並列回路の合成抵抗は、抵抗の逆数を足した値の逆数で求めます。抵抗が二つなら「和分の積」R=R1R2/(R1+R2) が近道で、合成値はどの枝の抵抗よりも小さくなります。この記事では、並列回路の性質から合成抵抗、分流の公式、直並列の混合回路、家庭の配線との関係までを、図を使って順に確認します。
並列回路の全体像
- 並列回路とは
- 電圧はどの枝も共通
- 電流は枝に分かれ、合計は全電流
- 合成抵抗の求め方
- 逆数の和(二つなら和分の積)
- 合成値はどの枝よりも小さくなる
- 分流の公式
- 直並列の混合回路
- 家庭の配線は並列
並列回路とは
電気理論の六つの単元のうち、並列回路は直流回路の単元に含まれます。直列回路の次に学ぶ内容です。
図1 電気理論の単元の並びと、この記事の位置(直流回路)
複数の抵抗の両端を、それぞれ同じ二つの点につないだ回路が並列回路です。電流の通り道が枝分かれします。直列回路と見比べると、違いがはっきりします。
図2 直列と並列の違い。直列は通り道が1本、並列は電流の通り道が枝分かれする
直列は通り道が1本で、電流が共通になり電圧が分かれました。並列は通り道が枝分かれするので、反対に電圧が共通になり電流が分かれます。直列回路については、オームの法則と直列回路の記事で扱っています。
並列回路の二つの性質
図3は、電源 E に抵抗 R1、R2 を並列につないだ回路です。電流を青、電圧を緑で示しています。
図3 並列回路の電流と電圧。電圧(緑)はどの枝も E で共通、電流(青)は枝ごとに分かれる
並列回路の性質は、直列回路と対になっています。
- どの枝にも、同じ電圧が加わる(V1=V2=E)
- 全電流は、各枝の電流の和になる(I=I1+I2)
どの枝も、電源の同じ二つの端子の間につながっているので、電源から見た電圧は同じです。そして電流は、枝分かれ点でそれぞれの道に流れ込み、合流点でまた合わさります。枝分かれ点に入る電流の合計と出ていく電流の合計は等しく、これをキルヒホッフの電流則といいます。
身近な並列回路の代表が、電源タップです。コンセントの同じ二つの線から、すべての機器へ枝分かれしてつながっています。
1ライト2充電器3扇風機4電源タップ- ライト 加わる電圧は100 V で、ほかの機器と同じ
- 充電器 一つ抜いても、ほかの機器は止まらない
- 扇風機 機器ごとに別の大きさの電流が流れる
- 電源タップ 機器を並列につなぐ。全電流は各機器の電流の和
図4 電源タップ。どの機器にも同じ電圧が加わる並列つなぎ(写真はイメージ)
並列回路の合成抵抗の式を導く
各枝の電圧は E で共通なので、各枝の電流はオームの法則から I1=E/R1、I2=E/R2 です。全電流はこの和なので、
I=I1+I2=R1E+R2E=E(R11+R21)
となります。合成抵抗 R に置き換えたときの式 I=E/R と見比べると、1/R=1/R1+1/R2 が得られます。次の節で、この式の使い方を確認します。
並列回路の合成抵抗の求め方
並列回路の合成抵抗は、抵抗の逆数の和の、さらに逆数です。
R1=R11+R21+⋯+Rn1
抵抗の逆数 1/R はコンダクタンス G [S](ジーメンス)と呼ばれ、電流の流れやすさを表します。並列では流れやすさが足し算になる、と読み替えると意味がつかめます。枝が増えると電流の通り道が増え、全体として流れやすくなるので、合成抵抗は小さくなります。
図5 並列の枝を増やすと、合成抵抗は小さくなる(12 Ω の抵抗を並列にした場合)
図5のように、同じ 12Ω の抵抗を並列に増やすと、合成抵抗は 12、6、4、3Ω と下がっていきます。
和分の積と使い分け
抵抗が二つのときは、通分して整理した次の形が便利です。
R=R1+R2R1R2
分子が積、分母が和なので「和分の積」と呼ばれます。これは R11+R21=R1R2R1+R2 の逆数をとっただけです。同じ値の抵抗が n 個あるなら、R=R1/n と暗算できます。
| 状況 | 使う式 |
|---|
| 抵抗が二つ | R=R1+R2R1R2 |
| 同じ値が n 個 | R=nR1 |
| 三つ以上の一般形 | R1=R11+R21+R31+⋯ |
解答と解説を見る
三つなので逆数の和で計算します。公倍数の 60 で通分すると、
R1=201+301+601=603+602+601=606=101よって R=10[Ω] です。最小の 20[Ω] より小さく、妥当な値です。
枝を増やすほど電流の通り道が増えるので、合成抵抗は小さくなり、電源から流れる全電流は増えます。次の写真は、電球を同じ二本の母線に並列につないだ実験装置です。
1電球2空きソケット3上の母線4下の母線- 電球 どの電球にも同じ電圧が加わる
- 空きソケット 枝を一つ増やすと全電流は増える
- 上の母線 電源の一方の線。各枝がここから分かれる
- 下の母線 電源のもう一方の線。各枝がここへ戻る
図6 電球を二本の母線に並列につなぐ。枝を増やすほど全電流は増える(写真はイメージ)
分流の公式の使い方
並列回路では、電流は抵抗の逆比に分かれます。抵抗が小さい枝ほど、多くの電流が流れます。図7は、全電流 6[A] が R1=6Ω と R2=12Ω の枝に分かれる様子を、帯の太さで表したものです。
図7 分流の考え方。帯の太さが電流の大きさ。抵抗の小さい枝ほど太い電流が流れる
分流の公式を導く
二つの枝の電圧は等しく、E=R1I1=R2I2 です。一方で全体では E=RI、R=R1R2/(R1+R2) なので、
I1=R1E=R1RI=R1+R2R2I
となります。I2 も同様で、全電流を I とすると、二つの枝の電流は次のとおりです。
I1=R1+R2R2II2=R1+R2R1I
解答と解説を見る
和分の積より、
R=6+126×12=1872=4[Ω]全電流は
I=RE=424=6[A]各枝は電圧が 24[V] で共通なので、
I1=624=4[A],I2=1224=2[A]I1+I2=6[A] で全電流と一致します。分流の公式で I1=6+1212×6=4[A] と求めても同じです。
並列回路の消費電力
並列回路では電圧が共通なので、消費電力は P=V2/R で比べると分かりやすくなります。抵抗が小さい枝ほど、大きな電力を消費します。例題2で確かめると、
P1=6242=96[W],P2=12242=48[W]
合計は 144[W] で、電源が供給する電力 EI=24×6=144[W] と一致します。直列では電流が共通なので抵抗が大きい方が大電力、並列では電圧が共通なので抵抗が小さい方が大電力、と対にして覚えます。
電源を並列にする例も身近にあります。同じ電圧の電池を並列につなぐと、電圧は変わらないまま、取り出せる電流(容量)が大きくなります。
1プラス端子2赤い線3黒い線4もう一つの電池- プラス端子 同じ向きの端子どうしをつなぐ
- 赤い線 プラス端子どうしを結ぶ
- 黒い線 マイナス端子どうしを結ぶ
- もう一つの電池 電圧は一つ分と同じ
図8 同じ電池を並列につなぐ。電圧はそのままで、電流の供給力が増える(写真はイメージ)
直並列の混合回路の解き方
実際の試験では、直列と並列が組み合わさった回路が出題されます。手順は共通で、内側の並列部分から順に、一つの抵抗へまとめていきます。図9に、次の例題を3段階で解く流れを示します。
図9 直並列回路の解き方。内側の並列から順に、一つの抵抗になるまでまとめる
解答と解説を見る
まず並列部分をまとめます。
R23=6+126×12=4[Ω]全体の合成抵抗は R=4+4=8[Ω] なので、
I=816=2[A]並列部分の電圧は R23I=4×2=8[V] です。分圧の公式で 4+44×16=8[V] と求めても一致します。
混合回路を解くときのコツ
- 回路図を見て、どれとどれが並列かを先に決める。両端が同じ二点につながっていれば並列
- まとめた後の回路図を書き直して、一段ずつ簡単にしていく
- 最後に、まとめた順の逆にたどって各部の電圧・電流を出す(例題3なら、全電流 2[A] から並列部分の電圧 8[V]、さらに各枝の電流へ)
- 検算は、各枝の電流の和が全電流に等しいか、各部の電圧の和が E に等しいかを確かめる
回路の途中に抵抗を直列、その先に抵抗を並列につなぐと、直並列の混合回路になります。次の写真は、ブレッドボード上に作った例です。
1直列の抵抗2並列の2本3電池4戻りの線- 直列の抵抗 全電流がすべて通る。並列部分の合成抵抗に足し算する
- 並列の2本 両端が同じ二点につながり、電圧が共通。先に1本にまとめる
- 電池 電源。電圧 E を回路全体に加える
- 戻りの線 電流が電池のマイナス側へ戻る通り道
図10 ブレッドボード上の直並列回路。まず並列の2本を1本にまとめ、直列の抵抗に足す(写真はイメージ)
家庭の配線は並列
私たちの身のまわりで、並列回路が使われている例が家庭の配線です。図11は、住宅の分電盤です。
図11 住宅の分電盤。回路ごとのブレーカーが電源から並列に枝分かれしている(写真はイメージ)
分電盤の中には、部屋や設備ごとに分かれた多数の配線用遮断器(ブレーカー)が並んでいます。屋内の電気は、それぞれの回路が電源の同じ二本の線から枝分かれする、並列の形で配られています。この形だから、どの機器にも同じ電圧が加わり、一つの機器をオフにしても、ほかの機器は止まりません。図12は、その考え方を回路図にしたものです。
図12 家庭の配線は並列。どの機器にも 100 V が加わり、流れる電流は足し合わせになる
解答と解説を見る
各機器の電圧は 100[V] で共通なので、電流は I=P/V で求めます。
I1I2=1001000=10[A]=100500=5[A]並列なので、全電流は電流の和で 10+5=15[A] です。確認のため、抵抗で考えます。R=V2/P より、ドライヤーは 10Ω、電子レンジは 20Ω です。和分の積から合成抵抗は 10+2010×20=320Ω で、電流は 100÷320=15[A] と一致します。
定格 20[A] までの余裕は 20−15=5[A] なので、足せる電力は 100×5=500[W] です。
よくある質問
並列回路の合成抵抗が、小さくなるのはなぜですか。
並列にすると、電流の通り道が増えるからです。同じ電圧を加えたとき、通り道が増えた分だけ全電流は大きくなります。R=E/I ですから、全電流が増えれば合成抵抗は小さくなります。どの枝よりも小さくなるのは、そのためです。
逆数の和と和分の積は、どう使い分けますか。
抵抗が二つなら、和分の積 R1R2/(R1+R2) が速くて間違えにくい方法です。三つ以上のときは逆数の和で計算するか、二つずつ順にまとめます。同じ値の抵抗が並ぶときは、R1/n と暗算できます。どれも結果は同じなので、一番楽なものを選んでかまいません。
並列回路で一つの抵抗が切れると、ほかの抵抗はどうなりますか。
ほかの枝は影響を受けず、電圧も電流も変わりません。ただし、通り道が一つ減るので、全電流は減ります。合成抵抗は、切れる前より大きくなります。一つの枝が切れても、残りの枝が動き続ける。この性質が、家庭の配線に並列が使われる理由です。
思い出してみよう
答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。
並列回路で、どの枝にも共通な量と、分かれる量は何ですか?
共通なのは電圧(どの枝も E)です。分かれるのは電流で、全電流は各枝の電流の和になります。
並列の合成抵抗の式と、抵抗が二つのとき・同じ値が n 個のときの近道は何ですか?
R1=R11+R21+⋯ です。二つなら和分の積 R1+R2R1R2、同じ値なら R1/n です。和分の積は二つのときだけ使えます。
並列の合成抵抗を出したあと、答えの大きさで何を確かめますか?
どの枝の抵抗よりも小さくなっているかを確かめます。一番小さい抵抗より大きければ、計算ミスです。
6Ω と 12Ω を並列にしたときの合成抵抗はいくらですか。24[V] を加えたときの全電流は?
和分の積で 6+126×12=4[Ω] です。全電流は 24/4=6[A] で、4[A] と 2[A] に分かれます。
分流の公式で、分子に来るのは自分の抵抗ですか、相手の抵抗ですか?
相手側の抵抗です。分圧は自分の抵抗なので逆になります。抵抗の小さい枝ほど、多くの電流が流れます。
家庭の配線が並列になっているのは、なぜですか?
どの機器にも同じ電圧(100[V])が加わるからです。一つの枝が切れても、ほかの枝は動き続けます。
まとめ
- 並列回路は、電圧が共通で、全電流は各枝の電流の和になる
- 合成抵抗は逆数の和。二つなら和分の積、同じ値なら R1/n。結果はどの枝よりも小さくなる
- 分流は抵抗の逆比に分かれ、分子は相手の抵抗
- 混合回路は、内側の並列部分から一つずつまとめる
- 家庭の配線は並列で、どの機器にも同じ電圧が加わり、電流は足し算になる
並列の合成抵抗の式は、直列の足し算と対になっています。直列の考え方を確認したい場合は、オームの法則と直列回路に戻って確かめましょう。分流と分圧の式を区別できるようになると、ブリッジ回路やテブナンの定理などの応用にもつながります。家庭の電気設備が法令上どの区分に入るかは、電気工作物の区分とは?で整理しています。