機械照明 / 照度計算12分で読めます
照度計算の求め方|光束・光度・照度の違いと逆2乗の法則・光束法を図解
電験三種の照度計算を、光束・光度・照度・輝度の違いから整理します。逆2乗の法則、入射角の余弦法則(水平面照度・鉛直面照度)、光束法による灯数の求め方を、図解と4つの例題で確認できます。
照度計算は、光源の明るさから、ある場所がどれだけ明るいかを求める計算です。電験三種の機械では、照度が距離の2乗に反比例すること、光が斜めに当たると cosθ 倍になること、部屋全体は光束法で求めることが、計算の柱になります。この記事では、光束・光度・照度・輝度の違いから順に整理し、4つの例題で計算まで確認します。
照度計算の全体像
- 照度計算とは
- 逆2乗の法則
- E=I/r2。距離が2倍なら照度は 1/4
- 入射角の余弦法則
- 水平面照度は cosθ 倍、鉛直面照度は sinθ 倍
- 光束法
- N=EA/(FUM) で灯数を求める
- 照度計算の例題
照度計算とは?光束・光度・照度・輝度の違い
照度計算とは、光源が出す光の量(光束・光度)から、照らされる面の明るさ(照度)を求める計算です。出てくる量が4つあり、名前も単位も似ているので、最初に区別しておきます。図1のように、4つは「光源が出す量」「面が受ける量」「見たときの明るさ」に分かれます。
図1 光束・光度・照度・輝度。出す量、受ける量、見たときの明るさに分けて覚える
| 量 | 単位 | 意味 |
|---|
| 光束 F | lm(ルーメン) | 光源が出す光の総量 |
| 光度 I | cd(カンデラ) | ある方向への光の強さ |
| 照度 E | lx(ルクス) | 面が受ける光束を面積で割った量 |
| 輝度 L | cd/m2 | 光る面を、ある方向から見た明るさ |
照度の単位は lx=lm/m2 です。1 m2 の面に 1 lm の光束が入れば、照度は 1 lx になります。照度は照度計で測れます(図2)。
1手2本体3受光部4机の面- 手 測りたい場所に受光部を向けて持つ
- 本体 受光部の信号を、照度の値にして表示する
- 受光部 白い半球。ここに入った光で照度が決まる
- 机の面 机の上の照度(水平面照度)を測る場所
図2 照度計は、受光部に入った光から照度を測る(写真はイメージ)
立体角と光度
光束は全方向の合計なので、方向ごとの強さは光度で表します。光度は、光束を立体角で割った量です。立体角 ω [sr](ステラジアン)は、球の中心から見た広がりの大きさで、半径 r の球面上の面積を S として ω=S/r2 と決めます。球全体は 4π [sr] です。
I=ωFF=4πI
2行目は、全方向に同じ光度の点光源のときだけ成り立ちます。光度が 100 cd なら、光束は 4π×100≈1257 lm です(図3)。
図3 1 sr の立体角。全方向に同じ光度なら、光束は 4π × 光度
輝度
輝度は、光る面を見たときの明るさです。光度を、見る方向から見た面の面積で割った量で、単位は cd/m2 です。どの方向から見ても輝度が同じ面を完全拡散面といい、反射率 ρ の面が照度 E で照らされているときの輝度は次の式になります。
L=πρE [cd/m2]
たとえば E=500 lx、ρ=0.8 の面なら、L=0.8×500/π≈127 cd/m2 です。
逆2乗の法則:距離が2倍で照度は4分の1
光度 I [cd] の点光源から、距離 r [m] の位置にある面を、光に垂直な向きで照らす場合を考えます。立体角 ω の範囲に出る光束は F=Iω で、これが当たる球面の面積は S=ωr2 です。照度は光束を面積で割った値なので、ω が消えます。
E=SF=ωr2Iω=r2I [lx]
距離が2倍になると、同じ光束が4倍の面積に広がるので、照度は 1/4 になります。3倍なら 1/9 です(図4)。このように、照度が光源からの距離の2乗に反比例する関係を、逆2乗の法則といいます。
図4 距離が r、2r、3r と離れると、同じ光束が広がる面積は 1、4、9 倍になる
屋外の街灯でも、同じことが起きています。ランプの真下の路面は明るく、離れるほど暗くなります(図5)。
1街灯のランプ2遠くの街灯3明るい路面4暗い塀- 街灯のランプ ここから光が広がる
- 遠くの街灯 離れた灯ほど、手前の路面への寄与は小さい
- 明るい路面 灯に近く、照度が高い
- 暗い塀 灯から遠く、光が届きにくい
図5 街灯の下は明るく、離れた場所ほど暗い(写真はイメージ)
距離の2乗に反比例する関係は、電気の世界にもあります。点電荷のまわりに電気力線が球面状に広がるので、クーロンの法則も距離の2乗に反比例します。
入射角の余弦法則:斜めに当たる光の照度
前の節の I/r2 は、光に垂直な面の照度で、法線照度 En といいます。机の上のような水平面や、壁のような鉛直面には、光が斜めに当たります。斜めに当たると、同じ光束が広い面積に広がるので、照度は下がります。
面の法線と光線のなす角を入射角 θ とすると、面の照度は法線照度の cosθ 倍です。これを入射角の余弦法則といいます。図6のように、光源の高さを h、真下から点Pまでの水平距離を d、光源から点Pまでの距離を r とします。
図6 光が斜めに当たると、水平面照度は cosθ 倍、鉛直面照度は sinθ 倍になる
水平面の法線は鉛直方向なので、入射角は光線と鉛直線のなす角 θ です。鉛直面(壁)の法線は水平方向なので、入射角は 90∘−θ になり、cos(90∘−θ)=sinθ です。cosθ=h/r、sinθ=d/r を使うと、
Eh=r2Icosθ=r3IhEv=r2Isinθ=r3Id
となります。I は、光源から点Pへ向かう向きの光度です。壁の面は、光源の側を向いているものとします。
光源が複数あるときは、灯ごとに照度を求めて足します。照度は向きを持たない量なので、単純な足し算でかまいません(図7)。
図7 光源が2灯以上のときは、灯ごとの水平面照度を足し合わせる
光束法:部屋全体の明るさと灯数を求める
光束法は、部屋全体の平均照度を、灯数から求める方法です。ランプが出す光束のすべてが作業面に届くわけではなく、届いた光も、ランプや器具の汚れで時間とともに減ります。この2つの割合を掛けて、作業面の面積で割ります(図8)。
図8 光束法の流れ。全光束に照明率と保守率を掛け、面積で割る
E=AFNUM [lx]N=FUMEA
- F:ランプ1灯の光束 [lm]
- N:灯数
- U:照明率。ランプの光束のうち、作業面に届く割合
- M:保守率。汚れや経年で減った後に残る割合
- A:作業面の面積 [m2]
照明率は、器具の種類、天井・壁・床の反射率、部屋の形で決まります。部屋の形は室指数 K で表します。
K=H(X+Y)XY
X、Y は部屋の幅と奥行き、H は作業面から光源までの高さです。たとえば X=12 m、Y=8 m、H=2.0 m なら、K=96/(2.0×20)=2.4 です。広くて天井が低い部屋ほど室指数は大きく、照明率も大きくなります。試験では、照明率や保守率は問題文で与えられます。
1照明器具2屋根の梁3壁4床- 照明器具 灯数を増やすと、部屋全体の光束が増える
- 屋根の梁 器具を取り付ける高さ。光源までの高さが大きいと、室指数は小さい
- 壁 反射率が高いほど、照明率は大きくなる
- 床 照度を決めたい作業面。この面積で割る
図9 体育館のような広い空間は、光束法で灯数を決める(写真はイメージ)
ランプの発光効率
ランプの性能は、消費電力 1 W あたりの光束で表す発光効率 [lm/W] で比べます。目安は次のとおりです。
| ランプ | 発光効率の目安 | ひとこと |
|---|
| 白熱電球 | 約10〜20 lm/W | 電力の大半が熱になる |
| 蛍光ランプ | 約40〜110 lm/W | 安定器が必要 |
| 高圧ナトリウムランプ | 約110〜130 lm/W | 橙色の光で屋外・トンネル向き |
| LED | 約30〜170 lm/W | 機種で大きく違う |
数値は出典や条件で幅があり、ランプ単体の値で、安定器や点灯回路の損失は含みません。
1カバー2放熱フィン3口金- カバー 光を拡散して、広い範囲に広げる
- 放熱フィン LED の熱を空気へ逃がす
- 口金 ソケットにねじ込み、電気を受ける
図10 LED 電球。拡散カバーの根元に、熱を逃がす放熱フィンがある(写真はイメージ)
照度計算の例題
式の使い分けは、次の表のとおりです。
| 状況 | 使う式 | ひっかけ |
|---|
| 距離だけが変わる | E=I/r2 | 距離2倍で 1/2 にしない |
| 水平面の照度 | Eh=(I/r2)cosθ | θ は鉛直線から測る |
| 壁など鉛直面の照度 | Ev=(I/r2)sinθ | cos と sin の取り違え |
| 灯数を決める | N=EA/(FUM) | 切り上げと、M の掛け忘れ |
解答と解説を見る
真下の点では、入射角が 0∘ で cosθ=1 なので、逆2乗の法則がそのまま使えます。
E1=3.021200≈133 [lx]E2=6.021200≈33.3 [lx]E2/E1=1/4 です。高さが2倍になると、照度は 1/4 倍になります。
答え:E1≈133 lx、E2 は E1 の 1/4 倍
解答と解説を見る
光源から点Pまでの距離は、
r=3.02+4.02=5.0 [m]なので、cosθ=3.0/5.0=0.6、sinθ=4.0/5.0=0.8 です。
En=5.021200=48 [lx]Eh=48×0.6=28.8 [lx]Ev=48×0.8=38.4 [lx]確認として、Eh=Ih/r3=1200×3.0/5.03=28.8 lx になります。
答え:En=48 lx、Eh=28.8 lx、Ev=38.4 lx
解答と解説を見る
中間点から各光源の真下までは 4.0 m で、例題2の点Pと同じ位置関係です。1灯あたりの水平面照度は 28.8 lx です。2灯分を足します。
Eh=28.8×2=57.6 [lx]答え:57.6 lx
解答と解説を見る
作業面の面積は A=12×8=96 m2 です。光束法の式で灯数を求めます。
N=FUMEA=4000×0.6×0.7500×96=168048000≈28.6灯数は整数で、切り捨てると照度が足りなくなるので、切り上げて 29 灯です。確認すると、28灯では 490 lx で不足、29灯では 507.5 lx で条件を満たします。
答え:29灯
よくある質問
光束・光度・照度の違いは何ですか。
光束は光源が出す光の総量 [lm]、光度はある方向への光の強さ [cd]、照度は面が受ける光束を面積で割った量 [lx] です。光束と光度は光源の量、照度は照らされる面の量です。全方向に一様な点光源では、F=4πI の関係があります。
逆2乗の法則は、いつでも成り立ちますか。
成り立つのは、光源を点とみなせる場合で、光に垂直な面の照度(法線照度)についてです。光源の大きさに比べて距離が十分大きいときに使います。斜めの面では、さらに cosθ や sinθ を掛けます。
水平面照度と鉛直面照度は、どう使い分けますか。
机や床のように水平な面の照度が水平面照度で、Eh=(I/r2)cosθ です。壁や黒板のように鉛直な面の照度が鉛直面照度で、Ev=(I/r2)sinθ です。θ は、光源の真下の鉛直線と光線のなす角で、面の向きによって cos と sin が入れ替わります。
保守率とは何ですか。
ランプや器具の汚れ、ランプ自体の光束の低下で、時間がたつと照度が下がります。保守率 M は、そのときに残る割合で、1 より小さい値です。保守率の逆数 1/M を、減光補償率といいます。光束法の式に M を掛け忘れると、灯数が足りなくなります。
思い出してみよう
答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。
光束・光度・照度・輝度の単位は何ですか?
光束は lm、光度は cd、照度は lx(lm/m2)、輝度は cd/m2 です。
全方向に光度 I の点光源の光束は、いくつですか?
球全体の立体角が 4π なので、F=4πI です。
光源からの距離が3倍になると、法線照度はどうなりますか?
水平面照度と鉛直面照度は、法線照度の何倍ですか?
水平面照度は cosθ 倍、鉛直面照度は sinθ 倍です。θ は鉛直線から測ります。
光束法の灯数の式は何ですか?
N=EA/(FUM) です。U は照明率、M は保守率です。
光束法で灯数が小数になったとき、どうしますか?
切り上げます。切り捨てると、必要な照度に足りなくなります。
まとめ
- 光束 [lm] は光源が出す総量、光度 [cd] は方向ごとの強さ、照度 [lx] は面が受ける量
- 点光源の法線照度は E=I/r2 で、距離の2乗に反比例する
- 水平面照度は Encosθ、鉛直面照度は Ensinθ。複数の光源は灯ごとに求めて足す
- 光束法は N=EA/(FUM)。灯数は切り上げ、U は照明率、M は保守率
次は、熱量と電力量の換算を扱う電熱の計算と、ファラデーの法則を扱う電気分解と電池の計算に進みましょう。