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機械電気化学 / 電気分解14分で読めます

電気分解と電池の計算|ファラデーの法則・鉛蓄電池・燃料電池を図解

電験三種の電気化学を、電気分解のしくみ、ファラデーの法則 w=MIt/(nF)、電池の原理、鉛蓄電池の容量、燃料電池の順に整理します。析出量・電流効率・放電時間を求める4つの例題つきです。

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青い硫酸銅水溶液に二枚の銅板を入れた実験用の容器の写真
この記事の目次
  1. 電気化学とは?電気と物質をつなぐ二つの向き
  2. 酸化と還元、陽極と陰極
  3. 電気分解のしくみ:電解槽で何が起こるか
  4. ファラデーの法則:析出量の求め方
  5. 電気量と A·h の換算
  6. 電流効率
  7. 電気分解の工業利用:精錬・めっき・水素
  8. 電池の原理:化学エネルギーを電気に変える
  9. 蓄電池:鉛蓄電池と容量
  10. 容量と放電時間
  11. 燃料電池:水素と酸素から電気をつくる
  12. 電気化学の例題
  13. よくある質問
  14. ファラデー定数は、96500 と 96485 のどちらを使いますか?
  15. 水溶液の電気分解では、陰極にいつも金属が析出しますか?
  16. 蓄電池を充電するとき、正極と負極の反応はどうなりますか?
  17. 容量 A·h と電力量 Wh は、何が違いますか?
  18. まとめ
図解でわかる 電験三種 機械 1 直流機 の表紙機械を図解で読む図解でわかる 電験三種 機械 1
直流機
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電気分解は、電気を流して物質をつくる操作で、電池は、その逆に物質の化学反応から電気を取り出す装置です。電験三種の機械では、ファラデーの法則で析出量を求める計算と、蓄電池の容量の計算が土台になります。この記事では、電極で起こる反応から順に整理し、4つの例題で計算を確認します。

電気化学の全体像
  • 電気化学とは
    • 電気分解(電気から物質)と電池(物質から電気)。酸化と還元で整理する
  • 電気分解のしくみ
    • 陽極で酸化、陰極で還元。銅なら陰極に析出する
  • ファラデーの法則
    • w=Mn⋅ItFw = \dfrac{M}{n}\cdot\dfrac{It}{F}。析出量は電気量に比例する
  • 電気分解の工業利用
    • 精錬・めっき・アルミニウム・水素。電流効率に注意する
  • 電池の原理
    • 負極で酸化、正極で還元。電子は外部回路を流れる
  • 蓄電池と燃料電池
    • 鉛蓄電池は充放電できる。燃料電池は水素と酸素から電気をつくる
  • 電気化学の例題
    • 4 問で、析出量・時間・容量を求める

電気化学とは?電気と物質をつなぐ二つの向き

電気化学とは、電気エネルギーと化学反応の間の変換を扱う分野です。変換には二つの向きがあります(図1)。電解槽に電流を流して物質をつくる電気分解と、化学反応から電流を取り出す電池です。蓄電池は、充電のときは電気分解と同じ向き、放電のときは電池の向きに働きます。

電気 電流を流す 電気分解 電解槽 物質 金属・気体 物質 活物質・燃料 電池 化学反応 電気 電流を取り出す 蓄電池:充電は電気分解の向き、放電は電池の向き
図1 電気化学の二つの向き。電気分解は電気から物質を、電池は物質から電気をつくる

酸化と還元、陽極と陰極

どちらの場合も、電極の表面で電子の受け渡しが起こります。電子を失う反応が酸化、電子を受け取る反応が還元です。電極の名前は、電気分解と電池で付け方が違います。

電気分解電池(放電)
酸化が起こる電極陽極負極
還元が起こる電極陰極正極
電子の流れ陽極 → 電源 → 陰極負極 → 負荷 → 正極

電気分解のしくみ:電解槽で何が起こるか

電解質の水溶液に二つの電極を入れて直流電源をつなぐと、電解槽の中でイオンが動き、電極の表面で反応が起こります。図2は、硫酸銅水溶液に銅の電極を入れた電解槽です。水溶液の中で、硫酸銅は銅イオン Cu2+\mathrm{Cu^{2+}} と硫酸イオン SO42−\mathrm{SO_4^{2-}} に分かれています。

硫酸銅水溶液 直流電源 + − e− e− 陽極(+) 陰極(−) Cu2+ SO42− 陽極:酸化(銅が溶ける) Cu → Cu2+ + 2e− 陰極:還元(銅が析出) Cu2+ + 2e− → Cu
図2 硫酸銅水溶液の電気分解。陽極の銅が溶け、陰極に銅が析出する

陰極では、銅イオンが電子を受け取って銅になり、電極に析出します。陽極が銅のときは、銅が電子を出して銅イオンになり、溶け出します。

陰極: Cu2++2e−→Cu陽極: Cu→Cu2++2e−\begin{gathered} \text{陰極:}\ \mathrm{Cu^{2+}} + 2e^- \rightarrow \mathrm{Cu} \\ \text{陽極:}\ \mathrm{Cu} \rightarrow \mathrm{Cu^{2+}} + 2e^- \end{gathered}

陽極で溶ける銅と陰極で析出する銅は同じ量なので、水溶液の濃度はほとんど変わりません。陽極が白金や炭素のような溶けない電極のときは、陽極で水が反応して酸素が出ます。この場合は、水溶液の銅イオンが減っていきます。

工場の電気めっきは、このしくみを使います。めっきする部品を陰極につなぎ、金属のイオンを含む液に浸して、部品の表面に金属を析出させます(図3)。

工場の大きな槽の上に渡した棒から、金属の部品が液の中へ吊り下げられている写真
  1. 部品 陰極につなぎ、金属を析出させる
  2. 給電棒 部品へ電流を流す
  3. めっき液 金属のイオンを含む
  4. 搬送装置 部品を槽へ運ぶ
  5. 配管 液を送る・抜く
図3 電気めっきの槽。吊るした部品の表面に、金属を析出させる(写真はイメージ)

ファラデーの法則:析出量の求め方

電気分解で電極に析出する物質の量は、流れた電気量に比例します。これがファラデーの法則です。電子 1 mol1\ \mathrm{mol} のもつ電気量を、ファラデー定数 FF といいます。

F≈96500 C/molF \approx 96500\ \mathrm{C/mol}

正確な値は約 96485 C/mol96485\ \mathrm{C/mol} で、問題では 9650096500 に丸めた値が使われることが多く、値は問題文で与えられます。銅の析出では、Cu2++2e−→Cu\mathrm{Cu^{2+}} + 2e^- \rightarrow \mathrm{Cu} のとおり、銅 1 mol1\ \mathrm{mol} に電子 2 mol2\ \mathrm{mol} が要ります。nn を、原子 11 個が受け取る電子の数(イオンの価数)として、電気量 Q=It [C]Q = It\ \mathrm{[C]} から析出量を順に求めると、次のようになります。

電子の物質量=ItF [mol]析出する物質量=ItnF [mol]\begin{aligned} \text{電子の物質量} &= \frac{It}{F}\ \mathrm{[mol]} \\ \text{析出する物質量} &= \frac{It}{nF}\ \mathrm{[mol]} \end{aligned}

これに原子量 MM(g/mol\mathrm{g/mol})を掛けると、質量が出ます。

w=Mn⋅ItF [g]w = \frac{M}{n}\cdot\frac{It}{F}\ \mathrm{[g]}

ww は析出量 [g]\mathrm{[g]}、II は電流 [A]\mathrm{[A]}、tt は時間 [s]\mathrm{[s]} です。M/nM/n は、電子 1 mol1\ \mathrm{mol} あたりに析出する質量です。物質ごとの値は、次の表のとおりです。

析出する物質原子量 MM電子の数 nn
銅(Cu2+\mathrm{Cu^{2+}})63.563.522
銀(Ag+\mathrm{Ag^{+}})107.9107.911
アルミニウム(Al3+\mathrm{Al^{3+}})27.027.033

原子量は、問題で与えられる値を使います。

電気量と A·h の換算

電池の容量は、A⋅h\mathrm{A\cdot h}(アンペア時)で表します。1 A1\ \mathrm{A} の電流を 11 時間流したときの電気量が 1 A⋅h1\ \mathrm{A\cdot h} です。

1 A⋅h=1 A×3600 s=3600 C\begin{aligned} 1\ \mathrm{A\cdot h} &= 1\ \mathrm{A} \times 3600\ \mathrm{s} \\ &= 3600\ \mathrm{C} \end{aligned}

電流効率

実際の電解では、電流の一部が目的でない反応に使われるなどして、析出量が計算より少なくなります。通電した電気量から計算した理論上の生成量に対する、実際の生成量の割合を、電流効率といいます。

電流効率=実際の量理論上の量×100 %\text{電流効率} = \frac{\text{実際の量}}{\text{理論上の量}} \times 100\ \%

実際の量は、ファラデーの法則で求めた理論上の量に、電流効率を掛けて求めます。

電気分解の工業利用:精錬・めっき・水素

ファラデーの法則は、金属の製造や加工で、必要な電気量や生産量を見積もるときに使います。代表的な利用を、次の表にまとめます。

用途電極のつなぎ方計算のポイント
銅の電解精錬粗銅が陽極、純銅が陰極n=2n = 2
電気めっきめっきする物が陰極析出量から厚さ
アルミニウム溶かした氷晶石の中で電解n=3n = 3、大電流
水の電気分解陰極に水素、陽極に酸素体積比 2:12:1

銅の電解精錬は、不純物を含む粗銅を陽極に、純銅の板を陰極にして、硫酸銅水溶液に電流を流します。陽極の銅は銅イオンとして溶け、陰極に純粋な銅として析出します。銅よりイオンになりにくい不純物は、溶けずに槽の底へ沈みます(陽極泥)。電解で得られた銅は、図4のような板で取り出されます。

倉庫の床に積み重ねられた、表面がざらざらした銅の板の山の写真
  1. 析出面 結晶状に析出して、ざらつく
  2. 板の側面 薄い板が何枚も重なる
  3. 奥の山 別の板の山
  4. 床 倉庫のコンクリート
図4 電解で得られる銅の板のイメージ。表面に銅が結晶状に析出している(写真はイメージ)

アルミニウムは、イオンになりやすい金属です。水溶液を電気分解しても、陰極ではアルミニウムではなく水素が発生してしまいます。そこで、氷晶石にアルミナ Al2O3\mathrm{Al_2O_3} を溶かした溶融塩を電気分解し、陰極でアルミニウムを得ます。

Al3++3e−→Al\mathrm{Al^{3+}} + 3e^- \rightarrow \mathrm{Al}

水の電気分解は、陰極で水素、陽極で酸素が発生し、体積比は水素 :: 酸素 =2:1= 2:1 です。

2H2O→2H2+O22\mathrm{H_2O} \rightarrow 2\mathrm{H_2} + \mathrm{O_2}

電池の原理:化学エネルギーを電気に変える

電池は、二種類の電極と電解液を組み合わせ、化学反応で出る電子を外部回路に取り出す装置です。図5のように、負極で酸化が起こって電子が外部へ出ていき、負荷を通って正極に入り、正極で還元が起こります。電流の向きは、電子の流れと逆で、正極から負荷を通って負極へ向かいます。

電解液 負荷 電子 e− の流れ 電流の向き 負極(−) 正極(+) 負極:酸化 電子を外部回路へ出す 正極:還元 電子を外部回路から受け取る
図5 電池のしくみ。負極で電子を出し、外部回路を通って正極で受け取る

電池は、使い切りかどうかで分けます。

種類充電例
一次電池できないマンガン乾電池・アルカリ乾電池
二次電池(蓄電池)できる鉛蓄電池・リチウムイオン電池
燃料電池燃料を送り続ける水素と酸素

身近な乾電池は、一次電池の代表です(図6)。

白い台の上に並んだ、金色と銀色の円筒形の電池六本の写真
  1. 正極端子 突き出た側の端
  2. 外装 中に電極と電解質が入る
  3. 立てた電池 突起は上向き
図6 円筒形の乾電池。突起のある端が正極(写真はイメージ)

電池の起電力と内部抵抗の関係は、電池の内部抵抗と端子電圧の求め方で扱っています。

蓄電池:鉛蓄電池と容量

蓄電池(二次電池)は、放電のあとで外から電流を流すと、逆向きの反応が起こって元に戻ります。代表が鉛蓄電池で、負極に鉛 Pb\mathrm{Pb}、正極に二酸化鉛 PbO2\mathrm{PbO_2}、電解液に希硫酸を使います(図7)。

充電後 負極 Pb 正極 PbO2 H2SO4 濃い 電解液の比重 大 放電後 負極 PbSO4 正極 PbSO4 硫酸が減り 水が増える 電解液の比重 小 放電 充電 放電:PbO2 + Pb + 2H2SO4 → 2PbSO4 + 2H2O 充電:この式を右から左へ戻す
図7 鉛蓄電池の放電と充電。放電で両極が硫酸鉛になり、電解液の比重が下がる

放電のとき、両方の極板で硫酸鉛 PbSO4\mathrm{PbSO_4} ができます。

負極: Pb+SO42−→PbSO4+2e−\begin{aligned} \text{負極:}\ & \mathrm{Pb} + \mathrm{SO_4^{2-}} \\ & \rightarrow \mathrm{PbSO_4} + 2e^- \end{aligned} 正極: PbO2+4H++SO42−+2e−→PbSO4+2H2O\begin{aligned} \text{正極:}\ & \mathrm{PbO_2} + 4\mathrm{H^+} \\ & + \mathrm{SO_4^{2-}} + 2e^- \\ & \rightarrow \mathrm{PbSO_4} + 2\mathrm{H_2O} \end{aligned}

二つを足すと、全体の反応になります。右向きが放電、左向きが充電です。

PbO2+Pb+2H2SO4⇌2PbSO4+2H2O\begin{aligned} & \mathrm{PbO_2} + \mathrm{Pb} + 2\mathrm{H_2SO_4} \\ & \rightleftharpoons 2\mathrm{PbSO_4} + 2\mathrm{H_2O} \end{aligned}

放電すると、電解液の硫酸が減って水が増えるので、比重が下がります。満充電のときの比重は、約 1.281.28 が一般的です。硫酸鉛は水に溶けにくく、極板に付いたままなので、充電すると元の鉛と二酸化鉛に戻ります。1セルの起電力は約 2 V2\ \mathrm{V} で、自動車用には、6セルを直列にして約 12 V12\ \mathrm{V} にしたものが一般的に使われます(図8)。

エンジンルームに載った黒い電池。赤いカバーと黒いカバーの端子が付いた写真
  1. 正極端子 赤いカバーの側
  2. 負極端子 黒いカバーの側
  3. 電槽 中に極板と電解液が入る
  4. 固定具 電池が動かないように押さえる
図8 自動車用の鉛蓄電池。上面に二つの端子がある(写真はイメージ)

リチウムイオン電池も蓄電池で、リチウムイオンが正極と負極の間を行き来して、充放電します。機器、電気自動車、電力貯蔵などに使われます。

容量と放電時間

蓄電池の容量は、取り出せる電気量を A⋅h\mathrm{A\cdot h} で表したものです。電流 II で放電できる時間は、容量を電流で割って求めます。

t=容量 [A⋅h]I [A] [h]t = \frac{\text{容量}\ \mathrm{[A\cdot h]}}{I\ \mathrm{[A]}}\ \mathrm{[h]}

端子電圧 VV が一定なら、取り出せる電力量は、電圧と容量の積です。

W=V×容量 [Wh]W = V \times \text{容量}\ \mathrm{[Wh]}

実際の電池は、大きな電流で放電するほど、取り出せる容量が小さくなることが多くあります。問題では、容量と電圧を一定として計算します。

燃料電池:水素と酸素から電気をつくる

燃料電池は、水素などの燃料と空気中の酸素を外から供給し続けて、化学反応で電気をつくる電池です。中の物質を使い切る乾電池と違い、燃料を送るかぎり発電できます。水素を燃料にすると、反応でできるのは水です。

電解質 負荷 電子 e− 水素 H2 空気(酸素 O2) 水 H2O H+ 負極(燃料極) 正極(空気極) 負極:酸化 H2 → 2H+ + 2e− 正極:還元 ½O2 + 2H+ + 2e− → H2O 全体:H2 + ½O2 → H2O(水の電気分解の逆)
図9 燃料電池。負極で水素が電子を出し、正極で酸素と水素イオンと電子が水になる

図9は、水素イオン H+\mathrm{H^+} が電解質を通る形(固体高分子形やリン酸形など)です。反応は、電解質の種類で違います。

負極: H2→2H++2e−正極: 12O2+2H++2e−→H2O\begin{gathered} \text{負極:}\ \mathrm{H_2} \rightarrow 2\mathrm{H^+} + 2e^- \\ \text{正極:}\ \tfrac{1}{2}\mathrm{O_2} + 2\mathrm{H^+} + 2e^- \rightarrow \mathrm{H_2O} \end{gathered}

足し合わせると、全体の反応は次のとおりです。

H2+12O2→H2O\mathrm{H_2} + \tfrac{1}{2}\mathrm{O_2} \rightarrow \mathrm{H_2O}

これは、水の電気分解 2H2O→2H2+O22\mathrm{H_2O} \rightarrow 2\mathrm{H_2} + \mathrm{O_2} の逆の反応です。水素 1 mol1\ \mathrm{mol} から電子 2 mol2\ \mathrm{mol} が出るので、水素の消費量も、M=2.0M = 2.0、n=2n = 2 としたファラデーの法則で求められます。燃料電池自動車には、水素を供給する施設が要ります(図10)。

青空の下、白い大きなタンクの前に立つ、ホースの付いた給ガス機の写真
  1. 供給機 水素を車へ入れる
  2. ホース 車の口へつなぐ
  3. 貯蔵タンク ためておく設備
  4. 防護柱 機器を守る
図10 水素を車に入れる施設のイメージ(写真はイメージ)

電気化学の例題

電気化学の計算は、求めるものによって式が変わります。次の表で、式と注意点を整理してから例題に進みます。

求めるもの使う式注意
析出量w=MIt/(nF)w = MIt/(nF)tt は秒
実際の析出量理論量 × 電流効率割合は小数にする
放電時間・電力量tt = 容量 /I/I、W=V×W = V \times 容量A⋅h\mathrm{A\cdot h} と C\mathrm{C}
解答と解説を見る

時間は 1 h=3600 s1\ \mathrm{h} = 3600\ \mathrm{s} で、電気量は It=10×3600=36000 CIt = 10 \times 3600 = 36000\ \mathrm{C} です。Cu2+\mathrm{Cu^{2+}} なので n=2n = 2 です。

w=Mn⋅ItF=63.52×3600096500≈11.8 [g]\begin{aligned} w &= \frac{M}{n}\cdot\frac{It}{F} \\ &= \frac{63.5}{2} \times \frac{36000}{96500} \\ &\approx 11.8\ \mathrm{[g]} \end{aligned}

答え:約 11.8 g11.8\ \mathrm{g}

解答と解説を見る

ww の式を、tt について解きます。

t=nFwMI=2×96500×10063.5×20≈15200 [s]\begin{aligned} t &= \frac{nFw}{MI} \\ &= \frac{2 \times 96500 \times 100}{63.5 \times 20} \\ &\approx 15200\ \mathrm{[s]} \end{aligned}

15200/3600≈4.2215200 / 3600 \approx 4.22 より、約 4.224.22 時間です。

答え:約 4.224.22 時間

解答と解説を見る

電気量は 5000×3600=1.8×107 C5000 \times 3600 = 1.8 \times 10^{7}\ \mathrm{C} です。電流効率が 100 %100\ \% のときの理論量は、

w0=27.03×1.8×10796500≈1679 [g]\begin{aligned} w_0 &= \frac{27.0}{3} \times \frac{1.8 \times 10^{7}}{96500} \\ &\approx 1679\ \mathrm{[g]} \end{aligned}

です。電流効率 0.900.90 を掛けます。

w=1679×0.90≈1511 [g]\begin{aligned} w &= 1679 \times 0.90 \\ &\approx 1511\ \mathrm{[g]} \end{aligned}

答え:約 1.51 kg1.51\ \mathrm{kg}

解答と解説を見る

放電時間は、容量を電流で割って求めます。

t=605=12 [h]t = \frac{60}{5} = 12\ \mathrm{[h]}

電気量は、60 A⋅h60\ \mathrm{A\cdot h} に 36003600 を掛けます。

60×3600=216000 [C]60 \times 3600 = 216000\ \mathrm{[C]}

電力量は、電圧と容量の積です。

W=12×60=720 [Wh]=0.72 [kWh]\begin{aligned} W &= 12 \times 60 \\ &= 720\ \mathrm{[Wh]} \\ &= 0.72\ \mathrm{[kWh]} \end{aligned}

答え:1212 時間、216000 C216000\ \mathrm{C}、0.72 kWh0.72\ \mathrm{kWh}

よくある質問

ファラデー定数は、96500 と 96485 のどちらを使いますか?

問題文で与えられた値を使います。電子 1 mol1\ \mathrm{mol} の電気量の正確な値は約 96485 C/mol96485\ \mathrm{C/mol} で、9650096500 に丸めた値がよく使われます。例題1で比べると、どちらでも約 11.8 g11.8\ \mathrm{g} になり、有効数字の範囲では差が出ません。

水溶液の電気分解では、陰極にいつも金属が析出しますか?

いいえ。アルミニウムやナトリウムのように、イオンになりやすい金属の水溶液では、陰極で金属は析出せず、水が反応して水素が発生します。アルミニウムを溶融塩で電気分解するのは、このためです。銅や銀のようにイオンになりにくい金属は、陰極に析出します。

蓄電池を充電するとき、正極と負極の反応はどうなりますか?

放電と逆の反応が起こります。極板の名前は、充電中も放電のときのまま、正極・負極と呼びます。充電では、正極で酸化、負極で還元が起こり、硫酸鉛が鉛と二酸化鉛に戻ります。外から電流を流す点は、電気分解と同じです。

容量 A·h と電力量 Wh は、何が違いますか?

A⋅h\mathrm{A\cdot h} は取り出せる電気量で、電流と時間の積です。Wh\mathrm{Wh} は、これに電圧を掛けたエネルギーです。同じ 60 A⋅h60\ \mathrm{A\cdot h} でも、端子電圧が 12 V12\ \mathrm{V} なら 720 Wh720\ \mathrm{Wh}、24 V24\ \mathrm{V} なら 1440 Wh1440\ \mathrm{Wh} です。

思い出してみよう

答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。

酸化と還元を、電子で説明するとどうなりますか?

電子を失う反応が酸化、受け取る反応が還元です。電気分解の陽極と電池の負極で、酸化が起こります。

ファラデーの法則で、析出量を求める式は何ですか?

w=Mn⋅ItFw = \dfrac{M}{n}\cdot\dfrac{It}{F} です。tt は秒、F≈96500 C/molF \approx 96500\ \mathrm{C/mol} です。

1 A⋅h1\ \mathrm{A\cdot h} は何 C\mathrm{C} ですか?

3600 C3600\ \mathrm{C} です。1 A×3600 s1\ \mathrm{A} \times 3600\ \mathrm{s} だからです。

電流効率とは何ですか?

理論上の生成量に対する、実際の生成量の割合です。実際の量は、理論量に電流効率を掛けて求めます。

鉛蓄電池を放電すると、極板と電解液はどう変わりますか?

両極が硫酸鉛 PbSO4\mathrm{PbSO_4} になり、硫酸が減って比重が下がります。

水素を燃料にした燃料電池の、全体の反応は何ですか?

H2+12O2→H2O\mathrm{H_2} + \tfrac{1}{2}\mathrm{O_2} \rightarrow \mathrm{H_2O} です。水の電気分解の逆の反応です。

まとめ

  • 電気分解は電気から物質を、電池は物質から電気をつくる。電子を失う反応が酸化、受け取る反応が還元
  • 析出量は w=Mn⋅ItFw = \dfrac{M}{n}\cdot\dfrac{It}{F}。tt は秒で、1 A⋅h=3600 C1\ \mathrm{A\cdot h} = 3600\ \mathrm{C}。電流効率は理論量に掛ける
  • 工業利用は、銅の電解精錬、電気めっき、アルミニウムの溶融塩電解、水の電気分解が代表的
  • 鉛蓄電池は、放電で両極が硫酸鉛になり、電解液の比重が下がる。放電時間は容量 ÷\div 電流
  • 燃料電池は、水素と酸素から水と電気をつくる。水の電気分解の逆の反応

電池の端子電圧の計算は電池の内部抵抗と端子電圧の求め方に、熱の計算は電熱の計算に進みましょう。

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