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電力発電所 / 火力発電16分で読めます

火力発電の仕組みと汽力発電の設備|ボイラ・タービン・復水器を図解

電験三種の汽力発電の設備を、ボイラ・蒸気タービン・復水器・給水加熱器の順に図解。水と蒸気の一巡、ボイラの種類、通風方式、熱の収支を整理し、冷却水の熱量やボイラ効率の例題4問も解けます。

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朝夕の光の中、石炭の山と屋根付きのベルトコンベヤが延び、奥に煙突とボイラ建屋が見える火力発電所の写真
この記事の目次
  1. 汽力発電とは(火力発電の仕組み)
  2. 汽力発電の設備と水・蒸気の流れ
  3. ボイラの種類と燃焼設備・排ガスの熱回収
  4. ボイラの種類(自然循環・強制循環・貫流)
  5. 燃焼設備と通風方式
  6. 排ガスの熱回収(節炭器・空気予熱器)
  7. 蒸気タービンと復水器の役目
  8. 熱の収支と冷却水の熱量・ボイラ効率の求め方
  9. よくある質問
  10. 火力発電と汽力発電は同じですか。
  11. 復水器で、なぜ多くの熱を捨てるのですか。
  12. 節炭器と空気予熱器の違いは何ですか。
  13. 自然循環・強制循環・貫流は、どう使い分けますか。
  14. まとめ
図解でわかる 電験三種 電力 1 水力発電 の表紙電力を図解で読む図解でわかる 電験三種 電力 1
水力発電
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火力発電は、燃料を燃やした熱で水を蒸気に変え、その蒸気でタービンを回して発電する方式です。電験三種では、水と蒸気が「ボイラ → 蒸気タービン → 復水器 → ポンプ」を一巡する汽力発電が出題の中心になります。この記事では、火力発電の熱効率の計算に入る前に、汽力発電の設備の流れを 1 枚の系統図で押さえ、熱がどこへ逃げるかを例題で確かめます。

汽力発電の設備の全体像
  • 汽力発電とは(火力発電の仕組み)
    • 燃料の熱で蒸気を作り、タービンと発電機を回す
  • 汽力発電の設備と水・蒸気の流れ
    • 復水器から始まる 12 の機器を水と蒸気が一巡する
  • ボイラの種類と燃焼設備・排ガスの熱回収
    • 自然循環・強制循環・貫流、通風 3 方式、節炭器と空気予熱器
  • 蒸気タービンと復水器の役目
    • 衝動と反動、復水器を真空にする理由
  • 熱の収支と冷却水の熱量・ボイラ効率の求め方
    • 冷却水の熱量は Q=m c ΔtQ = m\,c\,\Delta t、ボイラ効率は蒸気が受け取った熱 ÷ 燃料の熱

汽力発電とは(火力発電の仕組み)

汽力発電は、燃料を燃やして水を蒸気にし、その蒸気の力で蒸気タービンを回して発電する方式です。エネルギーの形は、図1のように「燃料の化学エネルギー → 蒸気の熱エネルギー → 回転の運動エネルギー → 電気エネルギー」の順に変わります。

燃料の化学エネルギー 石炭・LNG・石油など ボイラ 燃料を燃やし、水を蒸気にする 蒸気の熱エネルギー 高温・高圧の水蒸気 蒸気タービン 蒸気の力で羽根車を回す 回転の運動エネルギー タービンの軸が回る 発電機 回転を電気に変える 電気エネルギー 送電線へ送る
図1 汽力発電でエネルギーの形が変わる流れ

火力発電は、燃料の種類で石炭火力・石油火力・LNG(液化天然ガス)火力に分けますが、蒸気を作ってタービンを回す部分はどれも同じです。水と蒸気は使い捨てにせず、タービンを出た蒸気を水に戻して、もう一度ボイラへ送ります。水を循環させずに川へ戻す水力発電のしくみと比べると、この「循環」が汽力発電の大きな特徴です。

蒸気タービンにつなぐ発電機は、高速で回る円筒形の同期発電機(タービン発電機)です。ガスタービンで発電する方式もありますが、この記事では電験三種で最も多く問われる汽力発電を扱います。

汽力発電の設備と水・蒸気の流れ

図2は、汽力発電の水と蒸気の流れを 1 枚にした系統図です。黄色の丸の番号は、水と蒸気が通る順です。復水器(1)を出た水が、給水系(2〜6)で圧力と温度を上げられ、ボイラ(7〜9)で蒸気になり、高圧タービン(10)、再熱器(11)、低圧タービン(12)の順に仕事をして、また復水器へ戻ります。

ボイラ 蒸発管 (ドラム) 過熱器 節炭器 再熱器 高圧 タービン 低圧 タービン 発電機 復水器 復水 ポンプ 低圧給水 加熱器 脱気器 給水 ポンプ 高圧給水 加熱器 排気 再熱蒸気 冷却水 抽気 燃料・空気 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 蒸気 水 冷却水 抽気 抽気の取り出し位置は、実際には段ごとに異なる
図2 汽力発電の系統図。水と蒸気は1から12の順に一巡する

各機器の役割は、次の表のとおりです。番号は説明用に付けたもので、機器の数や配置は発電所ごとに異なります。

番号と機器役割
1 復水器タービンの排気を冷やして水に戻す
2 復水ポンプ復水器にたまった水を給水系へ送る
3 低圧給水加熱器抽気の熱で給水を温める(低圧側)
4 脱気器給水に溶けた酸素などを抜く
5 給水ポンプ給水をボイラの圧力まで押し上げる
6 高圧給水加熱器抽気の熱で給水をさらに温める
7 節炭器排ガスの熱で、蒸発前の給水を温める
8 蒸発管(ドラム)水を沸かして蒸気にする
9 過熱器飽和蒸気をさらに温めて過熱蒸気にする
10 高圧タービン過熱蒸気で回る
11 再熱器高圧タービンの排気を温め直す
12 低圧タービン再熱した蒸気で回り、排気を復水器へ送る
発電機タービンの回転を電気に変える

ボイラには、不純物を取り除いた純水を使います。水に不純物が混じっていると、蒸発管の内側にスケール(固い付着物)が付いて熱が伝わりにくくなり、管が過熱して傷みます。さらに、水に溶けている酸素は配管やボイラを腐食させます。そこで脱気器で給水を加熱し、溶けている酸素などの気体を追い出します。気体は水温が高いほど水に溶けにくいからです。

熱効率を上げるために、タービンの途中から蒸気の一部を取り出して(抽気)給水加熱器で給水を温め、高圧タービンを出た蒸気は再熱器で温め直してから低圧タービンへ送ります。これらで効率が上がる理由は、ランキンサイクルの記事で T-s 線図とエンタルピーを使って説明します。

図3は、タービン建屋の中のイメージです。大形のポンプは電動機で回し、断熱材で覆った太い配管で、水や蒸気をタービンやボイラへ送ります。

手前に青灰色の電動機とポンプ、右に銀色の断熱された太い配管、奥に白い大きなタービン車室が見える発電所の建屋内の写真
  1. 断熱配管 保温材で熱を逃がさない
  2. タービン車室 蒸気を受けて回る
  3. 電動機 ポンプを回す
  4. ポンプ 水を高い圧力で送る
図3 タービン建屋の内部のイメージ(写真はイメージ)

ボイラの種類と燃焼設備・排ガスの熱回収

ボイラは、燃料を燃やす火炉と、水が通る蒸発管、蒸気を温める過熱器・再熱器、排ガスの熱を回収する節炭器・空気予熱器などを組み合わせた大きな熱交換器です。

ボイラの種類(自然循環・強制循環・貫流)

水を蒸発管にどう回すかで、ボイラは 3 種類に分かれます。

種類水の回り方特徴
自然循環水と蒸気の重さの差で回るポンプが不要。高圧には不向き
強制循環循環ポンプで回す高圧でも水を回せる
貫流一本道で水が蒸気になるドラムが無い。超臨界圧もこれだけ

図4の左は、ドラムのある循環ボイラです。ドラムから降水管を下りた水は、火炉の壁にある上昇管で熱を受け、水と蒸気が混ざった状態でドラムへ戻ります。上昇管の中は蒸気の泡が混ざって軽く、降水管の水は重いので、その差で自然に水が回ります。これが自然循環です。圧力が高くなると水と蒸気の重さの差が小さくなるため、循環ポンプで回すのが強制循環です。ドラムは、水と蒸気を分ける円筒です。

ドラムのある循環ボイラ 火炉で加熱 ドラム 給水 蒸気 循環ポンプ 強制循環のみ 降水管 上昇管 ドラムのない貫流ボイラ 主蒸気 給水 燃焼ガス 過熱蒸気 さらに温める 湿り蒸気 水が沸いて蒸気に 水 給水が温まる
図4 ボイラの種類。ドラムのある循環ボイラ(左)と、ドラムのない貫流ボイラ(右)

図4の右は貫流ボイラです。ドラムが無く、給水ポンプで押し込まれた水が一本道の管を通りながら、水 → 湿り蒸気 → 過熱蒸気と変わって出ていきます。水の臨界圧力(約 22 MPa)を超える超臨界圧では、水と蒸気の区別がなくなってドラムで分けられないので、貫流ボイラだけが使えます。

燃焼設備と通風方式

石炭は、微粉炭機で粉のように細かくしてから、空気と一緒にバーナから炉へ吹き込んで燃やします。細かくするほど空気に触れる表面積が増え、よく燃えます。石油は霧状にして、LNG(液化天然ガス)は気体にしたまま、バーナから吹き込みます。

図5は、火炉の覗き窓から見たバーナの炎のイメージです。炉の壁は水の通る管でできていて、炎の熱を水が受け取ります。

覗き窓の枠の中に縦に並ぶ水管の壁があり、中央のバーナ口から炎が広がっている火炉の内部の写真
  1. 水管 中の水が炎の熱を受ける
  2. バーナ 燃料と空気を吹き込む
  3. 覗き窓 炉内の燃焼を見る
  4. 炎 燃料が燃える
図5 火炉の中のバーナと炎のイメージ(写真はイメージ)

燃やすには大量の空気が必要で、燃えた後の排ガスは煙突へ流さなければなりません。この空気とガスの流れをつくるのが通風で、ファンの置き方で 3 方式あります。

方式ファン炉内の圧力
押込通風押込ファン(空気を押し込む)大気圧より高い
誘引通風誘引ファン(排ガスを引く)大気圧より低い
平衡通風両方のファン大気圧に近い

炉内が大気圧より高いと燃焼ガスが外へ漏れやすく、低いと外から空気が入りやすくなります。平衡通風は両方のファンで炉内を大気圧に近く保てるので、大容量の発電所で採用されます。

排ガスの熱回収(節炭器・空気予熱器)

火炉を出た排ガスは、まだ熱を持っています。そのまま煙突から捨てるともったいないので、図6のように温度の高い所から順に、蒸気や給水、空気へ熱を渡していきます。

高温 低温 火炉 燃料を燃やす 水を沸かして蒸気にする 過熱器 蒸気を温める 飽和蒸気を過熱蒸気にする 再熱器 蒸気を温める 高圧タービンの排気を温め直す 節炭器 給水を温める 蒸発の前に水の温度を上げる 空気予熱器 空気を温める 燃焼用の空気を温めて燃えやすくする 煙突 排ガスを大気へ出す 出す前に脱硝・集じん・脱硫を行う 排ガス
図6 排ガスの通り道(一例)。熱を使い切ってから煙突へ出す

節炭器は排ガスの熱で、蒸発する前の給水を温めます。空気予熱器は排ガスの熱で、燃焼用の空気を温めます。どちらもボイラ効率を上げる機器です。煙突の前では、窒素酸化物を除く脱硝装置、ばいじんを除く集じん装置、硫黄酸化物を除く脱硫装置を通して、排ガスをきれいにします(設備や順序は発電所ごとに異なります)。

蒸気タービンと復水器の役目

蒸気タービンは、蒸気の持つ熱エネルギーを回転の運動エネルギーに変える機械です。固定された静翼で蒸気を加速し、回転する動翼に当てて軸を回します。蒸気の圧力が下がる場所の違いで、2 つの形式に分かれます。

  • 衝動タービン:圧力が下がるのは静翼だけ。動翼では圧力が変わらず、蒸気がぶつかる力で回す
  • 反動タービン:静翼でも動翼でも圧力が下がる。動翼から蒸気が噴き出す反動の力でも回す
衝動タービン 圧力 静 動 静 動 圧力が下がるのは 静翼だけ 反動タービン 圧力 静 動 静 動 静翼でも動翼でも 圧力が下がる 静=静翼(固定された羽根)、動=動翼(回転する羽根)
図7 衝動タービンと反動タービン。蒸気の圧力が下がる場所の違い

実際の大形機では、両方式を組み合わせたものも使われます。タービンは、排気の行き先と使い方で次のように分けます。

種類排気の行き先使い方
復水タービン復水器(真空)発電専用の大形機
背圧タービン大気圧以上のまま排気を工場の加熱などに使う
抽気タービン途中で一部を取り出す抽気を加熱などに使う

電気事業用の大形の火力発電所は、主に復水タービンです。タービンを出た蒸気は復水器へ入り、冷やされて水に戻ります。

図8のように、表面復水器では、冷却水(多くは海水)が管の中を流れ、管の外で蒸気が冷やされて水になります。蒸気と冷却水は混ざりません。復水器の中は、漏れ込んだ空気がたまると真空が悪くなるので、空気抽出器で空気を外へ出し続けます。

復水 管の外で蒸気が水滴になる タービンの排気(蒸気) 冷却水 温まった冷却水 空気抽出器 復水ポンプへ 内部は大気圧よりずっと低い真空
図8 復水器のしくみ。蒸気は冷却水の管に触れて水に戻る

復水器の圧力は、絶対圧で 5 kPa 前後(大気圧 101.3 kPa の約 1/20)です。5 kPa の飽和蒸気 1 kg の体積は約 28 m³ですが、水になると約 0.001 m³ に縮み、体積は約 28 000 分の 1 になります。蒸気が水になるたびに体積が急に縮むので、復水器の中は真空に保たれます。このとき飽和温度は約 33℃ まで下がるので、海水で冷やせば蒸気は水に戻ります。

熱の収支と冷却水の熱量・ボイラ効率の求め方

燃料が持ち込んだ熱のうち、電気になるのは一部だけです。残りは、ボイラの損失(排ガスの持ち去る熱など)、タービン・発電機などの損失、そして復水器で捨てる熱になります。入った熱と出た熱の内訳を調べるのが熱の収支です。発電端効率・送電端効率や燃料消費量の計算は火力発電の熱効率で扱うので、ここでは、熱がどこへどれだけ逃げるかを例題で確かめます。

解答と解説を見る

燃料の熱は、出力を発電端効率で割って求めます。

Q=4920.41=1200 [MW]\begin{aligned} Q &= \frac{492}{0.41} \\ &= 1200\ \mathrm{[MW]} \end{aligned}

ボイラの損失は 1200×0.11=132 [MW]1200 \times 0.11 = 132\ \mathrm{[MW]}、タービン・発電機などの損失は 1200×0.04=48 [MW]1200 \times 0.04 = 48\ \mathrm{[MW]} です。残りが復水器で捨てる熱です。

Q復水器=1200−492−132−48=528 [MW]\begin{aligned} Q_{\text{復水器}} &= 1200 - 492 - 132 - 48 \\ &= 528\ \mathrm{[MW]} \end{aligned}

割合は 5281200=0.44\dfrac{528}{1200} = 0.44 です。答えは 528 MW、燃料の熱の 44% です。電気になる 41% より、復水器で捨てる熱のほうが多くなります。

例題1の収支を図にすると、図9のとおりです。リボンの幅が熱の量を表します。

燃料の熱 電気(発電機出力) 492 MW(41%) ボイラの損失 132 MW(11%) タービン・発電機の損失 48 MW(4%) 復水器で捨てる熱 528 MW(44%) 1200 MW
図9 例題1の熱の収支。燃料の熱の約4割が電気になり、復水器で捨てる熱が最も多い

復水器で捨てる熱は、冷却水の温度上昇として運び去られます。冷却水の質量流量を m [kg/s]m\ \mathrm{[kg/s]}、比熱を c [kJ/(kg⋅K)]c\ \mathrm{[kJ/(kg \cdot K)]}、復水器の出入口の温度上昇を Δt [K]\Delta t\ \mathrm{[K]} とすると、1 秒間に運ぶ熱量は次の式です。

Q=m c ΔtQ = m\,c\,\Delta t

1 kJ/s=1 kW1\ \mathrm{kJ/s} = 1\ \mathrm{kW} です。体積流量 V [m3/s]V\ \mathrm{[m^3/s]} で与えられたときは、密度 ρ [kg/m3]\rho\ \mathrm{[kg/m^3]} を掛けて m=ρVm = \rho V にします。温度の差は、K で表しても ℃ で表しても同じ値です。

解答と解説を見る

まず、質量流量を求めます。

m=19×1030=19570 [kg/s]\begin{aligned} m &= 19 \times 1030 \\ &= 19570\ \mathrm{[kg/s]} \end{aligned}

Q=m c ΔtQ = m\,c\,\Delta t に代入します。

Q=19570×4.0×6.5≒5.09×105 [kW]\begin{aligned} Q &= 19570 \times 4.0 \times 6.5 \\ &\fallingdotseq 5.09 \times 10^{5}\ \mathrm{[kW]} \end{aligned}

答えは約 509 MW です。例題1で求めた復水器の 528 MW に近い値で、捨てる熱を冷却水が運び去っていることが確かめられます。

図10は、復水器を通って温まった冷却水が海へ戻される放水口のイメージです。環境への影響を抑えるため、取水と放水の温度差は管理されます。

コンクリートの水路が 3 本並び、そこから白波を立てて海へ水が流れ出している放水口の写真。奥に発電所の建物と煙突が見える
図10 海へ冷却水を戻す放水口のイメージ(写真はイメージ)

次に、ボイラの性能を表すボイラ効率です。ボイラ効率は、燃料の熱のうち、蒸気が受け取った熱の割合です。蒸気の流量を G [kg/h]G\ \mathrm{[kg/h]}、主蒸気の比エンタルピーを hs [kJ/kg]h_{\mathrm{s}}\ \mathrm{[kJ/kg]}、給水の比エンタルピーを hw [kJ/kg]h_{\mathrm{w}}\ \mathrm{[kJ/kg]}、燃料消費量を B [kg/h]B\ \mathrm{[kg/h]}、燃料の発熱量を H [kJ/kg]H\ \mathrm{[kJ/kg]} とすると、次の式になります。

ηB=G(hs−hw)B H\eta_{\mathrm{B}} = \frac{G(h_{\mathrm{s}} - h_{\mathrm{w}})}{B\,H}

分子は、給水が主蒸気になるまでに受け取った熱で、分母は、燃料が持ち込んだ熱です。

解答と解説を見る

蒸気の流量は 500 [t/h]=500000 [kg/h]500\ \mathrm{[t/h]} = 500000\ \mathrm{[kg/h]} です。

ηB=500000×(3410−1110)52000×25000=1.15×1091.3×109≒0.885\begin{aligned} \eta_{\mathrm{B}} &= \frac{500000 \times (3410 - 1110)}{52000 \times 25000} \\ &= \frac{1.15 \times 10^{9}}{1.3 \times 10^{9}} \\ &\fallingdotseq 0.885 \end{aligned}

答えは約 88.5% です。残りの約 11.5% は、排ガスが持ち去る熱などの損失です。

最後は、設備の名前と役目を組み合わせる問題です。

解答と解説を見る

(ア)排ガスの熱で給水を温めるのは節炭器です。(イ)排ガスの熱で燃焼用の空気を温めるのは空気予熱器です。(ウ)給水を加熱して溶けた酸素を追い出し、腐食を防ぐのは脱気器です。

答えは (3) です。過熱器は飽和蒸気を、再熱器は高圧タービンの排気を温める装置で、給水加熱器は抽気の熱で給水を温め、復水器は排気を水に戻します。

汽力発電所は、図11のような中央制御室で、ボイラやタービンの圧力・温度・流量などを見ながら運転します。窓の外に見える冷却塔は、海水を使えない場所で、温まった冷却水を冷やして使い回すための設備です。

曲面の操作卓に並ぶ多数の監視画面に向かう運転員 2 人の後ろ姿。窓の外に発電所の煙突と大きな冷却塔が見える中央制御室の写真
  1. 冷却塔 温まった冷却水を冷やす
  2. 監視画面 運転の状態を表示する
  3. 操作卓 運転員が機器を操作する
図11 発電所の中央制御室のイメージ(写真はイメージ)

よくある質問

火力発電と汽力発電は同じですか。

汽力発電は火力発電の一種です。火力発電は燃料を燃やした熱で発電する方式の総称で、ボイラと蒸気タービンを使う汽力発電のほか、燃焼ガスでガスタービンを回す方式、両者を組み合わせたコンバインドサイクル発電(火力発電の熱効率で扱います)、ディーゼル機関を使う内燃力発電があります。電験三種で単に火力発電といえば、汽力発電を指すことが多いです。

復水器で、なぜ多くの熱を捨てるのですか。

蒸気を水に戻さないと、ポンプでボイラへ送り返せないからです。蒸気を水に戻すには、蒸気が持つ凝縮の熱を冷却水に渡さなければなりません。復水器の圧力が 5 kPa のとき、蒸気 1 kg が水に戻る際に渡す熱は約 2 400 kJ です。この熱は温度が低くて発電に使えないので、冷却水に捨てることになります。

節炭器と空気予熱器の違いは何ですか。

どちらも排ガスの熱を回収する装置です。節炭器は給水を温め、空気予熱器は燃焼用の空気を温めます。排ガスの流れでは、節炭器のほうが温度の高い側に、空気予熱器が低い側に置かれます。熱を戻す先が違うだけで、どちらもボイラ効率を上げ、燃料を減らします。

自然循環・強制循環・貫流は、どう使い分けますか。

おもに圧力で使い分けます。圧力があまり高くなければ自然循環で水が回ります。圧力が高くなると水と蒸気の重さの差が小さくなるので、強制循環で循環ポンプの力を借ります。水の臨界圧力(約 22 MPa)を超える超臨界圧は、貫流ボイラだけです。大容量で高温・高圧の発電所では、貫流ボイラがよく使われます。

思い出してみよう

答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。

汽力発電で、水と蒸気が一巡する順序は?

復水器 → 復水ポンプ → 給水加熱器・脱気器 → 給水ポンプ → 節炭器 → 蒸発管 → 過熱器 → タービン(途中に再熱器)→ 復水器です。

節炭器・過熱器・再熱器は、それぞれ何を温めますか?

節炭器は給水、過熱器は飽和蒸気、再熱器は高圧タービンの排気です。空気を温めるのは空気予熱器です。

自然循環ボイラが回る理由と、貫流ボイラの特徴は?

降水管の水より、上昇管の水と蒸気の混合物が軽いので、重さの差で回ります。貫流ボイラはドラムが無く、水が一本道で蒸気になります。

通風の 3 方式と、炉内の圧力は?

押込通風は大気圧より高く、誘引通風は低く、平衡通風は両方のファンで大気圧に近くなります。

復水器の役目と、真空にする理由は?

タービンの排気を水に戻します。真空にすると、出口の圧力が下がって熱落差が増え、発電量が増えます。

熱を最も多く捨てる場所と、冷却水が運ぶ熱量の式は?

復水器です。冷却水が運ぶ熱量は Q=m c ΔtQ = m\,c\,\Delta t です。

まとめ

  • 汽力発電は、ボイラで作った蒸気で蒸気タービンと発電機を回す。水と蒸気は、復水器・ポンプ・ボイラ・タービンを一巡する
  • 給水には純水を使い、脱気器で溶けた酸素を抜いて腐食を防ぐ。給水加熱器と節炭器で温めてから蒸発管へ送る
  • ボイラは自然循環・強制循環・貫流の 3 種類。ドラムの無い貫流ボイラは超臨界圧にも使える。通風は押込・誘引・平衡の 3 方式
  • 排ガスの熱は、節炭器(給水)と空気予熱器(燃焼用空気)で回収する
  • 復水器は排気を水に戻して真空をつくる。熱の収支では、復水器が最も多く熱を捨てる場所で、冷却水の熱量は Q=m c ΔtQ = m\,c\,\Delta t
  • ボイラ効率は ηB=G(hs−hw)BH\eta_{\mathrm{B}} = \dfrac{G(h_{\mathrm{s}}-h_{\mathrm{w}})}{BH}。蒸気が受け取った熱を、燃料の熱で割る

設備の流れがつかめたら、次は水と蒸気の状態変化を熱力学で整理します。ランキンサイクルで T-s 線図とエンタルピーの扱いを学び、火力発電の熱効率で発電端効率・送電端効率と燃料消費量の計算を確認しましょう。ボイラを原子炉に置き換えた発電は、原子力発電の仕組みで扱います。

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デンケンラボ編集部

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