センサの種類と原理|熱電対・測温抵抗体・ひずみゲージ・ホール素子を図解
電験三種の理論で扱うセンサの種類と原理を、図解で整理します。熱電対の起電力、測温抵抗体とサーミスタの式、ひずみゲージのブリッジ出力、光・磁界・力のセンサまで、例題で手を動かして確かめられます。

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温度、ひずみ、光、磁界。測りたい量はさまざまですが、計器や回路が直接扱えるのは、電圧・電流・抵抗といった電気の量です。そこで、測りたい量を電気の量に変える部品が必要になります。これがセンサです。
この記事では、センサの役割と、測る量ごとの種類を整理したうえで、温度のセンサ(熱電対・測温抵抗体・サーミスタ)、ひずみゲージとブリッジ、光のセンサ、ホール素子と圧電素子を順に確認します。例題では、白金の抵抗、サーミスタの抵抗、ひずみゲージのブリッジ出力を、手を動かして求めます。
- センサとは
- 測りたい量を、電圧・抵抗・電流などの電気の量に変える部品
- 出力は小さいので、増幅して計器や A-D変換器へ渡す
- 温度のセンサ
- 熱電対は、温度差に比例する起電力(ゼーベック効果)
- 測温抵抗体は 、サーミスタは温度で大きく変わる
- ひずみゲージ
- 、ブリッジで電圧に変える
- 光・磁界・力のセンサ
- フォトダイオードは、光の強さに比例した電流
- ホール素子は磁束密度に比例した電圧、圧電素子は力に応じた電荷
センサとは
センサは、温度・ひずみ・光・磁界・力などの量を、電圧・電流・抵抗・電荷といった電気の量に変える部品です。電気の量になれば、そのあとは、増幅やブリッジ、A-D変換といった電気回路の道具で扱えます。
出力が電圧のセンサは、オペアンプで増幅して使います。抵抗が変わるセンサは、ブリッジ回路などで電圧に直します。電圧になれば、A-D変換器で数に直して、ディジタル計器に表示できます。
センサの種類は、測る量で分ける
センサの種類は、測りたい量と、利用する現象で整理できます。
| 測る量 | 現象 | センサ |
|---|---|---|
| 温度 | ゼーベック効果 | 熱電対 |
| 温度 | 抵抗の温度変化 | 測温抵抗体 |
| ひずみ | 抵抗の変化 | ひずみゲージ |
| 光 | 光起電力効果 | フォトダイオード |
| 光 | 光導電効果 | CdS セル |
| 磁界 | ホール効果 | ホール素子 |
| 力 | 圧電効果 | 圧電素子 |
小さな部品が多く、実際には、基板に載せて回路につなぎます。

- 黒いドーム形 2本の足で基板につながる
- 橙の円板形 こちらも足は2本
- はんだ 足を基板に固定する
- 基板 部品どうしをつなぐ配線がある
温度のセンサ
温度のセンサは、電気的な性質が温度で変わることを使います。熱電対は電圧が、測温抵抗体とサーミスタは抵抗が、温度で変わります。
熱電対の原理(ゼーベック効果)
2種類の異なる金属の線を両端で接合して、1つの回路をつくります。2つの接合部に温度の差をつけると、起電力が生じて、電流が流れます。この現象をゼーベック効果、この組合せを熱電対といいます。
起電力 は、2つの接合部の温度差に、ほぼ比例します。
は測りたい場所に置く接合部(測温接点)の温度、 は基準接点の温度、 は金属の組合せで決まる定数です。
測温接点の温度 を知るには、基準接点の温度 が分かっていなければなりません。そこで、基準接点を氷水に入れて 0℃ にするか、基準接点の温度を別のセンサで測って補償します。なお、ゼーベック効果と逆に、電流を流すと接合部で熱が出入りする現象を、ペルチェ効果といいます。
出力は小さく、K 形(クロメルとアルメルの組合せ)で、基準接点を 0℃ にして 100℃ を測ったとき、約 4.1 mV です。1℃ あたり約 40 μV で、増幅して使います。電源がいらず、先端を小さくできて、1000℃ を超える高温まで測れる点が、熱電対の長所です。
測温抵抗体
金属は、温度が上がると抵抗が増えます。この性質を使う温度センサが測温抵抗体で、白金の線が使われます。白金の抵抗は、温度にほぼ直線的に比例して増えるので、次の式で表せます。
は 0℃ のときの抵抗、 は抵抗温度係数、 は温度 [℃] です。代表的な Pt100 は、0℃ で 100 Ω、 は約 0.00385 /℃ なので、100℃ では約 138.5 Ω になります。
工場では、熱電対も測温抵抗体も、金属の保護管に入れて、配管や炉に差し込んで使います。

- 棒状のセンサ 金属の管の中に入る
- ケーブル 出力を計器へ送る
- 保温材 配管を覆う
- ケーブル棚 配線を支える
測定する場所と計器が離れていると、リード線の抵抗が誤差になります。3線式の配線にすると、リード線の抵抗が、ブリッジ回路の隣り合う2辺に入って、影響が打ち消し合います。
サーミスタ
サーミスタは、金属酸化物などの半導体でできた、温度で抵抗が大きく変わる部品です。温度が上がると抵抗が減るものを、NTC サーミスタといいます。感度が大きく、小さくできますが、直線的には変わらず、使える温度の範囲は狭めです。逆に、ある温度を超えると抵抗が急に増えるものを PTC サーミスタといい、過電流からの保護などに使われます。
NTC サーミスタの抵抗は、次の式で表せます。
は基準の温度 のときの抵抗、 は B 定数 [K] です。 と は、絶対温度 [K] で入れます。℃ の値に 273 を足して、K に直します。B 定数は、3000〜4000 K ほどのものが一般的です。この式は、狭い温度の範囲で使います。
図5で、白金の直線的な変化と、サーミスタの大きな変化を比べます。
温度のセンサを、表にまとめます。
| センサ | 出力 | 特徴 |
|---|---|---|
| 熱電対 | 電圧 | 高温に強く、電源不要 |
| 測温抵抗体 | 抵抗 | 安定していて、精度がよい |
| サーミスタ | 抵抗 | 感度が大きく、範囲は狭い |
解答と解説を見る
(1) 式に当てはめます。
(2) 式を について解きます。
解答と解説を見る
温度を、絶対温度に直します。
指数の中を計算します。
抵抗を求めます。
温度が上がったので、抵抗は 10 kΩ から、約 3.5 kΩ に下がりました。
ひずみゲージとブリッジ
金属の線を引っ張ると、細く長くなって、抵抗が増えます。縮めると、太く短くなって、抵抗が減ります。ひずみゲージは、この性質を使います。細い金属の箔を折り返した形で、絶縁フィルムの上に付けてあります。
ひずみゲージは、測りたい物体に貼って使います。物体が伸び縮みすると、ゲージも同じだけ伸び縮みして、抵抗が変わります。

- 折り返した箔 抵抗が変わる部分
- リード線 はんだで端子につなぐ
- 黄色いフィルム 箔を支える下地
- 金属板 ひずみを受ける物体
物体の長さの変化の割合を、ひずみ といいます。
ひずみは、長さの比なので、単位がありません。値が小さいので、 を単位にして、「800 μ」のように書くこともあります。1000 μ は 0.001、つまり 0.1% のひずみです。
ゲージの抵抗の変化率は、ひずみに比例します。その比例定数を、ゲージ率 といいます。
金属箔のゲージ率は、ほぼ 2 です。半導体のゲージは、ゲージ率が大きく、感度が高いのですが、温度の影響も受けやすくなります。120 Ω のゲージで、ひずみが 1000 μ のとき、変化率は で、 は 0.24 Ω です。変化は、わずか 0.2% です。
この小さな変化は、ブリッジ回路で電圧に直して読みます。ゲージを1辺に入れ、ほかの3辺を同じ抵抗 にします。ひずみがないときは平衡して、出力は 0 です。ひずみがあると平衡がくずれて、出力電圧が現れます。
とおくと、図8の出力電圧は、次の式になります。
は 0.002 ほどと小さいので、分母の を無視できます。
出力は、ひずみに比例します。ゲージを2枚や4枚使うと、出力が大きくなり、温度による抵抗の変化も、隣り合う辺で打ち消せます。電子はかりのロードセルも、ゲージを貼った金属の部品で、荷重によるひずみを電圧にして、重さを読み取ります。
解答と解説を見る
(1) 変化率を求めます。
抵抗の変化は、次のとおりです。
(2) 近似式に入れます。
答えは 1.2 mV です。厳密な式では 1.199 mV で、差は 0.1% ほどです。
光のセンサ
光のセンサは、光の強さを、電流や抵抗に変えます。

- 透明のドーム 光を受ける部分
- 灯具 暗くなると点灯する
- 支柱 その上に灯具を載せる
光のセンサには、次の3つがあります。
- フォトダイオード:pn 接合に光が当たると、光の強さにほぼ比例した電流が流れます(光起電力効果)。応答が速く、光の強さの測定に向きます。pn 接合のしくみは、ダイオードで確かめられます。
- フォトトランジスタ:光で生じた電流を、トランジスタで増幅して取り出します。出力は大きくなりますが、フォトダイオードより、応答は遅めです。
- CdS セル:光が当たると、抵抗が減ります(光導電効果)。安価で、明るさの検知などに使われますが、応答は遅めです。
| センサ | 出力 | 特徴 |
|---|---|---|
| フォトダイオード | 電流 | 応答が速い |
| フォトトランジスタ | 電流 | 感度が大きい |
| CdS セル | 抵抗 | 光で抵抗が減る |
ホール素子と圧電素子
ホール素子
半導体の板に電流 を流して、板の面に垂直に、磁束密度 の磁界を加えます。すると、電流と磁界の両方に垂直な向きに、起電力が生じます。これをホール効果、生じる電圧をホール電圧といいます。電流を担う電荷が、磁界の中でローレンツ力を受けて、板の片側に寄るために起きます。ホール電圧の式と、n形・p形での向きの違いは、電子の運動とローレンツ力で確かめられます。
電流 が一定なら、ホール電圧は磁束密度 に比例します。そのため、ホール素子は、磁束密度の測定に使えます。導体のまわりの磁束をホール素子で測れば、導体に触れずに、電流を測れます。変化しない磁束にも出力が出るので、直流の電流も測れます。
圧電素子
水晶やセラミックスなどの結晶に力を加えて、ひずませると、表面に電荷が現れます。これを圧電効果といい、この性質をもつ部品が圧電素子です。逆に、電圧を加えると、結晶がひずみます。
力に応じた電荷が出るので、力・圧力・加速度のセンサに使われます。ただし、一定の力が続くと、電荷が回路に逃げて、出力が消えます。圧電素子は、振動や衝撃のように、変化する力の測定に向きます。
圧力のセンサ
圧力は、受けた圧力でたわむ薄い膜(ダイヤフラム)に、ひずみゲージを貼って測る形があります。膜のひずみを、ゲージの抵抗の変化として取り出します。位置や速度のセンサは、この記事では扱いません。
| センサ | 測る量 | 出力 |
|---|---|---|
| ホール素子 | 磁束密度 | 電圧 |
| 圧電素子 | 力 | 電荷 |
| 圧力センサ | 圧力 | 抵抗の変化 |
解答と解説を見る
誤りは (エ) です。フォトダイオードは、光が強いほど、流れる電流が大きくなります。電流は、光の強さにほぼ比例します。
ほかは、正しい説明です。
- (ア):ゼーベック効果による起電力です。
- (イ):金属は、温度が上がると抵抗が増えます。
- (ウ): です。
- (オ):電流が一定なら、ホール電圧は磁束密度に比例します。
よくある質問
熱電対と測温抵抗体は、どう使い分ける?
熱電対は、高温まで測れ、電源がいらず、先端を小さくできます。出力が小さいので、増幅や、基準接点の補償が要ります。測温抵抗体は、数百℃までの範囲で、安定していて精度がよく、電流を流して抵抗を読みます。高温や小さな場所には熱電対、精度が必要な常温から数百℃には測温抵抗体、と考えると整理できます。
熱電対の基準接点は、なぜ必要?
起電力は、2つの接合部の温度差で決まるからです。測温接点の温度を知るには、もう一方の基準接点の温度が分かっていなければなりません。氷水で 0℃ にするか、基準接点の温度を別のセンサで測って、起電力を補償します。
ひずみゲージの出力を、ブリッジで測るのはなぜ?
抵抗の変化が、0.1〜0.2% ほどと小さいからです。ブリッジなら、ひずみがないときの出力を 0 にして、変化の分だけを取り出せます。その小さな電圧を、増幅して読みます。
ホール素子と圧電素子の違いは?
ホール素子は、電流を流しておき、磁束密度に比例した電圧を取り出します。変化しない磁界でも出力が出ます。圧電素子は、力に応じた電荷を出します。電源はいりませんが、変化しない力の測定には向きません。
思い出してみよう
答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。
センサの役割は、何ですか。
測りたい量を、電圧・電流・抵抗などの電気の量に変えます。
熱電対の原理と、起電力の決まり方は?
ゼーベック効果です。起電力は、2つの接合部の温度差にほぼ比例し、基準接点の温度が必要です。
白金の測温抵抗体の式は?
です。Pt100 は、0℃ で 100 Ω です。
NTC サーミスタの特徴と、式は?
温度が上がると、抵抗が減ります。 で、 は K で入れます。
ひずみゲージのゲージ率と、ブリッジ1枚の出力は?
です。出力は で近似できます。
ホール素子と圧電素子の出力は?
ホール素子は、磁束密度に比例した電圧です。圧電素子は、力に応じた電荷です。
まとめ
- センサは、測りたい量を、電圧・電流・抵抗などの電気の量に変える部品。出力は小さいので、増幅して使う
- 熱電対は、ゼーベック効果による起電力が、温度差にほぼ比例する。基準接点の温度が要る。高温に向き、電源は不要
- 測温抵抗体は 。NTC サーミスタは、温度が上がると抵抗が大きく減り、 で表す。 は絶対温度
- ひずみゲージは 。ブリッジで電圧に変え、1枚なら出力は で近似できる
- 光はフォトダイオード(光に比例した電流)、磁界はホール素子(磁束密度に比例した電圧)、力は圧電素子(変化する力に応じた電荷)
センサの出力は、増幅したあと、A-D変換器で数に直して表示します。分解能と量子化誤差の計算は、A-D変換の分解能と量子化誤差で、抵抗の小さな変化を電圧にするしくみは、ブリッジ回路で確かめられます。








