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理論電気理論 / 静電気17分で読めます

平行板コンデンサと誘電体|静電容量C=εS/dと2層・並列の電界を図解

電験三種の平行板コンデンサと誘電体を図解で整理します。静電容量 C=ε0εrS/d、比誘電率、誘電体を2層に重ねたときと横に並べたときの容量と電界、電源を切ったときの変化、極板間の力を例題で確かめます。

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緑色の基板の上に、銀色の円筒形、黄色や青の箱形、茶色の円板形のコンデンサが立ち並んでいる写真
この記事の目次
  1. 平行板コンデンサとは?静電容量を決める3つの量
  2. 誘電体と比誘電率|分極で電界が弱まる
  3. 誘電体を2層に重ねたときの静電容量と電界|直列
  4. 誘電体を横に並べたときの静電容量|並列
  5. 極板の間隔を変えたとき|電圧一定と電荷一定
  6. 静電エネルギー密度と極板間の力
  7. 平行板コンデンサの例題
  8. 容量の計算
  9. 2層の誘電体
  10. 横に並べた誘電体
  11. 間隔を広げたときの変化と力
  12. よくある質問
  13. 誘電体を入れると、なぜ容量が増える?
  14. 2層の誘電体では、電界が強いのはどちらの層?
  15. 間隔を広げたとき、電源につないだままと切り離したときで、何が違う?
  16. 直列か並列かは、どう見分ける?
  17. まとめ
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コンデンサの容量は、板の広さ・板の間隔・間に入れるものの 3 つで決まります。間に誘電体を入れると、同じ電圧でたまる電荷が増えます。

この記事では、静電容量 C=ε0εrS/dC = \varepsilon_0\varepsilon_r S/d の導き方、誘電体が電界を弱めるしくみ、誘電体を 2 層に重ねたときと横に並べたときの容量と電界、間隔を変えたときの変化、極板間の力を、図と例題で順に確認します。

平行板コンデンサの全体像
  • 容量の式
    • C=ε0εrS/dC = \varepsilon_0\varepsilon_r S/d。面積 SS と比誘電率 εr\varepsilon_r に比例し、間隔 dd に反比例
  • 誘電体
    • 分極で表面に逆の電荷が現れ、電界が弱まる。電荷が同じなら容量は εr\varepsilon_r 倍
  • 層の入れ方
    • 極板に平行な 2 層は直列で、電束密度 DD が共通。横に並べると並列で、電界 EE が共通
  • 間隔を変える
    • 電圧一定と電荷一定で、QQ・VV・EE・WW の変わり方が違う
  • エネルギーと力
    • w=εE2/2w = \varepsilon E^2/2、極板間の力 F=Q2/(2εS)F = Q^2/(2\varepsilon S)
  • 例題
    • 容量・2 層・並列・間隔を広げたときの変化と力

平行板コンデンサとは?静電容量を決める3つの量

平行板コンデンサとは、同じ形の金属板(極板)2 枚を、すきまをあけて平行に向かい合わせた、いちばん基本のコンデンサです。極板に電圧 VV をかけると、一方に +Q+Q、もう一方に −Q-Q の電荷がたまります(図1)。たまる電荷は電圧に比例し、Q=CVQ = CV と書きます。この比例定数 CC が静電容量 [F]\mathrm{[F]} で、大きいほどたくさんためられます。

E V +Q −Q 面積 S 間隔 d
図1 平行板コンデンサ。2枚の極板に +Q と −Q がたまり、板のあいだに電界 E ができる

CC を決める式を導きます。極板の面積を S [m2]S\,\mathrm{[m^2]}、間隔を d [m]d\,\mathrm{[m]}、極板の間の物質の誘電率を ε [F/m]\varepsilon\,\mathrm{[F/m]} とします。極板の間の電界は一様で、電位の求め方で見た E=V/dE = V/d です(極板の端の乱れは無視します)。また、極板 1 m2\mathrm{m^2} あたりの電荷 D=Q/SD = Q/S を電束密度といい、誘電率 ε\varepsilon の物質の中では D=εED = \varepsilon E の関係があります。

E=VdQS=εE\begin{aligned} E &= \frac{V}{d} \\ \frac{Q}{S} &= \varepsilon E \end{aligned}

2 つの式から EE を消すと、QQ が VV に比例する形になります。

Q=εSE=εSdVC=QV=εSd\begin{aligned} Q &= \varepsilon S E = \frac{\varepsilon S}{d}V \\ C &= \frac{Q}{V} = \frac{\varepsilon S}{d} \end{aligned}

誘電率は、真空の誘電率 ε0\varepsilon_0 と比誘電率 εr\varepsilon_r の積 ε=ε0εr\varepsilon = \varepsilon_0\varepsilon_r です。

C=ε0εrSd [F]C = \frac{\varepsilon_0\varepsilon_r S}{d}\ \mathrm{[F]}

ε0=8.854×10−12 [F/m]\varepsilon_0 = 8.854 \times 10^{-12}\,\mathrm{[F/m]} は、クーロンの法則の比例定数 k=1/(4πε0)k = 1/(4\pi\varepsilon_0) に出てきた値と同じです。

容量を大きくするには、面積 SS を広く、間隔 dd を薄くします。そのため実際のコンデンサでは、薄い層を何重にも重ねて巻くなど、小さな体積で面積を稼ぐ工夫がされます。次の写真は、金属色の薄いフィルムを何重にも巻いたロールのイメージです。

金属色のフィルムを何重にも巻いたロールの写真。中心に紙の芯がある
  1. 紙の芯 ロールの中心
  2. 金属色の層 薄い膜が重なる
  3. 巻き終わり フィルムの端
  4. 台 木目の台
図2 薄いフィルムを何重にも巻いたロール。巻けば、小さな体積で面積 S を広くできる(写真はイメージ)

誘電体と比誘電率|分極で電界が弱まる

極板のあいだに入れる絶縁体を誘電体といい、その誘電率を真空の何倍かで表したものが比誘電率 εr\varepsilon_r です(真空は 1)。実験では、次の写真のように、2 枚の極板のあいだに板状の誘電体を差し入れて、電圧や容量の変化を確かめます。

2枚の金属板のあいだに透明な厚い板がはさまれた実験装置の写真。各金属板に赤と黒の端子とリード線があり、支柱2本で金属の台に立っている
  1. 金属板 極板になる
  2. 透明な板 誘電体
  3. 端子(赤と黒) 電源や測定器へ
  4. 支柱 板を支える
  5. 台 金属の台
図3 極板のあいだに誘電体(透明な板)を入れる実験のようす(写真はイメージ)

誘電体の分子は、電界を受けると向きがそろいます(分極)。すると、誘電体の表面に、向かい合う極板と逆符号の電荷が現れます(図4)。この電荷がつくる電界は極板の電界を打ち消す向きなので、極板の電荷が同じなら、板のあいだの電界は弱まります。

E0 (a) 誘電体なし 電界 E0 (b) 誘電体あり 電界は E0/εr に弱まる 極板の電荷 誘電体の表面に現れた電荷
図4 誘電体を入れると分子の向きがそろい、表面に逆の電荷が現れて電界が弱まる

極板に電荷 QQ をためて電源から切り離した状態(電荷一定)で、誘電体を入れた場合を考えます。誘電体がないときの電界・電圧・容量を E0E_0・V0V_0・C0C_0 とすると、電界は 1/εr1/\varepsilon_r になります。

E=E0εrV=Ed=V0εrC=QV=εrC0\begin{aligned} E &= \frac{E_0}{\varepsilon_r} \\ V &= Ed = \frac{V_0}{\varepsilon_r} \\ C &= \frac{Q}{V} = \varepsilon_r C_0 \end{aligned}

電圧が 1/εr1/\varepsilon_r になるので、C=Q/VC = Q/V は εr\varepsilon_r 倍です。これは C=ε0εrS/dC = \varepsilon_0\varepsilon_r S/d の εr\varepsilon_r とも合っています。電源につないだまま(電圧一定)で誘電体を入れると、電界を V/dV/d に保つように電源から電荷が流れ込み、QQ が εr\varepsilon_r 倍になります。

比誘電率の目安を並べます。値は種類・温度・周波数で変わります。

物質比誘電率
真空1
空気約 1.0006
ポリエチレン約 2.3
雲母3〜6
ガラス3.7〜10
水約 80(20 ℃)
チタン酸バリウム系1200〜10000

空気の比誘電率はほぼ 1 なので、空気中の極板は真空と同じ式で扱えます。雲母は、薄くはがせる鉱物で、誘電体に使われます。

黒い背景の上に、半透明の雲母の薄片が重なり、虹色の反射が見える写真
  1. 薄片の重なり 何枚も重なる
  2. 光の反射 虹色に見える
  3. はがれた端 薄くはがれる
  4. 背景 黒い板
図5 雲母の薄片が重なっているようす。薄くはがして誘電体に使われる(写真はイメージ)

誘電体を2層に重ねたときの静電容量と電界|直列

極板のすきまを、極板に平行な境界で 2 つに分け、空気と誘電体のように違う物質で満たすことがあります。厚さ d1d_1・誘電率 ε1\varepsilon_1 の層と、厚さ d2d_2・誘電率 ε2\varepsilon_2 の層が重なった状態です(図6)。

ε1 ε2 +Q −Q d1 d2 E1 = D/ε1 E2 = D/ε2 電界の強さ 面積の和が V
図6 2層の誘電体では、電束密度 D が共通で、電界は ε の小さい層ほど強い(ε1 < ε2 の場合)

各層は、面積 SS が同じで、間隔が d1d_1 と d2d_2 の 2 つのコンデンサとみなせます。

C1=ε1Sd1C2=ε2Sd2\begin{aligned} C_1 &= \frac{\varepsilon_1 S}{d_1} \\ C_2 &= \frac{\varepsilon_2 S}{d_2} \end{aligned}

この 2 つは、極板から極板へ順に電荷が受け渡されるので直列です。直列の合成は 1/C=1/C1+1/C21/C = 1/C_1 + 1/C_2 でした(コンデンサの合成容量)。

1C=d1ε1S+d2ε2SC=Sd1ε1+d2ε2\begin{aligned} \frac{1}{C} &= \frac{d_1}{\varepsilon_1 S} + \frac{d_2}{\varepsilon_2 S} \\ C &= \frac{S}{\dfrac{d_1}{\varepsilon_1} + \dfrac{d_2}{\varepsilon_2}} \end{aligned}

電界は、層ごとに違います。境界面に自由な電荷がなければ、電束密度 D=Q/SD = Q/S は両方の層で同じです。D=εED = \varepsilon E から、各層の電界は次のとおりです。

E1=Dε1E2=Dε2\begin{aligned} E_1 &= \frac{D}{\varepsilon_1} \\ E_2 &= \frac{D}{\varepsilon_2} \end{aligned}

DD が共通なので、誘電率 ε\varepsilon の小さい層ほど電界が強くなります(図6の段)。全体の電圧は、各層の電圧の和です。

V=E1d1+E2d2V = E_1 d_1 + E_2 d_2

誘電体を横に並べたときの静電容量|並列

境界面を極板に垂直にとり、面積を S1S_1 と S2S_2 に分けて、違う誘電体を並べる場合もあります(図7)。各部分は、間隔が同じ dd で、面積が S1S_1・S2S_2 の 2 つのコンデンサです。

ε1 ε2 V どこも E = V/d S1 S2 d
図7 面積を左右に分けた並列。電界はどこも E = V/d で、容量は C1 + C2

極板は導体なので、どの場所でも電位が同じです。2 つの部分は同じ電圧 VV に接していて、並列です。

C=C1+C2=ε1S1+ε2S2d\begin{aligned} C &= C_1 + C_2 \\ &= \frac{\varepsilon_1 S_1 + \varepsilon_2 S_2}{d} \end{aligned}

電界は、どちらの部分でも同じ E=V/dE = V/d です。一方、電束密度は D1=ε1V/dD_1 = \varepsilon_1 V/d、D2=ε2V/dD_2 = \varepsilon_2 V/d と違い、ε\varepsilon の大きい側の極板に電荷が多くたまります。2 層の直列と、共通になる量が逆です。

入れ方平行な2層横に並べる
合成直列並列
共通の量DE
違う量ED

極板の間隔を変えたとき|電圧一定と電荷一定

極板の間隔 dd を変えるとき、電源につないだまま(VV 一定)か、電源から切り離してから(QQ 一定)かで、結果が変わります。どちらでも、容量は C=εS/dC = \varepsilon S/d で dd に反比例します。間隔を 2 倍にしたときの変化は次のとおりです。

量V 一定Q 一定
容量 C1/2 倍1/2 倍
電荷 Q1/2 倍変わらない
電圧 V変わらない2 倍
電界 E1/2 倍変わらない
エネルギー W1/2 倍2 倍

VV 一定では、Q=CVQ = CV から QQ が 1/21/2 になり、電荷は電源へ戻ります。電界は E=V/dE = V/d で 1/21/2、エネルギーは W=CV2/2W = CV^2/2 で 1/21/2 です。

QQ 一定では、V=Q/CV = Q/C が 2 倍になります。電界が変わらないのは、D=Q/SD = Q/S が変わらないので、E=D/εE = D/\varepsilon も変わらないからです。エネルギーは W=Q2/(2C)W = Q^2/(2C) で 2 倍になります。増えたエネルギーは、引き合う極板を引き離すのに外から加えた仕事で、次の節で力を求めるのに使います。

静電エネルギー密度と極板間の力

コンデンサにたまるエネルギーは W=CV2/2W = CV^2/2 でした(コンデンサの合成容量)。C=εS/dC = \varepsilon S/d、V=EdV = Ed を代入します。

W=12⋅εSd⋅(Ed)2=12εE2⋅Sd\begin{aligned} W &= \frac{1}{2}\cdot\frac{\varepsilon S}{d}\cdot(Ed)^2 \\ &= \frac{1}{2}\varepsilon E^2 \cdot Sd \end{aligned}

SdSd は、極板のあいだの体積です。体積 1 m3\mathrm{m^3} あたりのエネルギー、つまり静電エネルギー密度は次のとおりです。

w=12εE2=12ED [J/m3]w = \frac{1}{2}\varepsilon E^2 = \frac{1}{2}ED\ \mathrm{[J/m^3]}

電界の強い所ほど、エネルギーが多くたまっています。

極板には、+ と − の電荷が引き合う力 FF がはたらきます。電荷を QQ に保ったまま、間隔を Δd\Delta d だけ広げる場合を考えます(図8)。外から FF に逆らって Δd\Delta d 引き離す仕事 FΔdF\Delta d が、そのままエネルギーの増加 ΔW\Delta W になります。

F F +Q −Q d Δd
図8 極板は引き合う。間隔を Δd 広げるには、F × Δd の仕事が要る
W=Q22C=Q2d2εSΔW=Q22εSΔd=FΔd\begin{aligned} W &= \frac{Q^2}{2C} = \frac{Q^2 d}{2\varepsilon S} \\ \Delta W &= \frac{Q^2}{2\varepsilon S}\Delta d = F\Delta d \end{aligned}

両辺の Δd\Delta d を消すと、極板間の力が求まります。

F=Q22εS [N]F = \frac{Q^2}{2\varepsilon S}\ \mathrm{[N]}

E=Q/(εS)E = Q/(\varepsilon S) を使うと、F=QE/2F = QE/2、または F=wSF = wS とも書けます。QEQE でなく QE/2QE/2 になるのは、極板が受けるのは、相手の極板がつくる電界(全体の半分の E/2E/2)だからです。力は、極板を近づける向き(引き合う向き)です。

電力設備にも、コンデンサが使われます。変電所には、進み電流を取り込んで無効電力を調整する、電力用コンデンサの設備があります。仕組みは調相設備の種類と電圧調整で確かめられます。

変電所の構内に、鉄骨の架台の上に円筒形の灰色の容器と白い碍子が並んでいる写真。奥に鉄塔が見え、足もとは砕石とコンクリートの基礎
  1. 白い碍子 絶縁を保つ
  2. 鉄塔 奥に見える
  3. 円筒形の容器 灰色
  4. 鉄骨の架台 容器を載せる
  5. コンクリート基礎 足もと
図9 変電所の構内に並ぶ円筒形の容器と碍子。電力用コンデンサの設備のイメージ(写真はイメージ)

平行板コンデンサの例題

容量の計算

解答と解説を見る

(1) 単位を直します。S=0.1×0.1=0.01 [m2]S = 0.1 \times 0.1 = 0.01\,\mathrm{[m^2]}、d=5×10−4 [m]d = 5 \times 10^{-4}\,\mathrm{[m]} です。

C0=ε0Sd=8.854×10−12×0.015×10−4≈1.77×10−10 [F]\begin{aligned} C_0 &= \frac{\varepsilon_0 S}{d} \\ &= \frac{8.854 \times 10^{-12} \times 0.01}{5 \times 10^{-4}} \\ &\approx 1.77 \times 10^{-10}\ \mathrm{[F]} \end{aligned}

約 177 [pF]177\,\mathrm{[pF]} です。

(2) εr\varepsilon_r 倍になります。

C=4C0≈708 [pF]C = 4 C_0 \approx 708\ \mathrm{[pF]}

(3) Q=CVQ = CV から求めます。

Q=CV=7.08×10−10×100≈7.08×10−8 [C]\begin{aligned} Q &= CV \\ &= 7.08 \times 10^{-10} \times 100 \\ &\approx 7.08 \times 10^{-8}\ \mathrm{[C]} \end{aligned}

約 70.8 [nC]70.8\,\mathrm{[nC]} です。

2層の誘電体

解答と解説を見る

(1) S=0.02 [m2]S = 0.02\,\mathrm{[m^2]} です。

C1=8.854×10−12×0.021×10−3≈177 [pF]\begin{aligned} C_1 &= \frac{8.854 \times 10^{-12} \times 0.02}{1 \times 10^{-3}} \\ &\approx 177\ \mathrm{[pF]} \end{aligned}C2=5×8.854×10−12×0.022×10−3≈443 [pF]\begin{aligned} C_2 &= \frac{5 \times 8.854 \times 10^{-12} \times 0.02}{2 \times 10^{-3}} \\ &\approx 443\ \mathrm{[pF]} \end{aligned}

直列の合成容量です。

C=C1C2C1+C2=177×443177+443≈126 [pF]\begin{aligned} C &= \frac{C_1 C_2}{C_1 + C_2} \\ &= \frac{177 \times 443}{177 + 443} \\ &\approx 126\ \mathrm{[pF]} \end{aligned}

(2) 直列では電荷が共通なので、電圧は容量に反比例して分かれます。

V1=C2C1+C2V=443620×3000≈2140 [V]\begin{aligned} V_1 &= \frac{C_2}{C_1 + C_2}V \\ &= \frac{443}{620} \times 3000 \\ &\approx 2140\ \mathrm{[V]} \end{aligned}

V2=3000−2140=860 [V]V_2 = 3000 - 2140 = 860\,\mathrm{[V]} です。電界は、電圧を厚さで割ります。

E1=V1d1=21401×10−3≈2.14×106 [V/m]\begin{aligned} E_1 &= \frac{V_1}{d_1} \\ &= \frac{2140}{1 \times 10^{-3}} \\ &\approx 2.14 \times 10^{6}\ \mathrm{[V/m]} \end{aligned}E2=V2d2=8602×10−3=4.3×105 [V/m]\begin{aligned} E_2 &= \frac{V_2}{d_2} \\ &= \frac{860}{2 \times 10^{-3}} \\ &= 4.3 \times 10^{5}\ \mathrm{[V/m]} \end{aligned}

E1/E2≈5E_1 / E_2 \approx 5 で、誘電率の逆の比(空気 11 に対して誘電体 55)になっています。D=εED = \varepsilon E が両層で共通になっている確認です。

(3) すべて空気なら、次のとおりです。

E=30003×10−3=1×106 [V/m]E = \frac{3000}{3 \times 10^{-3}} = 1 \times 10^{6}\ \mathrm{[V/m]}

2 層にすると、空気の層の電界は約 2.12.1 倍に強まります。

(4) 空気の層の電界が 3×106 [V/m]3 \times 10^{6}\,\mathrm{[V/m]} になるときを考えます。

V1=E1d1=3×106×1×10−3=3000 [V]\begin{aligned} V_1 &= E_1 d_1 \\ &= 3 \times 10^{6} \times 1 \times 10^{-3} \\ &= 3000\ \mathrm{[V]} \end{aligned}

誘電体の層の電界は E2=E1/5=6×105 [V/m]E_2 = E_1/5 = 6 \times 10^{5}\,\mathrm{[V/m]} なので、V2=6×105×2×10−3=1200 [V]V_2 = 6 \times 10^{5} \times 2 \times 10^{-3} = 1200\,\mathrm{[V]} です。

V=V1+V2=4200 [V]V = V_1 + V_2 = 4200\ \mathrm{[V]}

すべて空気(3 [mm]3\,\mathrm{[mm]})なら 3×106×3×10−3=9000 [V]3 \times 10^{6} \times 3 \times 10^{-3} = 9000\,\mathrm{[V]} までもちます。2 層にすると、先に空気の層の電界が高まり、4200 [V]4200\,\mathrm{[V]} で絶縁破壊が始まります。

横に並べた誘電体

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(1) S1=S2=50 [cm2]=0.005 [m2]S_1 = S_2 = 50\,\mathrm{[cm^2]} = 0.005\,\mathrm{[m^2]} です。

C1=8.854×10−12×0.0051×10−3≈44.3 [pF]\begin{aligned} C_1 &= \frac{8.854 \times 10^{-12} \times 0.005}{1 \times 10^{-3}} \\ &\approx 44.3\ \mathrm{[pF]} \end{aligned}

右は εr\varepsilon_r が 3 倍で、全体は並列の和です。

C2=3C1≈133 [pF]C=C1+C2≈177 [pF]\begin{aligned} C_2 &= 3C_1 \approx 133\ \mathrm{[pF]} \\ C &= C_1 + C_2 \approx 177\ \mathrm{[pF]} \end{aligned}

全部空気なら 2C1≈88.5 [pF]2C_1 \approx 88.5\,\mathrm{[pF]} なので、誘電体を半分に入れると容量は 2 倍になります。

(2) 電界は、左右とも同じです。

E=Vd=2001×10−3=2×105 [V/m]\begin{aligned} E &= \frac{V}{d} \\ &= \frac{200}{1 \times 10^{-3}} \\ &= 2 \times 10^{5}\ \mathrm{[V/m]} \end{aligned}

(3) 電圧が共通なので、電荷は容量に比例します。

Q2Q=C2C1+C2=31+3=0.75\frac{Q_2}{Q} = \frac{C_2}{C_1 + C_2} = \frac{3}{1 + 3} = 0.75

誘電体の側に 75 %75\,\% がたまります。全体は Q=CV≈35.4 [nC]Q = CV \approx 35.4\,\mathrm{[nC]}、誘電体の側は約 26.6 [nC]26.6\,\mathrm{[nC]} です。

間隔を広げたときの変化と力

解答と解説を見る

(1) S=0.02 [m2]S = 0.02\,\mathrm{[m^2]}、d=10−3 [m]d = 10^{-3}\,\mathrm{[m]} です。

C=8.854×10−12×0.021×10−3≈177 [pF]\begin{aligned} C &= \frac{8.854 \times 10^{-12} \times 0.02}{1 \times 10^{-3}} \\ &\approx 177\ \mathrm{[pF]} \end{aligned}Q=CV≈1.77×10−8 [C]W=12CV2≈8.85×10−7 [J]\begin{aligned} Q &= CV \\ &\approx 1.77 \times 10^{-8}\ \mathrm{[C]} \\ W &= \frac{1}{2}CV^2 \\ &\approx 8.85 \times 10^{-7}\ \mathrm{[J]} \end{aligned}

(2) 電源から切り離したので、QQ は変わりません。

C′=C2≈88.5 [pF]V′=QC′=200 [V]W′=12QV′≈1.77×10−6 [J]\begin{aligned} C' &= \frac{C}{2} \approx 88.5\ \mathrm{[pF]} \\ V' &= \frac{Q}{C'} = 200\ \mathrm{[V]} \\ W' &= \frac{1}{2}QV' \approx 1.77 \times 10^{-6}\ \mathrm{[J]} \end{aligned}

変化を表にまとめます。

量広げる前広げた後
電荷17.7 nC17.7 nC
容量177 pF88.5 pF
電圧100 V200 V
エネルギー0.885 μJ1.77 μJ

(3) 増えたエネルギーが、外から加えた仕事 FΔdF\Delta d です。

ΔW=W′−W≈8.85×10−7 [J]F=ΔWΔd=8.85×10−71×10−3≈8.85×10−4 [N]\begin{aligned} \Delta W &= W' - W \\ &\approx 8.85 \times 10^{-7}\ \mathrm{[J]} \\ F &= \frac{\Delta W}{\Delta d} \\ &= \frac{8.85 \times 10^{-7}}{1 \times 10^{-3}} \\ &\approx 8.85 \times 10^{-4}\ \mathrm{[N]} \end{aligned}

F=Q2/(2ε0S)F = Q^2/(2\varepsilon_0 S) でも確かめられます。

F=(1.77×10−8)22×8.854×10−12×0.02≈8.85×10−4 [N]\begin{aligned} F &= \frac{(1.77 \times 10^{-8})^2}{2 \times 8.854 \times 10^{-12} \times 0.02} \\ &\approx 8.85 \times 10^{-4}\ \mathrm{[N]} \end{aligned}

力は約 0.89 [mN]0.89\,\mathrm{[mN]} で、極板どうしが引き合う向きです。

よくある質問

誘電体を入れると、なぜ容量が増える?

誘電体が分極して、表面に極板と逆符号の電荷が現れ、板のあいだの電界を弱めるからです。同じ電圧をかけたままだと、弱まったぶんを補うように極板へ電荷が流れ込み、たまる電荷が εr\varepsilon_r 倍になります。Q=CVQ = CV で、同じ VV に対して QQ が εr\varepsilon_r 倍なので、容量 CC が εr\varepsilon_r 倍です。

2層の誘電体では、電界が強いのはどちらの層?

誘電率 ε\varepsilon の小さい層です。両方の層で電束密度 DD が同じなので、E=D/εE = D/\varepsilon から、ε\varepsilon が小さい層ほど電界が強くなります。空気(εr=1\varepsilon_r = 1)と誘電体(εr=5\varepsilon_r = 5)なら、空気の層の電界は誘電体の層の 5 倍です。

間隔を広げたとき、電源につないだままと切り離したときで、何が違う?

つないだままだと電圧が一定で、容量が減るぶん電荷が減ります。切り離すと電荷が一定で、容量が減るぶん電圧が上がり、電界は変わりません。間隔を 2 倍にしたときの量の変化は、本文の表のとおりです。

直列か並列かは、どう見分ける?

誘電体の境界面が、極板と平行なら直列です。電束密度 DD が共通で、電界は層ごとに違います。境界面が、極板から極板へ貫く向き(極板と垂直)なら並列です。電界 E=V/dE = V/d が共通で、電束密度は部分ごとに違います。

思い出してみよう

答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。

平行板コンデンサの静電容量の式は?

C=ε0εrS/dC = \varepsilon_0\varepsilon_r S/d です。SS と εr\varepsilon_r に比例し、dd に反比例します。

誘電体を入れると、電荷一定のとき EE・VV・CC はどうなりますか。

EE と VV は 1/εr1/\varepsilon_r 倍、CC は εr\varepsilon_r 倍になります。電圧一定なら、QQ が εr\varepsilon_r 倍です。

極板に平行な 2 層の誘電体は、直列と並列のどちら? 電界は?

直列です。DD が共通で、E1=D/ε1E_1 = D/\varepsilon_1、E2=D/ε2E_2 = D/\varepsilon_2 です。ε\varepsilon の小さい層ほど電界が強くなります。

誘電体を横に並べると、容量と電界は?

並列で、C=(ε1S1+ε2S2)/dC = (\varepsilon_1 S_1 + \varepsilon_2 S_2)/d です。電界 E=V/dE = V/d は共通で、DD は部分ごとに違います。

電源を切り離して間隔を 2 倍にすると、CC・VV・EE・WW は?

CC は 1/21/2 倍、VV は 2 倍、EE は変わらず、WW は 2 倍です。

静電エネルギー密度と、極板間の力の式は?

w=εE2/2w = \varepsilon E^2/2 と、F=Q2/(2εS)F = Q^2/(2\varepsilon S) です。力は引き合う向きです。

まとめ

  • 平行板コンデンサの静電容量は C=ε0εrS/dC = \varepsilon_0\varepsilon_r S/d。面積と比誘電率に比例し、間隔に反比例する。単位は m2\mathrm{m^2}・m\mathrm{m} に直してから代入する
  • 誘電体を入れると分極で電界が弱まる。電荷一定なら EE・VV が 1/εr1/\varepsilon_r 倍、CC が εr\varepsilon_r 倍。電圧一定なら QQ が εr\varepsilon_r 倍
  • 極板に平行に重ねた 2 層は直列で、DD が共通、ε\varepsilon の小さい層ほど電界が強い。横に並べると並列で、E=V/dE = V/d が共通。C=(ε1S1+ε2S2)/dC = (\varepsilon_1 S_1 + \varepsilon_2 S_2)/d
  • 間隔を広げると、電圧一定では QQ・EE・WW が減り、電荷一定では VV と WW が増えて EE は変わらない
  • 静電エネルギー密度は w=εE2/2w = \varepsilon E^2/2、極板間の力は F=Q2/(2εS)F = Q^2/(2\varepsilon S)(引き合う向き)

合成容量の求め方はコンデンサの合成容量を、極板間の電界と電圧の関係は電位の求め方を、見直しましょう。

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デンケンラボ編集部

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