前の記事では、RLC 直列回路のインピーダンスは、XL と XC の差で決まると確かめました(RLC直列回路のインピーダンス)。この XL と XC が等しくなる周波数で、回路の性質はがらりと変わります。これが共振です。この記事では、共振周波数の求め方、直列共振と並列共振のちがい、共振の鋭さを表す Q を、図と例題で順に確かめます。
共振の全体像
- 共振とは
- XL = XC になる周波数。Z = R になり、電圧と電流が同相になる
- 共振周波数の求め方
- f0 = 1/(2π√(LC))。R には関係しない
- 直列共振
- Z は最小、電流は最大。VL = VC = Q×V、Q = XL/R
- 並列共振
- Z は最大、電源の電流は最小。IL = IC で打ち消し合う
- 直列共振と並列共振の比較
- 共振回路の使いみち
- 共振の例題
共振とは
ブランコは、こぐタイミングが揺れの周期に合うと、少しの力でも大きく揺れます。図1のブランコのように、物には、揺れやすい決まった周期があります。その周期に合わせて力を加えると、大きな揺れが起こる現象を共振(共鳴)といいます。
1鎖2座面3吊り金具- 鎖 ブランコを吊っている。長さが揺れの周期にかかわる
- 座面 木の板の部分
- 吊り金具 座面の端に付いた金属の金具。鎖につながる
図1 鎖で吊られた木の座面のブランコ(写真はイメージ)
電気回路にも、同じことが起こります。コイルは電流が流れると磁気のエネルギーをため、コンデンサは電圧がかかると電気のエネルギーをためます。この 2 つがエネルギーを受け渡しあう周期は、L と C で決まります。電源の周波数がこれに合ったとき、回路は共振します。
共振の条件は、2 つのリアクタンスが等しいことです。
XL=XC
図2は、L=10[mH]、C=25[μF] の場合の XL と XC です。2 本の線が交わる周波数が共振周波数 f0 で、約 318[Hz] です。
図2 XL と XC のグラフが交わる周波数が共振周波数 f0。ここで XL = XC になる
f0 より低い周波数では XC が大きく、回路は容量性(電流が進む)になります。高い周波数では XL が大きく、誘導性(電流が遅れる)になります。ちょうど f0 では、合成したリアクタンス X=XL−XC が 0 になるので、インピーダンスは Z=R になり、電圧と電流は同相になります。
共振周波数の求め方
共振の条件 XL=XC に、XL=ωL と XC=1/(ωC) を代入して、角周波数 ω を求めます。
ωLω2ω0=ωC1=LC1=LC1[rad/s]
ω0=2πf0 なので、周波数で表すと次のとおりです。
f0=2πLC1[Hz]
図3に、この導き方を順に並べました。
図3 共振の条件 XL = XC から、共振周波数 f0 = 1/(2π√(LC)) を導く手順
この式で大事なのは、次の 2 点です。
- L や C が大きいほど、f0 は低くなる
- R は式に出てこないので、f0 に関係しない
L や C を変えたときの f0 は、次の表のとおりです。f0 は LC に反比例するので、L か C の一方を 4 倍にすると f0 は 2 分の 1、両方を 4 倍にすると 4 分の 1 になります。
| 変化 | f0 |
|---|
| L を 4 倍 | 1/2 倍 |
| C を 4 倍 | 1/2 倍 |
| L と C を 4 倍 | 1/4 倍 |
音叉は、たたくと、形で決まる決まった周波数で振動します。回路でも、L と C の値が、共振する周波数を決めます。図4は、音叉の例です。
1枝2柄の先3木の箱- 枝 U字の2本の枝。たたくと決まった周波数で振動する
- 柄の先 丸くなった端の部分
- 木の箱 音叉がのっている台
図4 木の箱の上に置かれた音叉(写真はイメージ)
直列共振
抵抗 R、コイル L、コンデンサ C を直列につなぎ、周波数 f0 の電源を加えます。XL=XC なので、インピーダンスは次のとおりです。
Z=R2+(XL−XC)2=R
図5のように、共振のときの回路は、次のようになります。
図5 直列共振では Z = R になり、電流は V ÷ R で最大。VL と VC は同じ大きさ
- インピーダンスは Z=R で、最小になる
- 電流は I=V/R で、最大になる
- 電圧と電流は同相で、力率は 1(cosθ=1)になる
- VL と VC は同じ大きさで逆向きなので、打ち消し合う。電源電圧は V=VR になる
力率の考え方は、交流の電力と力率で確かめられます。
VL と VC は、打ち消し合っていても、それぞれが 0 になるわけではありません。電流 I=V/R が流れるので、次の大きさになります。
VL=VC=XLI=XL×RV=RXLV
この XL/R を Q とおくと、VL=VC=QV になります。Q は共振の鋭さを表す量で、次の式で表せます。
Q=RXL=Rω0L=ω0CR1=R1CL
図6は、Q=2 の場合のベクトル図です。
図6 直列共振では VL と VC が逆向きで同じ大きさ。打ち消し合って V = VR になる
周波数を変えながら電流を調べると、電流は f0 で最大になる山の形になります。これを共振曲線といいます。図7のように、R が小さい(Q が大きい)ほど、山は高く鋭くなります。
図7 共振曲線。R が小さい(Q が大きい)ほど、f0 の山が高く鋭くなる
| R | Q | f0 の電流 |
|---|
| 4[Ω] | 5 | 3[A] |
| 10[Ω] | 2 | 1.2[A] |
表は、V=12[V]、L=10[mH]、C=25[μF] の場合です。f0 は R が変わっても同じです。
並列共振
抵抗 R、コイル L、コンデンサ C を並列につなぎ、電源の電圧を V とします。この記事では、この理想的な回路で考えます。各部の電流は、次のとおりです(並列回路の考え方は並列回路と同じです)。
| 電流 | 式 | 位相 |
|---|
| IR | V/R | V と同相 |
| IL | V/XL | 90∘ 遅れ |
| IC | V/XC | 90∘ 進み |
IL と IC は逆向きです。電源の電流 I は、IR と、IL と IC の差を、直角三角形の 2 辺として合成します。
I=IR2+(IC−IL)2
XL=XC になる周波数 f0 では、IL=IC です。差が 0 になるので、電源の電流は次のようになります。
I=IR=RV
図8のように、IL と IC は、電源を通らずに L と C のあいだを往復します。
図8 並列共振では IL と IC が打ち消し合い、電源の電流は IR だけで最小になる
- 電源の電流は I=IR で、最小になる
- インピーダンスは Z=V/I=R で、最大になる
- 電圧と電流は同相で、力率は 1 になる
- IL と IC は、電源の電流 I より大きくなることがある
共振周波数は、直列共振と同じ f0=1/(2πLC) です。
直列共振と並列共振の比較
直列共振と並列共振は、f0 の式は同じですが、インピーダンスと電流の様子が逆になります。図9は、Z と周波数の関係です。
図9 共振周波数 f0 で、直列共振は Z が最小(谷)、並列共振は Z が最大(山)になる
| 項目 | 直列共振 | 並列共振 |
|---|
| Z のグラフ | 谷の形 | 山の形 |
| インピーダンス | 最小(R) | 最大(R) |
| 電源の電流 | 最大(V/R) | 最小(V/R) |
| 打ち消し合うもの | VL と VC | IL と IC |
| 力率 | 1 | 1 |
共振回路の使いみち
共振回路は、特定の周波数だけを取り出すために使われます。ラジオの選局が代表的な例です。コイルと可変コンデンサを組み合わせ、つまみで C を変えて f0 を動かし、聞きたい放送の周波数に合わせます。C を小さくすると f0 は高くなり、大きくすると低くなります。
図10は、古い機器の内部に取り付けられたコイルと可変コンデンサです。可変コンデンサは、回すと金属の羽根の重なりが変わり、容量が変わる部品です。
1コイル2可変コンデンサの羽根3軸- コイル 円筒に銅線を巻いた部品。インダクタンスを決める
- 可変コンデンサの羽根 重なりが変わると容量が変わる
- 軸 真鍮色のハブの部分。回すと羽根が動く
図10 コイルと可変コンデンサ(写真はイメージ)
Q が大きい回路ほど、f0 の近くの周波数だけを強く取り出せます。f0 からはなれた周波数の信号は、電流が小さくなります。
コイルとコンデンサは、基板の上でも対にして使われます。図11の基板にも、コイルとコンデンサが載っています。この L と C の値で、共振周波数が決まります。
1金属ケースの部品2コンデンサ3コイル- 金属ケースの部品 銀色の楕円形の部品
- コンデンサ 黄褐色の小型の部品
- コイル 銅線を巻いた部品
図11 金属ケースの部品、コンデンサ、コイルが載った基板(写真はイメージ)
共振の例題
例題で使う式は、次のとおりです。
| 求めるもの | 式 |
|---|
| 共振周波数 | ω0=1/LC、f0=ω0/(2π) |
| 直列共振の電流 | I=V/R |
| 直列共振の電圧 | VL=VC=QV、Q=XL/R |
| 並列共振の電流 | I=V/R、IL=V/XL |
解答と解説を見る
単位を H、F に直して、まず LC を求めます。
LC=2×10−3×20×10−6=4×10−8これを使って、ω0 を求めます。
ω0=LC1=4×10−81=2×10−41=5000[rad/s]周波数にするには、2π で割ります。
f0=2πω0=2π5000≈796[Hz]
解答と解説を見る
f0=1/(2πLC) の両辺を 2 乗して、C について解きます。
C=(2πf0)2L1=(2π×1000)2×0.011≈3.948×1051≈2.53×10−6[F]したがって、C≈2.53[μF] です。
解答と解説を見る
まず、LC を求めます。
LC=10×10−3×25×10−6=2.5×10−7共振の角周波数は、次のとおりです。
ω0=LC1=2.5×10−71=5×10−41=2000[rad/s]したがって、f0=2000/(2π)≈318[Hz] です。共振のとき Z=R なので、電流は次のとおりです。
I=RV=412=3[A]コイルのリアクタンスと電圧は、次のとおりです。
XL=ω0L=2000×0.01=20[Ω]VL=XLI=20×3=60[V]Q は、次のとおりです。VL=QV=5×12=60[V] とも一致します。
Q=RXL=420=5
解答と解説を見る
まず、LC を求めます。
LC=80×10−3×50×10−6=4×10−6共振の角周波数は、次のとおりです。
ω0=LC1=4×10−61=2×10−31=500[rad/s]したがって、f0=500/(2π)≈79.6[Hz] です。このときのリアクタンスは、次のとおりです。
XL=ω0L=500×0.08=40[Ω]XC=ω0C1=500×50×10−61=40[Ω]各電流は、電圧をそれぞれの R、XL、XC で割って求めます。
IRILIC=50100=2[A]=40100=2.5[A]=40100=2.5[A]IL=IC で打ち消し合うので、電源の電流は I=IR=2[A] です。IL と IC は、電源の電流より大きくなっています。
よくある質問
共振周波数は、なぜ R に関係しないのですか。
共振の条件が XL=XC で、式に R が出てこないからです。R は、共振のときの電流の大きさや、共振曲線の山の高さ・鋭さ(Q)を決めます。
直列共振で、VL と VC が電源電圧より大きくなってもよいのですか。
かまいません。VL と VC は逆向きで打ち消し合い、電源にとっては R の電圧だけが見えるからです。VL=VC=QV なので、Q>1 なら電源電圧より大きくなります。例題3では、電源電圧 12[V] に対して VL=60[V] です。
並列共振では、なぜ電源の電流が最小になるのですか。
IL と IC が同じ大きさで逆向きになり、打ち消し合うからです。電源の電流は IR だけになります。周波数が f0 からずれると IL と IC の差が残るので、電源の電流は増えます。
共振のとき、力率はいくつですか。
直列共振でも並列共振でも、電圧と電流が同相になるので、力率は 1 です。力率の求め方は、交流の電力と力率で確かめられます。
問題で ω0 と f0 のどちらを答えればよいですか。
聞かれたほうを答えます。ω0=1/LC の単位は [rad/s]、f0=ω0/(2π) の単位は [Hz] です。
思い出してみよう
答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。
共振とは、どんな状態ですか?
XL=XC になり、合成したリアクタンスが 0 になる状態です。電圧と電流が同相になり、力率は 1 です。
共振周波数の式は?
ω0=1/LC、f0=1/(2πLC) です。R には関係しません。
直列共振のとき、Z、I、VL・VC はどうなりますか?
Z=R で最小、I=V/R で最大です。VL と VC は同じ大きさで逆向きになり、打ち消し合います。
Q の式と意味は?
Q=XL/R=ω0L/R です。共振の鋭さを表し、VL=VC=QV になります。
並列共振のとき、Z と電源の電流はどうなりますか?
Z は最大で、電源の電流は I=IR で最小です。IL=IC で打ち消し合います。
L=10[mH]、C=100[μF] の共振の角周波数 ω0 は?
ω0=1/0.01×100×10−6=1000[rad/s] です。
まとめ
- 共振の条件は XL=XC。このとき合成したリアクタンスが 0 になり、Z=R、電圧と電流は同相(力率 1)になる
- 共振周波数は f0=1/(2πLC)(ω0=1/LC)。L や C が大きいほど低くなり、R には関係しない
- 直列共振は Z が最小、電流が最大(I=V/R)。VL=VC=QV で、Q=XL/R。Q が大きいほど共振曲線は鋭い
- 並列共振は Z が最大、電源の電流が最小(I=IR)。IL=IC で打ち消し合う
- 共振回路は、コイルと可変コンデンサを使ったラジオの選局など、特定の周波数を取り出すのに使われる
共振のとき Z=R になる理由は、RLC直列回路のインピーダンスの三角形で確かめられます。力率が 1 になることは、交流の電力と力率とあわせて見直してください。