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機械電気機器 / 同期機15分で読めます

同期電動機のV曲線と始動法|界磁電流で力率が変わる理由と出力・トルクの計算を図解

電験三種の同期電動機を図解で整理します。同期速度と始動法、制動巻線、界磁電流による力率の変化と同期電動機のV曲線、同期調相機、出力 P=3VE sinδ/Xs とトルクの計算を、例題で確認できます。

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工場の屋内に据えられた、灰色の冷却フィンをもつ大型の三相電動機。端子箱と軸、コンクリートの基礎が見える写真
この記事の目次
  1. 同期電動機とは?回転磁界に引かれて同期速度で回る
  2. 始動法と制動巻線|自己始動できない理由
  3. 界磁電流と力率の関係|不足励磁と過励磁
  4. V曲線と同期調相機
  5. 同期電動機の出力・トルクと乱調
  6. 出力の式
  7. トルク
  8. 乱調(ハンチング)
  9. 誘導電動機との比較と用途
  10. 同期電動機の例題
  11. 同期速度とトルク
  12. 出力から負荷角を求める
  13. 電流から誘導起電力を求める
  14. V曲線の読み取り
  15. よくある質問
  16. 同期電動機は、なぜ自己始動できない?
  17. V曲線の左側と右側は、何が違う?
  18. 負荷を増やすと、同期電動機の速度は下がる?
  19. 同期電動機と同期調相機は、何が違う?
  20. まとめ
図解でわかる 電験三種 機械 1 直流機 の表紙機械を図解で読む図解でわかる 電験三種 機械 1
直流機
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前の記事の同期発電機と構造は同じで、電力の向きだけが逆になったものが同期電動機です。回転子は同期速度ちょうどで回り、負荷が変わっても速度は変わりません。そのうえ、界磁電流というつまみ1つで、力率を遅れから進みまで変えられます。

この記事では、同期速度と負荷角、始動法と制動巻線、界磁電流と力率の関係(V曲線)、同期調相機、出力とトルクの式、乱調を、図と例題で順に確認します。

同期電動機の全体像
  • しくみ
    • 回転磁界に回転子の磁極が引かれ、同期速度 Ns=120f/pN_s = 120f/p で回る。負荷で変わるのは速度でなく負荷角 δ\delta
  • 始動
    • そのままでは始動できない。制動巻線・始動電動機・低周波で始動する
  • 力率と V 曲線
    • 界磁電流を小さくすると遅れ、大きくすると進み。底は力率 1
    • 無負荷の同期電動機が同期調相機
  • 出力とトルク
    • P=3VEsin⁡δ/XsP = 3VE\sin\delta/X_s、T=P/ωT = P/\omega。δ=90∘\delta = 90^\circ で最大、超えると脱調
  • 例題
    • 同期速度とトルク、負荷角、E=V−jXsIE = V - jX_sI、V 曲線の読み取り

同期電動機とは?回転磁界に引かれて同期速度で回る

同期電動機とは、回転子が回転磁界と同じ速さ(同期速度)で回る交流電動機です。固定子には三相の電機子巻線、回転子には直流で励磁する磁極があり、構造は同期発電機と同じです。発電機は回転子を原動機で回して電力を取り出し、電動機は三相の電力を入れて回転子を回します。

固定子の三相巻線に三相交流を流すと、N 極と S 極が回る回転磁界ができます。回転子の磁極は、この磁極に引かれて同じ速さで回ります。負荷がかかると、回転子の磁極の軸は回転磁界の軸より角 δ\delta だけ遅れます(図1)。この δ\delta を負荷角といい、発電機とは遅れる側が逆です。

固定子 N S N S δ 回る向き 回転磁界 (固定子) 回転子の 磁極 (直流で励磁) N と S は磁極
図1 回転磁界(橙)に回転子の磁極(青)が角 δ だけ遅れて引かれ、同じ速さで回る

回転磁界の速さ、つまり同期速度 NsN_s は、周波数 f [Hz]f\ \mathrm{[Hz]} と極数 pp で決まります。

Ns=120fp [min−1]N_s = \frac{120f}{p}\ \mathrm{[min^{-1}]}

単位を min−1\mathrm{min^{-1}} として、よく使う極数と周波数の値を並べます。

極数50 Hz60 Hz
230003600
415001800
610001200

始動法と制動巻線|自己始動できない理由

同期電動機は、そのままでは始動できません。回転磁界は、50 Hz・2 極なら 1 秒間に 50 回転と速く回ります。停止している回転子の磁極は、N 極に引かれたかと思うと、すぐ次に S 極にも引かれ、引く力と押す力が交互に入れ替わります。平均するとトルクは 0 で、回転子は動き出せません。

そこで、回転子を同期速度の近くまで別の方法で回してから、回転磁界に引き入れます。始動法は 3 つあります。

方法回し方備考
自己始動法制動巻線でかご形のように始動同期速度の近くで励磁
始動電動機法別の電動機で回す同期速度の近くまで加速
低周波始動法低い周波数の電源から始める周波数を上げて加速

自己始動法に使うのが制動巻線です。磁極の面に銅などの棒を埋め、両端を端絡環でつなぎます(図2)。かご形誘導電動機の回転子と同じ形です。

軸 軸の方向から見た図 端絡環 端絡環 棒(銅など) 磁極の面を広げた図 磁極の面に棒を埋める
図2 制動巻線。磁極の面に埋めた棒の両端を、端絡環でつなぐ

始動のときは、回転磁界が棒を切って電流が流れ、三相誘導電動機と同じ原理でトルクが生じて回転子が加速します。同期速度の近くまで上がったら、界磁巻線に直流を流します。すると回転子の磁極が回転磁界に引かれ、同期速度でそろって回ります(引き入れ)。同期速度で回っているあいだは、回転磁界が棒を切らないので、制動巻線にはほとんど電流が流れません。

回転子の磁極は、突極形では次の写真のように、鉄心に巻いたコイルへ直流を流して励磁します。

整備作業台の木のまくらの上に載せた、銅の巻線を巻いた磁極が円周に並ぶ回転子の写真。軸が右に出ている
  1. 銅の巻線 磁極に巻いたコイル
  2. 積層鉄心 鋼板を重ねた部分
  3. 軸 右に出ている
  4. 木のまくら 作業台の上
図3 突極形の回転子。磁極に巻いた銅の巻線に、直流を流して励磁する(写真はイメージ)

制動巻線には、もう一つ大事な働きがあります。運転中に負荷が変わって回転子が揺れたとき、その揺れを抑える働きです(乱調、後述)。

界磁電流と力率の関係|不足励磁と過励磁

同期電動機の1相分の等価回路は、同期発電機の逆向きの電流を考えたものです。電源の電圧 V˙\dot{V} から、同期リアクタンス jXsjX_s を通って、電流 I˙\dot{I} が回転子の誘導起電力 E˙\dot{E} に流れ込みます(図4)。電機子抵抗は小さいので無視します。

jXs V E 電源 回転子 電流 I 同期リアクタンス V = E + jXsI (電機子抵抗は無視)
図4 同期電動機の 1 相分の等価回路。電源から電流 I が流れ込む(電機子抵抗は無視)
V˙=E˙+jXsI˙\dot{V} = \dot{E} + jX_s\dot{I}

EE の大きさは、界磁電流を増やすと大きくなります。電源電圧 VV と出力が決まっているとき、界磁電流を変えると EE が変わり、それにつれて電流 II の大きさと位相が変わります。

出力 P=3VIcos⁡θP = 3VI\cos\theta が同じなら、有効電流 Icos⁡θI\cos\theta は一定です。ベクトル図で E˙=V˙−jXsI˙\dot{E} = \dot{V} - jX_s\dot{I} の縦の成分を見ると、次の式が成り立ちます。

P=3VIcos⁡θEsin⁡δ=XsIcos⁡θ\begin{aligned} P &= 3VI\cos\theta \\ E\sin\delta &= X_s I\cos\theta \end{aligned}

出力が同じなら Esin⁡δE\sin\delta は一定、つまり E˙\dot{E} の先端は同じ高さの水平線の上を動きます。この線の上で EE を短くしたり長くしたりした 3 つのベクトル図を、順に見ましょう。力率 1 になる界磁電流を基準にして、それより小さい状態を不足励磁、大きい状態を過励磁といいます。

不足励磁では EE が短く、電流 I˙\dot{I} は電圧 V˙\dot{V} より遅れます(図5)。磁束が足りないぶんを、電源から遅れ電流を取り込んで補っています。

V E jXsI I δ θ E の先端は同じ高さ(出力が同じ) V:電源電圧 E:誘導起電力 jXsI:電圧降下 I:電流 δ:V と E の角 θ:V と I の角
図5 不足励磁(界磁電流が小さい):電流 I は電圧 V より遅れる

界磁電流を力率 1 の値にすると、I˙\dot{I} は V˙\dot{V} と同じ向きになります(図6)。このとき電流の大きさは最小で、E=V2+(XsI)2E = \sqrt{V^2 + (X_sI)^2} です。

V E jXsI I δ E の先端は同じ高さ(出力が同じ) V:電源電圧 E:誘導起電力 jXsI:電圧降下 I:電流 δ:V と E の角 θ = 0(力率 1)
図6 力率 1:電流 I は電圧 V と同じ向き

界磁電流をさらに大きくした過励磁では、EE が長くなり、電流 I˙\dot{I} は電圧 V˙\dot{V} より進みます(図7)。

V E jXsI I δ θ E の先端は同じ高さ(出力が同じ) V:電源電圧 E:誘導起電力 jXsI:電圧降下 I:電流 δ:V と E の角 θ:V と I の角
図7 過励磁(界磁電流が大きい):電流 I は電圧 V より進む

3 つの図は、V=1V = 1、Xs=1.5X_s = 1.5、有効電流 Icos⁡θ=0.5I\cos\theta = 0.5 として、自分で計算して描いたものです。EE と δ\delta の値は次のとおりです。

状態Eδ
不足励磁1.0844°
力率 11.2537°
過励磁1.5729°

V曲線と同期調相機

出力を一定にして、横軸に界磁電流 IfI_f、縦軸に電機子電流 II をとると、V の字の曲線が描けます。これが同期電動機の V 曲線です(図8)。

0.5 1.0 1.5 0 出力 大 出力 中 出力 0 力率 1 の点 電機子電流 I 遅れ力率 進み力率 界磁電流 If →
図8 同期電動機の V 曲線(V = 1、Xs = 1 とした自作の曲線)。底は力率 1、左は遅れ、右は進み

図は V=1V = 1、Xs=1X_s = 1 とした単位法で、前の節の式から自分で計算した曲線です。実機の値ではなく、形を見るためのものです。次の点を読み取ります。

  • 曲線の底は力率 1 の点で、電流が最小になる。底より左(界磁電流が小さい側)は遅れ力率、右は進み力率
  • 出力が大きいほど曲線は上へ移る。力率 1 の底は、右(界磁電流が大きい側)へずれる。破線は各出力の底を結んだ線
  • 出力が 0(橙)の曲線は、底で電流が 0 になる
  • 曲線の左端は δ=90∘\delta = 90^\circ で、これより界磁電流を小さくすると同期を外れる

出力が 0 の曲線に注目します。この状態の同期電動機は、有効電力を使わず、界磁電流を変えるだけで進み電流も遅れ電流も流せます。これを電力系統の無効電力の調整に使うものが、同期調相機です。

屋内に据えられた灰色の大型の回転機。左端に放射状の羽根があり、赤い鋼製ベースの上に載り、上に天井クレーンが見える写真
  1. 羽根 左端の冷却用
  2. 胴 円筒形の回転機
  3. ベース 赤い鋼製
  4. 天井クレーン 据え付け用
図9 屋内に据えた大型の回転機(写真はイメージ)

同期調相機は、無負荷で運転する同期電動機です。構造は同期電動機と同じで、軸に負荷をつなぎません。過励磁にすると進み電流が流れてコンデンサのように働き、遅れ無効電力を供給します。不足励磁にすると遅れ電流が流れてリアクトルのように働きます。界磁電流で連続的に調整できるのが特徴です。調相設備の種類と使い分けは、調相設備の種類と電圧調整で確かめられます。

同期電動機の出力・トルクと乱調

出力の式

前の節の 2 式から Icos⁡θI\cos\theta を消すと、出力が負荷角 δ\delta で表せます。形は同期発電機の出力の式と同じで、δ\delta の向きだけが逆です。

P=3VEsin⁡δXs=VLELsin⁡δXs\begin{aligned} P &= \frac{3VE\sin\delta}{X_s} \\ &= \frac{V_LE_L\sin\delta}{X_s} \end{aligned}

VV・EE は 1 相あたり(相電圧)、VLV_L・ELE_L は線間の値です。PP は三相の合計になります。

PP は sin⁡δ\sin\delta に比例するので、δ=90∘\delta = 90^\circ で最大になります(図10)。円筒形ではこれが最大出力 Pmax⁡=3VE/XsP_{\max} = 3VE/X_s です。

Pmax 出力 P 負荷 PL 安定 不安定 0° 90° 180° 安定な範囲 不安定な範囲 負荷角 δ
図10 出力 P と負荷角 δ の関係 P = Pmax sin δ。δ が 90° を超えると不安定になる

負荷が決まれば、グラフの水平線との交点で δ\delta が決まります。交点は 2 つありますが、使えるのは δ\delta が 90∘90^\circ より小さい側です。この範囲では、負荷が増えると δ\delta が大きくなって出力も増え、新しい値でつりあいます(安定)。90∘90^\circ を超えると、δ\delta が大きくなるほど出力が減り、つりあえません(不安定)。負荷が最大出力を超えると、同期を外れて止まります。これを脱調といい、そのときの最大トルクを脱出トルクといいます。

トルク

回転子の角速度は ω=2πNs/60 [rad/s]\omega = 2\pi N_s/60\ \mathrm{[rad/s]} です。トルクは出力を角速度で割って求めます。

ω=2πNs60T=Pω\begin{aligned} \omega &= \frac{2\pi N_s}{60} \\ T &= \frac{P}{\omega} \end{aligned}

速度は NsN_s で一定なので、トルクも出力と同じ形で sin⁡δ\sin\delta に比例します。

乱調(ハンチング)

負荷が急に変わると、回転子は慣性があるので、新しい δ\delta でぴたりと止まらず、まわりを上下に揺れます。この揺れが続いたり大きくなったりする現象が乱調です(図11)。

負荷角 δ δ1 制動巻線あり 減衰が弱い δ0 時間 t
図11 乱調(δ の揺れ)。制動巻線があると揺れは早く収まる(概形)

図11は、揺れが収まっていく様子を、概形で描いたものです。制動巻線があると、回転子が揺れて回転磁界との間に速度差が生じたときに、棒に電流が流れて揺れを抑える力が働きます。そのため、揺れが早く収まります。

誘導電動機との比較と用途

同期電動機と三相誘導電動機は、どちらも回転磁界で回りますが、回転子の様子が違います。

項目同期誘導
速度一定(NsN_s)すべりぶん遅い
力率調整できる遅れ
始動補助が必要そのまま可
励磁直流が必要不要
構造複雑単純

速度が一定で、力率も調整できるので、同期電動機は大容量で、決まった速度で回し続ける機械に向きます。ポンプや送風機、圧縮機の駆動が例です。電動機は継手を介して相手の機械とつなぎます。

青灰色の電動機が黒い継手カバー越しに、右の多段ポンプにつながっている横からの写真。電動機の上に端子箱がある
  1. 端子箱 電源をつなぐ
  2. 冷却フィン 熱を逃がす
  3. 継手カバー 軸をつなぐ部分
  4. ポンプ 電動機が回す
  5. 共通ベース まとめて固定
図12 電動機(左)が継手を介してポンプ(右)を回す(写真はイメージ)

電動機に電源をつなぐ入口が端子箱です。同期電動機では、固定子の三相の端子に加えて、回転子の界磁へ直流を送る励磁装置が別に要ります。

電動機の端子箱の写真。ボルト6本でとめた板のふたがあり、下から黒いケーブルが出て、左に冷却フィン、右に端のカバーが見える
  1. ふた 板のふたでとめる
  2. ボルト 6 本でとめる
  3. ケーブル 黒い電線管状
  4. 冷却フィン 左側
  5. 端のカバー 右側
図13 電動機の端子箱。ここに三相の電源線をつなぐ(写真はイメージ)

周波数を変えられる電源(インバータ)を使えば、同期速度が周波数に比例して変わるので、速度を調整できます。

同期電動機の例題

同期速度とトルク

解答と解説を見る

(1) 同期速度は次のとおりです。

Ns=120fp=120×608=900 [min−1]\begin{aligned} N_s &= \frac{120f}{p} \\ &= \frac{120 \times 60}{8} \\ &= 900\ \mathrm{[min^{-1}]} \end{aligned}

(2) 角速度を求めてから、トルクを求めます。

ω=2πNs60=2π×90060≈94.2 [rad/s]\begin{aligned} \omega &= \frac{2\pi N_s}{60} \\ &= \frac{2\pi \times 900}{60} \\ &\approx 94.2\ \mathrm{[rad/s]} \end{aligned}T=Pω=180×10394.2≈1910 [N⋅m]\begin{aligned} T &= \frac{P}{\omega} \\ &= \frac{180 \times 10^3}{94.2} \\ &\approx 1910\ \mathrm{[N \cdot m]} \end{aligned}

(3) 周波数に比例して小さくなります。

Ns=120×508=750 [min−1]N_s = \frac{120 \times 50}{8} = 750\ \mathrm{[min^{-1}]}

出力から負荷角を求める

解答と解説を見る

(1) 1 相の電圧は、線間電圧を 3\sqrt{3} で割った値です。

V=66003≈3810 [V]V = \frac{6600}{\sqrt{3}} \approx 3810\ \mathrm{[V]}

P=3VEsin⁡δ/XsP = 3VE\sin\delta/X_s を sin⁡δ\sin\delta について解きます。

sin⁡δ=PXs3VE=1500×103×123×3810×4200≈0.375\begin{aligned} \sin\delta &= \frac{PX_s}{3VE} \\ &= \frac{1500 \times 10^3 \times 12}{3 \times 3810 \times 4200} \\ &\approx 0.375 \end{aligned}

δ≈22∘\delta \approx 22^{\circ} です。

(2) δ=90∘\delta = 90^{\circ} のとき最大です。

Pmax⁡=3VEXs=3×3810×420012≈4.0×106 [W]\begin{aligned} P_{\max} &= \frac{3VE}{X_s} \\ &= \frac{3 \times 3810 \times 4200}{12} \\ &\approx 4.0 \times 10^6\ \mathrm{[W]} \end{aligned}

最大出力は約 4.0 [MW]4.0\,\mathrm{[MW]} です。線間の式 P=VLELsin⁡δ/XsP = V_LE_L\sin\delta/X_s でも、EL=3×4200≈7274 [V]E_L = \sqrt{3} \times 4200 \approx 7274\,\mathrm{[V]} として P≈1.5 [MW]P \approx 1.5\,\mathrm{[MW]} と確かめられます。

電流から誘導起電力を求める

解答と解説を見る

(1) V˙\dot{V} を基準(2000+j02000 + j0)にします。進み力率 0.80.8 なので、電流は次のとおりです。

I˙=100(0.8+j0.6)=80+j60 [A]\dot{I} = 100(0.8 + j0.6) = 80 + j60\ \mathrm{[A]}

E˙=V˙−jXsI˙\dot{E} = \dot{V} - jX_s\dot{I} に代入します。

E˙=2000−j10(80+j60)=2000−(−600+j800)=2600−j800 [V]\begin{aligned} \dot{E} &= 2000 - j10(80 + j60) \\ &= 2000 - (-600 + j800) \\ &= 2600 - j800\ \mathrm{[V]} \end{aligned}∣E˙∣=26002+8002≈2720 [V]|\dot{E}| = \sqrt{2600^2 + 800^2} \approx 2720\ \mathrm{[V]}

(2) E˙\dot{E} は V˙\dot{V} より遅れています。

δ=tan⁡−18002600≈17.1∘\delta = \tan^{-1}\frac{800}{2600} \approx 17.1^{\circ}

(3) 力率から求めます。

P=3VIcos⁡θ=3×2000×100×0.8=480 [kW]\begin{aligned} P &= 3VI\cos\theta \\ &= 3 \times 2000 \times 100 \times 0.8 \\ &= 480\ \mathrm{[kW]} \end{aligned}

3VEsin⁡δ/Xs3VE\sin\delta/X_s に代入しても 480 [kW]480\,\mathrm{[kW]} で一致します。進み力率なので、EE は VV より大きくなっています。

V曲線の読み取り

解答と解説を見る

正しいのは ア と ウ です。

記号正誤理由
ア正力率 1 で電流が最小
イ誤小さい側は遅れ
ウ正有効電流が増える
エ誤大きい側へ移る

エは、力率 1 のときの E=V2+(XsI)2E = \sqrt{V^2 + (X_sI)^2} が、有効電流 II の増加とともに大きくなるので、底は界磁電流の大きい側へ移ります。

よくある質問

同期電動機は、なぜ自己始動できない?

停止している回転子に、速く回る回転磁界が近づくと、N 極に引かれた直後に S 極にも引かれ、力の向きが交互に入れ替わります。平均するとトルクが 0 になり、回転子が動き出せません。そのため、制動巻線で誘導電動機のように始動するなど、同期速度の近くまで別の方法で回してから、引き入れます。

V曲線の左側と右側は、何が違う?

左側は界磁電流が小さい不足励磁で、電流は電圧より遅れ(遅れ力率)ます。右側は界磁電流が大きい過励磁で、電流は電圧より進み(進み力率)ます。底は力率 1 で、電流が最小です。

負荷を増やすと、同期電動機の速度は下がる?

下がりません。速度は Ns=120f/pN_s = 120f/p のままで、負荷が増えると負荷角 δ\delta が大きくなります。負荷が最大出力(脱出トルク)を超えると、同期を外れて(脱調)止まります。誘導電動機が負荷の増加でわずかに遅くなる(すべりが増す)のとは、この点が違います。

同期電動機と同期調相機は、何が違う?

構造は同じです。同期調相機は無負荷で運転し、有効電力は使わずに、界磁電流で進み・遅れの無効電力を調整するために使う設備です。同期電動機は、軸に負荷をつないで動力を取り出します。

思い出してみよう

答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。

同期速度の式と、負荷が変わったときの速度は?

Ns=120f/pN_s = 120f/p です。負荷が変わっても速度は NsN_s のままで、変わるのは負荷角 δ\delta です。

同期電動機が自己始動できない理由と、始動法は?

停止中は引く力と押す力が交互に入れ替わり、平均が 0 になるためです。始動法は、自己始動法(制動巻線)・始動電動機法・低周波始動法です。

界磁電流を小さくすると、力率はどうなりますか。

不足励磁で、電流は電圧より遅れます。力率 1 の値を超えて大きくする(過励磁)と、進みになります。

V 曲線の底は何を表しますか。

力率 1 の点で、電流が最小です。出力が大きいほど曲線は上へ、底は界磁電流の大きい側へ移ります。

同期調相機とは何ですか。

無負荷で運転する同期電動機です。界磁電流で、進み・遅れの無効電力を連続的に調整します。

出力の式と、脱調する負荷角は?

P=3VEsin⁡δ/XsP = 3VE\sin\delta/X_s です。円筒形は δ=90∘\delta = 90^\circ で最大になり、超えると脱調します。

まとめ

  • 同期電動機は、回転子が回転磁界と同じ速さ Ns=120f/pN_s = 120f/p で回る。速度は負荷で変わらず、変わるのは負荷角 δ\delta
  • そのままでは始動できないので、制動巻線(自己始動法)・始動電動機法・低周波始動法を使う。始動中の界磁巻線は抵抗で閉じておく
  • 出力が同じなら、界磁電流を小さくすると遅れ、大きくすると進み。V 曲線の底が力率 1 で、出力が大きいほど曲線は上へ移る。無負荷で運転する同期電動機が、同期調相機
  • 出力は P=3VEsin⁡δ/XsP = 3VE\sin\delta/X_s、トルクは T=P/ωT = P/\omega(ω=2πNs/60\omega = 2\pi N_s/60)。円筒形は δ=90∘\delta = 90^\circ で最大、超えると脱調。制動巻線は乱調も抑える

同期機の基本は同期発電機を、無効電力の調整のしくみは調相設備の種類と電圧調整を、見直しましょう。

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