クーロンの法則は、二つの点電荷の間に働く力の大きさを表す法則で、F = k Q 1 Q 2 r 2 F = k\dfrac{Q_1 Q_2}{r^2} F = k r 2 Q 1 Q 2 と書きます。力は電気量の積に比例し、距離の2乗に反比例 します。同符号なら反発し、異符号なら引き合います。この力を「電荷 1 C あたり」に直したものが電界の強さ E E E で、電界、電位、コンデンサへと続く静電気の土台になります。
クーロンの法則の全体像
クーロンの法則とは
同符号は反発、異符号は引き合う
二つの電荷の間の力を表す法則
クーロンの法則の公式
F = k Q 1 Q 2 / r 2 F = kQ_1Q_2/r^2 F = k Q 1 Q 2 / r 2
比例定数 k ≈ 9 × 10 9 k \approx 9\times10^9 k ≈ 9 × 1 0 9 、k = 1 / ( 4 π ε 0 ) k = 1/(4\pi\varepsilon_0) k = 1/ ( 4 π ε 0 )
距離と力の関係
電界の強さ
E = F / q = k Q / r 2 E = F/q = kQ/r^2 E = F / q = k Q / r 2 、単位は V/m
力は F = q E F = qE F = q E
解き方と例題
単位換算、大きさ、向き、検算の4手順
電界が打ち消し合う点の求め方
クーロンの法則とは
電気理論の六つの単元のうち、クーロンの法則は静電気の単元の入口です。直流回路とは別の単元で、電界・電位・コンデンサへ続きます。
電気理論の単元
直流回路
静電気
この記事の単元
電磁気
交流回路
三相交流
過渡現象
図1 電気理論の単元の並びと、この記事の位置(静電気)
物質には、正(+)と負(−)の電気をもつ粒があります。これらの粒を電荷といい、大きさは電気量 Q Q Q [C](クーロン)で表します。電荷どうしの間には力が働き、その大きさを表す法則がクーロンの法則です。
同符号は反発し、異符号は引き合う
電荷の間に働く力の向きは、符号の組み合わせで決まります。図2に、三つの組み合わせをまとめました。
+
+
F
F
同符号(+と+): 反発し合う
−
−
F
F
同符号(−と−): 反発し合う
+
−
F
F
異符号(+と−): 引き合う
図2 電荷の間に働く力の向き。同符号は反発し合い、異符号は引き合う
同符号(+と+、または−と−)は、互いに反発 し合う(斥力)
異符号(+と−)は、互いに引き合う (引力)
どちらの場合も、二つの電荷が及ぼし合う力の大きさは等しく、向きは反対です。作用・反作用の関係で、電気量が違っていても変わりません。
静電気の力を目で確かめる
電荷の間の力は、箔検電器で確かめられます。図3は、帯電した棒を近づけて、金属の箔が開いた様子です。
図3 箔検電器。帯電した棒を近づけると、同符号に帯電した箔が反発して開く(写真はイメージ)
検電器の箔は、電気を帯びると同符号どうしで反発し合って開きます。帯電が大きいほど、反発力が大きく、箔の開き方も大きくなります。身近な静電気も同じ原理です。目に見えない力が、実際に物を動かしていることが分かります。
身近な例が、風船で髪の毛をこすったときの静電気です。こすった風船と髪の毛は、互いに異符号に帯電して引き合います。髪の毛どうしは同符号なので反発し、逆立ちます。
1 風船 2 髪の毛 風船 こすると負に帯電し、髪の毛を引き寄せる髪の毛 正に帯電して風船に引かれ、同符号の毛どうしは反発して広がる図4 風船と髪の毛に働く静電気の力(写真はイメージ)
クーロンの法則の公式
真空中で、距離 r r r [m] だけ離れた二つの点電荷 Q 1 Q_1 Q 1 、Q 2 Q_2 Q 2 [C] の間に働く力の大きさ F F F [N] は、次の式で表されます。
F = k Q 1 Q 2 r 2 = Q 1 Q 2 4 π ε 0 r 2 F = k\,\frac{Q_1 Q_2}{r^2} = \frac{Q_1 Q_2}{4\pi\varepsilon_0 r^2} F = k r 2 Q 1 Q 2 = 4 π ε 0 r 2 Q 1 Q 2
図5は、式の各部分が何を意味しているかを示したものです。
F = k ×
Q1 Q2
r2
[N]
Q1 、Q2
電気量の積に比例
電気量が 2 倍なら、力は 2 倍
r2
距離の 2 乗に反比例
距離が 2 倍なら、力は 1/4 倍
k
比例定数(真空中)
k ≈ 9 × 109 N·m2 /C2
図5 クーロンの法則の式の読み方。電気量の積に比例し、距離の2乗に反比例する
比例定数 k k k は、真空の誘電率 ε 0 = 8.854 × 10 − 12 [ F / m ] \varepsilon_0 = 8.854 \times 10^{-12}\,\mathrm{[F/m]} ε 0 = 8.854 × 1 0 − 12 [ F/m ] を使って k = 1 / ( 4 π ε 0 ) k = 1/(4\pi\varepsilon_0) k = 1/ ( 4 π ε 0 ) と表され、値はおよそ 9 × 10 9 [ N ⋅ m 2 / C 2 ] 9 \times 10^{9}\,\mathrm{[N \cdot m^2/C^2]} 9 × 1 0 9 [ N ⋅ m 2 / C 2 ] です。電験三種の計算では、問題文に指定がなければ 9 × 10 9 9 \times 10^9 9 × 1 0 9 を使うのが一般的です。
ポイント
クーロンの法則: F = Q 1 Q 2 4 π ε 0 r 2 ≈ 9 × 10 9 Q 1 Q 2 r 2 [ N ] F = \dfrac{Q_1 Q_2}{4\pi\varepsilon_0 r^2} \approx 9 \times 10^{9}\,\dfrac{Q_1 Q_2}{r^2}\,\mathrm{[N]} F = 4 π ε 0 r 2 Q 1 Q 2 ≈ 9 × 1 0 9 r 2 Q 1 Q 2 [ N ] 。大きさには電気量の絶対値 を入れ、向きは符号で別に判断する。
電気量と距離の単位
静電気の計算では、電気量が非常に小さな値になります。単位の接頭語を、基本単位の C \mathrm{C} C と m \mathrm{m} m に直してから代入します。
表記 読み方 基本単位に直すと 1 μ C 1\,\mu\mathrm{C} 1 μ C マイクロクーロン 10 − 6 C 10^{-6}\,\mathrm{C} 1 0 − 6 C 1 n C 1\,\mathrm{nC} 1 nC ナノクーロン 10 − 9 C 10^{-9}\,\mathrm{C} 1 0 − 9 C 1 p C 1\,\mathrm{pC} 1 pC ピコクーロン 10 − 12 C 10^{-12}\,\mathrm{C} 1 0 − 12 C 1 c m 1\,\mathrm{cm} 1 cm センチメートル 10 − 2 m 10^{-2}\,\mathrm{m} 1 0 − 2 m
注意
距離を c m \mathrm{cm} cm のまま式に入れてはいけません。r r r は必ず m \mathrm{m} m に直します。2乗するので、c m \mathrm{cm} cm のまま入れると 10 4 10^4 1 0 4 倍の誤差になります。
媒質中では力が小さくなる
電荷のまわりが真空でなく、比誘電率 ε r \varepsilon_r ε r の物質で満たされているとき、力は 1 / ε r 1/\varepsilon_r 1/ ε r になります。
F = Q 1 Q 2 4 π ε 0 ε r r 2 F = \frac{Q_1 Q_2}{4\pi\varepsilon_0\varepsilon_r r^2} F = 4 π ε 0 ε r r 2 Q 1 Q 2
空気の比誘電率はほぼ 1 なので、空気中の問題は真空中と同じ式で扱えます。
電荷を金属の球に集めると、まわりの電界が強くなります。電界が強くなりすぎると、空気の絶縁が破れて火花が飛びます。理科室で見るヴァンデグラフ起電機は、その様子を目で確かめられる装置です。
1 金属の球 2 火花 3 受ける球 4 絶縁柱 5 台 金属の球 電荷がたまり、まわりに強い電界ができる火花 電界が強いと空気の絶縁が破れ、電荷が流れる受ける球 火花の飛ぶ先にある、別の金属の球絶縁柱 電荷が逃げないよう、球を支える台 電荷を球へ送る装置を収めた台図6 ヴァンデグラフ起電機。金属球にたまった電荷が火花となって放電する(写真はイメージ)
距離と力の関係(2乗に反比例)
クーロンの法則で大切なのは、力が距離の2乗 に反比例することです。距離が2倍になると力は 1 / 2 1/2 1/2 ではなく 1 / 4 1/4 1/4 、3倍になると 1 / 9 1/9 1/9 に急激に小さくなります。
r0
2r0
3r0
F0
距離 r0 の力を F0 とする
F0 の 1/4
F0 の 1/9
力 F
距離 r
距離が 2 倍、3 倍になると、力は 1/4、1/9 になる
図7 距離と力の関係。距離を 2 倍、3 倍にすると、力は 1/4、1/9 に急激に小さくなる
図7のように、近づけるほど力は急に大きくなり、離すと急に小さくなります。電荷が近いときに力がとても強いことを、グラフの形で押さえましょう。
距離 力の大きさ r 0 r_0 r 0 F 0 F_0 F 0 2 r 0 2r_0 2 r 0 F 0 4 \dfrac{F_0}{4} 4 F 0 3 r 0 3r_0 3 r 0 F 0 9 \dfrac{F_0}{9} 9 F 0 r 0 2 \dfrac{r_0}{2} 2 r 0 4 F 0 4F_0 4 F 0
静電気の力は、レーザープリンターやコピー機の中でも使われています。帯電したドラムに、逆の符号に帯電したトナーの粒が引き寄せられ、そのトナーが紙へ移ります。
1 トナー 2 感光ドラム 3 紙の通り道 トナー 帯電した粉の粒。ドラムの電荷に引かれる感光ドラム 表面に静電気の模様をつくる紙の通り道 ドラムから移ったトナーを受け取る図8 プリンター内部の感光ドラム。帯電を利用して、トナーを紙に付ける(写真はイメージ)
電界の強さの求め方
電荷のまわりの空間には、ほかの電荷に力を及ぼす性質があります。この空間の性質を電界といいます。電荷 Q Q Q のまわりの電界を考えると、クーロンの法則を「力を及ぼし合う」見方から「電荷が空間に電界をつくり、その電界が別の電荷に力を与える」見方に言い換えられます。
電界の強さの定義
電界の中に電荷 q q q を置いたとき、q q q が受ける力 F F F を電気量で割ったものが電界の強さ E E E です。
E = F q ⇔ F = q E E = \frac{F}{q} \quad \Leftrightarrow \quad F = qE E = q F ⇔ F = q E
単位は [ N / C ] \mathrm{[N/C]} [ N/C ] で、[ V / m ] \mathrm{[V/m]} [ V/m ] と同じです。つまり電界の強さは、+ 1 C +1\,\mathrm{C} + 1 C の電荷が受ける力の大きさです。図9のように、正の点電荷 + Q +Q + Q がつくる電界は、電荷から放射状に外向きに広がります。
+
電界 E
点電荷 +Q
距離 r
+
+q
F = qE
E = F ÷ q = k × Q ÷ r2
単位は V/m(N/C と同じ)
電界は「+1 C あたりの力」
図9 電界の考え方。点電荷 +Q が作る電界 E の中に電荷 q を置くと、F = qE の力を受ける
点電荷がつくる電界の式
+ Q +Q + Q から距離 r r r の点に電荷 q q q を置くと、クーロンの法則から F = k Q q / r 2 F = kQq/r^2 F = k Qq / r 2 の力が働きます。これを q q q で割れば、
E = F q = k Q r 2 = Q 4 π ε 0 r 2 [ V / m ] E = \frac{F}{q} = k\,\frac{Q}{r^2} = \frac{Q}{4\pi\varepsilon_0 r^2}\ \mathrm{[V/m]} E = q F = k r 2 Q = 4 π ε 0 r 2 Q [ V/m ]
となります。電界の強さも、距離の2乗に反比例して弱くなります。
電気力線で電界を表す
電界の様子は、電気力線という線で図に表します。電気力線には次の約束があります。
正の電荷から出て、負の電荷に入る
線の接線の向きが、その点の電界の向き
線が密なところほど、電界が強い
途中で枝分かれしたり、交わったりしない
点電荷から離れるほど線の間隔が広がるのは、電界が 1 / r 2 1/r^2 1/ r 2 で弱くなることに対応しています。
電界と力の使い分け
力 F F F は「ある電荷が受ける力」、電界 E E E は「その場所の性質」です。電荷を置かなくても、電界はそこにあります。問題で「電荷 q q q が受ける力」を聞かれたら、電界を求めてから F = q E F = qE F = q E とすると、計算が整理できます。
雲と地面のあいだの電界が強くなり、空気が絶縁を保てなくなると、一気に放電が起こります。これが雷です。静電気の力も電界も、自然のなかで大きな現象になります。
図10 雷。雲にたまった電荷が、空気の絶縁を破って放電する(写真はイメージ)
クーロンの法則の解き方と例題
クーロンの法則の問題は、図11の4手順で進めると間違えにくくなります。
1
単位をそろえる
μC → C、cm → m に直す
2
大きさを公式で求める
F = k × Q1 Q2 ÷ r2 (絶対値)
3
向きを符号で決める
同符号は反発、異符号は引力
4
倍率で検算する
距離 2 倍なら 1/4 になるか
図11 クーロンの法則の問題の解き方。単位換算から始めると計算ミスが減る
力の大きさを求める
例題1
真空中で、Q 1 = 2 μ C Q_1 = 2\,\mu\mathrm{C} Q 1 = 2 μ C と Q 2 = 3 μ C Q_2 = 3\,\mu\mathrm{C} Q 2 = 3 μ C の二つの点電荷を 0.3 [ m ] 0.3\,\mathrm{[m]} 0.3 [ m ] 離して置いた。二つの電荷の間に働く力の大きさと向きを求めよ。ただし、k = 9 × 10 9 [ N ⋅ m 2 / C 2 ] k = 9 \times 10^9\,\mathrm{[N \cdot m^2/C^2]} k = 9 × 1 0 9 [ N ⋅ m 2 / C 2 ] とする。
解答と解説を見る 単位を直すと、Q 1 = 2 × 10 − 6 [ C ] Q_1 = 2 \times 10^{-6}\,\mathrm{[C]} Q 1 = 2 × 1 0 − 6 [ C ] 、Q 2 = 3 × 10 − 6 [ C ] Q_2 = 3 \times 10^{-6}\,\mathrm{[C]} Q 2 = 3 × 1 0 − 6 [ C ] です。公式に代入します。
F = 9 × 10 9 × ( 2 × 10 − 6 ) ( 3 × 10 − 6 ) 0.3 2 = 9 × 10 9 × 6 × 10 − 12 0.09 = 0.6 [ N ] \begin{aligned}
F &= 9 \times 10^{9} \times \frac{(2 \times 10^{-6})(3 \times 10^{-6})}{0.3^2} \\
&= 9 \times 10^{9} \times \frac{6 \times 10^{-12}}{0.09} \\
&= 0.6\,\mathrm{[N]}
\end{aligned} F = 9 × 1 0 9 × 0. 3 2 ( 2 × 1 0 − 6 ) ( 3 × 1 0 − 6 ) = 9 × 1 0 9 × 0.09 6 × 1 0 − 12 = 0.6 [ N ] 二つとも正の電荷で同符号なので、力は反発力 で、互いに遠ざかる向きに 0.6 [ N ] 0.6\,\mathrm{[N]} 0.6 [ N ] が働きます。
検算として、距離を2倍の 0.6 [ m ] 0.6\,\mathrm{[m]} 0.6 [ m ] にすると力は 1 / 4 1/4 1/4 の 0.15 [ N ] 0.15\,\mathrm{[N]} 0.15 [ N ] になります。電気量が違っても、二つの電荷が受ける力の大きさは等しい点に注意してください。
電界の強さを求める
例題2
真空中に Q = 4 n C Q = 4\,\mathrm{nC} Q = 4 nC の正の点電荷がある。この電荷から 0.2 [ m ] 0.2\,\mathrm{[m]} 0.2 [ m ] 離れた点の電界の強さを求めよ。また、その点に q = 5 n C q = 5\,\mathrm{nC} q = 5 nC の電荷を置いたときに受ける力を求めよ。ただし、k = 9 × 10 9 [ N ⋅ m 2 / C 2 ] k = 9 \times 10^9\,\mathrm{[N \cdot m^2/C^2]} k = 9 × 1 0 9 [ N ⋅ m 2 / C 2 ] とする。
解答と解説を見る Q = 4 × 10 − 9 [ C ] Q = 4 \times 10^{-9}\,\mathrm{[C]} Q = 4 × 1 0 − 9 [ C ] なので、電界の強さは
E = k Q r 2 = 9 × 10 9 × 4 × 10 − 9 0.2 2 = 36 0.04 = 900 [ V / m ] \begin{aligned}
E &= k\,\frac{Q}{r^2} = 9 \times 10^{9} \times \frac{4 \times 10^{-9}}{0.2^2} \\
&= \frac{36}{0.04} = 900\,\mathrm{[V/m]}
\end{aligned} E = k r 2 Q = 9 × 1 0 9 × 0. 2 2 4 × 1 0 − 9 = 0.04 36 = 900 [ V/m ] q = 5 × 10 − 9 [ C ] q = 5 \times 10^{-9}\,\mathrm{[C]} q = 5 × 1 0 − 9 [ C ] が受ける力は
F = q E = 5 × 10 − 9 × 900 = 4.5 × 10 − 6 [ N ] \begin{aligned}
F &= qE = 5 \times 10^{-9} \times 900 \\
&= 4.5 \times 10^{-6}\,\mathrm{[N]}
\end{aligned} F = q E = 5 × 1 0 − 9 × 900 = 4.5 × 1 0 − 6 [ N ] つまり 4.5 μ N 4.5\,\mu\mathrm{N} 4.5 μ N で、正電荷どうしなので Q Q Q から遠ざかる向きです。距離を 0.4 [ m ] 0.4\,\mathrm{[m]} 0.4 [ m ] に離せば、電界は 1 / 4 1/4 1/4 の 225 [ V / m ] 225\,\mathrm{[V/m]} 225 [ V/m ] になります。
電界が打ち消し合う点を求める
二つ以上の電荷があるとき、ある点の電界は、各電荷がつくる電界のベクトルの和になります。これを重ね合わせの原理といいます。同符号の電荷の間には、電界が逆向きになって打ち消し合う点が、必ず一つあります。
点 P では二つの電界が打ち消し合う
+
+
+Q
+4Q
P
EQ
E4Q
0.1 m
0.2 m
0.3 m
図12 電界の重ね合わせ。+Q から 0.1 m の点 P では、二つの電界が大きさ等しく逆向きになり打ち消し合う
例題3
真空中で、+ Q +Q + Q と + 4 Q +4Q + 4 Q の二つの点電荷を 0.3 [ m ] 0.3\,\mathrm{[m]} 0.3 [ m ] 離して置いた。二つの電荷を結ぶ線上で、電界の強さが 0 0 0 になる点は、+ Q +Q + Q から何 [ m ] \mathrm{[m]} [ m ] の位置か。
解答と解説を見る 図12の点 P が、+ Q +Q + Q から x [ m ] x\,\mathrm{[m]} x [ m ] の位置にあるとします。同符号の電荷の間では、二つの電界が逆向きになるので、大きさが等しいときに打ち消し合います。
k Q x 2 = k 4 Q ( 0.3 − x ) 2 k\frac{Q}{x^2} = k\frac{4Q}{(0.3 - x)^2} k x 2 Q = k ( 0.3 − x ) 2 4 Q 両辺の k Q kQ k Q を消して整理すると、( 0.3 − x ) 2 = 4 x 2 (0.3 - x)^2 = 4x^2 ( 0.3 − x ) 2 = 4 x 2 です。0 < x < 0.3 0 < x < 0.3 0 < x < 0.3 なので両辺の平方根をとって、
0.3 − x = 2 x ⇒ x = 0.1 [ m ] 0.3 - x = 2x \quad\Rightarrow\quad x = 0.1\,\mathrm{[m]} 0.3 − x = 2 x ⇒ x = 0.1 [ m ] よって、+ Q +Q + Q から 0.1 [ m ] 0.1\,\mathrm{[m]} 0.1 [ m ] の位置です。電気量が大きい方(+ 4 Q +4Q + 4 Q )から遠い側に、電界が 0 0 0 の点ができます。
試験で間違えやすいポイント
距離の2乗の入れ忘れ : r r r ではなく r 2 r^2 r 2 で割る。単位も c m \mathrm{cm} cm を m \mathrm{m} m に直してから2乗する
電気量の接頭語 : μ \mu μ は 10 − 6 10^{-6} 1 0 − 6 、n \mathrm{n} n は 10 − 9 10^{-9} 1 0 − 9 。桁を取り違えると答えが大きくずれる
向きの判断 : 公式に符号を入れて大きさを出すのではなく、大きさは絶対値、向きは同符号か異符号かで決める
作用・反作用 : 電気量が違っても、二つの電荷が受ける力の大きさは同じ
よくある質問
クーロンの法則と電界の強さは、何が違いますか。
クーロンの法則は、二つの電荷の間に働く力 F F F を表す式です。電界の強さ E E E は、その力を電荷 1 C あたりに直した量で、E = F / q E = F/q E = F / q の関係があります。力は受ける電荷によって変わりますが、電界は場所だけで決まる性質です。
比例定数 k と真空の誘電率 ε0 は、どう関係しますか。
k = 1 / ( 4 π ε 0 ) k = 1/(4\pi\varepsilon_0) k = 1/ ( 4 π ε 0 ) の関係があります。ε 0 = 8.854 × 10 − 12 [ F / m ] \varepsilon_0 = 8.854 \times 10^{-12}\,\mathrm{[F/m]} ε 0 = 8.854 × 1 0 − 12 [ F/m ] を代入すると、k ≈ 9 × 10 9 k \approx 9 \times 10^9 k ≈ 9 × 1 0 9 になります。問題で ε 0 \varepsilon_0 ε 0 が与えられたときは、4 π ε 0 4\pi\varepsilon_0 4 π ε 0 を使う式で計算します。
二つの電荷の大きさが違うと、働く力も違いますか。
力の大きさは違いません。電気量が大きい方の電荷も、小さい方の電荷も、同じ大きさの力を互いに及ぼし合います。向きは反対で、作用・反作用の関係です。電気量が大きい方が「強く押す」わけではない点に注意してください。
思い出してみよう
答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。
二つの電荷の間に働く力の向きは、符号でどう決まりますか? 同符号は反発し、異符号は引き合います。力の大きさは等しく、向きは反対です。
クーロンの法則の式と、各記号の意味を言えますか? F = k Q 1 Q 2 r 2 F = k\dfrac{Q_1Q_2}{r^2} F = k r 2 Q 1 Q 2 です。Q Q Q は電気量 [ C ] \mathrm{[C]} [ C ] 、r r r は距離 [ m ] \mathrm{[m]} [ m ] 、k ≈ 9 × 10 9 k \approx 9 \times 10^{9} k ≈ 9 × 1 0 9 は比例定数です。
距離を2倍、3倍にすると、力は何倍になりますか? 1 / 4 1/4 1/4 倍、1 / 9 1/9 1/9 倍です。力は距離の2乗に反比例します。
計算の前に、μ C \mu\mathrm{C} μ C や c m \mathrm{cm} cm をどうしますか。しないとどうなりますか? 基本単位の C \mathrm{C} C と m \mathrm{m} m に直します。距離を c m \mathrm{cm} cm のまま入れると、2乗するので 10 4 10^4 1 0 4 倍の誤差になります。
電界の強さ E E E の定義と、電界の中で電荷 q q q が受ける力の式は何ですか? E = F / q = k Q / r 2 E = F/q = kQ/r^2 E = F / q = k Q / r 2 で、単位は V / m \mathrm{V/m} V/m です。電荷 q q q が受ける力は F = q E F = qE F = q E です。
真空中で 2 μ C 2\,\mu\mathrm{C} 2 μ C と 3 μ C 3\,\mu\mathrm{C} 3 μ C を 0.3 [ m ] 0.3\,\mathrm{[m]} 0.3 [ m ] 離すと、力の大きさと向きは?距離を2倍にすると? 0.6 [ N ] 0.6\,\mathrm{[N]} 0.6 [ N ] の反発力です。距離を 0.6 [ m ] 0.6\,\mathrm{[m]} 0.6 [ m ] にすると 1 / 4 1/4 1/4 の 0.15 [ N ] 0.15\,\mathrm{[N]} 0.15 [ N ] になります。
まとめ
クーロンの法則は F = k Q 1 Q 2 / r 2 F = kQ_1Q_2/r^2 F = k Q 1 Q 2 / r 2 。同符号は反発、異符号は引き合う
力は距離の2乗に反比例し、距離が2倍なら 1 / 4 1/4 1/4 、3倍なら 1 / 9 1/9 1/9 になる
電界の強さは E = F / q = k Q / r 2 E = F/q = kQ/r^2 E = F / q = k Q / r 2 で、単位は V / m \mathrm{V/m} V/m 。電荷が受ける力は F = q E F = qE F = q E
計算の前に、μ C \mu\mathrm{C} μ C や c m \mathrm{cm} cm を基本単位に直す
複数の電荷がつくる電界は、ベクトルの和(重ね合わせ)で求める
静電気の次は、電界から電位、コンデンサへと学びが続きます。電気力線・電位・平行平板の電界は電界と電位 で図解しています。同じ理論科目の電気回路の基本は、オームの法則と直列回路 と並列回路の合成抵抗と分流の公式 で整理しています。静電気の力の考え方と合わせて、理論科目の土台を固めましょう。