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理論電子理論 / 発振回路19分で読めます

発振回路の発振条件と発振周波数|コルピッツ・ハートレー・ウィーンブリッジを図解

電験三種の理論で扱う発振回路を、発振条件(正帰還と Aβ=1)から整理します。LC 発振のコルピッツ・ハートレー、CR 発振のウィーンブリッジ、水晶発振、マルチバイブレータを、例題4問と図で確かめられます。

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緑色の基板の上に、銀色の金属の缶に入った水晶振動子が立っている写真
この記事の目次
  1. 発振回路とは
  2. 発振条件
  3. 位相条件と振幅条件
  4. 発振の立ち上がりと一定振幅
  5. LC 発振回路
  6. 3素子形の考え方
  7. コルピッツ発振回路
  8. ハートレー発振回路
  9. CR 発振回路と水晶発振回路
  10. ウィーンブリッジ発振回路
  11. 移相形発振回路
  12. 水晶発振回路
  13. マルチバイブレータ
  14. よくある質問
  15. 発振回路は、入力がないのに、なぜ出力が出るの?
  16. コルピッツとハートレーは、どう見分けるの?
  17. 水晶発振回路は、なぜ周波数が安定なの?
  18. 正弦波の発振回路とマルチバイブレータは、何が違うの?
  19. まとめ
図解でわかる 電験三種 理論 1 直列回路 の表紙理論を図解で読む図解でわかる 電験三種 理論 1
直列回路
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前の記事トランジスタ増幅回路の解き方では、出力の一部を引き算して戻す負帰還で、増幅回路が安定することを確かめました。帰還の符号を逆にして、足し算で戻すと、入力がなくても出力が続きます。これが発振回路です。

ラジオの選局、時計の水晶、パソコンのクロックなど、一定の周波数の信号が必要なところに、発振回路があります。この記事では、発振条件、LC 発振回路(コルピッツ・ハートレー)、CR 発振回路(ウィーンブリッジ・移相形)、水晶発振回路、マルチバイブレータを、図と例題4問で確かめます。

発振回路の全体像
  • 発振回路とは
    • 増幅器と正帰還で、入力なしに交流を出し続ける
    • A_f = A/(1−Aβ)。Aβ が 1 になると出力が残る
  • 発振条件
    • 位相条件は一巡で 0°、振幅条件は |Aβ| = 1
    • 立ち上がりは |Aβ| が 1 より大きい
  • LC 発振回路
    • 3素子形は X1 + X2 + X3 = 0、X1 と X2 が同符号
    • コルピッツは C の直列合成、ハートレーは L1 + L2 + 2M
  • CR 発振回路と水晶発振回路
    • ウィーンブリッジは f = 1/(2πCR)、増幅度 3 以上
    • 移相形は f = 1/(2π√6 CR)、増幅度 29 以上。水晶は誘導性の範囲を使う
  • マルチバイブレータ
    • 非安定は方形波を出し続ける。周期は約 1.4CR

発振回路とは

発振回路は、直流電源のエネルギーを、一定の周波数の交流に変えて出力する回路です。外から信号を入れなくても、回路が自分で交流を作り続けます。

発振回路は、増幅器と、出力の一部を入力に戻す帰還回路でできています。

xi + + xe A xo β xf xf = βxo xe = xi + xf
図1 正帰還のブロック図。出力の一部 β を入力に足し算して戻す

図1で、増幅器の増幅度を AA、帰還回路の帰還率を β\beta とします。負帰還と違って、戻した信号 xf=βxox_{\mathrm{f}} = \beta x_{\mathrm{o}} を入力に足し算します(正帰還)。

xo=A (xi+βxo)Af=xoxi=A1−Aβ\begin{aligned} x_{\mathrm{o}} &= A\,(x_{\mathrm{i}} + \beta x_{\mathrm{o}}) \\ A_{\mathrm{f}} &= \frac{x_{\mathrm{o}}}{x_{\mathrm{i}}} \\ &= \frac{A}{1-A\beta} \end{aligned}

負帰還の式 A/(1+Aβ)A/(1+A\beta) と、符号が違うだけです。AβA\beta が 1 に近づくと、分母が 0 に近づいて AfA_{\mathrm{f}} が限りなく大きくなります。入力 xix_{\mathrm{i}} が 0 でも、出力 xox_{\mathrm{o}} が 0 でない値を保てる、ということです。

機械式時計が、似たしくみです。

機械式時計の内部。下側に金色の輪とうずまき状のばね、右上にぜんまいが巻かれた円い部品、中央に金色の歯車が見える写真
  1. てんぷ
  2. ぜんまい
  3. 歯車
図2 機械式時計の内部。ぜんまいのエネルギーが、てんぷの往復運動の損失を補う(写真はイメージ)

図2の時計では、てんぷという輪が往復運動をして、時間を刻みます。摩擦があるので、放っておくと往復運動は小さくなって止まります。そこで、ぜんまいに蓄えたエネルギーが、てんぷに少しずつ与えられて、損失を補います。

発振回路でも同じです。LC や CR の回路の振動は、抵抗があるので、放っておくと小さくなります。増幅器が、直流電源のエネルギーで、その損失を補い続けます。

時計発振回路
ぜんまい直流電源
てんぷLC などの回路
脱進機増幅器と正帰還

発振条件

位相条件と振幅条件

図1の回路が、入力 xi=0x_{\mathrm{i}} = 0 のまま出力を出し続けるには、xo=Aβ xox_{\mathrm{o}} = A\beta\,x_{\mathrm{o}} が成り立つ必要があります。xo≠0x_{\mathrm{o}} \neq 0 なら、両辺を xox_{\mathrm{o}} で割って、次の式になります。

Aβ=1A\beta = 1

AβA\beta は、増幅器と帰還回路を一巡したときの利得で、周波数によって大きさと位相が変わる複素数です。Aβ=1A\beta = 1 は、大きさが 1、位相が 0° の2つを、同時に満たすことを表します。

条件内容
位相条件一巡して位相が 0°
振幅条件一巡して大きさが 1

位相条件が満たされると、戻ってきた信号が、もとの信号と同じ向きに加わって、強め合います。位相がずれると打ち消し合い、振動は続きません。振幅条件は、一巡するたびに信号が小さくならないことを求めます。位相条件を満たす周波数が、発振周波数です。

発振の立ち上がりと一定振幅

電源を入れた瞬間の変化や、回路の雑音が、発振のきっかけになります。∣Aβ∣|A\beta| を 1 より少し大きくしておくと、信号は一巡するたびに大きくなります。

時間 |Aβ| > 1:振幅が育つ |Aβ| = 1:一定 雑音のような小さな揺れ 飽和で頭打ち
図3 発振の立ち上がり。|Aβ|>1 のあいだ振幅が育ち、増幅度が下がって |Aβ|=1 になると振幅が一定になる

図3のように、振幅が大きくなると、トランジスタが遮断や飽和に近づいて、増幅度 AA が下がります。∣Aβ∣|A\beta| が 1 になったところでつり合い、振幅が一定の正弦波が続きます。

灰色のオシロスコープの画面に、緑色の正弦波が2周期分映っている写真。画面には格子の目盛りがあり、右側につまみが並んでいる
  1. 山の高さ
  2. 中心線
  3. 格子の目盛り
  4. つまみ
図4 オシロスコープの画面に映る一定振幅の正弦波。発振が安定したときの出力のイメージ(写真はイメージ)

図4は、発振が安定したときの出力を、オシロスコープで見たイメージです。山の高さがそろった波形が、同じ周期でくり返されます。

解答と解説を見る

一巡の利得を求めます。

Aβ=(−40)×(−0.03)=1.2\begin{aligned} A\beta &= (-40) \times (-0.03) \\ &= 1.2 \end{aligned}

1.21.2 は正の実数で、位相は 0° です。位相条件を満たし、∣Aβ∣=1.2>1|A\beta| = 1.2 > 1 なので、振幅が育って発振が立ち上がります。

振幅が大きくなると、増幅度が下がって ∣Aβ∣=1|A\beta| = 1 でつり合います。そのときの増幅度の大きさは、次のとおりです。

∣A∣=1∣β∣=10.03≈33.3\begin{aligned} |A| &= \frac{1}{|\beta|} \\ &= \frac{1}{0.03} \\ &\approx 33.3 \end{aligned}

β=+0.03\beta = +0.03 のときは、Aβ=−1.2A\beta = -1.2 で、位相が 180° ずれます。位相条件を満たさないので、発振しません。負帰還になって、増幅度は次の値に下がります。

∣Af∣=401−(−1.2)=402.2≈18.2\begin{aligned} |A_{\mathrm{f}}| &= \frac{40}{1-(-1.2)} \\ &= \frac{40}{2.2} \\ &\approx 18.2 \end{aligned}

答えは、β=−0.03\beta = -0.03 では発振して、安定したときの ∣A∣≈33.3|A| \approx 33.3 です。β=+0.03\beta = +0.03 では発振せず、増幅度は約 18.2 になります。

検算します。β=−0.03\beta = -0.03 のときは、33.3×0.03≈1.033.3 \times 0.03 \approx 1.0 で、∣Aβ∣=1|A\beta| = 1 になります。β=+0.03\beta = +0.03 のときは、大きさ 40・帰還率 0.03 の負帰還として、40/(1+40×0.03)=40/2.2≈18.240/(1+40 \times 0.03) = 40/2.2 \approx 18.2 と求めても、同じ値です。

LC 発振回路

LC 発振回路は、コイル LL とコンデンサ CC の共振で、周波数を決める回路です。共振回路で確かめたとおり、共振周波数は f0=1/(2πLC)f_0 = 1/(2\pi\sqrt{LC}) です。共振回路が選んだ周波数の信号を、トランジスタで増幅して正帰還し、損失を補い続けます。

ラジオの内部。上に銅線を巻いた白い棒、その下の基板に缶入りのコイルや小さな部品、右に可変コンデンサ、左下にスピーカー、右下に電池ボックスが見える写真
  1. アンテナコイル
  2. 缶入りコイル
  3. 可変コンデンサ
  4. スピーカー
  5. 電池ボックス
図5 ラジオの内部。コイルと可変コンデンサの組で周波数を選ぶ(写真はイメージ)

図5のラジオの内部にも、銅線を巻いたコイルと、可変コンデンサが見えます。LC の値を変えると共振周波数が変わるので、ラジオでは、この組で受け取る周波数を選びます。

3素子形の考え方

LC 発振回路は、トランジスタの3つの端子の間に、リアクタンス X1X_1、X2X_2、X3X_3 を1個ずつつなぐ形にまとめられます。

X3 X2 X1 B C E 直流バイアスは省略 X1 + X2 + X3 = 0 X1・X2 は同符号、X3 は逆符号
図6 LC 発振回路の3素子形。X1・X2 が同符号、X3 が逆符号で、X1+X2+X3=0 のとき発振する

図6の X1X_1 はベースとエミッタの間、X2X_2 はコレクタとエミッタの間、X3X_3 はコレクタとベースの間です。発振の条件は、次の2つです。

  • X1+X2+X3=0X_1 + X_2 + X_3 = 0(3つのリアクタンスが一巡する回路が共振する)
  • X1X_1 と X2X_2 が同符号で、X3X_3 が逆符号

位相条件の理由は、次のとおりです。エミッタ接地の増幅器は、出力を 180° 逆相にします。一方、X1X_1 と X2X_2 が同符号だと、接地を基準にした X1X_1 の電圧と X2X_2 の電圧が、逆向きになります。帰還の電圧 vfv_{\mathrm{f}} と出力の電圧 vov_{\mathrm{o}} の比は、次のとおりです。

vfvo=−X1X2\frac{v_{\mathrm{f}}}{v_{\mathrm{o}}} = -\frac{X_1}{X_2}

負の実数(位相 180°)なので、増幅器の 180° と合わせて、一巡で 0° になります。X1X_1 と X2X_2 が同符号なら、X1+X2+X3=0X_1 + X_2 + X_3 = 0 から、X3X_3 は逆符号になります。

回路X1X_1・X2X_2X3X_3
コルピッツコンデンサコイル
ハートレーコイルコンデンサ

コルピッツ発振回路

エミッタにつながる X1X_1・X2X_2 をコンデンサ C1C_1・C2C_2、X3X_3 をコイル LL にした回路が、コルピッツ発振回路です。

L C1 C2 vf vo 直流バイアスと電源は省略 C1・C2 が X1・X2、L が X3
図7 コルピッツ発振回路。C1・C2 が同符号のリアクタンス、L が逆符号。C1 の電圧 v_f を帰還する

図7の C1C_1 の電圧が、帰還の電圧 vfv_{\mathrm{f}}、C2C_2 の電圧が出力の電圧 vov_{\mathrm{o}} です。発振周波数は、X1+X2+X3=0X_1 + X_2 + X_3 = 0 から求めます。

ωL−1ωC1−1ωC2=0ω2=1L(1C1+1C2)\begin{aligned} \omega L - \frac{1}{\omega C_1} - \frac{1}{\omega C_2} &= 0 \\ \omega^2 &= \frac{1}{L}\left(\frac{1}{C_1} + \frac{1}{C_2}\right) \end{aligned}

C1C_1 と C2C_2 の直列合成容量 CsC_{\mathrm{s}} を使うと、共振周波数の式と同じ形になります。

f0=12πL CsCs=C1C2C1+C2\begin{aligned} f_0 &= \frac{1}{2\pi\sqrt{L\,C_{\mathrm{s}}}} \\ C_{\mathrm{s}} &= \frac{C_1 C_2}{C_1 + C_2} \end{aligned}

帰還率の大きさは、∣β∣=∣X1/X2∣=C2/C1|\beta| = |X_1/X_2| = C_2/C_1 です。∣Aβ∣≥1|A\beta| \geq 1 にするには、増幅器の増幅度を ∣A∣≥C1/C2|A| \geq C_1/C_2 にする必要があります。

緑色の基板の上に、銅線を巻いたコイル、青と茶色のコンデンサ、黒いトランジスタが立っている写真
  1. コイル
  2. 青いコンデンサ
  3. 茶のコンデンサ
  4. トランジスタ
図8 基板に載ったコイル、2個のコンデンサ、トランジスタ。コルピッツ回路に必要な部品の数と同じ(写真はイメージ)

図8のように、コイル1個、コンデンサ2個、トランジスタ1個があれば、コルピッツ発振回路の主な部品がそろいます。

解答と解説を見る

C1C_1 と C2C_2 の直列合成容量を求めます。

Cs=300×150300+150=100 [pF]\begin{aligned} C_{\mathrm{s}} &= \frac{300 \times 150}{300+150} \\ &= 100\,\mathrm{[pF]} \end{aligned}

100 μH=10−4 H100\,\mathrm{\mu H} = 10^{-4}\,\mathrm{H}、100 pF=10−10 F100\,\mathrm{pF} = 10^{-10}\,\mathrm{F} と直して、次のとおりです。

LCs=10−4×10−10=10−14f0=12π10−14=12π×10−7≈1.59×106 [Hz]\begin{aligned} L C_{\mathrm{s}} &= 10^{-4} \times 10^{-10} \\ &= 10^{-14} \\ f_0 &= \frac{1}{2\pi\sqrt{10^{-14}}} \\ &= \frac{1}{2\pi \times 10^{-7}} \\ &\approx 1.59 \times 10^{6}\,\mathrm{[Hz]} \end{aligned}

必要な増幅度は、帰還率の逆数です。

∣β∣=C2C1=150300=0.5∣A∣≥10.5=2\begin{aligned} |\beta| &= \frac{C_2}{C_1} \\ &= \frac{150}{300} \\ &= 0.5 \\ |A| &\geq \frac{1}{0.5} \\ &= 2 \end{aligned}

答えは、f0≈1.59 [MHz]f_0 \approx 1.59\,\mathrm{[MHz]}、増幅度は 2 以上です。

検算します。ω=1/10−14=107 [rad/s]\omega = 1/\sqrt{10^{-14}} = 10^{7}\,\mathrm{[rad/s]} なので、ωL=107×10−4=1000 [Ω]\omega L = 10^{7} \times 10^{-4} = 1000\,\mathrm{[\Omega]}、1/(ωCs)=1/(107×10−10)=1000 [Ω]1/(\omega C_{\mathrm{s}}) = 1/(10^{7} \times 10^{-10}) = 1000\,\mathrm{[\Omega]} で、つり合っています。各容量のリアクタンスは、X1=−333 [Ω]X_1 = -333\,\mathrm{[\Omega]}、X2=−667 [Ω]X_2 = -667\,\mathrm{[\Omega]}、X3=+1000 [Ω]X_3 = +1000\,\mathrm{[\Omega]} で、和が 0 です。

ハートレー発振回路

エミッタにつながる X1X_1・X2X_2 をコイル L1L_1・L2L_2、X3X_3 をコンデンサ CC にした回路が、ハートレー発振回路です。

C L1 L2 M vf vo 直流バイアスと電源は省略。接地はすべてつながっている L1・L2 が X1・X2、C が X3
図9 ハートレー発振回路。L1・L2 は磁気結合(相互インダクタンス M)し、C が逆符号のリアクタンス

図9の L1L_1 と L2L_2 は、1つのコイルを途中で引き出したように、磁気結合しています。結合の強さは、相互インダクタンス M [H]M\,\mathrm{[H]} で表します。2つのコイルを流れる電流の向きが同じで、磁束が強め合う(和動接続)ときは、合成のインダクタンスが L1+L2+2ML_1 + L_2 + 2M になります。発振周波数は、この合成インダクタンスから求めます。

L=L1+L2+2Mf0=12πL C\begin{aligned} L &= L_1 + L_2 + 2M \\ f_0 &= \frac{1}{2\pi\sqrt{L\,C}} \end{aligned}

磁束が逆向きに打ち消し合う(差動接続)なら L1+L2−2ML_1 + L_2 - 2M です。ハートレー発振回路の問題では、和動接続の L1+L2+2ML_1 + L_2 + 2M を使います。

解答と解説を見る

合成インダクタンスを求めます。

L=30+50+2×10=100 [μH]\begin{aligned} L &= 30 + 50 + 2 \times 10 \\ &= 100\,\mathrm{[\mu H]} \end{aligned}

f0=1/(2πLC)f_0 = 1/(2\pi\sqrt{LC}) を CC について解きます。

C=1(2πf0)2L=1(2π×106)2×10−4≈2.53×10−10 [F]\begin{aligned} C &= \frac{1}{(2\pi f_0)^2 L} \\ &= \frac{1}{(2\pi \times 10^{6})^2 \times 10^{-4}} \\ &\approx 2.53 \times 10^{-10}\,\mathrm{[F]} \end{aligned}

10−10 F=100 pF10^{-10}\,\mathrm{F} = 100\,\mathrm{pF} なので、約 253 [pF] です。

検算します。C=253 [pF]C = 253\,\mathrm{[pF]} を入れると、f0=1/(2π10−4×253×10−12)≈1.0006 [MHz]f_0 = 1/(2\pi\sqrt{10^{-4} \times 253 \times 10^{-12}}) \approx 1.0006\,\mathrm{[MHz]} で、1 MHz に合います。MM を忘れて L=80 [μH]L = 80\,\mathrm{[\mu H]} で計算すると、同じ CC で約 1.12 [MHz]1.12\,\mathrm{[MHz]} になり、約 12% ずれます。

CR 発振回路と水晶発振回路

低い周波数で LC 発振回路を作ると、コイルが大きくなります。そこで、コイルを使わず、コンデンサ CC と抵抗 RR で周波数を決めるのが、CR 発振回路です。

ウィーンブリッジ発振回路

オペアンプで作る CR 発振回路が、ウィーンブリッジ発振回路です。

+ − vo R C 正帰還 R C Rf Rg 負帰還 f0 = 1/(2πRC) A = 1 + Rf/Rg ≧ 3
図10 ウィーンブリッジ発振回路。R と C の直列・並列回路が正帰還で周波数を決め、Rf と Rg の負帰還が増幅度を決める

図10では、非反転入力へ、RR と CC の直列回路、接地へ RR と CC の並列回路を通る正帰還がかかります。反転入力には、RfR_{\mathrm{f}} と RgR_{\mathrm{g}} の負帰還がかかり、増幅度を決めます。オペアンプの非反転増幅回路の増幅度は、A=1+Rf/RgA = 1 + R_{\mathrm{f}}/R_{\mathrm{g}} です。

正帰還回路の帰還率 β\beta は、直列部分と並列部分のインピーダンスの分圧から、次のように求まります。

β=13+j(ωCR−1ωCR)\beta = \frac{1}{3 + j\left(\omega CR - \dfrac{1}{\omega CR}\right)}

ωCR=1\omega CR = 1 のとき、虚数の項が 0 になり、β=1/3\beta = 1/3(位相 0°)の実数になります。これが位相条件を満たす周波数です。

f0=12πCRβ=13\begin{aligned} f_0 &= \frac{1}{2\pi CR} \\ \beta &= \frac{1}{3} \end{aligned}

∣Aβ∣≥1|A\beta| \geq 1 にするには、増幅度が 3 以上です。1+Rf/Rg≥31 + R_{\mathrm{f}}/R_{\mathrm{g}} \geq 3 から、Rf≥2RgR_{\mathrm{f}} \geq 2R_{\mathrm{g}} になります。

移相形発振回路

反転増幅器と、CR を3段つないだ回路で作るのが、移相形発振回路です。

−A 反転増幅器 vo C R R R C C 増幅器で 180°、CR の 3 段で 180°
図11 移相形発振回路。反転増幅器(180°)と、CR の3段(180°)で、1周して位相が 0° に戻る

図11の反転増幅器は、位相を 180° 反転します。CC を直列、RR を接地側にした CR の1段は、位相を最大でも 90° 未満しか進めません。3段つなぐと、ある周波数で合計が 180° になり、一巡して 360°(0°)が実現します。

方式周波数増幅度
ウィーンブリッジ12πCR\dfrac{1}{2\pi CR}3 以上
移相形12π6 CR\dfrac{1}{2\pi\sqrt{6}\,CR}29 以上

移相形では、そのときの帰還率が β=−1/29\beta = -1/29 なので、増幅度は 29 以上が必要です。CC と RR を入れ替えた(RR を直列、CC を接地側にした)形では、周波数が f0=6/(2πCR)f_0 = \sqrt{6}/(2\pi CR) になります。

解答と解説を見る

CRCR を計算します。

CR=0.01×10−6×16×103=1.6×10−4 [s]\begin{aligned} CR &= 0.01 \times 10^{-6} \times 16 \times 10^{3} \\ &= 1.6 \times 10^{-4}\,\mathrm{[s]} \end{aligned}

発振周波数は、次のとおりです。

f0=12π×1.6×10−4≈994.7 [Hz]≈1 [kHz]\begin{aligned} f_0 &= \frac{1}{2\pi \times 1.6 \times 10^{-4}} \\ &\approx 994.7\,\mathrm{[Hz]} \\ &\approx 1\,\mathrm{[kHz]} \end{aligned}

増幅度は 3 以上が必要なので、RfR_{\mathrm{f}} を求めます。

1+RfRg≥3Rf≥2×10=20 [kΩ]\begin{aligned} 1 + \frac{R_{\mathrm{f}}}{R_{\mathrm{g}}} &\geq 3 \\ R_{\mathrm{f}} &\geq 2 \times 10 \\ &= 20\,\mathrm{[k\Omega]} \end{aligned}

答えは、f0≈1 [kHz]f_0 \approx 1\,\mathrm{[kHz]}、RfR_{\mathrm{f}} は 20 [kΩ]20\,\mathrm{[k\Omega]} 以上です。実際の回路では、20 [kΩ]20\,\mathrm{[k\Omega]} より少し大きくして、発振を立ち上げます。

検算します。ω=2π×994.7≈6250 [rad/s]\omega = 2\pi \times 994.7 \approx 6250\,\mathrm{[rad/s]} で、ωCR=6250×1.6×10−4=1.0\omega CR = 6250 \times 1.6 \times 10^{-4} = 1.0 です。周波数が半分のときは、ωCR=0.5\omega CR = 0.5 で、β=1/(3−1.5j)\beta = 1/(3 - 1.5j) となり、大きさは約 0.300.30、位相は約 +27°+27° です。位相条件を満たすのは、f0f_0 だけだと分かります。

水晶発振回路

発振周波数を、さらに安定させたいときは、水晶振動子を使います。水晶の薄片に電圧を加えると、圧電効果で機械的に振動します。この振動の周波数が、薄片の大きさで、ごく正確に決まります。

X f fs fp 誘導性 容量性 容量性 fs と fp の間だけ誘導性。ここをコイルとして使う 実際の fs と fp の差は、ごくわずか
図12 水晶振動子のリアクタンス。fs と fp の間のごく狭い範囲だけ誘導性で、ここをコイルの代わりに使う

図12は、水晶振動子のリアクタンスです。直列共振周波数 fsf_{\mathrm{s}} より低い側と、並列共振周波数 fpf_{\mathrm{p}} より高い側では、容量性(コンデンサのはたらき)です。fsf_{\mathrm{s}} と fpf_{\mathrm{p}} の間のごく狭い範囲だけが、誘導性(コイルのはたらき)です。

この誘導性の範囲を、コルピッツ発振回路のコイル LL の代わりに使います。水晶の誘導性は、周波数がわずかに変わるだけで大きく変わるので、周波数は fsf_{\mathrm{s}} と fpf_{\mathrm{p}} の間のごく狭い範囲に決まります。回路のほかの部品が少しばらついても、発振周波数はほとんど動きません。このため、時計や、パソコンのクロックのように、正確な周波数がほしいところに使われます。

マルチバイブレータ

LC や CR の発振回路は、ほぼ正弦波を出します。これに対して、方形波(矩形波)を出す発振回路が、マルチバイブレータです。2個のトランジスタが、コンデンサを通して互いに結ばれ、一方がオンのとき他方がオフになる状態を、交互に入れ替えます。

種類動作
非安定方形波を出し続ける
単安定トリガで一定時間だけ反転
双安定トリガごとに状態が切り替わる

双安定マルチバイブレータは、フリップフロップのことです。ここでは、発振回路として使う非安定マルチバイブレータを見ます。

VCC RC RB RB RC C C 出力 Q1 Q2
図13 非安定マルチバイブレータ。2個のトランジスタが、コンデンサで互いのコレクタとベースをつなぎ合う

図13の回路では、Q1Q_1 がオンのとき Q2Q_2 はオフで、コンデンサ CC が、RBR_{\mathrm{B}} を通って充電されます。ベース電圧が 0 を超えて Q2Q_2 がオンになると、今度は Q1Q_1 がオフになります。この入れ替わりが、くり返されます。

時間 VCC 0 Q2 オフ Q2 オン Q2 オフ 周期 T ≒ 1.4CRB
図14 非安定マルチバイブレータの出力波形。高い時間と低い時間が等しい方形波で、周期は約 1.4CRB

図14が、出力の波形です。左右対称な回路(C1=C2=CC_1 = C_2 = C、RB1=RB2=RBR_{\mathrm{B1}} = R_{\mathrm{B2}} = R_{\mathrm{B}})で、VBE≈0V_{\mathrm{BE}} \approx 0、VCE(sat)≈0V_{\mathrm{CE(sat)}} \approx 0 と近似すると、高い時間と低い時間は等しくなり、周期 TT は次の値になります。

T≈1.4 CRBT \approx 1.4\,CR_{\mathrm{B}}

たとえば、C=0.01 [μF]C = 0.01\,\mathrm{[\mu F]}、RB=100 [kΩ]R_{\mathrm{B}} = 100\,\mathrm{[k\Omega]} なら、CRB=1 [ms]CR_{\mathrm{B}} = 1\,\mathrm{[ms]} で、周期は約 1.4 [ms]1.4\,\mathrm{[ms]}、周波数は約 720 [Hz]720\,\mathrm{[Hz]} です。

よくある質問

発振回路は、入力がないのに、なぜ出力が出るの?

電源を入れた瞬間の変化や、回路の雑音が、きっかけになるからです。∣Aβ∣|A\beta| が 1 より大きければ、一巡するたびに信号が大きくなり、やがて安定した振幅になります。

コルピッツとハートレーは、どう見分けるの?

エミッタにつながる2つの素子を見ます。コンデンサ2個とコイル1個ならコルピッツ、コイル2個(磁気結合)とコンデンサ1個ならハートレーです。周波数の式は、コルピッツが C1C_1 と C2C_2 の直列合成、ハートレーが L1+L2+2ML_1 + L_2 + 2M です。

水晶発振回路は、なぜ周波数が安定なの?

水晶が誘導性になる範囲が、fsf_{\mathrm{s}} と fpf_{\mathrm{p}} の間のごく狭い範囲だからです。ほかの部品が少しばらついても、発振周波数は水晶の値の近くに決まります。

正弦波の発振回路とマルチバイブレータは、何が違うの?

正弦波の発振回路は、LC や CR で、位相条件を満たす周波数を決めます。マルチバイブレータは、コンデンサの充放電で、2つの状態を交互に切り替えて、方形波を出します。

思い出してみよう

答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。

発振条件は?

一巡の利得が Aβ=1A\beta = 1 です。位相が 0°、大きさが 1 で、立ち上がりのときは ∣Aβ∣>1|A\beta| > 1 にします。

LC 発振回路の3素子形の条件は?

X1+X2+X3=0X_1 + X_2 + X_3 = 0 で、X1X_1 と X2X_2 が同符号、X3X_3 が逆符号です。

コルピッツとハートレーの発振周波数は?

コルピッツは Cs=C1C2/(C1+C2)C_{\mathrm{s}} = C_1C_2/(C_1+C_2) を使った 1/(2πLCs)1/(2\pi\sqrt{LC_{\mathrm{s}}})、ハートレーは L=L1+L2+2ML = L_1+L_2+2M の 1/(2πLC)1/(2\pi\sqrt{LC}) です。

ウィーンブリッジ発振回路の周波数と必要な増幅度は?

f0=1/(2πCR)f_0 = 1/(2\pi CR) で、増幅度は 3 以上(Rf≥2RgR_{\mathrm{f}} \geq 2R_{\mathrm{g}})です。

移相形発振回路の周波数と必要な増幅度は?

f0=1/(2π6 CR)f_0 = 1/(2\pi\sqrt{6}\,CR) で、増幅度は 29 以上です。

水晶とマルチバイブレータは?

水晶は fsf_{\mathrm{s}} と fpf_{\mathrm{p}} の間の誘導性の範囲を使います。非安定マルチバイブレータは方形波で、周期は約 1.4 CRB1.4\,CR_{\mathrm{B}} です。

まとめ

  • 発振回路は、増幅器と正帰還でできていて、増幅度は A/(1−Aβ)A/(1-A\beta)。発振条件は、一巡して位相が 0°、大きさが ∣Aβ∣=1|A\beta| = 1(立ち上がりは 1 より大きい)
  • LC 発振回路の3素子形は、X1+X2+X3=0X_1 + X_2 + X_3 = 0 で、X1X_1 と X2X_2 が同符号。コルピッツは C1C_1・C2C_2 の直列合成、ハートレーは L1+L2+2ML_1 + L_2 + 2M で周波数を求める
  • CR 発振回路は、ウィーンブリッジが f0=1/(2πCR)f_0 = 1/(2\pi CR)(増幅度 3 以上)、移相形が f0=1/(2π6 CR)f_0 = 1/(2\pi\sqrt{6}\,CR)(増幅度 29 以上)
  • 水晶発振回路は、fsf_{\mathrm{s}} と fpf_{\mathrm{p}} の間の誘導性の範囲を使って、周波数を安定させる
  • 非安定マルチバイブレータは方形波を出し、周期は約 1.4 CRB1.4\,CR_{\mathrm{B}}。双安定はフリップフロップ

発振回路は、増幅の式と共振の式を組み合わせたものです。トランジスタ増幅回路で増幅度と帰還の式を、共振回路で共振周波数の式を読み返すと、この記事の式がつながります。トランジスタそのものから見直したいときは、トランジスタの基本も読み返してください。

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デンケンラボ編集部

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