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理論電気理論 / 交流回路14分で読めます

電験の複素数の使い方|記号法(j)でインピーダンスと交流回路を計算

電験三種の複素数と記号法を図解で整理します。複素平面、直交形式と極形式、j を掛けると 90° 進む理由から、R・L・C のインピーダンス、電流の求め方、複素電力まで例題つきで確認できます。

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木目の机の上で手に持った電卓の写真
この記事の目次
  1. 電験の複素数とは
  2. 複素数の表し方と四則計算
  3. 直交形式と極形式
  4. 四則計算
  5. j を掛けると位相が90°進む
  6. R・L・C のインピーダンスと直列・並列
  7. 直列と並列
  8. 記号法で電流を求める手順
  9. 複素電力と有効電力・無効電力
  10. 複素数と記号法の例題
  11. よくある質問
  12. 複素数の電圧は、実効値と最大値のどちらで表しますか。
  13. 電流が遅れているとき、偏角は正と負のどちらですか。
  14. 角度は度とラジアンのどちらで書きますか。
  15. 複素数なしで、交流回路は解けませんか。
  16. まとめ
図解でわかる 電験三種 理論 1 直列回路 の表紙理論を図解で読む図解でわかる 電験三種 理論 1
直列回路
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交流回路の計算で手が止まる原因の多くは、位相のずれを三角関数のまま扱うことです。大きさと角度を1つの数にまとめた複素数で表すと、交流も直流と同じ足し算・割り算で解けます。この記事では、複素数の表し方から記号法の手順、複素電力までを順に確認します。

複素数と記号法の全体像
  • 複素数を使う理由
    • 位相のずれを、大きさと角度を持つ1つの数で表せる
    • 虚数単位は j(j の2乗 = −1)。電流の記号 i と区別する
  • 複素数の表し方と計算
    • 直交形式 a + jb と極形式 Z∠θ を行き来する
    • 足し引きは直交形式、掛け割りは極形式が楽
  • j を掛けると 90° 進む
    • j を掛けると 90° 進み、j で割ると 90° 遅れる
  • R・L・C と記号法の手順
    • 抵抗は R、コイルは jωL、コンデンサは 1÷(jωC)
    • 電圧を基準に置き、I = V ÷ Z で電流を出す
  • 複素電力
    • S = V × I の共役。実部が P、虚部が Q

電験の複素数とは

前の記事では、電圧と電流の位相差 θ\theta から電力を求めました。コイルやコンデンサがあると、電流は電圧からずれます。図1は2つの正弦波をオシロスコープに映した写真で、一方が先に山になり、もう一方が遅れてついていきます。

黒いオシロスコープの画面に、黄色と水色の2つの正弦波が映った写真
  1. 黄の波形 先に山になる(位相が進む)
  2. 水色の波形 少し遅れてついてくる
  3. つまみ 波形の大きさや時間幅を調整する
  4. 入力端子 2本のケーブルをつなぐ
図1 位相がずれた2つの正弦波。交流の電圧と電流は、このようにずれることがある(写真はイメージ)

このずれを sin⁡(ωt−θ)\sin(\omega t - \theta) のような三角関数のまま足したり割ったりするのは、手間がかかります。周波数が一定の交流なら、波形は大きさ(実効値)と位相(角度)の2つで決まります。この2つを1つの数にまとめられるのが複素数で、複素数を使って交流回路を計算する方法を記号法といいます。

複素数 a+jba + jb の aa を実部、bb を虚部といい、jj は2乗すると −1-1 になる虚数単位です。

j2=−1j^2 = -1

数学では虚数単位に ii を使いますが、電気では電流の記号 ii と区別するため jj を使います。複素数を表す文字には、実数と区別するために V˙\dot{V}、I˙\dot{I}、Z˙\dot{Z} のように上にドットを付け、大きさ(絶対値)は VV、II、ZZ と書きます。電圧と電流は実効値で表します。

複素数を使うと、直流のオームの法則と同じ形の V˙=Z˙I˙\dot{V} = \dot{Z}\dot{I} で、交流の電圧・電流・インピーダンスを結べます。

複素数の表し方と四則計算

方眼紙に点を打つように、複素数は平面上の点で表せます。図2の方眼紙の横軸を実部、縦軸を虚部と考えた平面が複素平面で、横軸を実軸、縦軸を虚軸といいます。

方眼紙の上に、透明な定規と鉛筆と消しゴムが置かれた写真
  1. 方眼紙 横軸を実部、縦軸を虚部にする
  2. 定規 原点から点までの長さ(大きさ)を測る
  3. 鉛筆 点や矢印を描く
図2 方眼紙。マス目に点を打つ要領で、複素数を平面上の点として表す(写真はイメージ)

図3は、複素数 3+j43 + j4 を複素平面に描いた図です。点は、右へ 3、上へ 4 の位置にあります。原点から点までの矢印の長さが複素数の大きさ、実軸との角 θ\theta が偏角です。

実軸 虚軸 1 2 3 4 5 j1 j2 j3 j4 3 + j4 虚部 4 実部 3 大きさ 5 θ
図3 複素数 3 + j4 は、右へ 3、上へ 4 の点。原点から点までの矢印が大きさと向きを表す

直交形式と極形式

実部と虚部で表す Z˙=a+jb\dot{Z} = a + jb を直交形式、大きさと偏角で表す Z˙=Z∠θ\dot{Z} = Z\angle\theta を極形式といいます。同じ数を ZejθZe^{j\theta} と書く本もあります。直交形式から極形式へは、三平方の定理と逆正接で変換します。

Z=a2+b2θ=tan⁡−1ba\begin{aligned} Z &= \sqrt{a^2 + b^2} \\ \theta &= \tan^{-1}\frac{b}{a} \end{aligned}

極形式から直交形式へは、

a=Zcos⁡θb=Zsin⁡θ\begin{aligned} a &= Z\cos\theta \\ b &= Z\sin\theta \end{aligned}

です。3+j43 + j4 なら、Z=32+42=5Z = \sqrt{3^2 + 4^2} = 5、θ=tan⁡−1(4/3)≈53.1∘\theta = \tan^{-1}(4/3) \approx 53.1^\circ なので、5∠53.1∘5\angle 53.1^\circ です。

実軸 虚軸 3 + j4 5∠53.1° −3 + j4 5∠126.9° 53.1° 126.9° −3 + j4:電卓の tan⁻¹(4÷(−3)) は −53.1° 180° を足して 126.9° にする
図4 実部が負の −3 + j4 の偏角は 126.9°。電卓の tan⁻¹ の値(−53.1°)に 180° を足す

四則計算

足し算・引き算は直交形式、掛け算・割り算は極形式で計算すると楽です。

計算楽な形式手順
足し算・引き算直交形式実部どうし、虚部どうし
掛け算極形式大きさを掛け、角度を足す
割り算極形式大きさを割り、角度を引く

A˙=a+jb=A∠θA\dot{A} = a + jb = A\angle\theta_A、B˙=c+jd=B∠θB\dot{B} = c + jd = B\angle\theta_B とすると、

A˙+B˙=(a+c)+j(b+d)A˙B˙=AB∠(θA+θB)A˙B˙=AB∠(θA−θB)\begin{aligned} \dot{A} + \dot{B} &= (a + c) + j(b + d) \\ \dot{A}\dot{B} &= AB\angle(\theta_A + \theta_B) \\ \frac{\dot{A}}{\dot{B}} &= \frac{A}{B}\angle(\theta_A - \theta_B) \end{aligned}

です。直交形式のまま割り算するときは、分母の共役複素数(虚部の符号を逆にした数)を、分子と分母に掛けます。(c+jd)(c−jd)=c2+d2(c + jd)(c - jd) = c^2 + d^2 で、分母が実数になるからです。

13+j4=3−j4(3+j4)(3−j4)=3−j425=0.12−j0.16\begin{aligned} \frac{1}{3 + j4} &= \frac{3 - j4}{(3 + j4)(3 - j4)} \\ &= \frac{3 - j4}{25} \\ &= 0.12 - j0.16 \end{aligned}

A˙\dot{A} の共役複素数は A˙∗\dot{A}^{*} と書きます。極形式なら、偏角の符号が逆になります。

j を掛けると位相が90°進む

j=0+j1=1∠90∘j = 0 + j1 = 1\angle 90^\circ です。そのため、複素数に jj を掛けると、大きさは変わらず、偏角が 90∘90^\circ 増えます。

jA˙=A∠(θ+90∘)j\dot{A} = A\angle(\theta + 90^\circ)

反時計回りに回る向きが「進み」です。jj で割ると、1/j=−j=1∠(−90∘)1/j = -j = 1\angle(-90^\circ) なので、90∘90^\circ 遅れます。図5のように、jj を4回掛けると 360∘360^\circ 回って元に戻ります(j2=−1j^2 = -1、j4=1j^4 = 1)。

1 = 1∠0° j = 1∠90° −1 = 1∠180° −j = 1∠−90° × j:90°進む ÷ j:90°遅れる
図5 j を掛けるたびに 90° 進む(反時計回り)。4回掛けると元の 1 に戻る

R・L・C のインピーダンスと直列・並列

図6の抵抗・コイル・コンデンサのインピーダンスを複素数で表すと、次のとおりです。

白い背景に、銅線のコイル、青い電解コンデンサ、黄色いフィルムコンデンサ、抵抗が1個ずつ置かれた写真
  1. コイル 虚部が正(電流が遅れる)
  2. 電解コンデンサ 虚部が負(電流が進む)
  3. フィルムコンデンサ 虚部が負
  4. 抵抗 実数(位相はずれない)
図6 コイル・コンデンサ・抵抗。複素数で表すと、コイルは虚部が正、コンデンサは虚部が負、抵抗は実数になる(写真はイメージ)
素子インピーダンス複素平面での向き
抵抗 RRRR右
コイル LLjωL=jXLj\omega L = jX_L上
コンデンサ CC1jωC=−jXC\dfrac{1}{j\omega C} = -jX_C下

XL=ωL=2πfLX_L = \omega L = 2\pi fL、XC=1/(ωC)X_C = 1/(\omega C) で、単位はどちらも [Ω]\mathrm{[\Omega]} です。コイルは V˙=jXLI˙\dot{V} = jX_L\dot{I} なので、電圧が電流より 90∘90^\circ 進みます。コンデンサは V˙=−jXCI˙\dot{V} = -jX_C\dot{I} なので、電流が電圧より 90∘90^\circ 進みます。図7のように、上向き(jj)がコイル、下向き(−j-j)がコンデンサです。

実軸 虚軸 抵抗 R 電圧と電流は同位相 コイル jXL 電流は電圧より 90° 遅れる コンデンサ −jXC 電流は電圧より 90° 進む
図7 R は右向き、コイル jXL は上向き、コンデンサ −jXC は下向き。上向き(コイル)は電流が遅れ、下向き(コンデンサ)は電流が進む

直列と並列

直流の直列・並列と同じ形で、インピーダンスを複素数のまま足したり、合成したりします。図8のように、抵抗とコンデンサなど複数の素子を組み合わせた回路でも、考え方は変わりません。

白いブレッドボードに抵抗とオレンジ色のフィルムコンデンサが差してあり、赤と黒のワニ口クリップが付いた写真
  1. 赤クリップ 回路に線をつなぐ
  2. 抵抗 実数のインピーダンス
  3. コンデンサ 虚部が負のインピーダンス
  4. ブレッドボード 部品を差し込む板
図8 抵抗とコンデンサを差した実験用のブレッドボード。素子ごとのインピーダンスを複素数で足したり合成したりする(写真はイメージ)
Z˙直列=Z˙1+Z˙2Z˙並列=Z˙1Z˙2Z˙1+Z˙2\begin{aligned} \dot{Z}_{\text{直列}} &= \dot{Z}_1 + \dot{Z}_2 \\ \dot{Z}_{\text{並列}} &= \frac{\dot{Z}_1\dot{Z}_2}{\dot{Z}_1 + \dot{Z}_2} \end{aligned}

RLC 直列なら Z˙=R+j(XL−XC)\dot{Z} = R + j(X_L - X_C) です。並列の枝が多いときは、Z˙\dot{Z} の逆数 Y˙=1/Z˙\dot{Y} = 1/\dot{Z}(アドミタンス、単位 [S]\mathrm{[S]})を足すと楽です。並列では Y˙=Y˙1+Y˙2\dot{Y} = \dot{Y}_1 + \dot{Y}_2 になります。

記号法で電流を求める手順

記号法で電流を求める手順は、図9のとおりです。

1 電圧を基準にして置く V = V∠0°(V は実効値) 2 全体のインピーダンス Z を出す 直列は足す。並列は 1÷Z を足す 3 電流を複素数の割り算で出す I = V ÷ Z 4 大きさと偏角を読む 大きさが実効値、偏角が V との位相差
図9 記号法で電流を求める流れ。電圧を基準に置き、Z を求めて、I=V÷Z で電流を出す

電圧を V˙=V∠0∘\dot{V} = V\angle 0^\circ と置くのは、基準を1つ決めないと各量の角度が決まらないからです。ほかの量の偏角は、基準の電圧からのずれを表します。電流 I˙\dot{I} の偏角が負なら電流は遅れ、正なら進みです。

図10は、RL 直列回路の例です。インピーダンスは Z˙=R+jXL\dot{Z} = R + jX_L で、偏角 θ=tan⁡−1(XL/R)\theta = \tan^{-1}(X_L/R) が電圧と電流の位相差になります。電流は、

I˙=V˙Z˙=VZ∠(−θ)\dot{I} = \frac{\dot{V}}{\dot{Z}} = \frac{V}{Z}\angle(-\theta)

で、大きさ I=V/ZI = V/Z、偏角 −θ-\theta です。電流は電圧より θ\theta 遅れます。

インピーダンス Z 電圧 V と電流 I R jXL Z = R + jXL θ V ∠0° I ∠−θ θ I は V より θ 遅れる
図10 RL 直列では、Z の偏角 θ がそのまま位相差。電流は電圧より θ だけ遅れる

キルヒホッフの法則も、複素数のままで成り立ちます。節点では電流の複素数の和が 0、閉路では電圧の複素数の和が 0 です。

複素電力と有効電力・無効電力

有効電力・無効電力・皮相電力は、複素数1つにまとめられます。電圧を V˙=V∠0∘\dot{V} = V\angle 0^\circ、電流を I˙=I∠(−θ)\dot{I} = I\angle(-\theta) とし、電流の共役 I˙∗=I∠θ\dot{I}^{*} = I\angle\theta を使うと、複素電力は、

S˙=V˙I˙∗=VI∠θ=VIcos⁡θ+jVIsin⁡θ\begin{aligned} \dot{S} &= \dot{V}\dot{I}^{*} \\ &= VI\angle\theta \\ &= VI\cos\theta + jVI\sin\theta \end{aligned}

です。実部が有効電力 P [W]P\ \mathrm{[W]}、虚部が無効電力 Q [var]Q\ \mathrm{[var]}、大きさが皮相電力 S [V⋅A]S\ \mathrm{[V\cdot A]} で、図11のように偏角が力率角 θ\theta になります。電圧が基準でないときも、V˙I˙∗\dot{V}\dot{I}^{*} の偏角は電圧と電流の位相差(電圧の偏角から電流の偏角を引いた値)になります。

V と I と I* 複素電力 S V I I* θ θ I* は I の共役(偏角の符号が逆) P jQ S = P + jQ θ
図11 S=V×I* の偏角は 0° + θ。電流が遅れていると Q は正になる

複素数と記号法の例題

問題で求めるものによって、使う式を選びます。

求めるもの使う式
形式の変換三平方の定理と tan⁡−1\tan^{-1}
インピーダンスV˙/I˙\dot{V}/\dot{I}、または素子の合成
電流I˙=V˙/Z˙\dot{I} = \dot{V}/\dot{Z}
電力S˙=V˙I˙∗\dot{S} = \dot{V}\dot{I}^{*}
解答と解説を見る

A˙\dot{A} の大きさは、

A=(−4)2+32=5A = \sqrt{(-4)^2 + 3^2} = 5

です。実部が負なので、電卓の値に 180∘180^\circ を足します。

θ=tan⁡−13−4+180∘≈−36.9∘+180∘=143.1∘\begin{aligned} \theta &= \tan^{-1}\frac{3}{-4} + 180^\circ \\ &\approx -36.9^\circ + 180^\circ \\ &= 143.1^\circ \end{aligned}

よって A˙=5∠143.1∘\dot{A} = 5\angle 143.1^\circ です。

B˙\dot{B} は、

a=20cos⁡(−30∘)≈17.3b=20sin⁡(−30∘)=−10\begin{aligned} a &= 20\cos(-30^\circ) \\ &\approx 17.3 \\ b &= 20\sin(-30^\circ) \\ &= -10 \end{aligned}

なので、B˙≈17.3−j10\dot{B} \approx 17.3 - j10 です。

検算すると、5cos⁡143.1∘≈−4.05\cos 143.1^\circ \approx -4.0、5sin⁡143.1∘≈3.05\sin 143.1^\circ \approx 3.0 で、元の A˙\dot{A} に戻ります。

解答と解説を見る

Z˙=V˙/I˙\dot{Z} = \dot{V}/\dot{I} です。分母の共役 4+j24 + j2 を、分子と分母に掛けます。

Z˙=100+j504−j2=(100+j50)(4+j2)(4−j2)(4+j2)\begin{aligned} \dot{Z} &= \frac{100 + j50}{4 - j2} \\ &= \frac{(100 + j50)(4 + j2)}{(4 - j2)(4 + j2)} \end{aligned}

分子は 400+j200+j200+j2⋅100=300+j400400 + j200 + j200 + j^2 \cdot 100 = 300 + j400、分母は 42+22=204^2 + 2^2 = 20 です。

Z˙=300+j40020=15+j20 [Ω]\dot{Z} = \frac{300 + j400}{20} = 15 + j20\,\mathrm{[\Omega]}

極形式では、

Z=152+202=25θ=tan⁡−12015≈53.1∘\begin{aligned} Z &= \sqrt{15^2 + 20^2} = 25 \\ \theta &= \tan^{-1}\frac{20}{15} \approx 53.1^\circ \end{aligned}

なので、Z˙=25∠53.1∘ [Ω]\dot{Z} = 25\angle 53.1^\circ\,\mathrm{[\Omega]} です。虚部が正なので、15 Ω15\,\Omega の抵抗と XL=20 ΩX_L = 20\,\Omega のコイルの直列と読めます。

検算すると、V˙≈111.8∠26.6∘\dot{V} \approx 111.8\angle 26.6^\circ、I˙≈4.47∠(−26.6∘)\dot{I} \approx 4.47\angle(-26.6^\circ) なので、大きさは 111.8/4.47=25111.8/4.47 = 25、偏角は 26.6∘−(−26.6∘)=53.2∘26.6^\circ - (-26.6^\circ) = 53.2^\circ で、一致します(丸めの差)。

解答と解説を見る

インピーダンスは、

Z˙=5+j12=13∠67.4∘ [Ω]\begin{aligned} \dot{Z} &= 5 + j12 \\ &= 13\angle 67.4^\circ\,\mathrm{[\Omega]} \end{aligned}

です(Z=52+122=13Z = \sqrt{5^2 + 12^2} = 13、θ=tan⁡−1(12/5)≈67.4∘\theta = \tan^{-1}(12/5) \approx 67.4^\circ)。V˙=130∠0∘\dot{V} = 130\angle 0^\circ なので、

I˙=130∠0∘13∠67.4∘=10∠(−67.4∘) [A]\begin{aligned} \dot{I} &= \frac{130\angle 0^\circ}{13\angle 67.4^\circ} \\ &= 10\angle(-67.4^\circ)\,\mathrm{[A]} \end{aligned}

です。電流は電圧より 67.4∘67.4^\circ 遅れます。複素電力は、

S˙=V˙I˙∗=130×10∠67.4∘=1300∠67.4∘≈500+j1200\begin{aligned} \dot{S} &= \dot{V}\dot{I}^{*} \\ &= 130 \times 10\angle 67.4^\circ \\ &= 1300\angle 67.4^\circ \\ &\approx 500 + j1200 \end{aligned}

なので、P=500 [W]P = 500\,\mathrm{[W]}、Q=1200 [var]Q = 1200\,\mathrm{[var]}(遅れ)、S=1300 [V⋅A]S = 1300\,\mathrm{[V\cdot A]} です。

検算すると、I2R=102×5=500I^2R = 10^2 \times 5 = 500、I2XL=102×12=1200I^2X_L = 10^2 \times 12 = 1200 で、一致します。

解答と解説を見る

各枝の電流は、

I˙R=10020=5 [A]I˙C=100−j10=j10 [A]\begin{aligned} \dot{I}_R &= \frac{100}{20} = 5\,\mathrm{[A]} \\ \dot{I}_C &= \frac{100}{-j10} = j10\,\mathrm{[A]} \end{aligned}

です(1/(−j)=j1/(-j) = j)。全電流は、

I˙=I˙R+I˙C=5+j10≈11.2∠63.4∘ [A]\begin{aligned} \dot{I} &= \dot{I}_R + \dot{I}_C \\ &= 5 + j10 \\ &\approx 11.2\angle 63.4^\circ\,\mathrm{[A]} \end{aligned}

で、電流は電圧より 63.4∘63.4^\circ 進みます。合成インピーダンスは、

Z˙=1005+j10=100(5−j10)125=4−j8 [Ω]\begin{aligned} \dot{Z} &= \frac{100}{5 + j10} \\ &= \frac{100(5 - j10)}{125} \\ &= 4 - j8\,\mathrm{[\Omega]} \end{aligned}

です。虚部が負なので、コンデンサの性質が出ています。

検算すると、アドミタンスは Y˙=120+1−j10=0.05+j0.1 [S]\dot{Y} = \dfrac{1}{20} + \dfrac{1}{-j10} = 0.05 + j0.1\,\mathrm{[S]} です。この逆数は 1/Y˙=4−j81/\dot{Y} = 4 - j8 で、一致します。

よくある質問

複素数の電圧は、実効値と最大値のどちらで表しますか。

電験の記号法では、ふつう実効値で表します。最大値で表した値は実効値の 2\sqrt{2} 倍です。P=VIcos⁡θP = VI\cos\theta や S˙=V˙I˙∗\dot{S} = \dot{V}\dot{I}^{*} がそのまま使えるのは、実効値のときです。問題文でどちらか確かめてください。

電流が遅れているとき、偏角は正と負のどちらですか。

電圧を基準にしたとき、遅れている電流の偏角は負です。電流が進んでいれば正になります。インピーダンス Z˙\dot{Z} の偏角は逆で、RL 直列のようにコイルの性質が強ければ正、コンデンサの性質が強ければ負です。

角度は度とラジアンのどちらで書きますか。

この記事では度で書いています。ラジアンでも同じ数を表せるので、問題文の指定に合わせてください。電卓で三角関数を使うときは、角度の単位の設定(DEG か RAD)を確かめます。

複素数なしで、交流回路は解けませんか。

解けます。電圧と電流のフェーザ図を描き、三平方の定理と三角比で解く方法もあります。ただ、直列と並列が混ざった回路や、枝が多い回路では、複素数のほうが手順が決まっていて、計算ミスを減らせます。

思い出してみよう

答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。

虚数単位 jj は、2乗すると何になりますか?

j2=−1j^2 = -1 になります。

複素数 3+j43 + j4 の大きさと偏角は何ですか?

大きさは 32+42=5\sqrt{3^2 + 4^2} = 5、偏角は tan⁡−1(4/3)≈53.1∘\tan^{-1}(4/3) \approx 53.1^\circ です。

極形式で掛け算・割り算をするとき、大きさと角度はどうしますか?

掛け算は大きさを掛けて角度を足し、割り算は大きさを割って角度を引きます。

複素数に jj を掛けると、位相はどうなりますか?

90∘90^\circ 進みます。jj で割ると 90∘90^\circ 遅れます。

抵抗、コイル、コンデンサのインピーダンスを、複素数で書くと?

抵抗は RR、コイルは jωL=jXLj\omega L = jX_L、コンデンサは 1/(jωC)=−jXC1/(j\omega C) = -jX_C です。

複素電力 S˙\dot{S} の式と、実部・虚部の意味は?

S˙=V˙I˙∗\dot{S} = \dot{V}\dot{I}^{*} で、実部が有効電力 PP、虚部が無効電力 QQ です(遅れ負荷で QQ が正)。

まとめ

  • 複素数 a+jba + jb は、実部と虚部の直交形式、または大きさと偏角の極形式 Z∠θZ\angle\theta で表す。足し引きは直交形式、掛け割りは極形式が楽
  • jj は 1∠90∘1\angle 90^\circ。掛けると 90∘90^\circ 進み、割ると 90∘90^\circ 遅れる
  • インピーダンスは、抵抗が RR、コイルが jXLjX_L、コンデンサが −jXC-jX_C。直列は足し、並列は Y˙=1/Z˙\dot{Y} = 1/\dot{Z} を足す
  • 記号法は、電圧を V∠0∘V\angle 0^\circ に置き、I˙=V˙/Z˙\dot{I} = \dot{V}/\dot{Z} で電流を出す。偏角が負なら電流は遅れ
  • 複素電力 S˙=V˙I˙∗\dot{S} = \dot{V}\dot{I}^{*} の実部が P [W]P\ \mathrm{[W]}、虚部が Q [var]Q\ \mathrm{[var]}、大きさが S [V⋅A]S\ \mathrm{[V\cdot A]}

複素数で電力を扱う考え方は、有効電力・無効電力・皮相電力の記事で確かめましょう。3つの電圧が 120∘120^\circ ずつずれる回路にも、同じ記号法が使えます。続きは三相交流回路で読めます。

図解でわかる 電験三種 理論 1 直列回路 の表紙電験三種 理論を図解で通して読む図解でわかる 電験三種 理論 / 第1巻直列回路電流・電圧・抵抗から内部抵抗・倍率器・コンデンサまで理論の単元を、図と式で1冊ずつ通して読む Kindle 本のシリーズです。例題と練習問題まで入っています。Kindle Unlimited の対象なので、会員は追加料金なしで読めます。Amazon で見る

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デンケンラボ編集部

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