直流電動機の速度制御|逆起電力の式と始動抵抗・3つの方法を図解
電験三種の直流電動機を、逆起電力の式から読み解きます。始動抵抗が必要な理由、分巻と直巻の特性、電圧・抵抗・界磁による速度制御の3つの方法を、図解と例題で順番に確かめていきます。直流機の総まとめです。

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直流発電機の誘導起電力で導いた は、電動機でも同じ式で成り立ちます。電動機の電機子も磁束を切って回るので、起電力が生じるからです。ただし電動機では、この起電力が電源に逆らう向きに現れるため、逆起電力と呼びます。この記事では、起電力の式を電動機の側から読み直し、始動抵抗が要る理由と、速度制御の3つの方法をまとめます。電機子反作用で扱った磁束の乱れは、ここでは無視します。
- 直流電動機の逆起電力
- V = E + Ra Ia
- 速度とトルクの式
- N = E ÷ (Kφ)、トルクは φ と Ia に比例
- 始動抵抗
- 始動時は E = 0。電流を抑えるため抵抗を直列に入れる
- 速度制御の3つの方法
- 電圧制御・抵抗制御・界磁制御
直流電動機の逆起電力とは
電動機の電機子には、電源から電機子電流 が流れ込みます。電機子が回ると、磁束を切って逆起電力 が生じ、電源電圧 に逆らいます。電機子抵抗を とすると、電源電圧は、逆起電力と抵抗の電圧降下の和です(図1)。
式を変形すると、電機子電流が求まります。
逆起電力 が大きい(速く回っている)ほど、 は小さくなります。電動機は、速度が上がると自然に電流が減るしくみです。

- 電動機 直流電動機の本体
- メーター 電圧や電流を測る
- 可変抵抗器 つまみで抵抗を変える
逆起電力と速度・トルクの式
発電機の式 の係数をまとめて とおくと、 です。これを に入れて、 について解きます。
回転速度は、電圧に比例し、磁束に反比例します。この式が、速度制御の出発点です。
トルクは、磁束と電機子電流の積に比例します。
と は、回転速度を min⁻¹ で表すと の関係にあります。
電動機の種類で、速度とトルクの出方が変わります(図3)。
| 種類 | 速度 | トルク |
|---|---|---|
| 分巻 | ほぼ一定 | Ia にほぼ比例 |
| 直巻 | 負荷で大きく変わる | Ia の2乗に比例 |
分巻電動機は、界磁が電源に直接つながれて がほぼ一定なので、負荷が変わっても速度があまり変わりません。直巻電動機は、電機子電流が界磁電流でもあるので、軽負荷では磁束が小さくなり、速度が上がります。直巻電動機を無負荷にしてはいけないのは、このためです。
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負荷が変わる前後の逆起電力は、次のとおりです。
磁束が一定なら、 です。
答え:約 1137 min⁻¹
始動抵抗が必要な理由
止まっている電動機は回転速度が0なので、逆起電力も です。このとき電機子電流は、次の値になります。
は小さい(数分の1 Ω〜)ので、定格電流の数倍から数十倍の始動電流が流れ、電機子や整流子を傷めます。そこで、始動のときだけ電機子に直列に始動抵抗 を入れて、電流を抑えます(図4)。回り始めて逆起電力が上がるにつれて、抵抗を減らしていきます。
始動抵抗を入れるときは、電機子回路の抵抗の合計 で考えます。必要な は、合計から を引いて求めます。
分巻電動機では、始動のとき界磁抵抗を最小にして磁束を最大にします。始動トルクを大きく取るためです。

- つまみ 摺動子の位置を固定する
- 摺動子 巻線に接して抵抗を決める
- 抵抗線の巻線 長さで抵抗が決まる
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始動時は なので、抵抗の合計は次のとおりです。
始動抵抗なしでは、次のようになります。
答え:約 3.27 Ω、始動抵抗なしでは 550 A
速度制御の3つの方法|電圧・抵抗・界磁
の右辺にある量のうち、、(直列抵抗を足す)、 のどれを変えるかで、3つの方法に分かれます(図6)。
| 方法 | 変えるもの | 特徴 |
|---|---|---|
| 電圧制御 | V | 効率がよく広い範囲 |
| 抵抗制御 | Ra | 損失が大きい |
| 界磁制御 | φ | 効率がよく範囲は狭い |
電圧制御は、電機子に加える電圧を変えます。速度が電圧にほぼ比例して、滑らかに広い範囲で変えられます。ワードレオナード方式や、半導体を使った制御装置が代表例です。直流の電圧を半導体のスイッチで変える装置は、チョッパの記事で図解しています。
抵抗制御は、電機子に直列に抵抗を入れて、電圧降下で電機子の電圧を下げます。簡単ですが、抵抗で電力を消費するため、効率がよくありません。
界磁制御は、分巻電動機の界磁回路に抵抗を入れて、界磁電流を変え、磁束 を変えます。磁束を弱めると、速度は上がります。損失が小さく手軽ですが、変えられるのは主に基底速度より高い側です。

- 端子箱 電源のリード線をつなぐ
- 電動機 本体
- 軸継手 軸どうしをつなぐ
- 負荷の装置 トルクや回転を測る
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磁束が一定でトルクも一定なら、 より電機子電流は 20 A のままです。
なので、次のようになります。
答え:約 884 min⁻¹
実際の設備では、これらの操作を盤のつまみで行います。電圧、界磁、始動の操作が並ぶ操作盤の例です。

最後に、止めるときの制動にも種類があります。電動機を発電機として働かせる発電制動や回生制動などがあります。ここでは名前だけ押さえておけば十分です。
よくある質問
逆起電力と、発電機の誘導起電力は別のものですか。
同じ式で表される同じ現象です。電動機では、この起電力が電源に逆らう向きに現れるため、逆起電力と呼びます。電源電圧は、逆起電力と電機子抵抗の電圧降下の和になります。
始動のとき、なぜ電流が大きくなるのですか。
停止中は逆起電力が0なので、電源電圧がすべて電機子抵抗にかかるからです。回り始めると逆起電力が生じて電流が減るため、始動の間だけ始動抵抗で電流を抑えます。
分巻電動機の界磁が断線すると、どうなりますか。
磁束がほぼなくなるので、 の関係から回転速度が危険なほど上がります。界磁回路は、始動前に必ず確かめるべき部分です。
直巻電動機を無負荷にしてはいけないのは、なぜですか。
軽負荷では電機子電流が小さく、界磁電流も小さいため磁束が弱まり、速度が非常に高くなるからです。ベルトなどが外れない直結の用途に使います。
思い出してみよう
答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。
電動機の電源電圧 V は、何の和ですか?
逆起電力 E と電機子抵抗の電圧降下 Ra Ia の和です。
回転速度の式は?
N = (V - Ra Ia) ÷ (KE φ)。電圧に比例し、磁束に反比例します。
トルクは何に比例しますか?
磁束 φ と電機子電流 Ia の積に比例します。
始動抵抗が必要なのはなぜですか?
始動時は E = 0 で、大きな始動電流が流れるからです。
速度制御の3つの方法は?
電圧制御、抵抗制御、界磁制御です。
界磁を弱めると速度はどうなりますか?
磁束が減るので、速度は上がります。
まとめ
- 電動機では、電機子の起電力が電源に逆らう逆起電力になる。
- 回転速度 、トルク
- 始動時は で電流が大きい。始動抵抗 を直列に入れ、合計から を引いて求める
- 速度制御は、電圧(広い範囲)・抵抗(損失大)・界磁(磁束を弱めると速度上昇)の3つ
- 直巻電動機は、無負荷にしない
この式の土台は、直流発電機の誘導起電力にあります。磁束が乱れたときの変化は、電機子反作用で確かめてください。








