前の記事電子の運動とローレンツ力では、電子が電界と磁界から力を受けて動くことを確かめました。トランジスタは、この電子や正孔の流れを、小さな信号で操作して、信号を大きくする部品です。
トランジスタの基本で、電流増幅率 hFE や h パラメータの意味は確かめました。ところが、増幅回路の問題は、部品の式が分かっていても、どこから手をつけるかで迷います。こつは、回路を直流と交流に分けて、別々に解くことです。この記事では、バイアスと動作点、交流の増幅度、多段増幅と利得 dB、負帰還増幅回路と周波数特性を、図と例題4問で確かめます。
トランジスタ増幅回路の全体像
- トランジスタ増幅回路とは
- 直流(動作点)と交流(増幅度)に分けて解く
- コンデンサは直流で開放、交流で短絡
- 動作点とバイアス・負荷線
- V_B から V_E = V_B − V_BE、I_C ≒ I_E、V_CE の順に求める
- 動作点 Q は直流負荷線の上。交流負荷線は傾きが急
- 交流の増幅度を求める
- A_v = −h_fe R’_L / h_ie(出力は逆相)
- FET は −g_m R’_L、エミッタホロワは約 1
- 多段増幅と利得
- 増幅度は積、利得 dB は和
- 電圧は 20 log、電力は 10 log
- 負帰還増幅回路と周波数特性
- A_f = A/(1+Aβ)。利得は下がり、安定して帯域が広がる
トランジスタ増幅回路とは
増幅回路は、入力の小さな信号に比例した、大きな信号を出力する回路です。大きくするためのエネルギーは、直流電源 VCC から出ます。トランジスタは、ベース電流という小さな電流で、コレクタ電流という大きな電流を操作する役目をします。
図1 電圧分割バイアスのエミッタ接地増幅回路。C1・C2 は直流を止め、CE は RE を交流で短絡する
図1は、基本の増幅回路(電圧分割バイアスのエミッタ接地)です。部品のはたらきは、次のとおりです。
| 部品 | はたらき |
|---|
| R1・R2 | ベースの電圧を決める |
| RC | コレクタ電流を電圧に変える |
| RE | 動作点を安定にする |
| CE | RE を交流で短絡する |
| C1・C2 | 直流を止めて交流だけ通す |
この回路には、直流と交流の電圧・電流が同時に流れています。ベース・エミッタ間の電圧なら、動作点を決める直流 VBE に、信号の交流 vbe が重なった形です。
vBE=VBE+vbe
信号が小さいあいだは、動作点のまわりで特性を直線とみなせるので、直流と交流を別々に計算して、あとで足せば全体になります。そこで、次の2段階に分けて解きます。
- 直流で解く。コンデンサを開放(取り除く)し、信号源を 0 にして、動作点(IC、VCE)を求める。
- 交流で解く。コンデンサを短絡(導線に置き換え)、直流電源 VCC も 0 V(接地)にして、増幅度と入出力抵抗を求める。
コンデンサは、直流では電流が流れないので開放です。信号の周波数では、容量が十分大きければインピーダンス 1/(ωC) が小さいので、短絡とみなせます。
1ジャンパー線2トランジスタ3コンデンサ4抵抗5電池ボックス- ジャンパー線 配線
- トランジスタ 増幅の主役
- コンデンサ 直流をさえぎる
- 抵抗 電流を決める
- 電池ボックス 直流電源
図2 ブレッドボードで組んだ増幅回路。トランジスタと抵抗、コンデンサで1段の回路になる(写真はイメージ)
図2のブレッドボードのように、実際の回路でも、1個のトランジスタに抵抗とコンデンサを組み合わせて1段の増幅回路を作ります。npn トランジスタのコレクタ電流は、エミッタから出てベースを通り抜けた電子が、コレクタ側の電界で引かれて流れるものです。電界で電子が加速される考え方は、電子の運動で確かめられます。
動作点とバイアス・負荷線
直流の回路で動作点を求める
動作点は、信号がないときの IC と VCE の組です。図1のコンデンサを開放すると、図3の直流等価回路になります。
図3 直流等価回路。コンデンサを開放すると、バイアス回路・RC・RE だけが残る
求める順序は、VB、VE、IE、VCE です。ベース電流 IB が R1・R2 を流れる電流に比べて十分小さいときは、R1 と R2 の分圧が、そのままベース電圧になります。
VBVEIEVCE=R1+R2R2VCC=VB−VBE=REVE≈IC=VCC−(RC+RE)IC
VBE は、シリコンのトランジスタでは約 0.6[V] で、問題文に与えられます。IC≈IE としてよいのは、IB が IE に比べて小さいからです。
RE には、動作点を安定にするはたらきがあります。温度が上がって IC が増えると、VE が上がって VBE=VB−VE が小さくなり、IB が減って IC が元へ戻ります。出力の変化を入力に戻して打ち消す、負帰還のはたらきです。
解答と解説を見る
分圧から、VB を求めます。
VB=40+1010×15=3[V]VE と IC は、次のとおりです。
VEIC=3−0.6=2.4[V]≈2.4×1032.4=1[mA]VCE を求めます。mA と kΩ をかけると V になります。
VCE=15−1×(5+2.4)=7.6[V]IB=IC/hFE=10[μA] です。R1・R2 を流れる電流は 15/(50×103)=0.3[mA]=300[μA] なので、IB の 30 倍です。IB を無視してよい条件を満たしています。
検算します。IB を入れて厳密に解くと、IC≈0.958[mA]、VCE≈7.88[V] です。近似との差は約 4% で、問題の答えは近似でよいことが分かります。
直流負荷線と交流負荷線
動作点が、出力特性のどこにあるかを見るのが、負荷線です。コレクタ側の式 VCE=VCC−(RC+RE)IC は、IC と VCE の直線の式です。この直線を直流負荷線といい、VCE 軸の切片は VCC、IC 軸の切片は VCC/(RC+RE) です。
図4 直流負荷線と交流負荷線は動作点 Q で交わり、交流負荷線のほうが傾きが急になる
図4の動作点 Q は、直流負荷線と、バイアスで決まる IB の曲線(10μA)の交点です。
信号が入ると、IC と VCE は Q を中心に上下に振れます。交流の負荷は、CE が RE を短絡し、C2 の先の RL が RC に並列になるので、RL′=RC//RL です。振れは、Q を通って傾き −1/RL′ の交流負荷線に沿って動きます。直流より負荷が小さいので、傾きが急になります。
Q が負荷線の端に寄っていると、信号の山か谷が、IC=0(遮断)か VCE≈0(飽和)にぶつかって平らにつぶれ、ひずみます。Q は、交流負荷線の中ほどに置きます。
交流の増幅度を求める
交流等価回路と電圧増幅度
交流の回路では、コンデンサと直流電源を短絡します。トランジスタは、h パラメータの簡易等価回路で置き換えます。入力側の抵抗 hie と、出力側の電流源 hfeib です。
図5 交流等価回路。コンデンサと直流電源を短絡し、トランジスタを hie と電流源 hfe·ib で置き換える
図5で、入力電圧は vi=hieib です。出力側の電流源は、出力端子から電流を吸い込む向きなので、出力電圧は負の vo=−hfeibRL′ になります。比をとると、ib が消えます。
AvRL′=vivo=−hiehfeRL′=RC+RLRCRL
マイナスは、出力が入力と逆相(上下が逆)になることを表します。大きさは、hfe と RL′ が大きく、hie が小さいほど大きくなります。
入力抵抗と出力抵抗は、図5から読み取ります。入力側では、バイアス抵抗 R1・R2 と hie が並列です。出力側では、電流源は電流を一定に保つので、コレクタ側から見ると RC だけが見えます。
ZinZout=R1//R2//hie≈RC
コンデンサ CE の役割
CE があると、交流では RE が短絡されて、上の式になります。CE を外すと、RE が交流でも残り、エミッタの電圧が信号に合わせて動いて、増幅度が下がります。
Av=−hie+(1+hfe)REhfeRL′≈−RERL′
RE が大きいと分母が (1+hfe)RE で決まり、増幅度は hfe によらず、抵抗の比 RL′/RE になります。増幅度は下がりますが、トランジスタごとのばらつきや温度の影響が小さくなります。次の節の負帰還と同じ考え方です。
1青いコンデンサ2トランジスタ3電解コンデンサ4抵抗- 青いコンデンサ
- トランジスタ
- 電解コンデンサ
- 抵抗
図6 基板に載った増幅回路の部品。結合コンデンサと抵抗、トランジスタが並ぶ(写真はイメージ)
図6の基板では、青い結合コンデンサ、トランジスタ、電解コンデンサ、抵抗が並んでいます。CE のように、低い周波数でもインピーダンスを小さくしたい場所には、容量の大きい電解コンデンサが使われます。
解答と解説を見る
交流の負荷抵抗は、RC と RL の並列です。
RL′=5+105×10≈3.33[kΩ]増幅度と利得は、次のとおりです。
AvGv=−2120×3.33=−200=20log10200≈46[dB]入力抵抗は、R1、R2、hie の並列です。
Zin1Zin=401+101+21=0.625[mS]=1.6[kΩ]CE を外すと、次のようになります。
∣Av∣≈RERL′=2.43.33≈1.4答えは、Av=−200、Gv≈46[dB]、Zin=1.6[kΩ]、CE を外すと約 1.4 倍です。
検算します。外したときの式の元の形 −hfeRL′/{hie+(1+hfe)RE} に入れると −1.37 で、近似とほぼ一致します。CE を外すと、増幅度は約 146 分の 1 に下がります。図4の交流負荷線は、この RL′ から、VCE 軸が約 10.9[V]、IC 軸が約 3.3[mA] です。
FET 増幅回路の増幅度
FET は、ゲートに電流が流れないので、入力側は電圧 vgs だけで考えます。ドレイン電流の変化は、相互コンダクタンス gm[S] を使って gmvgs と書けます。
図7 FET ソース接地の交流等価回路。ゲートに電流は流れず、電流源 gm×vgs が RD と RL の並列に流れる
図7で、電流源の電流は RD と RL の並列 RL′ に流れます。出力電圧は vo=−gmvgsRL′ なので、増幅度は次の式です。
Av=−gmRL′
トランジスタの hfe/hie が、FET では gm に置き換わった形です。入力抵抗が大きいことが、FET の特長です。FET の種類はトランジスタの基本で確かめられます。
エミッタホロワ(コレクタ接地)
出力をエミッタから取り出す回路を、エミッタホロワといいます。
図8 エミッタホロワ(コレクタ接地)。出力をエミッタから取り出し、増幅度はほぼ 1 で入力と同相になる
図8の回路では、エミッタの電圧が、ベースの信号に追いかけるように動きます。電圧増幅度は 1 に近く(わずかに 1 より小さい)、入力と同相です。電圧は大きくなりませんが、入力抵抗が大きく、出力抵抗が小さいので、前の段の信号を弱めずに、次の段をしっかり駆動できます。段と段のあいだの緩衝(バッファ)に使います。
3つの接地方式を、まとめます。くわしくはトランジスタの基本の接地方式の節です。
| 接地方式 | 電圧増幅 | 位相 |
|---|
| エミッタ接地 | 大きい | 逆相 |
| ベース接地 | 大きい | 同相 |
| コレクタ接地 | 約 1 | 同相 |
多段増幅と利得
増幅度は積、利得 dB は和
1段で足りないときは、増幅回路を縦につなぎます(多段増幅)。全体の電圧増幅度は、各段の増幅度の積です。
ここで気をつけることが1つあります。次の段の入力抵抗は、前の段にとっては負荷です。前の段の増幅度を求めるときは、RL′ に次の段の入力抵抗も並列に入れます。
1電源トランス2電解コンデンサ3放熱フィン4基板- 電源トランス
- 電解コンデンサ
- 放熱フィン
- 基板 小さな部品が並ぶ
図9 アンプの内部。増幅回路は多段に重ねて、電力を取り出す(写真はイメージ)
図9のようなアンプの内部でも、増幅回路は多段に重ねてあり、最後の段で大きな電力を取り出します。
増幅度の積は、利得 [dB] にすると和になります。電圧増幅度 Av の利得は 20log10∣Av∣ です。
AG=A1×A2=20log10A1+20log10A2
電圧は 20 log、電力は 10 log
デシベルの定義はトランジスタの基本にあります。電圧(電流)の増幅度には 20log10、電力の増幅度 Ap には 10log10 を使います。
GvGp=20log10∣Av∣=10log10Ap
係数が 2 倍違うのは、電力が電圧の 2 乗に比例するからです。同じ抵抗なら P=V2/R なので、電圧が Av 倍になると、電力は Av2 倍です。10log10Av2=20log10Av になります。電力の増幅度は、電圧と電流の増幅度の積 Ap=AvAi です。
同じ数を、電圧の倍率として見たときと、電力の倍率として見たときの利得を、表にします。
| 倍率 | 電圧利得 | 電力利得 |
|---|
| 1 | 0 dB | 0 dB |
| 2 | 約 6 dB | 約 3 dB |
| 5 | 約 14 dB | 約 7 dB |
| 10 | 20 dB | 10 dB |
| 100 | 40 dB | 20 dB |
log102≈0.301、log105≈0.699 を覚えておくと、2 倍が約 6 dB、5 倍が約 14 dB と出せます。
解答と解説を見る
前の段の負荷は、RD と RL の並列です。
RL′=4+44×4=2[kΩ]FET の段の増幅度と利得は、次のとおりです。
A1G1=−5×10−3×2×103=−10=20log1010=20[dB]次の段の利得は 20log1050≈34[dB] です。全体は、積と和で求めます。
AG=(−10)×(−50)=500=20+34=54[dB]答えは、段の増幅度 −10(利得 20 dB)、全体の増幅度 500(利得約 54 dB)です。逆相が 2 回で、全体は入力と同相になります。
検算します。20log10500=20×2.699≈54.0[dB] で、段ごとの利得の和と一致します。
負帰還増幅回路と周波数特性
負帰還のかけ方と増幅度
出力の一部を入力に戻すことを、帰還といいます。入力から引き算して戻すものを負帰還といいます。
図10 負帰還のブロック図。出力の一部 β を入力から引き算して戻す
図10で、増幅器の増幅度を A、帰還回路の帰還率を β とします。増幅器に入る信号は、入力 xi から、帰還した分 xf=βxo を引いたものです。
xoAf=A(xi−βxo)=xixo=1+AβA
Af が、負帰還をかけたあとの増幅度です。Aβ が 1 に比べて十分大きいと、Af≈1/β となり、A の値によらず、帰還回路の β だけで決まります。β は抵抗の比で作れるので、増幅度が安定します。オペアンプの増幅回路も、この負帰還で増幅度を決めています。
負帰還をかけると、増幅度は下がりますが、次の効果があります。
| 項目 | 負帰還の効果 |
|---|
| 増幅度 | 1/(1+Aβ) に下がる |
| 増幅度の変動 | 1/(1+Aβ) に減る |
| ひずみ・雑音 | 約 1/(1+Aβ) に減る |
| 帯域幅 | 約 (1+Aβ) 倍に広がる |
ひずみと雑音は、増幅器の中で生じる分を、同じ出力で比べたときの値です。この 1+Aβ を、帰還量といいます。
解答と解説を見る
帰還量は 1+Aβ=1+1000×0.1=101 です。
Af=1011000≈9.90A=800 に下がったときは、次のとおりです。
Af′=1+800×0.1800=81800≈9.88変化率は、次の値です。
9.909.88−9.90≈−0.0025=−0.25%答えは、Af≈9.90 で、A が 20% 下がっても、Af の変化は約 0.25% です。
検算します。Aβ≫1 の近似 1/β=10 と近い値です。利得で見ると、A は 60[dB]、Af は 20log109.90≈19.9[dB] で、約 40[dB](=20log10101)下がります。
周波数特性と帯域幅
増幅回路の増幅度は、周波数によって変わります。横軸に周波数(対数)、縦軸に利得をとったものが、周波数特性です。
図11 周波数特性。中域から 3 dB 下がる fL と fH の間が帯域幅で、負帰還をかけると利得が下がり、帯域が広がる
図11の青い実線は、負帰還なしの特性です。中域では、ほぼ平らです。低域で下がるのは、結合コンデンサ C1・C2 や CE のインピーダンスが大きくなり、信号が通りにくくなるからです。高域で下がるのは、トランジスタの内部の容量や配線の容量のはたらきです。
中域の利得から 3dB 下がる周波数を、遮断周波数(低域は fL、高域は fH)といいます。3dB 下がると、電圧は約 1/2≈0.707 倍、電力は 1/2 倍です。fL と fH の間を帯域幅といい、B=fH−fL です。
信号源の抵抗を無視すると、入力側のコンデンサ C1 と入力抵抗 Zin は、f=1/(2πC1Zin) を遮断周波数とする高域通過フィルタです。C1=1[μF]、Zin=1.6[kΩ] なら約 100[Hz] で、図の fL はこの値です。実際の fL は、C2 や CE の影響も受けます。
オレンジ色の破線は、負帰還をかけたものです。中域の利得が 40 dB(A=100)で β=0.1 なら、Aβ=10 で、Af=100/11≈9.1(約 19 dB)です。利得が下がるかわりに、帯域がおよそ 1+Aβ=11 倍に広がります。
1ツイーター2ウーファー3つまみ- ツイーター 高音用
- ウーファー 低音用
- つまみ 音量などの調整
図12 アンプとスピーカー。増幅できる周波数の範囲が、音の聞こえ方を決める(写真はイメージ)
図12のようなオーディオのアンプでは、ふつう 20Hz から 20kHz ほどの音を、中域と同じ増幅度で扱えることが求められます。帯域が足りないと、低い音や高い音が弱く聞こえます。
よくある質問
増幅回路を、なぜ直流と交流に分けて解くの?
信号が小さければ、動作点のまわりで特性が直線とみなせるので、直流の量と交流の量を足し合わせて考えられるからです。直流で動作点を決め、交流で増幅度を求めると、それぞれの回路が簡単になります。コンデンサは、直流では開放、交流では短絡です。
電圧増幅度のマイナスは、何を表すの?
出力が入力と逆相(上下が逆)であることを表します。エミッタ接地やソース接地の増幅回路では、増幅度が負になります。利得 [dB] は、大きさ ∣Av∣ で計算します。
負帰還をかけると増幅度が下がるのに、なぜ使うの?
増幅度が 1/(1+Aβ) に下がるかわりに、増幅度が安定し、ひずみと雑音が減り、帯域が広がるからです。下がった増幅度は、段を増やして取り戻せます。
電圧利得は 20 log、電力利得は 10 log なのはなぜ?
電力が電圧の 2 乗に比例するからです。電圧が 10 倍になると、電力は 100 倍で、20log1010=10log10100=20[dB] と、同じ利得になります。
思い出してみよう
答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。
増幅回路の直流等価回路と交流等価回路で、コンデンサと直流電源はどう扱う?
直流ではコンデンサを開放します。交流ではコンデンサを短絡し、VCC も 0 V(接地)にします。
バイアス回路から動作点を求める順序は?
VB、VE=VB−VBE、IC≈VE/RE、VCE=VCC−(RC+RE)IC の順です。
エミッタ接地の電圧増幅度は?
Av=−hfeRL′/hie です。RL′=RC//RL で、マイナスは逆相を表します。
電圧利得と電力利得の式は?
Gv=20log10∣Av∣、Gp=10log10Ap です。多段では、増幅度は積、利得 [dB] は和です。
負帰還増幅回路の増幅度は?
Af=A/(1+Aβ) です。Aβ≫1 なら Af≈1/β になります。
負帰還をかけると、何が変わる?
増幅度は下がりますが、安定し、ひずみ・雑音が減り、帯域が広がります。
まとめ
- 増幅回路は、直流(動作点)と交流(増幅度)に分けて解く。直流ではコンデンサを開放、交流ではコンデンサと VCC を短絡する
- 動作点は VB、VE=VB−VBE、IC≈IE、VCE の順に求める。直流負荷線と交流負荷線は Q で交わり、交流のほうが傾きが急
- 電圧増幅度は、エミッタ接地で −hfeRL′/hie、FET で −gmRL′。エミッタホロワは約 1 で同相
- 多段では増幅度は積、利得は和。電圧・電流は 20log10、電力は 10log10
- 負帰還増幅回路は Af=A/(1+Aβ)。増幅度は下がるが、安定してひずみ・雑音が減り、帯域が約 (1+Aβ) 倍に広がる
帰還の符号を変えると、増幅回路は発振回路になります。次の発振回路で、発振の条件と、LC や CR で周波数が決まるしくみを学びます。トランジスタの基本から見直したいときは、トランジスタの基本も読み返してください。