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理論電子計測 / オシロスコープ16分で読めます

オシロスコープの読み方|周波数・位相差の求め方とリサジュー図形を図解

電験三種のオシロスコープを図解で整理します。画面の目盛から電圧・周期・周波数を読む方法、2現象の位相差、トリガ、10:1 プローブ、リサジュー図形の周波数比と位相差までを、例題つきで確認できます。

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黒い筐体のオシロスコープの暗い画面に格子と緑の正弦波が山3つぶん映り、右側につまみとボタンが並び、その下の3つの端子のうち1つに黒いケーブルがつながっている写真
この記事の目次
  1. オシロスコープとは:電圧の時間変化を画面に描く計器
  2. 波形の読み取り:電圧は縦の div 数、周期は横の div 数
  3. 2現象の位相差:ずれ Δt から φ を求める
  4. トリガ:波形が止まって見える仕組み
  5. プローブ:10:1 プローブと補正
  6. リサジュー図形:周波数比と位相差
  7. 同じ周波数のとき:位相差で形が変わる
  8. 周波数がちがうとき:接する点の数の比が周波数比
  9. 楕円の形から位相差 φ を読む
  10. ディジタルオシロスコープ:サンプリングして波形を描く
  11. よくある質問
  12. オシロスコープと電圧計は、何が違うの?
  13. 波形が止まらずに流れるのは、なぜ?
  14. 10:1 プローブで、入力抵抗が大きくなるのはなぜ?
  15. リサジュー図形から、位相の進みと遅れは分かる?
  16. まとめ
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直列回路
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テスターが示すのは数字1つですが、オシロスコープは、電圧の時間変化を波形そのものとして画面に描きます。画面の目盛を数えれば、電圧の大きさも、周期も、周波数も、2つの波のずれ(位相差)も読めます。

この記事では、画面の見方から、波形の読み取り、位相差、トリガ、10:1 プローブ、リサジュー図形の周波数比と位相差、ディジタルオシロスコープのサンプリングまでを、図と例題で順に確認します。最大値と実効値の関係は正弦波交流と実効値で扱ったので、ここでは目盛の読み方に集中します。

オシロスコープの全体像
  • オシロスコープとは
    • 縦軸が電圧、横軸が時間。波形そのものを画面に描く
  • 波形の読み取り
    • 電圧は縦の div 数 × V/div、周期は横の div 数 × 時間/div。f = 1/T
  • 2現象の位相差
    • ずれ Δt と周期 T から φ = 360° × Δt / T
  • トリガ
    • 毎回同じ点から描き始めて、波形を止めて見せる
  • プローブ
    • 10:1 は電圧が 1/10、入力抵抗は 10 MΩ。補正は方形波で合わせる
  • リサジュー図形
    • 周波数比は接する点の数の比。楕円から sinφ = b/a で位相差が出る
  • ディジタルオシロスコープ
    • 一定の間隔で電圧を記録し、点をつないで描く

オシロスコープとは:電圧の時間変化を画面に描く計器

オシロスコープは、電圧が時間とともにどう変わるかを、画面に波形として描く計器です。縦軸が電圧、横軸が時間です。電圧計が示すのは数字1つですが、オシロスコープでは、波形の大きさ、くり返しの周期、2つの信号のずれまで、画面の目盛を数えて読めます。

画面は、図1のように、縦 8 × 横 10 の格子に区切られていることが多く、格子の1マスを 1 div(ディビジョン、目盛)と呼びます。

1 div (1目盛) 電圧 縦 8 div 時間(横 10 div)
図1 オシロスコープの画面。縦軸が電圧、横軸が時間で、10 × 8 div の格子に波形が映る

波形の値は、div 数に、つまみで決めた設定の値を掛けて出します。

設定単位読めるもの
縦軸の感度V/div電圧
横軸の掃引時間s/div時間

V/div は、縦に 1 div 進むと何 V か、s/div(ms/div や μs/div)は、横に 1 div 進むと何秒か、を表します。同じ波形でも、設定を変えると画面での大きさが変わります。div 数だけでは値が決まらないので、設定の値を必ず一緒に読みます。

金属の棚の2段に4台の機器が並んだ写真。上段に、黒い表示窓とつまみ・端子をもつ機器と、スタンド付きの携帯型テスター。下段に、黒い画面とつまみ・端子をもつ機器と、小さな表示窓をもつ機器
  1. 黒い画面 表示部
  2. 端子 信号をつなぐ口
  3. 携帯型テスター 数字で値を示す
  4. つまみ 設定を変える
図2 棚に並んだ計測機器。テスターのように数字を表示する機器と、黒い画面をもつ機器がある(写真はイメージ)

波形の読み取り:電圧は縦の div 数、周期は横の div 数

縦軸を 2 V/div、横軸を 5 ms/div に設定して、正弦波を映したのが図3です。中心線から山の頂上までが 2.5 div、山から次の山までが 4 div です。

Vm Vpp T = 4 div 設定 2 V/div 5 ms/div Vm = 2.5 div × 2 V/div = 5 V Vpp = 10 V T = 4 div × 5 ms/div = 20 ms f = 50 Hz
図3 波形の読み取り。縦の div 数 × V/div で電圧、横の div 数 × ms/div で周期が出る

電圧は縦の div 数に V/div を、周期は横の div 数に ms/div を掛けます。周波数は、周期の逆数です。

Vm=2.5×2=5 VVpp=2Vm=10 VT=4×5=20 msf=1T=10.020=50 Hz\begin{aligned} V_m &= 2.5 \times 2 = 5\,\mathrm{V} \\ V_{\mathrm{pp}} &= 2V_m = 10\,\mathrm{V} \\ T &= 4 \times 5 = 20\,\mathrm{ms} \\ f &= \frac{1}{T} = \frac{1}{0.020} = 50\,\mathrm{Hz} \end{aligned}

VmV_m は最大値(中心線からの高さ)、VppV_{\mathrm{pp}} は山から谷までの高さ(ピークツーピーク値)、TT は周期 [s]、ff は周波数 [Hz] です。正弦波のように上下対称な波形では、Vpp=2VmV_{\mathrm{pp}} = 2V_m です。画面から直接読めるのは最大値などの大きさで、実効値は、正弦波なら Vm/2V_m/\sqrt{2} で求めます(正弦波交流と実効値)。この例では、5/2≒3.54 V5/\sqrt{2} \fallingdotseq 3.54\,\mathrm{V} です。直流の電圧は、水平な線として映り、中心線からのずれの div 数に V/div を掛けて読みます。

同じ 5 V の波でも、1 V/div なら山の高さは 5 div、5 V/div なら 1 div です。波形が画面いっぱいに映るように、つまみで設定を合わせてから読むと、読み取りの誤差が小さくなります。

濃い灰色のパネルに丸いボタンと角ボタン、小さなつまみが並び、手の親指と人差し指が中央の大きな円形のつまみをつまんで回している写真
図4 つまみを回して設定を変える様子。V/div や s/div もつまみで合わせる(写真はイメージ)
解答と解説を見る

最大値は、縦の div 数に感度を掛けます。

Vm=3×0.5=1.5 VV_m = 3 \times 0.5 = 1.5\,\mathrm{V}

周期は、横の div 数に掃引時間を掛けます。

T=5×0.2=1.0 msT = 5 \times 0.2 = 1.0\,\mathrm{ms}

周波数は、周期の逆数です。

f=11.0×10−3=1000 Hz=1 kHz\begin{aligned} f &= \frac{1}{1.0 \times 10^{-3}} \\ &= 1000\,\mathrm{Hz} \\ &= 1\,\mathrm{kHz} \end{aligned}

実効値は、正弦波なので、最大値を 2\sqrt{2} で割ります。

V=1.52≒1.06 VV = \frac{1.5}{\sqrt{2}} \fallingdotseq 1.06\,\mathrm{V}

最大値は 1.5 V、周期は 1.0 ms、周波数は 1 kHz、実効値は約 1.06 V です。

2現象の位相差:ずれ Δt から φ を求める

オシロスコープは、2つの入力を同時に映せます(2現象オシロスコープ)。2つの波が時間の向きにどれだけずれているかを測ると、位相差が分かります。位相差は、RLC直列回路のインピーダンスで扱った電圧と電流の位相角と同じ考え方で、1周期を 360° としたときの、ずれの割合です。

図5は、波 A(黄)と波 B(緑)を映した例です。どちらも下から上へ中心線を横切る点があり、その横の距離がずれ Δt\Delta t です。

T = 8 div Δt = 1 div 波A 波B B は A より 1 div 遅れる φ = 360° × Δt / T  = 360° × 1 / 8 = 45°
図5 2現象の位相差。ずれ Δt と周期 T の比に 360° を掛けて位相差 φ を求める

1周期が TT、ずれが Δt\Delta t なら、位相差 φ\varphi は、次のとおりです。

φ=360∘×ΔtT\varphi = 360^{\circ} \times \frac{\Delta t}{T}

図では、TT が 8 div、Δt\Delta t が 1 div なので、位相差は 45° です。

φ=360∘×18=45∘\varphi = 360^{\circ} \times \frac{1}{8} = 45^{\circ}

Δt\Delta t と TT は、div 数の比で出せます。掃引時間の設定は、比の中で打ち消し合うので、位相差を求めるだけなら、読まなくても構いません。

進みと遅れは、時間が左から右へ進むことから決まります。右にずれた波が遅れで、左にある波が進みです。図では、波 B が波 A より 45° 遅れています。ずれと位相差の関係は、次のとおりです。

ずれ位相差
周期の 1/845°
周期の 1/490°
周期の 1/2180°

実際の画面では、図6のように、2本の波形が重なって映ります。色で見分けます。この写真では、水色の波が黄色の波より右にずれているので、水色の波が遅れています。

暗い背景の格子に、黄色と水色の正弦波が1本ずつ描かれ、水色の波が黄色の波より右にずれている写真
図6 2つの波形を同時に映した例。水色の波が黄色の波より右にずれている(写真はイメージ)
解答と解説を見る

周期は、横の div 数に掃引時間を掛けます。

T=5×0.5=2.5 msT = 5 \times 0.5 = 2.5\,\mathrm{ms}

周波数は、周期の逆数です。

f=12.5×10−3=400 Hzf = \frac{1}{2.5 \times 10^{-3}} = 400\,\mathrm{Hz}

ずれは 2 − 1 = 1 div です。位相差は、div 数の比で出せます。

φ=360∘×15=72∘\varphi = 360^{\circ} \times \frac{1}{5} = 72^{\circ}

時間で計算しても同じです。Δt=1×0.5=0.5 ms\Delta t = 1 \times 0.5 = 0.5\,\mathrm{ms} から、360∘×0.5/2.5=72∘360^{\circ} \times 0.5/2.5 = 72^{\circ} になります。

波 B のほうが左(先)で中心線を横切っているので、波 B が波 A より 72° 進んでいます。

トリガ:波形が止まって見える仕組み

オシロスコープは、波形を画面の左から右へ掃引して描き、描き終えると、また左から描き直します。描き始める位置が毎回ちがうと、波形が毎回ずれて描かれ、流れるように見えます。

トリガは、入力電圧が設定した値(トリガレベル)を、設定した向き(立ち上がり、または立ち下がり)に横切った瞬間から、描き始める機能です。図7のとおり、トリガがあると、毎回同じ点から描くので、周期波形が重なって止まって見えます。

トリガなし トリガあり 掃引ごとに始まる位置が ちがい、波形がぶれる 同じレベル・同じ傾きから 始まり、波形が重なる 橙の破線:トリガレベル 橙の点:描き始める位置
図7 トリガ。毎回、同じレベル・同じ傾きから描き始めるので、波形が止まって見える

トリガは、次の3つで決めます。

設定決めるもの
レベル何 V で描き始めるか
スロープ立ち上がりか、立ち下がりか
ソースどの信号で判断するか

2現象の位相差を読むときは、ふつう、片方の信号でトリガをかけて基準にし、もう片方のずれを読みます。

プローブ:10:1 プローブと補正

測りたい点とオシロスコープをつなぐのが、プローブです。図8は、測定棒の細い金属の先を、基板の1点に当てている様子です。プローブには、測定点に当てる先端と、基準側(接地側)につなぐクリップがあります。

緑の基板の上で、手が持つ黒い測定棒の細い金属の先を基板のパッドに当て、基板の縁の穴には黒い被覆のワニ口クリップがつながっている写真
  1. 測定棒の先 測りたい点に当てる
  2. クリップ 基板の縁の穴につながる
  3. 黒い部品 基板に載った IC
  4. 手 測定棒を持つ
図8 基板のパッドに測定棒の先を当てる様子。基板の縁にはクリップがつながっている(写真はイメージ)

10:1 プローブの中には、9 MΩ の抵抗が直列に入っています。オシロスコープの入力抵抗(ここでは 1 MΩ)と直列になって、電圧を分けます。

プローブ オシロスコープ 測定点 9 MΩ 接地側 1 MΩ V V/10 測定点から見た入力抵抗 = 9 MΩ + 1 MΩ = 10 MΩ
図9 10:1 プローブの回路。9 MΩ と入力部の 1 MΩ で電圧が 1/10 に分けられ、入力抵抗は 10 MΩ になる

測定点の電圧を VV、オシロスコープに入る電圧を ViV_i とすると、分圧は、オームの法則と直列回路の分圧と同じです。

Vi=V×19+1=V10\begin{aligned} V_i &= V \times \frac{1}{9 + 1} \\ &= \frac{V}{10} \end{aligned}

測定点から見た入力抵抗は、9 MΩ と 1 MΩ の直列で 10 MΩ です。プローブを使わずに直接つなぐと 1 MΩ なので、入力抵抗が10倍に大きくなり、測る回路から流れ出す電流が小さくなります。そのぶん、測る回路への影響が小さくなります。そのかわり、画面の電圧は 1/10 なので、測定点の電圧は、画面から読んだ値の10倍です。プローブの倍率を設定すると、表示を自動で10倍に直す機種もあります。

実際のプローブでは、9 MΩ の抵抗に並列に、調整用のコンデンサが入っています(図では省略しています)。コンデンサの値が合っていないと、周波数が高いほど分圧の比が変わって、波形がゆがみます。そこで、使う前に補正をします。

補正は、オシロスコープの補正用の方形波の端子(多くの機種にあります)にプローブをつなぎ、画面の方形波の角が直角になるように、プローブの調整ねじを回して行います。図10のように、角が丸ければ補正不足、角がとがっていれば過補正です。

補正不足 角が丸い 適正 角が直角 過補正 角がとがる
図10 プローブの補正で見る方形波。角が丸ければ補正不足、とがっていれば過補正

補正不足で角が丸くなるのは、9 MΩ と入力側の容量が RC 回路のように働いて、電圧の立ち上がりが遅れるためです(過渡現象の時定数と同じ考え方)。

解答と解説を見る

画面から読めるのは、オシロスコープに入った電圧です。山から谷までの値は、次のとおりです。

Vpp=4.0×0.5=2.0 VV_{\mathrm{pp}} = 4.0 \times 0.5 = 2.0\,\mathrm{V}

プローブで 1/10 になっているので、測定点の値は10倍です。

Vpp=2.0×10=20 V\begin{aligned} V_{\mathrm{pp}} &= 2.0 \times 10 \\ &= 20\,\mathrm{V} \end{aligned}

最大値は、山から谷までの半分です。

Vm=202=10 VV_m = \frac{20}{2} = 10\,\mathrm{V}

実効値は、最大値を 2\sqrt{2} で割ります。

V=102≒7.07 VV = \frac{10}{\sqrt{2}} \fallingdotseq 7.07\,\mathrm{V}

入力抵抗は、9 MΩ と 1 MΩ の直列です。

R=9+1=10 MΩR = 9 + 1 = 10\,\mathrm{M\Omega}

リサジュー図形:周波数比と位相差

オシロスコープの X-Y モードでは、横軸を時間ではなく、もう1つの入力電圧にします。横の入力を xx、縦の入力を yy として、2つの正弦波を同時に入れると、画面の点は、xx と yy の組み合わせで動いて、図形を描きます。これがリサジュー図形です。

x=Xsin⁡(2πfxt)y=Ysin⁡(2πfyt+φ)\begin{aligned} x &= X\sin(2\pi f_x t) \\ y &= Y\sin(2\pi f_y t + \varphi) \end{aligned}

図形から、2つの信号の周波数比と、同じ周波数なら位相差 φ\varphi が分かります。周波数が分かっている信号と比べれば、もう一方の周波数を求められます。

同じ周波数のとき:位相差で形が変わる

fx=fy=ff_x = f_y = f のとき、ω=2πf\omega = 2\pi f として、次のように書けます。

x=Xsin⁡ωty=Ysin⁡(ωt+φ)\begin{aligned} x &= X\sin\omega t \\ y &= Y\sin(\omega t + \varphi) \end{aligned}

φ=0∘\varphi = 0^{\circ} なら y=(Y/X) xy = (Y/X)\,x で、右上がりの直線です。φ=90∘\varphi = 90^{\circ} なら y=Ycos⁡ωty = Y\cos\omega t で、軸に平行な楕円になります(X=YX = Y なら円)。φ=180∘\varphi = 180^{\circ} なら、右下がりの直線です。図11は、X=YX = Y の場合です。

φ = 0° 直線 φ = 45° 楕円 φ = 90° 円 φ = 135° 楕円 φ = 180° 直線
図11 同じ周波数の2信号のリサジュー図形。位相差 φ で直線・楕円・円に変わる(x = sin t、y = sin(t + φ))

周波数がちがうとき:接する点の数の比が周波数比

周波数がちがうと、図形は、より複雑な曲線になります。図形に外接する長方形(白い破線)を考えて、上辺に接する点の数と、右辺に接する点の数を数えます。

上辺に接する点の数:右辺に接する点の数=fy:fx\begin{gathered} \text{上辺に接する点の数} : \text{右辺に接する点の数} \\ = f_y : f_x \end{gathered}

理由は、次のとおりです。右辺に接するのは xx が最大のとき、上辺に接するのは yy が最大のときです。同じ時間に、xx の山は fxf_x に、yy の山は fyf_y に比例した回数だけ現れるので、接する点の数の比が周波数の比になります。

図12の左は、上辺に 2 点、右辺に 1 点で、fy:fx=2:1f_y : f_x = 2 : 1 です。右は、上辺に 3 点、右辺に 2 点で、fy:fx=3:2f_y : f_x = 3 : 2 です。接する点が重なる位相のときは、数が少なく見えるので、位相がずれたときの図形で数えます。

上辺 2 点 右辺 1 点 fy : fx = 2 : 1 上辺 3 点 右辺 2 点 fy : fx = 3 : 2 上辺に接する点 右辺に接する点
図12 周波数比とリサジュー図形。上辺に接する点の数 : 右辺に接する点の数 = y 側の周波数 : x 側の周波数

楕円の形から位相差 φ を読む

同じ周波数のとき、楕円の形から位相差が読めます。楕円が yy 軸と交わるのは、x=0x = 0 になる ωt=0\omega t = 0 のときで、そのときの yy が Ysin⁡φY\sin\varphi です。これを bb とします。また、yy の最大値 YY を aa とします。

b=Ysin⁡φ=asin⁡φsin⁡φ=ba\begin{gathered} b = Y\sin\varphi = a\sin\varphi \\ \sin\varphi = \frac{b}{a} \end{gathered}

xx の振幅 XX は、b/ab/a に関係しません。図13は、a=3 diva = 3\,\mathrm{div}、b=1.5 divb = 1.5\,\mathrm{div} の楕円で、次のとおりです。

sin⁡φ=1.53=0.5φ=30∘\begin{aligned} \sin\varphi &= \frac{1.5}{3} = 0.5 \\ \varphi &= 30^{\circ} \end{aligned}
a b a:y の最大値 b:y 軸と交わる点 a = 3 div b = 1.5 div sinφ = b / a = 0.5 φ = 30°
図13 楕円から位相差を読む。y の最大値 a と、y 軸と交わる点の高さ b の比が sinφ

sin⁡φ\sin\varphi から角を求めると、30° と 150° の2つの候補が出ます。右上がりの楕円なら 30°、右下がりなら 150° です。形と φ\varphi の関係は、次のとおりです。

φ\varphib/ab/a図形
0°0右上がりの直線
0°〜90°0〜1右上がりの楕円
90°1軸に平行な楕円
90°〜180°1〜0右下がりの楕円
180°0右下がりの直線
(1) 横の入力は 600 Hz (2) 同じ周波数の2信号
図14 例題4の画面。(1) リサジュー図形、(2) 同じ周波数の2信号が描く楕円
解答と解説を見る

(1) 上辺に接する点の数と、右辺に接する点の数の比が、fy:fxf_y : f_x です。

fy:fx=2:3f_y : f_x = 2 : 3

横軸の入力が 600 Hz なので、縦軸の周波数は次のとおりです。

fy=600×23=400 Hzf_y = 600 \times \frac{2}{3} = 400\,\mathrm{Hz}

(2) 図から、a=2 diva = 2\,\mathrm{div}(楕円のいちばん高い点)、b=1 divb = 1\,\mathrm{div}(yy 軸との交点)と読めます。

sin⁡φ=ba=12=0.5\sin\varphi = \frac{b}{a} = \frac{1}{2} = 0.5

sin⁡φ=0.5\sin\varphi = 0.5 となる角は 30° と 150° です。楕円は右下がりなので、φ=150∘\varphi = 150^{\circ} です(右上がりなら 30°)。

ディジタルオシロスコープ:サンプリングして波形を描く

電子ビームを電圧で曲げて、画面に直接描くアナログ方式に対して、ディジタルオシロスコープは、入力電圧を一定の間隔で測って数値(サンプル)にし、メモリに記録して、点をつないで画面に描きます。電圧を数値にする回路は、A-D 変換器です。

時間 サンプリング間隔 記録した点(サンプル) もとの連続した波形
図15 ディジタルオシロスコープのサンプリング。一定の間隔で電圧を記録し、点をつないで波形にする

図15のように、サンプルの間隔が短いほど、もとの波形に近い形で描けます。間隔が粗いと、波形の細かい変化を取りこぼします。たとえば、間隔が 1 μs1\,\mu\mathrm{s} なら、1 秒間に 100 万点を記録します。観測したい信号の周波数よりも、十分に速い間隔で記録する必要があります。

記録した数値は、メモリに残ります。そのため、一度しか起きない信号を、あとから画面で見直したり、画面の波形の値を数値で表示したりできる機種が多くあります。読み方は、ここまでと同じで、div 数に V/div と s/div を掛けます。

よくある質問

オシロスコープと電圧計は、何が違うの?

電圧計は、実効値などの数値を1つ示します。オシロスコープは、電圧の時間変化を波形で映すので、周期、位相差、波形のゆがみ、パルスの立ち上がりまで見られます。そのかわり、値は画面の目盛を読んで求めるので、読み取りの誤差がふくまれます。

波形が止まらずに流れるのは、なぜ?

トリガがかかっていないのが、多い原因です。トリガレベルが波形の振幅の外にあると、入力電圧がその値を横切らないので、描き始めの位置が定まらず、波形が流れます。トリガレベルを、波形の最大値と最小値の間に合わせます。

10:1 プローブで、入力抵抗が大きくなるのはなぜ?

プローブの中の 9 MΩ が、オシロスコープの 1 MΩ に直列に入るからです。測定点から見た抵抗は、9 + 1 = 10 MΩ になります。測定点から流れ出す電流が小さくなるので、測る回路への影響が小さくなります。そのかわり、画面の電圧は 1/10 になります。

リサジュー図形から、位相の進みと遅れは分かる?

分かりません。位相差 φ\varphi と −φ-\varphi は、同じ形になるからです。図形から分かるのは、位相差の大きさ(0° から 180°)までです。進みと遅れは、2つの波形を並べて映して、どちらが左(先)にあるかを見て決めます。

思い出してみよう

答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。

波形の電圧と周期は、どう読みますか。

電圧は縦の div 数に V/div を、周期は横の div 数に s/div を掛けます。周波数は f=1/Tf = 1/T です。

2つの波の位相差は、どう求めますか。

ずれ Δt\Delta t と周期 TT の比に 360° を掛けます。φ=360∘×Δt/T\varphi = 360^{\circ} \times \Delta t/T で、右にずれた波が遅れです。

トリガは、何をする機能ですか。

設定したレベル・向きで電圧が横切った瞬間から描き始めます。毎回同じ点から描くので、周期波形が止まって見えます。

10
プローブを使うと、画面の電圧と入力抵抗は、どうなりますか。

画面の電圧は測定点の 1/10、入力抵抗は 9 MΩ と 1 MΩ の直列で 10 MΩ です。

リサジュー図形で、周波数比は、どう読みますか。

上辺に接する点の数 : 右辺に接する点の数が fy:fxf_y : f_x です。

同じ周波数のリサジュー図形(楕円)から、位相差は、どう求めますか。

yy の最大値 aa と、yy 軸との交点の高さ bb から、sin⁡φ=b/a\sin\varphi = b/a です。右上がりなら 0° 〜 90°、右下がりなら 90° 〜 180° の角をとります。

まとめ

  • 画面は 1 div ごとの格子。電圧は縦の div 数 × V/div、周期は横の div 数 × s/div で読み、周波数は f=1/Tf = 1/T
  • 位相差は、ずれ Δt\Delta t と周期 TT から φ=360∘×Δt/T\varphi = 360^{\circ} \times \Delta t/T。右にずれた波が遅れ
  • トリガは、設定したレベル・向きから描き始めて、周期波形を止める機能
  • 10:1 プローブは、9 MΩ を直列に入れて電圧を 1/10 にし、入力抵抗を 10 MΩ にする。補正は、方形波の角が直角になるように合わせる
  • リサジュー図形では、上辺に接する点の数 : 右辺に接する点の数が fy:fxf_y : f_x。同じ周波数の楕円は、sin⁡φ=b/a\sin\varphi = b/a で位相差を読む
  • ディジタルオシロスコープは、一定の間隔で電圧を記録して、点をつないで描く

最大値と実効値の関係は正弦波交流と実効値を、目盛を読むときの誤差の考え方は測定の誤差を、あわせて確認しましょう。

図解でわかる 電験三種 理論 1 直列回路 の表紙電験三種 理論を図解で通して読む図解でわかる 電験三種 理論 / 第1巻直列回路電流・電圧・抵抗から内部抵抗・倍率器・コンデンサまで理論の単元を、図と式で1冊ずつ通して読む Kindle 本のシリーズです。例題と練習問題まで入っています。Kindle Unlimited の対象なので、会員は追加料金なしで読めます。Amazon で見る

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デンケンラボ編集部

電験三種の合格プランをつくる問題集アプリ「デンケンラボ」の編集部です。試験センターの出題範囲に沿って、計算の考え方と覚えどころを図と式で解説しています。

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