Kindle で読む

理論電気理論 / 過渡現象15分で読めます

過渡現象とは|RC回路・RL回路の時定数と電流の式をグラフで図解

電験三種の過渡現象を図解で整理します。スイッチを入れた直後と十分後の見方、RC回路とRL回路の電流・電圧の式、時定数 τ の意味、グラフの読み取り方、エネルギーの計算までを、例題つきで順に確認できます。

シェア

暗い背景で、カメラの上のストロボが強い白い光を放っている写真
この記事の目次
  1. 過渡現象とは
  2. スイッチを入れた瞬間と十分時間がたった後
  3. RC 回路の過渡現象
  4. 充電
  5. 放電
  6. 充電のエネルギー
  7. RL 回路の過渡現象
  8. 時定数の求め方とグラフの読み取り
  9. 抵抗が複数あるときの時定数
  10. よくある質問
  11. 時定数とは? 何を表している?
  12. 直後のコンデンサが導線と同じなのはなぜ?
  13. 「十分時間がたった後」とは、どのくらい?
  14. RC 回路と RL 回路で、R と時定数の関係が逆なのはなぜ?
  15. まとめ
図解でわかる 電験三種 理論 1 直列回路 の表紙理論を図解で読む図解でわかる 電験三種 理論 1
直列回路
Kindle Unlimited 対象Kindle で読む

コンデンサの合成容量ではコンデンサを、電磁誘導ではコイルを学びました。この 2 つの部品を含む回路は、スイッチを入れても、電流や電圧がすぐには一定になりません。

スイッチを入れた瞬間は、コンデンサを導線、コイルを切れた線とみなします。十分に時間がたつと、コンデンサは切れた線、コイルは導線になります。その間の変化の速さを決めるのが時定数 τ\tau で、時間 τ\tau で変化の約 63.2% が進みます。RC 回路では τ=RC\tau = RC、RL 回路では τ=L/R\tau = L/R です。この記事では、直後と十分後の見方、2 つの回路の式、グラフの読み取り、エネルギーまでを、例題で確認します。

過渡現象の全体像
  • 過渡現象とは
    • スイッチ操作のあと、新しい定常状態に落ち着くまでの変化。コンデンサの電圧とコイルの電流は急に変わらない
  • スイッチを入れた瞬間と十分時間がたった後
    • コンデンサは直後が導線、十分後が切れた線。コイルはその逆
  • RC 回路の過渡現象
    • 時定数 τ=RC。充電の電圧は E×(1-e の-t/τ 乗)で上がる
  • RL 回路の過渡現象
    • 時定数 τ=L/R。電流は同じ形で上がり、コイルの電圧は下がる
  • 時定数の求め方とグラフの読み取り
    • 原点の接線が最終値と交わる点が τ。3τ で約 95%、5τ でほぼ終了

過渡現象とは

回路のスイッチを入れたり切ったりすると、電流や電圧は、新しい一定の値に落ち着くまで変化を続けます。この変化している間の状態を過渡状態、一定になったあとの状態を定常状態といい、過渡状態で起こる現象を過渡現象といいます(図2)。

白い壁の角形スイッチを、指で押そうとしている手元の写真
図1 スイッチを入れる操作が、過渡現象の始まり(写真はイメージ)

抵抗だけの回路では、スイッチを入れた瞬間に電流が E/RE/R になり、過渡状態はありません。過渡状態が生じるのは、回路にコイルやコンデンサがあるときです。この 2 つはエネルギーをためる部品で、ためているエネルギーは一瞬では変えられないからです。

時間 t 電流 i 過渡状態 (変化している間) 定常状態 (一定) スイッチを入れる
図2 スイッチを入れてから電流が一定になるまでが過渡状態、一定になったあとが定常状態

コンデンサに蓄えられるエネルギーは 12CvC2\frac{1}{2}Cv_C^2、コイルに蓄えられるエネルギーは 12Li2\frac{1}{2}Li^2 です。エネルギーが急に変わらないので、コンデンサの電圧 vCv_C とコイルの電流 ii も、スイッチを入れた瞬間の前後で急には変わりません。

この記事では、抵抗 RR とコンデンサ CC を直列にした RC 回路と、抵抗 RR とコイル LL を直列にした RL 回路を、直流電源 EE で扱います。電源の内部抵抗やコイルの巻線抵抗は 0 とし、スイッチを入れる前は、コンデンサは充電されておらず、コイルに電流は流れていないものとします。

スイッチを入れた瞬間と十分時間がたった後

過渡現象の問題は、スイッチを入れた直後と、十分に時間がたった後の 2 つの状態を押さえると、式を使わずに解ける場合があります。部品を次のように置き換えます(図3)。

スイッチを入れた直後 十分時間がたった後 C = 導線と同じ C = 切れた線と同じ L = 切れた線と同じ L = 導線と同じ
図3 コンデンサとコイルは、直後と十分後で、導線と切れた線が入れ替わる

コンデンサは、未充電なら直後の電圧が vC=0v_C = 0 で、電圧が 0 の部品は導線と同じです。充電が終わった十分後は電流が流れなくなる(i=0i = 0)ので、切れた線と同じです。

コイルは、直前に電流が 0 なら直後も i=0i = 0 で、電流が 0 の部品は切れた線と同じです。十分後は電流が一定になって磁束が変化せず、誘導起電力が 0 になる(vL=0v_L = 0)ので、導線と同じです。

これを使うと、直後と十分後の電流と電圧が、次の表のとおり求められます。

量直後(t=0t = 0)十分後(t→∞t \to \infty)
RC 回路の電流 iiE/RE/R00
コンデンサの電圧 vCv_C00EE
RL 回路の電流 ii00E/RE/R
コイルの電圧 vLv_LEE00

たとえば RC 回路の直後は、コンデンサが導線と同じなので、電源の電圧 EE がすべて抵抗 RR に加わり、i=E/Ri = E/R です。十分後は、コンデンサが切れた線と同じなので、電流が 0 になり、抵抗の電圧も 0 です。電源の電圧 EE がすべてコンデンサに加わります。

実物のコンデンサは、基板の上に円筒形のものが並んでいることがあります(図4)。

基板の上に、青い円筒形のコンデンサが5本並んでいる写真。上面は銀色で十字の溝が入っている
  1. 本体 中身は見えない
  2. 上面 十字の溝
  3. 足 基板にはんだ付け
  4. 基板 部品の土台
図4 基板に取り付けた電解コンデンサ(写真はイメージ)

RC 回路の過渡現象

抵抗 RR とコンデンサ CC を直列につないだ回路です(図5)。スイッチを入れると、電源からコンデンサに電荷が流れ込み、コンデンサが充電されます。

充電 電源をつなぐ E S R C + - vC i 放電 充電したコンデンサを R につなぐ S R C + - vC i
図5 RC 回路。上は電源をつないで充電する回路、下は充電したコンデンサを抵抗につないで放電する回路

充電

充電の途中では、電源の電圧 EE が、抵抗の電圧 RiRi とコンデンサの電圧 vCv_C に分かれます(E=Ri+vCE = Ri + v_C)。直後は vC=0v_C = 0 なので、電流は最大の E/RE/R です。充電が進んで vCv_C が上がるほど、RiRi は小さくなり、電流は減ります。この関係を解くと、次の式が得られます。

vC=E(1−e−t/τ)i=ER e−t/ττ=RC\begin{aligned} v_C &= E\left(1 - e^{-t/\tau}\right) \\ i &= \frac{E}{R}\,e^{-t/\tau} \\ \tau &= RC \end{aligned}

ee は自然対数の底(約 2.718)です。τ\tau を時定数といい、単位は [s]\mathrm{[s]} です。RR を [Ω]\mathrm{[\Omega]}、CC を [F]\mathrm{[F]} で入れると、RCRC が秒になります。

電圧は 0 から EE へ上がり、電流は E/RE/R から 0 へ下がります(図6)。t=τt = \tau では、vCv_C は EE の約 63.2%、ii は初めの約 36.8% です。足すと 100% になるのは、E=Ri+vCE = Ri + v_C だからです。

充電 時間 t 1τ 2τ 3τ 4τ 5τ 100% 0 63.2% 36.8% vC i 放電 時間 t 1τ 2τ 3τ 4τ 5τ 100% 0 36.8% vC も i の大きさも 同じ形で減る
図6 RC 回路のグラフ。充電では電圧が上がり電流が下がり、放電では電圧と電流が同じ形で下がる

放電

充電したコンデンサを、電源をはずして抵抗につなぐと、ためた電荷が抵抗を通って流れ出します(図5 の下)。電圧も電流も、同じ形で減っていきます。

vC=E e−t/τi=ER e−t/τ\begin{aligned} v_C &= E\,e^{-t/\tau} \\ i &= \frac{E}{R}\,e^{-t/\tau} \end{aligned}

EE は、放電を始めるときのコンデンサの電圧です。時定数は充電と同じ τ=RC\tau = RC で、電流の向きは充電のときと逆になります。

充電のエネルギー

充電が終わるまでに、電源は電荷 Q=CEQ = CE を送り出します。電源が供給するエネルギーは、QE=CE2QE = CE^2 です。そのうちコンデンサに蓄えられるのは半分の 12CE2\frac{1}{2}CE^2 で、残りの半分は抵抗で熱になります(図7)。

電源が供給 CE2 充電中 C に蓄えられる ½CE2 R で熱になる ½CE2 供給された量の半分だけが C に残る
図7 充電では、電源が供給したエネルギーの半分だけがコンデンサに蓄えられる

この割合は、抵抗 RR の値によりません。RR が大きくても小さくても、変わるのは充電にかかる時間だけです。

解答と解説を見る

(1) 単位を [Ω]\mathrm{[\Omega]}、[F]\mathrm{[F]} にそろえます。

τ=RC=2×103×100×10−6=0.2 [s]\begin{aligned} \tau &= RC \\ &= 2 \times 10^{3} \times 100 \times 10^{-6} \\ &= 0.2\,\mathrm{[s]} \end{aligned}

(2) 直後は vC=0v_C = 0 で、コンデンサは導線と同じです。

i=ER=1002×103=0.05 [A]=50 [mA]\begin{aligned} i &= \frac{E}{R} \\ &= \frac{100}{2 \times 10^{3}} \\ &= 0.05\,\mathrm{[A]} \\ &= 50\,\mathrm{[mA]} \end{aligned}

(3) t=0.4 [s]t = 0.4\,\mathrm{[s]} は 2τ2\tau です。

vC=E(1−e−2)≒100×(1−0.135)≒86.5 [V]\begin{aligned} v_C &= E\left(1 - e^{-2}\right) \\ &\fallingdotseq 100 \times (1 - 0.135) \\ &\fallingdotseq 86.5\,\mathrm{[V]} \end{aligned}
解答と解説を見る

(1)

τ=RC=10×103×200×10−6=2 [s]\begin{aligned} \tau &= RC \\ &= 10 \times 10^{3} \times 200 \times 10^{-6} \\ &= 2\,\mathrm{[s]} \end{aligned}

(2) 十分後のコンデンサの電圧は EE です。

WC=12CE2=12×200×10−6×502=0.25 [J]\begin{aligned} W_C &= \frac{1}{2}CE^2 \\ &= \frac{1}{2} \times 200 \times 10^{-6} \times 50^2 \\ &= 0.25\,\mathrm{[J]} \end{aligned}

(3) 電源が送り出した電荷は Q=CEQ = CE です。

WE=QE=CE2=200×10−6×502=0.5 [J]\begin{aligned} W_E &= QE = CE^2 \\ &= 200 \times 10^{-6} \times 50^2 \\ &= 0.5\,\mathrm{[J]} \end{aligned}

(4) 供給したエネルギーから、蓄えられた分を引きます。

WR=0.5−0.25=0.25 [J]\begin{aligned} W_R &= 0.5 - 0.25 \\ &= 0.25\,\mathrm{[J]} \end{aligned}

抵抗の値を変えても、WCW_C、WEW_E、WRW_R は変わりません。

RL 回路の過渡現象

抵抗 RR とコイル LL を直列につないだ回路です(図8)。スイッチを入れると、コイルは電流の増加をさまたげる向きに起電力を生じるので、電流はゆるやかに増えます。

通電 電源をつなぐ E S R L i 電源をはずす L と R だけの閉回路 S R L i
図8 RL 回路。上は電源をつないだ回路、下は電源をはずして L と R だけの閉回路にした回路

電源の電圧 EE は、抵抗の電圧 RiRi とコイルの電圧 vLv_L に分かれます(E=Ri+vLE = Ri + v_L)。直後は i=0i = 0 なので Ri=0Ri = 0 で、電源の電圧がすべてコイルに加わります(vL=Ev_L = E)。電流が増えるほど RiRi が大きくなり、vLv_L は小さくなります。この関係を解くと、次の式が得られます。

i=ER(1−e−t/τ)vL=E e−t/ττ=LR\begin{aligned} i &= \frac{E}{R}\left(1 - e^{-t/\tau}\right) \\ v_L &= E\,e^{-t/\tau} \\ \tau &= \frac{L}{R} \end{aligned}

LL を [H]\mathrm{[H]}、RR を [Ω]\mathrm{[\Omega]} で入れると、L/RL/R が秒になります。電流は 0 から最終値 E/RE/R へ上がり、コイルの電圧は EE から 0 へ下がります(図9)。形は RC 回路と同じで、t=τt = \tau では、ii は最終値の約 63.2%、vLv_L は EE の約 36.8% です。

時間 t 1τ 2τ 3τ 4τ 5τ 100% 0 63.2% 36.8% i vL
図9 RL 回路のグラフ。電流は最終値へ上がり、コイルの電圧は電源電圧から下がる

電流が流れているコイルは、12Li2\frac{1}{2}Li^2 のエネルギーを蓄えています。十分後の電流 I=E/RI = E/R では、12LI2\frac{1}{2}LI^2 です。

コイルは、銅線を輪状の芯に巻いたものなど、さまざまな形で回路に取り付けられます(図10)。

緑色の基板に、灰色の輪に銅色の線をぎっしり巻いたコイルが立っている写真
  1. 銅線 輪に巻いた導線
  2. 芯 灰色の輪
  3. 足 基板にはんだ付け
図10 基板に取り付けたコイル(写真はイメージ)

電源をはずして、コイルと抵抗だけの閉回路にした場合(図8 の下)、コイルの電流は急には 0 になりません。初めの電流を I0I_0 とすると、i=I0 e−t/τi = I_0\,e^{-t/\tau} で減り、蓄えたエネルギー 12LI02\frac{1}{2}LI_0^2 は、すべて抵抗で熱になります。

流れていた電流を急に切ると、コイルは電流を保とうとして、大きな電圧を生じます。送配電の設備のように大きな電流を扱う場所では、遮断のときに生じる電圧(開閉サージ)が問題になることがあります(図11)。

青空の下、碍子や鉄の支柱が並ぶ屋外の開閉所と、右に送電鉄塔が見える写真
図11 屋外の開閉所(写真はイメージ)

RC 回路と RL 回路は、次のように対応します。

比べるものRC 回路RL 回路
時定数 τ\tauRCRCL/RL/R
0 から上がる量vCv_Cii
下がる量iivLv_L
急に変わらない量vCv_Cii
解答と解説を見る

(1)

τ=LR=0.520=0.025 [s]=25 [ms]\begin{aligned} \tau &= \frac{L}{R} \\ &= \frac{0.5}{20} \\ &= 0.025\,\mathrm{[s]} \\ &= 25\,\mathrm{[ms]} \end{aligned}

(2) 十分後はコイルが導線と同じです。

I=ER=10020=5 [A]\begin{aligned} I &= \frac{E}{R} \\ &= \frac{100}{20} \\ &= 5\,\mathrm{[A]} \end{aligned}

(3) t=τt = \tau では、e−1≒0.368e^{-1} \fallingdotseq 0.368 です。

i=5(1−e−1)≒5×0.632≒3.16 [A]vL=E e−1≒100×0.368≒36.8 [V]\begin{aligned} i &= 5\left(1 - e^{-1}\right) \\ &\fallingdotseq 5 \times 0.632 \\ &\fallingdotseq 3.16\,\mathrm{[A]} \\ v_L &= E\,e^{-1} \\ &\fallingdotseq 100 \times 0.368 \\ &\fallingdotseq 36.8\,\mathrm{[V]} \end{aligned}

確かめると、Ri+vL=20×3.16+36.8=100 [V]Ri + v_L = 20 \times 3.16 + 36.8 = 100\,\mathrm{[V]} で、EE に一致します。

(4)

WL=12LI2=12×0.5×52=6.25 [J]\begin{aligned} W_L &= \frac{1}{2}LI^2 \\ &= \frac{1}{2} \times 0.5 \times 5^2 \\ &= 6.25\,\mathrm{[J]} \end{aligned}

時定数の求め方とグラフの読み取り

時定数 τ\tau は、変化の速さを表す時間です。τ\tau が大きいほど変化はゆっくりで、小さいほど早く落ち着きます。RC 回路では RR か CC が大きいほど、RL 回路では LL が大きいほど、または RR が小さいほど、τ\tau は大きくなります。

経過時間と、最終値に近づく割合は次のとおりです。上がる量は最終値に対する割合、下がる量は初めの値に対する割合です。

経過時間上がる量下がる量
1τ1\tau63.2%36.8%
2τ2\tau86.5%13.5%
3τ3\tau95.0%5.0%
4τ4\tau98.2%1.8%
5τ5\tau99.3%0.7%

5τ5\tau たつと、変化の 99% 以上が済むので、実用上は定常状態とみなせます。

曲線から τ\tau を読むには、t=0t = 0 での接線を使います(図12)。接線は、上がる量では最終値の線と、下がる量では横軸と、t=τt = \tau で交わります。変化の勢いが最初のまま続けば、τ\tau で終わる、という意味です。

τ 63.2% 最終値 接線 上昇する量 τ 36.8% 接線 下降する量
図12 原点の接線が最終値の線と交わる位置が、時定数 τ に当たる

充電中の電圧の変化は、オシロスコープで曲線として観察できます(図13)。

黒いオシロスコープの暗い画面に、緑色の曲線が左下から立ち上がって水平に近づく様子が映っている写真
  1. 曲線 電圧の変化
  2. 方眼 目盛りの線
  3. つまみ 画面の調整
  4. 端子 測定する線をつなぐ
図13 オシロスコープで見る充電の曲線(写真はイメージ)

抵抗が複数あるときの時定数

抵抗が複数あるときは、コンデンサ(コイル)から見た抵抗 R0R_0 を求めて、τ=CR0\tau = CR_0(RL 回路では τ=L/R0\tau = L/R_0)とします。R0R_0 は、電源を短絡し、コンデンサ(コイル)を取りはずした端子から見た合成抵抗です。テブナンの定理で求める内部抵抗と同じ考え方です。

十分後のコンデンサの電圧は、テブナンの定理の開放電圧になります。直後と十分後の置き換えと、R0R_0 の 2 つがあれば、複数の抵抗がある回路も解けます(図14)。

元の回路 24 V S R1 = 6 kΩ R2 = 12 kΩ C 100 μF 電源を短絡して C から見ると R1 R2 C R1 と R2 は並列 = 4 kΩ
図14 抵抗が複数ある RC 回路。コンデンサから見ると、電源を短絡して R1 と R2 が並列になる
解答と解説を見る

(1) 直後は、コンデンサが導線と同じです。R2R_2 は短絡されるので、電流は R1R_1 だけを通ります。

i=246×103=4 [mA]\begin{aligned} i &= \frac{24}{6 \times 10^{3}} \\ &= 4\,\mathrm{[mA]} \end{aligned}

(2) 十分後は、コンデンサが切れた線と同じです。R1R_1 と R2R_2 の直列に電流が流れます。

i=2418×103≒1.33 [mA]\begin{aligned} i &= \frac{24}{18 \times 10^{3}} \\ &\fallingdotseq 1.33\,\mathrm{[mA]} \end{aligned}

コンデンサの電圧は、R2R_2 の電圧に等しくなります。

vC=R2i=12×103×43×10−3=16 [V]\begin{aligned} v_C &= R_2 i \\ &= 12 \times 10^{3} \times \frac{4}{3} \times 10^{-3} \\ &= 16\,\mathrm{[V]} \end{aligned}

(3) コンデンサから見ると、電源を短絡して R1R_1 と R2R_2 が並列です。

R0=6×126+12=4 [kΩ]\begin{aligned} R_0 &= \frac{6 \times 12}{6 + 12} \\ &= 4\,\mathrm{[k\Omega]} \end{aligned}τ=CR0=100×10−6×4×103=0.4 [s]\begin{aligned} \tau &= CR_0 \\ &= 100 \times 10^{-6} \times 4 \times 10^{3} \\ &= 0.4\,\mathrm{[s]} \end{aligned}

(4) 電圧は、00 から最終値 16 [V]16\,\mathrm{[V]} へ上がります。

vC=16(1−e−1)≒16×0.632≒10.1 [V]\begin{aligned} v_C &= 16\left(1 - e^{-1}\right) \\ &\fallingdotseq 16 \times 0.632 \\ &\fallingdotseq 10.1\,\mathrm{[V]} \end{aligned}

よくある質問

時定数とは? 何を表している?

変化の速さを表す時間で、単位は [s]\mathrm{[s]} です。時間 τ\tau がたつと、最終値までの変化の約 63.2% が進みます。RC 回路では τ=RC\tau = RC、RL 回路では τ=L/R\tau = L/R です。同じ τ\tau でも、上がる量は最終値の 63.2% に、下がる量は初めの値の 36.8% になります。

直後のコンデンサが導線と同じなのはなぜ?

コンデンサの電圧 vCv_C は急に変わらないので、未充電なら直後も vC=0v_C = 0 のままだからです。電圧が 0 の部品は、導線と同じ働きをします。そのため、直後の RC 回路には、抵抗だけの回路と同じ i=E/Ri = E/R の電流が流れます。

「十分時間がたった後」とは、どのくらい?

式の上では t→∞t \to \infty ですが、実用上は τ\tau の 5 倍ほどです。5τ5\tau で変化の約 99.3% が済みます。問題では「十分に時間がたった」と書かれていたら、直流ではコンデンサは切れた線、コイルは導線として解きます。

RC 回路と RL 回路で、R と時定数の関係が逆なのはなぜ?

RC 回路は、RR が大きいと電流が絞られ、コンデンサへの充電に時間がかかるので、τ=RC\tau = RC は RR に比例します。RL 回路は、RR が大きいと最終の電流 E/RE/R が小さくなり、コイルに蓄える電流が少なくてすむので、早く落ち着きます。そのため τ=L/R\tau = L/R は RR に反比例します。

思い出してみよう

答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。

過渡状態と定常状態とは?

変化している間の状態が過渡状態、一定になったあとの状態が定常状態です。急に変わらない量は、コンデンサの電圧 vCv_C とコイルの電流 ii です。

スイッチを入れた直後と十分後で、コンデンサとコイルは何と同じ?

コンデンサは直後が導線、十分後が切れた線です。コイルは直後が切れた線、十分後が導線です。

RC 回路の時定数と、充電のコンデンサ電圧の式は? 充電で抵抗の熱になる割合は?

τ=RC\tau = RC で、vC=E(1−e−t/τ)v_C = E(1 - e^{-t/\tau}) です。供給エネルギー CE2CE^2 の半分が、抵抗で熱になります。

RL 回路の時定数と、電流の式は?

τ=L/R\tau = L/R で、i=ER(1−e−t/τ)i = \dfrac{E}{R}\left(1 - e^{-t/\tau}\right) です。コイルの電圧は vL=E e−t/τv_L = E\,e^{-t/\tau} で下がります。

時間 τ\tau と 5τ5\tau で、変化は何% 進む?

τ\tau で 63.2%、5τ5\tau で 99.3% です。グラフでは、原点の接線が最終値と交わる位置が τ\tau です。

抵抗が複数あるときの時定数の求め方は?

電源を短絡して、コンデンサ(コイル)から見た合成抵抗 R0R_0 を求め、τ=CR0\tau = CR_0(τ=L/R0\tau = L/R_0)とします。

まとめ

  • 過渡現象は、スイッチ操作のあと定常状態に落ち着くまでの変化。コンデンサの電圧とコイルの電流は急に変わらない
  • 直後はコンデンサが導線、コイルが切れた線。十分後はコンデンサが切れた線、コイルが導線
  • RC 回路は τ=RC\tau = RC。充電は vC=E(1−e−t/τ)v_C = E(1 - e^{-t/\tau})、放電は vC=E e−t/τv_C = E\,e^{-t/\tau}。充電では電源のエネルギー CE2CE^2 の半分が抵抗で熱になる
  • RL 回路は τ=L/R\tau = L/R。電流は i=ER(1−e−t/τ)i = \dfrac{E}{R}(1 - e^{-t/\tau}) で上がり、コイルの電圧は vL=E e−t/τv_L = E\,e^{-t/\tau} で下がる
  • 時間 τ\tau で 63.2%、3τ3\tau で 95.0%、5τ5\tau で 99.3% 進む。原点の接線が最終値と交わる位置が τ\tau。抵抗が複数のときは、電源を短絡した R0R_0 で求める

コンデンサの基本はコンデンサの合成容量、コイルの基本は電磁誘導で確認できます。次は、電圧や電流を測る指示電気計器の種類を整理します。

図解でわかる 電験三種 理論 1 直列回路 の表紙電験三種 理論を図解で通して読む図解でわかる 電験三種 理論 / 第1巻直列回路電流・電圧・抵抗から内部抵抗・倍率器・コンデンサまで理論の単元を、図と式で1冊ずつ通して読む Kindle 本のシリーズです。例題と練習問題まで入っています。Kindle Unlimited の対象なので、会員は追加料金なしで読めます。Amazon で見る

読んだら、すぐ解いて覚える

「過渡現象」の問題を
アプリで解いてみよう

読んだ直後に問題で思い出すと、記憶に残りやすくなります。電験三種の問題集アプリ「デンケンラボ」なら、理論の問題を図解つきの解説で確かめられます。

アプリでできることを見る
デンケンラボの問題画面
動画でも見て覚えるYouTube のデンケンラボで、電験三種の解説動画を配信しています

この記事をシェアする

デンケンラボ編集部

電験三種の合格プランをつくる問題集アプリ「デンケンラボ」の編集部です。試験センターの出題範囲に沿って、計算の考え方と覚えどころを図と式で解説しています。

編集方針アプリについて見る