コンデンサの容量は、板の広さ・板の間隔・間に入れるものの 3 つで決まります。間に誘電体を入れると、同じ電圧でたまる電荷が増えます。
この記事では、静電容量 C=ε0εrS/d の導き方、誘電体が電界を弱めるしくみ、誘電体を 2 層に重ねたときと横に並べたときの容量と電界、間隔を変えたときの変化、極板間の力を、図と例題で順に確認します。
平行板コンデンサの全体像
- 容量の式
- C=ε0εrS/d。面積 S と比誘電率 εr に比例し、間隔 d に反比例
- 誘電体
- 分極で表面に逆の電荷が現れ、電界が弱まる。電荷が同じなら容量は εr 倍
- 層の入れ方
- 極板に平行な 2 層は直列で、電束密度 D が共通。横に並べると並列で、電界 E が共通
- 間隔を変える
- 電圧一定と電荷一定で、Q・V・E・W の変わり方が違う
- エネルギーと力
- w=εE2/2、極板間の力 F=Q2/(2εS)
- 例題
平行板コンデンサとは?静電容量を決める3つの量
平行板コンデンサとは、同じ形の金属板(極板)2 枚を、すきまをあけて平行に向かい合わせた、いちばん基本のコンデンサです。極板に電圧 V をかけると、一方に +Q、もう一方に −Q の電荷がたまります(図1)。たまる電荷は電圧に比例し、Q=CV と書きます。この比例定数 C が静電容量 [F] で、大きいほどたくさんためられます。
図1 平行板コンデンサ。2枚の極板に +Q と −Q がたまり、板のあいだに電界 E ができる
C を決める式を導きます。極板の面積を S[m2]、間隔を d[m]、極板の間の物質の誘電率を ε[F/m] とします。極板の間の電界は一様で、電位の求め方で見た E=V/d です(極板の端の乱れは無視します)。また、極板 1 m2 あたりの電荷 D=Q/S を電束密度といい、誘電率 ε の物質の中では D=εE の関係があります。
ESQ=dV=εE
2 つの式から E を消すと、Q が V に比例する形になります。
QC=εSE=dεSV=VQ=dεS
誘電率は、真空の誘電率 ε0 と比誘電率 εr の積 ε=ε0εr です。
C=dε0εrS [F]
ε0=8.854×10−12[F/m] は、クーロンの法則の比例定数 k=1/(4πε0) に出てきた値と同じです。
容量を大きくするには、面積 S を広く、間隔 d を薄くします。そのため実際のコンデンサでは、薄い層を何重にも重ねて巻くなど、小さな体積で面積を稼ぐ工夫がされます。次の写真は、金属色の薄いフィルムを何重にも巻いたロールのイメージです。
1紙の芯2金属色の層3巻き終わり4台- 紙の芯 ロールの中心
- 金属色の層 薄い膜が重なる
- 巻き終わり フィルムの端
- 台 木目の台
図2 薄いフィルムを何重にも巻いたロール。巻けば、小さな体積で面積 S を広くできる(写真はイメージ)
誘電体と比誘電率|分極で電界が弱まる
極板のあいだに入れる絶縁体を誘電体といい、その誘電率を真空の何倍かで表したものが比誘電率 εr です(真空は 1)。実験では、次の写真のように、2 枚の極板のあいだに板状の誘電体を差し入れて、電圧や容量の変化を確かめます。
1金属板2透明な板3端子(赤と黒)4支柱5台- 金属板 極板になる
- 透明な板 誘電体
- 端子(赤と黒) 電源や測定器へ
- 支柱 板を支える
- 台 金属の台
図3 極板のあいだに誘電体(透明な板)を入れる実験のようす(写真はイメージ)
誘電体の分子は、電界を受けると向きがそろいます(分極)。すると、誘電体の表面に、向かい合う極板と逆符号の電荷が現れます(図4)。この電荷がつくる電界は極板の電界を打ち消す向きなので、極板の電荷が同じなら、板のあいだの電界は弱まります。
図4 誘電体を入れると分子の向きがそろい、表面に逆の電荷が現れて電界が弱まる
極板に電荷 Q をためて電源から切り離した状態(電荷一定)で、誘電体を入れた場合を考えます。誘電体がないときの電界・電圧・容量を E0・V0・C0 とすると、電界は 1/εr になります。
EVC=εrE0=Ed=εrV0=VQ=εrC0
電圧が 1/εr になるので、C=Q/V は εr 倍です。これは C=ε0εrS/d の εr とも合っています。電源につないだまま(電圧一定)で誘電体を入れると、電界を V/d に保つように電源から電荷が流れ込み、Q が εr 倍になります。
比誘電率の目安を並べます。値は種類・温度・周波数で変わります。
| 物質 | 比誘電率 |
|---|
| 真空 | 1 |
| 空気 | 約 1.0006 |
| ポリエチレン | 約 2.3 |
| 雲母 | 3〜6 |
| ガラス | 3.7〜10 |
| 水 | 約 80(20 ℃) |
| チタン酸バリウム系 | 1200〜10000 |
空気の比誘電率はほぼ 1 なので、空気中の極板は真空と同じ式で扱えます。雲母は、薄くはがせる鉱物で、誘電体に使われます。
1薄片の重なり2光の反射3はがれた端4背景- 薄片の重なり 何枚も重なる
- 光の反射 虹色に見える
- はがれた端 薄くはがれる
- 背景 黒い板
図5 雲母の薄片が重なっているようす。薄くはがして誘電体に使われる(写真はイメージ)
誘電体を2層に重ねたときの静電容量と電界|直列
極板のすきまを、極板に平行な境界で 2 つに分け、空気と誘電体のように違う物質で満たすことがあります。厚さ d1・誘電率 ε1 の層と、厚さ d2・誘電率 ε2 の層が重なった状態です(図6)。
図6 2層の誘電体では、電束密度 D が共通で、電界は ε の小さい層ほど強い(ε1 < ε2 の場合)
各層は、面積 S が同じで、間隔が d1 と d2 の 2 つのコンデンサとみなせます。
C1C2=d1ε1S=d2ε2S
この 2 つは、極板から極板へ順に電荷が受け渡されるので直列です。直列の合成は 1/C=1/C1+1/C2 でした(コンデンサの合成容量)。
C1C=ε1Sd1+ε2Sd2=ε1d1+ε2d2S
電界は、層ごとに違います。境界面に自由な電荷がなければ、電束密度 D=Q/S は両方の層で同じです。D=εE から、各層の電界は次のとおりです。
E1E2=ε1D=ε2D
D が共通なので、誘電率 ε の小さい層ほど電界が強くなります(図6の段)。全体の電圧は、各層の電圧の和です。
V=E1d1+E2d2
誘電体を横に並べたときの静電容量|並列
境界面を極板に垂直にとり、面積を S1 と S2 に分けて、違う誘電体を並べる場合もあります(図7)。各部分は、間隔が同じ d で、面積が S1・S2 の 2 つのコンデンサです。
図7 面積を左右に分けた並列。電界はどこも E = V/d で、容量は C1 + C2
極板は導体なので、どの場所でも電位が同じです。2 つの部分は同じ電圧 V に接していて、並列です。
C=C1+C2=dε1S1+ε2S2
電界は、どちらの部分でも同じ E=V/d です。一方、電束密度は D1=ε1V/d、D2=ε2V/d と違い、ε の大きい側の極板に電荷が多くたまります。2 層の直列と、共通になる量が逆です。
| 入れ方 | 平行な2層 | 横に並べる |
|---|
| 合成 | 直列 | 並列 |
| 共通の量 | D | E |
| 違う量 | E | D |
極板の間隔を変えたとき|電圧一定と電荷一定
極板の間隔 d を変えるとき、電源につないだまま(V 一定)か、電源から切り離してから(Q 一定)かで、結果が変わります。どちらでも、容量は C=εS/d で d に反比例します。間隔を 2 倍にしたときの変化は次のとおりです。
| 量 | V 一定 | Q 一定 |
|---|
| 容量 C | 1/2 倍 | 1/2 倍 |
| 電荷 Q | 1/2 倍 | 変わらない |
| 電圧 V | 変わらない | 2 倍 |
| 電界 E | 1/2 倍 | 変わらない |
| エネルギー W | 1/2 倍 | 2 倍 |
V 一定では、Q=CV から Q が 1/2 になり、電荷は電源へ戻ります。電界は E=V/d で 1/2、エネルギーは W=CV2/2 で 1/2 です。
Q 一定では、V=Q/C が 2 倍になります。電界が変わらないのは、D=Q/S が変わらないので、E=D/ε も変わらないからです。エネルギーは W=Q2/(2C) で 2 倍になります。増えたエネルギーは、引き合う極板を引き離すのに外から加えた仕事で、次の節で力を求めるのに使います。
静電エネルギー密度と極板間の力
コンデンサにたまるエネルギーは W=CV2/2 でした(コンデンサの合成容量)。C=εS/d、V=Ed を代入します。
W=21⋅dεS⋅(Ed)2=21εE2⋅Sd
Sd は、極板のあいだの体積です。体積 1 m3 あたりのエネルギー、つまり静電エネルギー密度は次のとおりです。
w=21εE2=21ED [J/m3]
電界の強い所ほど、エネルギーが多くたまっています。
極板には、+ と − の電荷が引き合う力 F がはたらきます。電荷を Q に保ったまま、間隔を Δd だけ広げる場合を考えます(図8)。外から F に逆らって Δd 引き離す仕事 FΔd が、そのままエネルギーの増加 ΔW になります。
図8 極板は引き合う。間隔を Δd 広げるには、F × Δd の仕事が要る
WΔW=2CQ2=2εSQ2d=2εSQ2Δd=FΔd
両辺の Δd を消すと、極板間の力が求まります。
F=2εSQ2 [N]
E=Q/(εS) を使うと、F=QE/2、または F=wS とも書けます。QE でなく QE/2 になるのは、極板が受けるのは、相手の極板がつくる電界(全体の半分の E/2)だからです。力は、極板を近づける向き(引き合う向き)です。
電力設備にも、コンデンサが使われます。変電所には、進み電流を取り込んで無効電力を調整する、電力用コンデンサの設備があります。仕組みは調相設備の種類と電圧調整で確かめられます。
1白い碍子2鉄塔3円筒形の容器4鉄骨の架台5コンクリート基礎- 白い碍子 絶縁を保つ
- 鉄塔 奥に見える
- 円筒形の容器 灰色
- 鉄骨の架台 容器を載せる
- コンクリート基礎 足もと
図9 変電所の構内に並ぶ円筒形の容器と碍子。電力用コンデンサの設備のイメージ(写真はイメージ)
平行板コンデンサの例題
容量の計算
解答と解説を見る
(1) 単位を直します。S=0.1×0.1=0.01[m2]、d=5×10−4[m] です。
C0=dε0S=5×10−48.854×10−12×0.01≈1.77×10−10 [F]約 177[pF] です。
(2) εr 倍になります。
C=4C0≈708 [pF](3) Q=CV から求めます。
Q=CV=7.08×10−10×100≈7.08×10−8 [C]約 70.8[nC] です。
2層の誘電体
解答と解説を見る
(1) S=0.02[m2] です。
C1=1×10−38.854×10−12×0.02≈177 [pF]C2=2×10−35×8.854×10−12×0.02≈443 [pF]直列の合成容量です。
C=C1+C2C1C2=177+443177×443≈126 [pF](2) 直列では電荷が共通なので、電圧は容量に反比例して分かれます。
V1=C1+C2C2V=620443×3000≈2140 [V]V2=3000−2140=860[V] です。電界は、電圧を厚さで割ります。
E1=d1V1=1×10−32140≈2.14×106 [V/m]E2=d2V2=2×10−3860=4.3×105 [V/m]E1/E2≈5 で、誘電率の逆の比(空気 1 に対して誘電体 5)になっています。D=εE が両層で共通になっている確認です。
(3) すべて空気なら、次のとおりです。
E=3×10−33000=1×106 [V/m]2 層にすると、空気の層の電界は約 2.1 倍に強まります。
(4) 空気の層の電界が 3×106[V/m] になるときを考えます。
V1=E1d1=3×106×1×10−3=3000 [V]誘電体の層の電界は E2=E1/5=6×105[V/m] なので、V2=6×105×2×10−3=1200[V] です。
V=V1+V2=4200 [V]すべて空気(3[mm])なら 3×106×3×10−3=9000[V] までもちます。2 層にすると、先に空気の層の電界が高まり、4200[V] で絶縁破壊が始まります。
横に並べた誘電体
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(1) S1=S2=50[cm2]=0.005[m2] です。
C1=1×10−38.854×10−12×0.005≈44.3 [pF]右は εr が 3 倍で、全体は並列の和です。
C2C=3C1≈133 [pF]=C1+C2≈177 [pF]全部空気なら 2C1≈88.5[pF] なので、誘電体を半分に入れると容量は 2 倍になります。
(2) 電界は、左右とも同じです。
E=dV=1×10−3200=2×105 [V/m](3) 電圧が共通なので、電荷は容量に比例します。
QQ2=C1+C2C2=1+33=0.75誘電体の側に 75% がたまります。全体は Q=CV≈35.4[nC]、誘電体の側は約 26.6[nC] です。
間隔を広げたときの変化と力
解答と解説を見る
(1) S=0.02[m2]、d=10−3[m] です。
C=1×10−38.854×10−12×0.02≈177 [pF]QW=CV≈1.77×10−8 [C]=21CV2≈8.85×10−7 [J](2) 電源から切り離したので、Q は変わりません。
C′V′W′=2C≈88.5 [pF]=C′Q=200 [V]=21QV′≈1.77×10−6 [J]変化を表にまとめます。
| 量 | 広げる前 | 広げた後 |
|---|
| 電荷 | 17.7 nC | 17.7 nC |
| 容量 | 177 pF | 88.5 pF |
| 電圧 | 100 V | 200 V |
| エネルギー | 0.885 μJ | 1.77 μJ |
(3) 増えたエネルギーが、外から加えた仕事 FΔd です。
ΔWF=W′−W≈8.85×10−7 [J]=ΔdΔW=1×10−38.85×10−7≈8.85×10−4 [N]F=Q2/(2ε0S) でも確かめられます。
F=2×8.854×10−12×0.02(1.77×10−8)2≈8.85×10−4 [N]力は約 0.89[mN] で、極板どうしが引き合う向きです。
よくある質問
誘電体を入れると、なぜ容量が増える?
誘電体が分極して、表面に極板と逆符号の電荷が現れ、板のあいだの電界を弱めるからです。同じ電圧をかけたままだと、弱まったぶんを補うように極板へ電荷が流れ込み、たまる電荷が εr 倍になります。Q=CV で、同じ V に対して Q が εr 倍なので、容量 C が εr 倍です。
2層の誘電体では、電界が強いのはどちらの層?
誘電率 ε の小さい層です。両方の層で電束密度 D が同じなので、E=D/ε から、ε が小さい層ほど電界が強くなります。空気(εr=1)と誘電体(εr=5)なら、空気の層の電界は誘電体の層の 5 倍です。
間隔を広げたとき、電源につないだままと切り離したときで、何が違う?
つないだままだと電圧が一定で、容量が減るぶん電荷が減ります。切り離すと電荷が一定で、容量が減るぶん電圧が上がり、電界は変わりません。間隔を 2 倍にしたときの量の変化は、本文の表のとおりです。
直列か並列かは、どう見分ける?
誘電体の境界面が、極板と平行なら直列です。電束密度 D が共通で、電界は層ごとに違います。境界面が、極板から極板へ貫く向き(極板と垂直)なら並列です。電界 E=V/d が共通で、電束密度は部分ごとに違います。
思い出してみよう
答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。
平行板コンデンサの静電容量の式は?
C=ε0εrS/d です。S と εr に比例し、d に反比例します。
誘電体を入れると、電荷一定のとき E・V・C はどうなりますか。
E と V は 1/εr 倍、C は εr 倍になります。電圧一定なら、Q が εr 倍です。
極板に平行な 2 層の誘電体は、直列と並列のどちら? 電界は?
直列です。D が共通で、E1=D/ε1、E2=D/ε2 です。ε の小さい層ほど電界が強くなります。
誘電体を横に並べると、容量と電界は?
並列で、C=(ε1S1+ε2S2)/d です。電界 E=V/d は共通で、D は部分ごとに違います。
電源を切り離して間隔を 2 倍にすると、C・V・E・W は?
C は 1/2 倍、V は 2 倍、E は変わらず、W は 2 倍です。
静電エネルギー密度と、極板間の力の式は?
w=εE2/2 と、F=Q2/(2εS) です。力は引き合う向きです。
まとめ
- 平行板コンデンサの静電容量は C=ε0εrS/d。面積と比誘電率に比例し、間隔に反比例する。単位は m2・m に直してから代入する
- 誘電体を入れると分極で電界が弱まる。電荷一定なら E・V が 1/εr 倍、C が εr 倍。電圧一定なら Q が εr 倍
- 極板に平行に重ねた 2 層は直列で、D が共通、ε の小さい層ほど電界が強い。横に並べると並列で、E=V/d が共通。C=(ε1S1+ε2S2)/d
- 間隔を広げると、電圧一定では Q・E・W が減り、電荷一定では V と W が増えて E は変わらない
- 静電エネルギー密度は w=εE2/2、極板間の力は F=Q2/(2εS)(引き合う向き)
合成容量の求め方はコンデンサの合成容量を、極板間の電界と電圧の関係は電位の求め方を、見直しましょう。