比較形とΔ-Σ形

並列比較形(フラッシュ形)は、基準電圧を等間隔に分けて、2n−12^n - 1 個の比較器で、入力と一度に比べる方式です。8 ビットなら 255 個の比較器が必要で、ビット数が増えると回路が大きくなりますが、変換は速くなります。

Δ-Σ形は、入力を、粗い 1 ビットの変換で高速に標本化し、フィルタで平均して、高い分解能を得る方式です。

D-A変換とR-2Rラダー

D-A変換は、A-D変換と逆に、2進数の数 D を、電圧に直します。基準電圧を VrefV_{\mathrm{ref}}、ビット数を n とすると、出力電圧は、次の式です。

Vout=Vref×D2nV_{\mathrm{out}} = V_{\mathrm{ref}} \times \frac{D}{2^n}

D が 1 増えるごとに、出力は 1 LSB ぶん、Vref/2nV_{\mathrm{ref}}/2^n だけ増えます。

この変換をする回路の1つが、R-2R ラダーです。図11のように、R と 2R の2種類の抵抗だけを、はしごの形につなぎます。各ビットのスイッチを、1 のときは VrefV_{\mathrm{ref}} 側、0 のときは 0 V 側に倒します。

Vout R R 2R 2R b2 = 1 2R b1 = 0 2R b0 = 1 Vref 1 は Vref 側、0 は 0 V 側にスイッチを倒す
図11 R-2R ラダー形 D-A変換器(3ビット)。スイッチの倒し方で、出力電圧が決まる

どの節点から見ても、右側の合成抵抗が 2R になる形なので、1つ左へ進むごとに、電圧の寄与が半分になります。上のけたほど出力への寄与が大きく、3ビットなら、b2、b1、b0 が、VrefV_{\mathrm{ref}} の 1/2、1/4、1/8 ずつを受け持ちます。この考え方は、テブナンの定理で右側を等価電源に置き換えていくと、確かめられます。

Vout=Vref(b22+b14+b08)V_{\mathrm{out}} = V_{\mathrm{ref}} \left( \frac{b_2}{2} + \frac{b_1}{4} + \frac{b_0}{8} \right)

図11は b2b1b0=(101)2b_2 b_1 b_0 = (101)_2 なので、12+18=58\frac{1}{2} + \frac{1}{8} = \frac{5}{8} より、Vout=0.625 VrefV_{\mathrm{out}} = 0.625\,V_{\mathrm{ref}} です。D の式 D/23=5/8D/2^3 = 5/8 とも一致します。

4 ビットで Vref=10 VV_{\mathrm{ref}} = 10\,\mathrm{V} のときの、出力の例です。

2進数10進数出力
(0001)2(0001)_210.625 V
(1000)2(1000)_285 V
(1010)2(1010)_2106.25 V
(1111)2(1111)_2159.375 V
解答と解説を見る

(1) (1010)2=8+2=10(1010)_2 = 8 + 2 = 10 です。

Vout=10×1024=10×1016=6.25 V\begin{aligned} V_{\mathrm{out}} &= 10 \times \frac{10}{2^4} \\ &= 10 \times \frac{10}{16} \\ &= 6.25\,\mathrm{V} \end{aligned}

(2) D が 1 増えるごとの電圧です。

1024=0.625 V\frac{10}{2^4} = 0.625\,\mathrm{V}

よくある質問

サンプリング周波数は、信号の最高周波数のちょうど2倍でよい?

ちょうど2倍では足りません。サンプリング定理は、2倍より大きいことを求めます。たとえば、fs=2ff_s = 2f で標本化すると、標本点が波のちょうど 0 の位置に重なる場合があり、値がすべて 0 になって、波が見えなくなります。実際には、2倍より十分に大きくとり、ローパスフィルタで高い成分も除きます。

分解能と確度は、どう違う?

分解能は、見分けられる最小の変化で、1 LSB の大きさで決まります。確度は、測った値が真の値にどれだけ近いかです。ビット数を増やして分解能を上げても、基準電圧や回路の誤差が大きければ、確度は上がりません。表示の桁数が多いことと、値が正確なことは、別の話です。ディジタル計器の確度の表し方は、測定の誤差の計算で扱います。

二重積分形は、なぜ雑音に強い?

入力を、一定の時間 T1T_1 のあいだ積分するからです。T1T_1 を商用周波数の周期の整数倍にすると、その周波数の雑音は、積分の間に正と負が打ち消し合って 0 になります。変換の時間は長めですが、精度が必要な計器に向きます。

ビットを1つ増やすと、分解能はどうなる?

段階数が 2 倍になり、1 LSB は 1/2 になります。たとえば、VFS=5 VV_{\mathrm{FS}} = 5\,\mathrm{V} で、10 ビットの 4.88 mV から、11 ビットの 2.44 mV になります。

思い出してみよう

答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。

A-D変換の3つの手順は、何ですか。

標本化(時間を区切る)、量子化(大きさを区切る)、符号化(2進数にする)です。

n ビットの A-D変換器の段階数と、1 LSB は?

段階数は 2n2^n で、1 LSB は VFS/2nV_{\mathrm{FS}}/2^n です。

量子化誤差は、最大でどれだけですか。

四捨五入形なら、±12\pm\frac{1}{2} LSB です。

サンプリング定理を、式で書くと?

fs>2fmax⁡f_s > 2 f_{\max} です。満たさないと、低い周波数に見えます(エイリアシング)。

二重積分形の入力電圧は、どんな式で求めますか。

Vx=VrT2/T1V_x = V_r T_2 / T_1 です。R と C は式に出てきません。

D-A変換の出力電圧は、どんな式ですか。

Vout=Vref×D/2nV_{\mathrm{out}} = V_{\mathrm{ref}} \times D/2^n です。

まとめ

  • A-D変換は、連続したアナログ量を、標本化(時間)・量子化(大きさ)・符号化(2進数)の順に、ディジタル量へ直す。ディジタル計器の入口にあたる
  • サンプリング周波数は、fs>2fmax⁡f_s > 2 f_{\max} にする。満たさないと、エイリアシングで別の周波数に見える
  • n ビットなら 2n2^n 段階で、1 LSB は VFS/2nV_{\mathrm{FS}}/2^n。量子化誤差は、四捨五入形で最大 ±12\pm\frac{1}{2} LSB
  • 逐次比較形は、上のけたから n 回の比較で決める。二重積分形は Vx=VrT2/T1V_x = V_r T_2/T_1 で、雑音に強い。並列比較形は、速いが比較器が 2n−12^n - 1 個いる
  • D-A変換の出力は Vref×D/2nV_{\mathrm{ref}} \times D/2^n。R-2R ラダーで作れる

電圧を測る前の段階、つまり、温度・ひずみ・光といった物理量を電気信号に変える部品は、計測に使うセンサで、種類ごとに整理します。

図解でわかる 電験三種 理論 1 直列回路 の表紙電験三種 理論を図解で通して読む図解でわかる 電験三種 理論 / 第1巻直列回路電流・電圧・抵抗から内部抵抗・倍率器・コンデンサまで理論の単元を、図と式で1冊ずつ通して読む Kindle 本のシリーズです。例題と練習問題まで入っています。Kindle Unlimited の対象なので、会員は追加料金なしで読めます。Amazon で見る

読んだら、すぐ解いて覚える

「ディジタル計器とA-D変換」の問題を
アプリで解いてみよう

読んだ直後に問題で思い出すと、記憶に残りやすくなります。電験三種の問題集アプリ「デンケンラボ」なら、理論の問題を図解つきの解説で確かめられます。

アプリでできることを見る
デンケンラボの問題画面
動画でも見て覚えるYouTube のデンケンラボで、電験三種の解説動画を配信しています

この記事をシェアする

デンケンラボ編集部

電験三種の合格プランをつくる問題集アプリ「デンケンラボ」の編集部です。試験センターの出題範囲に沿って、計算の考え方と覚えどころを図と式で解説しています。

編集方針アプリについて見る