Kindle で読む

機械電熱 / ヒートポンプ13分で読めます

ヒートポンプのしくみと COP の計算|暖房と冷房の関係・理想 COP を図解

電験三種の機械で扱うヒートポンプを、冷凍サイクルの4機器と冷媒の状態、成績係数 COP の定義、暖房と冷房の COP の関係、逆カルノーサイクルの理想 COP の順に整理します。図解と4つの例題つきです。

シェア

雪景色の見える窓のある明るい部屋の壁に、白いエアコンの室内機が取り付けられ、手前にソファとクッションと観葉植物がある写真
この記事の目次
  1. ヒートポンプとは?熱をくみ上げるしくみ
  2. 冷凍サイクルで熱を運ぶ四つの機器
  3. 成績係数 COP と暖房・冷房の関係
  4. 理想の COP は温度だけで決まる
  5. 暖房能力と消費電力量の計算
  6. ヒートポンプ給湯機のしくみ
  7. 蓄熱とヒートポンプ
  8. ランキンサイクルと向きが逆のサイクル
  9. よくある質問
  10. 暖房と冷房で、COP の式はなぜ違うのですか。
  11. 理想の COP の式に、℃ のまま代入してはいけないのはなぜですか。
  12. 外気温が低いと、暖房の COP が下がるのはなぜですか。
  13. ヒートポンプは、なぜ冷房と暖房の両方に使えますか。
  14. まとめ
図解でわかる 電験三種 機械 1 直流機 の表紙機械を図解で読む図解でわかる 電験三種 機械 1
直流機
Kindle Unlimited 対象Kindle で読む

冬のエアコンは、使った電力の何倍もの熱を部屋に送ります。電気を熱に変えているのではなく、外の空気の熱を運んでいるからです。この熱を運ぶしくみがヒートポンプで、その働きの良さを表す数が成績係数(COP)です。電熱の計算では COP の考え方を一度見ました。この記事では、冷凍サイクルの中で冷媒がどう変わるか、暖房と冷房の COP がどう結びつくか、理想の COP をどう求めるかを順にたどり、4つの例題で計算を確かめます。

ヒートポンプの全体像
  • 熱をくみ上げる
    • 電力 WW を使って、低温側の熱を高温側へ運ぶ
    • 暖房も冷房も、同じ機械で行う
  • 冷凍サイクルの4機器
    • 圧縮機 → 凝縮器 → 膨張弁 → 蒸発器の順に、冷媒が回る
  • 成績係数 COP
    • 暖房 COPh=QH/W\mathrm{COP}_h = Q_H/W、冷房 COPc=QL/W\mathrm{COP}_c = Q_L/W
    • QH=QL+WQ_H = Q_L + W から COPh=COPc+1\mathrm{COP}_h = \mathrm{COP}_c + 1
  • 理想の COP(逆カルノーサイクル)
    • COPh=TH/(TH−TL)\mathrm{COP}_h = T_H/(T_H - T_L)。温度は絶対温度 [K]
    • 温度差が小さいほど大きい
  • 使い方
    • ヒートポンプ給湯機、蓄熱、空調

ヒートポンプとは?熱をくみ上げるしくみ

ヒートポンプは、低温の側にある熱を、電力を使って高温の側へ運ぶ装置です。水は自然には低い所から高い所へ流れず、ポンプで動力を加えてくみ上げます。熱も自然には高温から低温へ流れるだけなので、逆向きに運ぶには電力が要ります(図1)。

水のくみ上げ 高い所の水 低い所の水 ポンプ 動力 熱のくみ上げ 高温側(室内) 低温側(外気) ヒート ポンプ 電力
図1 ポンプが水をくみ上げるように、ヒートポンプは熱をくみ上げる

熱を運ぶときに電力 WW も使われるので、高温側へ出る熱は、運んできた熱に電力の分が足されたものになります。暖房なら、外の空気から熱を運んで室内へ出すので、使った電力より多くの熱が得られます。電気ヒーターのように電力をそのまま熱にする方法とは、この点が違います。

家庭用エアコンの室外機は、外気の熱を集める役をしています(図2)。熱を吸うために、熱交換器の中の冷媒は外気より冷たくなります。空気中の水分が冷えた面で凍ると、冬には霜がつくことがあります。

霜のついた住宅の外壁沿いに置かれた室外機の写真。ファンの格子、側面の熱交換器のフィン、壁へ伸びる配管、コンクリートの基礎が写っている
  1. 霜 冷えた面に付く
  2. 熱交換器 外気の熱を集める
  3. ファン 空気を送る
  4. 冷媒配管 室内機へ向かう
図2 冬の住宅の室外機。外気の熱を集める(写真はイメージ)

冷凍サイクルで熱を運ぶ四つの機器

ヒートポンプの中では、熱を運ぶ流体である冷媒が、4つの機器を順に通って循環します(図3)。冷媒は、気体と液体を行き来しながら、蒸発するとき熱を吸い、凝縮するとき熱を出す性質を使って、熱を運びます。

凝縮器 熱を出して液になる 蒸発器 熱を吸って気体になる 膨張弁 圧力を下げる 圧縮機 高温高圧の気体 高圧の液体 低温低圧の液・気体 低温低圧の気体 暖房運転 冷媒が熱を運ぶ QH:室内へ QL:外気から W 電力
図3 冷凍サイクルの4機器と冷媒の状態(暖房運転)
  • 圧縮機:低温低圧の気体を圧縮して、高温高圧の気体にします。ここで電力 WW を使います。
  • 凝縮器:高温高圧の気体が、まわりへ熱 QHQ_H を出して凝縮し、高圧の液体になります。暖房では、これが室内側です。
  • 膨張弁:高圧の液体の圧力を下げます。圧力が下がると冷媒の温度も下がり、低温低圧の液体と気体が混じった状態になります。
  • 蒸発器:低温低圧の冷媒が、まわりから熱 QLQ_L を吸って蒸発し、気体になります。暖房では、これが室外側です。

冷媒の温度は、蒸発器では外気より低く、凝縮器では室温より高くなります。熱は高温から低温へしか流れないので、そうしないと熱が移らないからです。暖房のときのサイクルは電熱の計算でも見ました。ここでは冷媒の状態を追ってください。

冷房にするときは、四方弁で冷媒の流れる向きを切り替えます。すると室内側が蒸発器、室外側が凝縮器になり、室内の熱を吸って外へ出します。機械は同じで、熱を運ぶ向きだけが逆になります。

室外機と室内機をつなぐ冷媒の配管は、中を流れる冷媒の温度が高い管と低い管があるので、熱が出入りしないように断熱材で包みます(図4)。

室外機の側面から出た銅の管と、黒い断熱材を巻いて白いテープで留めた2本の配管が、壁の丸い貫通部へ伸びている接写の写真
  1. 銅管 冷媒が通る
  2. 断熱材 熱の出入りを防ぐ
  3. 壁の貫通部 配管が壁を通る
図4 室外機から壁へ伸びる配管。黒い断熱材で包んである(写真はイメージ)

成績係数 COP と暖房・冷房の関係

ヒートポンプの働きの良さは、成績係数(COP、Coefficient Of Performance)で表します。使った電力に対して、目的の熱がどれだけ得られたかの割合です。電熱の計算では、室内へ出す熱を Q1Q_1、外気から吸う熱を Q2Q_2 と書きました。この記事では、高温側へ出す熱を QHQ_H、低温側から吸う熱を QLQ_L と書きます(Q1=QHQ_1 = Q_H、Q2=QLQ_2 = Q_L にあたります)。

熱の収支を図5に示します。エネルギー保存則から、高温側へ出る熱は、低温側から吸った熱と電力の和です。

低温側 暖房:外気 冷房:室内 高温側 暖房:室内 冷房:外気 ヒート ポンプ QL QH 電力 W 冷房で使う熱 暖房で使う熱 QH = QL + W 暖房の COP = QH ÷ W 冷房の COP = QL ÷ W
図5 ヒートポンプの熱の収支(矢印の太さは熱量の大きさ)
QH=QL+WQ_H = Q_L + W

暖房の目的は高温側へ出す熱 QHQ_H、冷房の目的は低温側から吸う熱 QLQ_L です。成績係数は、目的の熱を電力 WW で割って求めます(添字の h は暖房、c は冷房です)。

COPh=QHWCOPc=QLW\begin{aligned} \mathrm{COP}_h &= \frac{Q_H}{W} \\ \mathrm{COP}_c &= \frac{Q_L}{W} \end{aligned}

QH=QL+WQ_H = Q_L + W の両辺を WW で割ると、2つの COP の関係が出ます。

QHW=QLW+1COPh=COPc+1\begin{aligned} \frac{Q_H}{W} &= \frac{Q_L}{W} + 1 \\ \mathrm{COP}_h &= \mathrm{COP}_c + 1 \end{aligned}

同じ運転状態(同じ QLQ_L と同じ WW)なら、暖房の COP は冷房の COP より 11 だけ大きくなります。暖房では、電力の分も熱として室内に出るためです。COP が 11 を超えても、外から運んだ熱 QLQ_L が加わっているので、エネルギー保存則には反しません。

解答と解説を見る

(1) 冷房の目的は低温側から熱を吸うことなので、QLQ_L を WW で割ります。

COPc=QLW=8.02.0=4.0\begin{aligned} \mathrm{COP}_c &= \frac{Q_L}{W} \\ &= \frac{8.0}{2.0} = 4.0 \end{aligned}

(2) 熱の収支から、高温側へ出す熱は次のとおりです。

QH=QL+W=8.0+2.0=10 [kW]\begin{aligned} Q_H &= Q_L + W \\ &= 8.0 + 2.0 \\ &= 10\ \mathrm{[kW]} \end{aligned}

暖房の目的は QHQ_H なので、次のようになります。

COPh=QHW=102.0=5.0\begin{aligned} \mathrm{COP}_h &= \frac{Q_H}{W} \\ &= \frac{10}{2.0} = 5.0 \end{aligned}

これは COPc+1=5.0\mathrm{COP}_c + 1 = 5.0 と一致します。

答え:(1) 4.04.0、(2) QH=10 kWQ_H = 10\ \mathrm{kW}、COPh=5.0\mathrm{COP}_h = 5.0

理想の COP は温度だけで決まる

熱機関の理想がカルノーサイクルであるように、ヒートポンプの理想は、カルノーサイクルを逆向きに回す逆カルノーサイクルです。損失がまったくない理想の場合、COP は高温側と低温側の絶対温度 THT_H、TLT_L だけで決まります。

可逆なサイクルでは QH/TH=QL/TLQ_H/T_H = Q_L/T_L が成り立ちます。ここから QL=QH⋅TL/THQ_L = Q_H \cdot T_L/T_H と書けるので、電力 WW は次のようになります。

W=QH−QL=QH(1−TLTH)=QH⋅TH−TLTH\begin{aligned} W &= Q_H - Q_L \\ &= Q_H\left(1 - \frac{T_L}{T_H}\right) \\ &= Q_H \cdot \frac{T_H - T_L}{T_H} \end{aligned}

これを COPh=QH/W\mathrm{COP}_h = Q_H/W と COPc=QL/W\mathrm{COP}_c = Q_L/W に入れると、QHQ_H が消えて、温度だけの式になります。

COPh=THTH−TLCOPc=TLTH−TL\begin{aligned} \mathrm{COP}_h &= \frac{T_H}{T_H - T_L} \\ \mathrm{COP}_c &= \frac{T_L}{T_H - T_L} \end{aligned}

2つの式の差は THTH−TL−TLTH−TL=1\dfrac{T_H}{T_H - T_L} - \dfrac{T_L}{T_H - T_L} = 1 で、理想の場合も COPh=COPc+1\mathrm{COP}_h = \mathrm{COP}_c + 1 が成り立ちます。

温度は必ず絶対温度 T [K]T\ \mathrm{[K]} に直して代入します。セルシウス温度 t [∘C]t\ [{}^{\circ}\mathrm{C}] からは、T=t+273T = t + 273 です。分母の TH−TLT_H - T_L は高温側と低温側の温度差で、小さいほど COP は大きくなります(図6)。

10 20 30 0 10 20 30 40 50 20 19 10 9 暖房 COP 冷房 COP 同じ温度差では いつも 1 の差 COP 温度差 TH − TL [K] TH = 300 K で計算した理想の COP
図6 温度差と理想の COP(温度差が小さいほど大きい)

図6は、TH=300 KT_H = 300\ \mathrm{K} に固定して温度差を変えた計算です。温度差が 15 K15\ \mathrm{K} なら暖房の COP は 2020、冷房は 1919 で、30 K30\ \mathrm{K} なら 1010 と 99 に下がります。どの温度差でも、暖房は冷房より 11 だけ大きくなります。

実際のヒートポンプの COP は、圧縮機などの損失があるため、理想の値より小さくなります。理想の COP は、実際の機器が超えられない上限を表します。

解答と解説を見る

(1) 暖房では、室内が高温側、外気が低温側です。絶対温度に直します。

TH=20+273=293 [K]TL=2+273=275 [K]\begin{aligned} T_H &= 20 + 273 = 293\ \mathrm{[K]} \\ T_L &= 2 + 273 = 275\ \mathrm{[K]} \end{aligned}COPh=THTH−TL=293293−275=29318≒16.3\begin{aligned} \mathrm{COP}_h &= \frac{T_H}{T_H - T_L} \\ &= \frac{293}{293 - 275} \\ &= \frac{293}{18} \fallingdotseq 16.3 \end{aligned}

(2) 冷房では、室内が低温側、外気が高温側になり、THT_H と TLT_L の役が入れ替わります。

TL=27+273=300 [K]TH=35+273=308 [K]\begin{aligned} T_L &= 27 + 273 = 300\ \mathrm{[K]} \\ T_H &= 35 + 273 = 308\ \mathrm{[K]} \end{aligned}COPc=TLTH−TL=300308−300=3008=37.5\begin{aligned} \mathrm{COP}_c &= \frac{T_L}{T_H - T_L} \\ &= \frac{300}{308 - 300} \\ &= \frac{300}{8} = 37.5 \end{aligned}

答え:(1) 約 16.316.3、(2) 37.537.5

暖房能力と消費電力量の計算

暖房能力は、高温側へ出す熱の大きさ QH [kW]Q_H\ \mathrm{[kW]} で表します。COP が分かれば、消費電力と、外気から吸う熱が求められます。

W=QHCOPhQL=QH−W\begin{aligned} W &= \frac{Q_H}{\mathrm{COP}_h} \\ Q_L &= Q_H - W \end{aligned}

熱量 [kJ]\mathrm{[kJ]} と電力量 [kWh]\mathrm{[kWh]} をつなぐときは、1 kWh=3600 kJ1\ \mathrm{kWh} = 3600\ \mathrm{kJ} で換算します。電気ヒーターは電力がそのまま熱になるので COP=1\mathrm{COP} = 1 にあたり、同じ熱を出すのに、ヒートポンプより多くの電力量が必要です。

比べる点電気ヒーターヒートポンプ
熱の出どころ電力を熱に変える外の熱を運ぶ
COP11 より大きい
同じ熱の電力量大きい小さい
解答と解説を見る

(1) 消費電力は W=QH/COPhW = Q_H/\mathrm{COP}_h から求めます。

W=9.04.5=2.0 [kW]\begin{aligned} W &= \frac{9.0}{4.5} \\ &= 2.0\ \mathrm{[kW]} \end{aligned}

外気から吸う熱は、熱の収支から次のとおりです。

QL=QH−W=9.0−2.0=7.0 [kW]\begin{aligned} Q_L &= Q_H - W \\ &= 9.0 - 2.0 \\ &= 7.0\ \mathrm{[kW]} \end{aligned}

(2) 消費電力量は、消費電力に時間を掛けます。

2.0×10=20 [kWh]2.0 \times 10 = 20\ \mathrm{[kWh]}

同じ熱を電気ヒーター(COP=1\mathrm{COP} = 1)で出すと、9.0×10=90 kWh9.0 \times 10 = 90\ \mathrm{kWh} が必要です。

答え:(1) W=2.0 kWW = 2.0\ \mathrm{kW}、QL=7.0 kWQ_L = 7.0\ \mathrm{kW}、(2) 20 kWh20\ \mathrm{kWh}

ヒートポンプ給湯機のしくみ

ヒートポンプ給湯機は、同じしくみで空気の熱を使い、水を温めます。ヒートポンプのユニットが空気の熱を冷媒に集め、圧縮して高温にし、タンクの水を温めて湯にします(図7)。電気ヒーターで直接沸かす方式より、少ない電力量で同じ湯を沸かせます。

住宅の脇に、銀色の縦長のタンクと小型のユニットが並び、配管でつながっている写真
  1. タンク 湯をためる
  2. 配管 タンクとユニットをつなぐ
  3. 小型ユニット 空気の熱を集める
図7 縦長のタンクと小型のユニットが配管でつながる給湯機の例(写真はイメージ)

水を温めるのに必要な熱量は、電熱の計算で学んだ Q=mcΔTQ = mc\Delta T で求めます(mm は水の質量、cc は比熱、ΔT\Delta T は温度の上がり幅)。そのうえで COP を使うと、消費電力量が求められます。

解答と解説を見る

水を温めるのに必要な熱量を、Q=mcΔTQ = mc\Delta T で求めます。

Q=mcΔT=300×4.2×(55−15)=50400 [kJ]\begin{aligned} Q &= mc\Delta T \\ &= 300 \times 4.2 \times (55 - 15) \\ &= 50400\ \mathrm{[kJ]} \end{aligned}

1 kWh=3600 kJ1\ \mathrm{kWh} = 3600\ \mathrm{kJ} なので、kWh\mathrm{kWh} に直します。

504003600=14 [kWh]\frac{50400}{3600} = 14\ \mathrm{[kWh]}

ヒートポンプの消費電力量は、この熱量を COP で割ります。

W=143.0≒4.67 [kWh]\begin{aligned} W &= \frac{14}{3.0} \\ &\fallingdotseq 4.67\ \mathrm{[kWh]} \end{aligned}

電気ヒーターは COP=1\mathrm{COP} = 1 にあたるので、必要な電力量は熱量と同じ 14 kWh14\ \mathrm{kWh} です。

答え:ヒートポンプ約 4.67 kWh4.67\ \mathrm{kWh}、電気ヒーター 14 kWh14\ \mathrm{kWh}

蓄熱とヒートポンプ

ヒートポンプは、電力の使用が少ない夜間に動かして、熱をためておく使い方もあります。夜間の電力で氷や温水をつくって蓄熱槽にためておき、昼間の冷暖房や給湯に使います。昼間の電力の使用が減るので、1日の電力の山と谷の差が小さくなります。これを負荷平準化といいます。電力の余る時間帯に動かして蓄える点は、揚水発電と同じ考え方です。

大規模な設備では、熱を出し入れするファンつきの機器が、建物の外壁や屋上に並びます(図8)。

灰色の大きな窓のない建物の壁と屋上に、ファンのついた機器が並び、右側にシャッターのついた搬入口がある写真
図8 大きな建物の外壁と屋上に、ファンつきの機器が並ぶ(写真はイメージ)

ランキンサイクルと向きが逆のサイクル

ランキンサイクルは、ボイラで高温の熱を受け取り、タービンで仕事を取り出し、復水器で低温側へ熱を捨てます。ヒートポンプは、これと向きが逆で、仕事(電力)を加えて、低温側から高温側へ熱を運びます。

比べる点ヒートポンプランキン
目的熱を運ぶ仕事を得る
熱の向き低温から高温高温から低温
電力使う発電する
流体冷媒水と蒸気

ランキンサイクルはランキンサイクルとは、熱機関としての効率は火力発電の熱効率で扱います。

よくある質問

暖房と冷房で、COP の式はなぜ違うのですか。

目的の熱が違うからです。暖房は高温側へ出す熱 QHQ_H、冷房は低温側から吸う熱 QLQ_L が目的なので、どちらも電力 WW で割りますが、分子が変わります。QH=QL+WQ_H = Q_L + W から、COPh=COPc+1\mathrm{COP}_h = \mathrm{COP}_c + 1 の関係が出ます。

理想の COP の式に、℃ のまま代入してはいけないのはなぜですか。

式が、熱量の比と絶対温度の比が等しいこと(QH/QL=TH/TLQ_H/Q_L = T_H/T_L)から導かれているからです。0 ∘C0\ {}^{\circ}\mathrm{C} は絶対零度ではなく、℃ のままでは温度の比が成り立ちません。T=t+273T = t + 273 で K\mathrm{K} に直してから使います。

外気温が低いと、暖房の COP が下がるのはなぜですか。

低温側の温度 TLT_L が下がり、温度差 TH−TLT_H - T_L が大きくなるためです。理想の式 TH/(TH−TL)T_H/(T_H - T_L) では、分母が増えて値が小さくなります。実際の機器でも、外気が冷たいほど温度差をくみ上げる負担が増え、COP は下がる傾向があります。

ヒートポンプは、なぜ冷房と暖房の両方に使えますか。

四方弁で冷媒の流れる向きを切り替えられるからです。向きを変えると、室内側が蒸発器になるか凝縮器になるかが入れ替わり、熱を運ぶ向きが逆になります。

思い出してみよう

答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。

ヒートポンプは、電力を使って何をしますか?

低温側の熱を、高温側へ運びます。自然には流れない向きなので、電力 WW が要ります。

冷凍サイクルの4機器を、冷媒が通る順に言うと?

圧縮機 → 凝縮器 → 膨張弁 → 蒸発器です。

暖房と冷房の COP の式と、2つの関係は?

COPh=QH/W\mathrm{COP}_h = Q_H/W、COPc=QL/W\mathrm{COP}_c = Q_L/W で、COPh=COPc+1\mathrm{COP}_h = \mathrm{COP}_c + 1 です。

理想の暖房の COP を求める式は? 温度は何で表しますか?

COPh=TH/(TH−TL)\mathrm{COP}_h = T_H/(T_H - T_L) で、温度は絶対温度 [K]\mathrm{[K]} です。

外気温が下がると、暖房の COP はどうなりますか?

温度差が大きくなるので、小さくなります。

蓄熱は、何のために行いますか?

夜間の電力で熱をためて昼に使い、昼間の電力の使用を減らす(負荷平準化)ためです。

まとめ

  • ヒートポンプは、電力 WW を使って、低温側の熱を高温側へ運ぶ。冷媒が圧縮機・凝縮器・膨張弁・蒸発器を回る
  • 熱の収支は QH=QL+WQ_H = Q_L + W。暖房 COPh=QH/W\mathrm{COP}_h = Q_H/W、冷房 COPc=QL/W\mathrm{COP}_c = Q_L/W で、COPh=COPc+1\mathrm{COP}_h = \mathrm{COP}_c + 1
  • 理想の COP は COPh=TH/(TH−TL)\mathrm{COP}_h = T_H/(T_H - T_L)、COPc=TL/(TH−TL)\mathrm{COP}_c = T_L/(T_H - T_L)。温度は絶対温度 [K]\mathrm{[K]}、温度差が小さいほど大きい
  • 暖房能力 QHQ_H と COP から、消費電力は W=QH/COPhW = Q_H/\mathrm{COP}_h。電力量は kWh\mathrm{kWh}、熱量は kJ\mathrm{kJ}(1 kWh=3600 kJ1\ \mathrm{kWh} = 3600\ \mathrm{kJ})をそろえて計算する
  • 夜間の電力で熱をためて昼に使うのが蓄熱で、負荷平準化につながる

COP の計算の土台になる熱量と kWh\mathrm{kWh} の換算は、電熱の計算で復習できます。次は、光を数で表す光の量と単位へ進みましょう。

図解でわかる 電験三種 機械 1 直流機 の表紙電験三種 機械を図解で通して読む図解でわかる 電験三種 機械 / 第1巻直流機磁界と電磁力から発電機・電動機の特性、速度制御・効率まで機械の単元を、図と式で1冊ずつ通して読む Kindle 本のシリーズです。例題と練習問題まで入っています。Kindle Unlimited の対象なので、会員は追加料金なしで読めます。Amazon で見る

読んだら、すぐ解いて覚える

「ヒートポンプ」の問題を
アプリで解いてみよう

読んだ直後に問題で思い出すと、記憶に残りやすくなります。電験三種の問題集アプリ「デンケンラボ」なら、機械の問題を図解つきの解説で確かめられます。

アプリでできることを見る
デンケンラボの問題画面
動画でも見て覚えるYouTube のデンケンラボで、電験三種の解説動画を配信しています

この記事をシェアする

デンケンラボ編集部

電験三種の合格プランをつくる問題集アプリ「デンケンラボ」の編集部です。試験センターの出題範囲に沿って、計算の考え方と覚えどころを図と式で解説しています。

編集方針アプリについて見る