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理論電気理論 / 交流回路13分で読めます

有効電力・無効電力・皮相電力とは|交流電力と力率の求め方を図解

電験三種の有効電力・無効電力・皮相電力を図解で整理します。瞬時電力の波形から P=VIcosθ を導き、電力の三角形、力率、RL直列回路、複数の負荷の合成、例題までを順に確認できます。

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工場の床に4台の青緑色の大型モーターが並ぶ写真
この記事の目次
  1. 有効電力・無効電力・皮相電力とは
  2. 瞬時電力の波形と有効電力の求め方
  3. 抵抗だけの回路
  4. 電流が遅れる回路
  5. 電力の三角形と力率の求め方
  6. RL 直列回路の電力
  7. 遅れ無効電力と進み無効電力
  8. 複数の負荷をつないだときの電力の合成
  9. 有効電力・無効電力・皮相電力の例題
  10. よくある質問
  11. 有効電力と消費電力は同じですか。
  12. 無効電力は、むだに捨てている電力ですか。
  13. 力率 0.8 だけで、遅れか進みか分かりますか。
  14. 皮相電力を足してはいけないのはなぜですか。
  15. まとめ
図解でわかる 電験三種 理論 1 直列回路 の表紙理論を図解で読む図解でわかる 電験三種 理論 1
直列回路
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コイルやコンデンサがあると、交流の電流は電圧からずれます。このずれのせいで、交流の電力は電圧と電流を掛けるだけでは決まらず、仕事になる有効電力と、往復するだけの無効電力に分かれます。この記事では、瞬時電力の波形から有効電力・無効電力・皮相電力と力率の式を導き、RL 直列回路や複数の負荷を合わせた計算まで順に確認します。

有効電力・無効電力・皮相電力の全体像
  • 3つの電力とは
    • 皮相電力 S は、有効電力 P と無効電力 Q に分かれる
    • 単位は S が V·A、P が W、Q が var
  • 瞬時電力と有効電力
    • 電流が電圧からずれると、瞬時電力に負の部分が出る
    • 瞬時電力の平均が P = VI cosθ
  • 電力の三角形と力率
    • S の2乗 = P の2乗 + Q の2乗、力率 cosθ = P ÷ S
    • RL 直列回路では P = I の2乗 × R
  • 遅れと進みの無効電力
    • 電流が遅れると Q は正、進むと Q は負
  • 複数の負荷の合成
    • P と Q を足してから S と力率を出す。S は足せない

有効電力・無効電力・皮相電力とは

直流回路の電力は、P=VIP = VI の1つだけでした。交流では、電流が電圧からずれると、電力が3つの量に分かれます。

電源が負荷に送り出す電力の見かけの大きさが皮相電力 SS で、電圧の実効値 VV と電流の実効値 II の積です。このうち、熱・光・動力として実際に使われる分が有効電力 PP、電源と負荷のあいだを行き来するだけで使われない分が無効電力 QQ です。図1のように、3つの電力は直角三角形の関係で、S2=P2+Q2S^2 = P^2 + Q^2 になります。

皮相電力 S = VI 単位は V·A(電源が送る見かけの電力) 有効電力 P 単位は W 熱・光・動力になる 無効電力 Q 単位は var 電源と負荷を往復する S2 = P2 + Q2
図1 電源が送り出す見かけの電力 S は、仕事になる P と往復する Q に分かれる

3つの電力は、単位も別々に書き分けます。

名前単位意味
皮相電力 SSV⋅A\mathrm{V\cdot A}電源が送り出す見かけの電力
有効電力 PPW\mathrm{W}熱・光・動力になる電力
無効電力 QQvar\mathrm{var}電源と負荷の間を往復する電力

「消費電力」といえば、ふつうは有効電力のことです。皮相電力は、電源や電線が負担しなければならない大きさの目安になります。

家庭の電力量計が積算するのは、有効電力の量です。図2の電力量計では、中の円盤が回る速さが有効電力に比例し、その回転を積算して電力量を表示します。

グレーの箱に丸いガラスカバーがつき、中に銀色の円盤が見える電力量計の写真
  1. ガラスカバー 中の円盤を守る
  2. 円盤 回る速さが有効電力に比例する
  3. 表示窓 積算した量が出る
  4. 配管 電線を通す管
図2 電力量計。積算するのは、熱・光・動力になった有効電力の量(写真はイメージ)

瞬時電力の波形と有効電力の求め方

なぜ電力が3つに分かれるのかは、各瞬間の電力 p=vip = vi を波形で見ると分かります。この pp を瞬時電力といいます。電圧と電流を次のように置きます。

v=2 Vsin⁡ωti=2 Isin⁡(ωt−θ)\begin{gathered} v = \sqrt{2}\,V\sin\omega t \\ i = \sqrt{2}\,I\sin(\omega t - \theta) \end{gathered}

VV、II は実効値です。θ\theta は、電流が電圧より遅れる角度(位相差)です。

抵抗だけの回路

電流が電圧と同じ位相(θ=0\theta = 0)のとき、瞬時電力は次のようになります。

p=2VIsin⁡2ωt=VI(1−cos⁡2ωt)p = 2VI\sin^2\omega t = VI(1 - \cos 2\omega t)

図3のように、vv と ii は同時に正負が入れ替わるので、掛け合わせた pp はつねに 0 以上です。平均は VIVI になります。

電圧 v 電流 i 平均 P p 0 180° 360° 540° 720° ωt p はつねに 0 以上。電源から負荷へ流れ続ける
図3 抵抗だけの回路。v と i が同時に増減するので、p はつねに 0 以上になる

電流が遅れる回路

次に、電流が電圧より 60∘60^\circ 遅れる場合を見ます。図4のように、vv と ii の符号がちがう時間が現れ、その間は pp が負になります。pp が負のときは、電力が負荷から電源へ戻っています。

電圧 v 電流 i 平均 P p 0 180° 360° 540° 720° ωt p が負の部分は、負荷から電源へ戻る電力
図4 電流が 60° 遅れると、p に負の部分が現れ、平均 P は小さくなる

正の部分から戻る分を差し引いた平均が、実際に使われる電力です。式で確かめます。積和の公式 sin⁡Asin⁡B=12{cos⁡(A−B)−cos⁡(A+B)}\sin A\sin B = \frac{1}{2}\{\cos(A-B) - \cos(A+B)\} を使うと、

p=vi=2VIsin⁡ωt sin⁡(ωt−θ)=VI{cos⁡θ−cos⁡(2ωt−θ)}\begin{aligned} p &= vi = 2VI\sin\omega t\,\sin(\omega t - \theta) \\ &= VI\{\cos\theta - \cos(2\omega t - \theta)\} \end{aligned}

となります。cos⁡(2ωt−θ)\cos(2\omega t - \theta) を展開して整理すると、

p=VIcos⁡θ (1−cos⁡2ωt)−VIsin⁡θ sin⁡2ωt\begin{aligned} p &= VI\cos\theta\,(1 - \cos 2\omega t) \\ &\quad - VI\sin\theta\,\sin 2\omega t \end{aligned}

です。第1項は、つねに 0 以上で、平均が VIcos⁡θVI\cos\theta です。第2項は、正負に振れて平均が 0 になり、振幅が VIsin⁡θVI\sin\theta です。図5は、この2つに分けた波形です。

pP(P の部分) pQ(Q の部分) 平均 P 平均 0 0 180° 360° 540° 720° ωt
図5 瞬時電力は、平均が P の部分と、平均が 0 で往復する Q の部分の和

どちらの項も、電圧や電流の2倍の周波数で振動します(50 Hz の電源なら 100 Hz)。平均が 0 の第2項は、電源と負荷の間を行き来するだけなので、仕事にはなりません。

θ=60∘\theta = 60^\circ のとき cos⁡θ=0.5\cos\theta = 0.5 なので、pp の最大は 1.5VI1.5VI、最小は −0.5VI-0.5VI、平均は 0.5VI0.5VI です。コイルだけの回路のように θ=90∘\theta = 90^\circ になると、cos⁡θ=0\cos\theta = 0 で P=0P = 0 です。電力は往復するだけで、消費されません。

電力の三角形と力率の求め方

前の節で出た3つの式を、あらためて並べます。

S=VIP=VIcos⁡θQ=VIsin⁡θ\begin{gathered} S = VI \\ P = VI\cos\theta \\ Q = VI\sin\theta \end{gathered}

PP と QQ を2乗して足すと、cos⁡2θ+sin⁡2θ=1\cos^2\theta + \sin^2\theta = 1 より P2+Q2=(VI)2=S2P^2 + Q^2 = (VI)^2 = S^2 です。つまり、PP を底辺、QQ を高さ、SS を斜辺とする直角三角形ができます。これが電力の三角形で、図6のように、慣例として QQ を上向きに描きます。

θ P = VI cosθ Q = VI sinθ S = VI S2 = P2 + Q2 力率 cosθ = P/S
図6 電力の三角形。底辺 P、高さ Q、斜辺 S で、S の2乗は P の2乗と Q の2乗の和
S=P2+Q2S = \sqrt{P^2 + Q^2}

底辺と斜辺の比 cos⁡θ\cos\theta が力率です。

力率=cos⁡θ=PS\text{力率} = \cos\theta = \frac{P}{S}

力率は 0 から 1 の値で、1 に近いほど、電源が送り出した電力が有効に使われます。θ\theta は力率角といい、cos⁡θ\cos\theta が分かっているときの QQ は、sin⁡θ=1−cos⁡2θ\sin\theta = \sqrt{1 - \cos^2\theta} から出せます。

力率は電流の大きさにも関わります。単相で P=VIcos⁡θP = VI\cos\theta なので、I=P/(Vcos⁡θ)I = P / (V\cos\theta) です。同じ有効電力でも、力率が低いほど電流が大きくなり、電線や機器の負担が増えます。この対策の力率改善は、力率改善の記事で扱います。

RL 直列回路の電力

抵抗 RR とコイル(リアクタンス XLX_L)の直列回路では、インピーダンス Z=R2+XL2Z = \sqrt{R^2 + X_L^2} で、電流は I=V/ZI = V / Z です。電圧と電流の位相差 θ\theta は、図7の上のインピーダンスの三角形の角で、

cos⁡θ=RZ,sin⁡θ=XLZ\cos\theta = \frac{R}{Z}, \qquad \sin\theta = \frac{X_L}{Z}

となります。V=IZV = IZ を P=VIcos⁡θP = VI\cos\theta などに代入すると、

P=VIcos⁡θ=IZ⋅I⋅RZ=I2RQ=VIsin⁡θ=I2XLS=VI=I2Z\begin{gathered} P = VI\cos\theta = IZ \cdot I \cdot \frac{R}{Z} = I^2R \\ Q = VI\sin\theta = I^2X_L \\ S = VI = I^2Z \end{gathered}

です。有効電力は抵抗 RR で消費される電力、無効電力はコイルの XLX_L で往復する電力と読めます。図7のように、インピーダンスの三角形の各辺に I2I^2 を掛けると、電力の三角形になります。

インピーダンスの三角形 θ R XL Z Z = √(R2 + XL2) 力率 cosθ = R/Z 各辺に I2 を掛ける 電力の三角形 θ P = I2R Q = I2XL S = I2Z S = √(P2 + Q2) 力率 cosθ = P/S
図7 インピーダンスの三角形に I の2乗を掛けると、電力の三角形になる

RC 直列回路でも、XLX_L を XCX_C に替えれば同じ形で、Q=I2XCQ = I^2X_C は進み無効電力です。直列回路の電流の考え方は、直列回路とオームの法則で確かめられます。

遅れ無効電力と進み無効電力

コイルだけの回路では、電流は電圧より 90∘90^\circ 遅れます。コンデンサだけの回路では、電流は電圧より 90∘90^\circ 進みます。電流が遅れるときを正、進むときを負と決めると、Q=VIsin⁡θQ = VI\sin\theta の符号が次のように決まります。

負荷電流QQ
コイル電圧より遅れる正(遅れ無効電力)
コンデンサ電圧より進む負(進み無効電力)

図8は、電圧 VV を基準に電流 II の向きを描いた図です。電流が VV より遅れる(下側に回る)と Q>0Q > 0、進む(上側に回る)と Q<0Q < 0 です。

コイル(遅れ) V I θ コンデンサ(進み) V I θ 電流が遅れる Q > 0 電流が進む Q < 0
図8 電流が電圧より遅れるとき Q は正、進むとき Q は負

コイルを使う機器は、遅れ無効電力が必要です。モーターや変圧器は、磁界を作るために電流を遅らせます。図9の蛍光灯の安定器も、コイルで電流を制限する部品なので、遅れ無効電力を使います。

天井の器具に蛍光管が1本つき、中央に金属の安定器の箱が見える照明器具の写真
  1. 安定器 コイルで電流を制限する
  2. 蛍光管 光を出す
  3. 配線 電源側につながる
  4. ソケット 蛍光管の端を支える
図9 蛍光灯の器具。中央の安定器はコイルを使うので、電流が電圧より遅れる(写真はイメージ)

遅れ無効電力は、進み無効電力で打ち消せます。負荷にコンデンサを並列につなぐと、電源が送る QQ が小さくなり、力率が上がります。これが力率改善で、工場や変電設備では、図10のような進相用のコンデンサ設備が使われます。

青空の下、架台にグレーのコンデンサ缶が2段に並んだ設備の写真
  1. コンデンサ缶 進み無効電力を出す
  2. 碍子 缶を絶縁して支える
  3. 架台 缶を載せる鉄枠
図10 コンデンサ設備。進み無効電力を出して、負荷の遅れ無効電力を打ち消す(写真はイメージ)

複数の負荷をつないだときの電力の合成

工場や家庭では、モーター、照明、ヒーターなど、力率のちがう負荷が同じ電源につながります。全体の電力は、次のように合成します。

量足し算理由
PPできる電力の和になる
QQできる遅れを正、進みを負として足す
SS、力率できない足した PP、QQ から出す

手順は3つです。(1) 各負荷の PP と QQ を求める。(2) PP どうし、QQ どうしを足す。(3) S=P2+Q2S = \sqrt{P^2 + Q^2} と、力率 cos⁡θ=P/S\cos\theta = P / S を出す。

図11のように、SS は PP と QQ を直角に組んだ三角形の斜辺です。2つの負荷の S1S_1、S2S_2 をそのまま足すと、実際より大きな値になります。SS が足せるのは、2つの負荷の力率が等しく、三角形が同じ向きに重なるときだけです。

S1 S2 S P1 P2 0 P = P1 + P2 Q = Q1 + Q2 S < S1 + S2(足し算にならない)
図11 負荷を合成するときは P と Q を足す。S の合計は S1 + S2 より小さい

分電盤の主幹ブレーカを流れる電流も、この合成で決まります。単相の VV なら、すべての負荷の PP と QQ を足した全体の SS を使って、I=S/VI = S / V です。

蓋が開いた分電盤に、主幹ブレーカと2段の分岐ブレーカが並んだ写真
  1. 主幹ブレーカ 全負荷の電流が通る
  2. 分岐ブレーカ 負荷ごとに回路を分ける
  3. 端子台 配線をまとめてつなぐ
図12 分電盤。主幹には、すべての負荷を合わせた電流が流れる(写真はイメージ)

電力を複素数で表すと、複素電力 S˙=V˙I˙∗\dot{S} = \dot{V}\dot{I}^{*}(I˙∗\dot{I}^{*} は I˙\dot{I} の共役複素数)の実部が PP、虚部が QQ になり、遅れの QQ が正で出ます。電圧の側を共役にする流儀では符号が逆になるので、問題文の定義を確かめてください。複素数の扱いは、複素数と記号法の記事で説明します。

有効電力・無効電力・皮相電力の例題

問題で与えられる量によって、使う式を選びます。

与えられた量使う式
VV、II、θ\thetaP=VIcos⁡θP = VI\cos\theta、Q=VIsin⁡θQ = VI\sin\theta
RR、XLX_L、VVI=V/ZI = V/Z、P=I2RP = I^2R、Q=I2XLQ = I^2X_L
PP と力率S=P/cos⁡θS = P/\cos\theta、Q=S2−P2Q = \sqrt{S^2 - P^2}
複数の負荷PP と QQ を足す
解答と解説を見る

SS は、電圧と電流の実効値の積です。

S=VI=200×10=2000 [V⋅A]S = VI = 200 \times 10 = 2000\,\mathrm{[V\cdot A]}

θ=30∘\theta = 30^\circ なので、cos⁡30∘≈0.866\cos 30^\circ \approx 0.866、sin⁡30∘=0.5\sin 30^\circ = 0.5 です。

P=Scos⁡θ≈2000×0.866≈1732 [W]\begin{aligned} P &= S\cos\theta \\ &\approx 2000 \times 0.866 \\ &\approx 1732\,\mathrm{[W]} \end{aligned}Q=Ssin⁡θ=2000×0.5=1000 [var]\begin{aligned} Q &= S\sin\theta \\ &= 2000 \times 0.5 \\ &= 1000\,\mathrm{[var]} \end{aligned}

力率は cos⁡30∘≈0.866\cos 30^\circ \approx 0.866 で、電流が遅れているので遅れ力率です。

検算すると、P2+Q2≈17322+10002≈4.0×106P^2 + Q^2 \approx 1732^2 + 1000^2 \approx 4.0 \times 10^6 で、S2=20002=4.0×106S^2 = 2000^2 = 4.0 \times 10^6 と一致します。

解答と解説を見る

インピーダンスと電流は、

Z=82+62=10 ΩI=20010=20 [A]\begin{aligned} Z &= \sqrt{8^2 + 6^2} = 10\,\Omega \\ I &= \frac{200}{10} = 20\,\mathrm{[A]} \end{aligned}

です。P=I2RP = I^2R、Q=I2XLQ = I^2X_L、S=I2ZS = I^2Z に代入します。

P=202×8=3200 [W]Q=202×6=2400 [var]S=202×10=4000 [V⋅A]\begin{aligned} P &= 20^2 \times 8 = 3200\,\mathrm{[W]} \\ Q &= 20^2 \times 6 = 2400\,\mathrm{[var]} \\ S &= 20^2 \times 10 = 4000\,\mathrm{[V\cdot A]} \end{aligned}

力率は、

cos⁡θ=RZ=810=0.8\cos\theta = \frac{R}{Z} = \frac{8}{10} = 0.8

です。検算すると、S=VI=200×20=4000 [V⋅A]S = VI = 200 \times 20 = 4000\,\mathrm{[V\cdot A]} で一致し、P/S=3200/4000=0.8P / S = 3200 / 4000 = 0.8 とも合います。

解答と解説を見る

力率 cos⁡θ=P/S\cos\theta = P / S より、

S=Pcos⁡θ=180.9=20 [kV⋅A]S = \frac{P}{\cos\theta} = \frac{18}{0.9} = 20\,\mathrm{[kV\cdot A]}

です。QQ は電力の三角形から出します。

Q=S2−P2=202−182=76≈8.72 [kvar]\begin{aligned} Q &= \sqrt{S^2 - P^2} \\ &= \sqrt{20^2 - 18^2} \\ &= \sqrt{76} \\ &\approx 8.72\,\mathrm{[kvar]} \end{aligned}

電流は S=VIS = VI から求めます。

I=SV=20×103200=100 [A]I = \frac{S}{V} = \frac{20 \times 10^3}{200} = 100\,\mathrm{[A]}

検算すると、P=VIcos⁡θ=200×100×0.9=18 [kW]P = VI\cos\theta = 200 \times 100 \times 0.9 = 18\,\mathrm{[kW]} で、与えられた値に戻ります。

解答と解説を見る

負荷Aの皮相電力は SA=8/0.8=10 [kV⋅A]S_A = 8 / 0.8 = 10\,\mathrm{[kV\cdot A]} で、無効電力は、

QA=102−82=6 [kvar]Q_A = \sqrt{10^2 - 8^2} = 6\,\mathrm{[kvar]}

です。負荷Bは力率 1 なので、QB=0Q_B = 0 です。PP と QQ をそれぞれ足します。

P=8+4=12 [kW]Q=6+0=6 [kvar]\begin{aligned} P &= 8 + 4 = 12\,\mathrm{[kW]} \\ Q &= 6 + 0 = 6\,\mathrm{[kvar]} \end{aligned}

合成した SS と力率は、

S=122+62=180≈13.4 [kV⋅A]\begin{aligned} S &= \sqrt{12^2 + 6^2} \\ &= \sqrt{180} \\ &\approx 13.4\,\mathrm{[kV\cdot A]} \end{aligned}cos⁡θ=12180≈0.894\cos\theta = \frac{12}{\sqrt{180}} \approx 0.894

です。SA+SB=10+4=14 [kV⋅A]S_A + S_B = 10 + 4 = 14\,\mathrm{[kV\cdot A]} と足してしまうと、実際の 13.4 より大きくなり、誤りです。

よくある質問

有効電力と消費電力は同じですか。

ふつうは同じ意味で使います。負荷で熱・光・動力に変わる電力で、単位は [W]\mathrm{[W]} です。皮相電力 VIVI は電圧と電流の積にすぎず、そのまま消費される電力ではありません。

無効電力は、むだに捨てている電力ですか。

捨てているのではなく、電源と負荷の間を往復する電力です。モーターや変圧器は、磁界を作るために無効電力が必要です。ただ、往復する分も電線に電流を流すので、電線の損失が増え、電源や電線の容量も使います。そのため、無効電力は小さいほうが好ましいといえます。

力率 0.8 だけで、遅れか進みか分かりますか。

分かりません。cos⁡θ\cos\theta は θ\theta の符号によらず同じ値になるので、「力率 0.8(遅れ)」のように、遅れか進みかを併記します。電流が電圧より遅れるのはコイル、進むのはコンデンサの性質です。

皮相電力を足してはいけないのはなぜですか。

SS は PP と QQ を直角に合成した長さで、向きのちがう量の和だからです。PP どうし、QQ どうしは足せますが、SS は足し算の結果と一致しません。例題4のように、PP と QQ を足してから SS を出します。

思い出してみよう

答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。

皮相電力、有効電力、無効電力の単位は何ですか?

皮相電力は V⋅A\mathrm{V\cdot A}、有効電力は W\mathrm{W}、無効電力は var\mathrm{var} です。

電圧と電流の位相差を θ\theta とすると、PP と QQ はどう表せますか?

P=VIcos⁡θP = VI\cos\theta、Q=VIsin⁡θQ = VI\sin\theta です。皮相電力は S=VIS = VI です。

瞬時電力 pp を平均すると、何になりますか?

有効電力 P=VIcos⁡θP = VI\cos\theta になります。往復する成分の平均は 0 です。

電力の三角形で成り立つ式と、力率の式は?

S2=P2+Q2S^2 = P^2 + Q^2、力率は cos⁡θ=P/S\cos\theta = P / S です。

RL 直列回路の PP と QQ は、電流 II でどう表せますか?

P=I2RP = I^2R、Q=I2XLQ = I^2X_L です。力率は R/ZR / Z になります。

力率のちがう複数の負荷を合成するとき、足してよい量はどれですか?

PP と QQ です(遅れを正、進みを負)。SS は足さずに、P2+Q2\sqrt{P^2 + Q^2} で出します。

まとめ

  • 皮相電力 S=VI [V⋅A]S = VI\ \mathrm{[V\cdot A]} は、有効電力 P [W]P\ \mathrm{[W]} と無効電力 Q [var]Q\ \mathrm{[var]} に分かれる。P=VIcos⁡θP = VI\cos\theta、Q=VIsin⁡θQ = VI\sin\theta
  • 瞬時電力 p=vip = vi の平均が PP で、往復する成分が QQ。電力の三角形では S2=P2+Q2S^2 = P^2 + Q^2、力率は cos⁡θ=P/S\cos\theta = P / S
  • RL 直列回路では、P=I2RP = I^2R、Q=I2XLQ = I^2X_L、S=I2ZS = I^2Z。力率は R/ZR / Z
  • 電流が遅れるコイルの QQ は正、進むコンデンサの QQ は負で、足し合わせると打ち消し合う
  • 複数の負荷は、PP と QQ を足してから SS と力率を出す。SS は足せない

電力を複素数で扱うと、PP と QQ を1つの式にまとめられます。計算の道具は複素数と記号法で確かめましょう。電力を3本の電線で送る場合は三相交流回路で、力率を上げるコンデンサの容量は力率改善で続きを読めます。

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