シーケンス制御とは|自己保持回路・インタロックをタイムチャートで図解
電験三種のシーケンス制御を、a接点・b接点とリレーから、自己保持回路・インタロック・オンディレータイマ、PLC のラダー図まで図解で整理します。タイムチャートの読み方を例題4問で確かめます。

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シーケンス制御とは、あらかじめ決めた順序や条件にしたがって、制御の段階を順に進めていく制御です。押しボタンを1回押すだけで電動機が回り続けるのは、リレーが自分の接点で自分への電流を保っているから、つまり自己保持回路のおかげです。この記事では、a接点・b接点から、自己保持回路、インタロック、オンディレータイマまでを、回路図とタイムチャートで読み解きます。
- シーケンス制御とは
- 順序と条件で進める制御。フィードバック制御との違い
- a接点・b接点とリレーのしくみ
- ふだんの状態で決まる。コイルが励磁されると接点が動く
- AND・OR・NOT を接点で作る方法
- 直列は AND、並列は OR、b接点は NOT
- 自己保持回路の動作とタイムチャート
- 始動と並列に自分の a接点、停止は b接点を直列に
- インタロック・オンディレータイマとラダー図
- 相手の b接点で同時投入を防ぐ。設定時間後に動作する
シーケンス制御とは
シーケンス制御は、あらかじめ定めた順序や条件にしたがって、制御の各段階を順に進めていく制御です。たとえば自動ドアなら、「人を検知する → 扉を開く → 一定時間待つ → 扉を閉じる」という順に動きます。前の段階が終わったこと(条件)を確かめてから、次の段階に進むのが特徴です(図1)。

- 左の扉 左へ引いて開く
- 右の扉 右へ引いて開く
- 開口部 開いたら次の動作へ進む
測った結果を目標値に合わせて直していくフィードバック制御とは、目的が違います。
| 項目 | シーケンス | フィードバック |
|---|---|---|
| 目的 | 動作を順に進める | 量を目標値に合わせる |
| 信号 | 入・切(ON・OFF) | 連続した量 |
| 例 | 電動機の始動・停止 | 速度・温度の制御 |
フィードバック制御のしくみは、ブロック線図と伝達関数で確かめられます。
シーケンス制御を実現する方法は、おもに3つあります。
- 有接点シーケンス:リレーや電磁接触器の接点で回路を組む
- 無接点シーケンス:半導体のスイッチで回路を組む
- PLC(プログラマブルコントローラ):プログラムで書き、回路図に近いラダー図で表す
どの方法でも、考え方の土台は同じです。まず、接点の働きを押さえます。
a接点・b接点とリレーのしくみ
接点には、2種類あります。a接点は、ふだんは開いていて、操作すると閉じる接点です。b接点は、ふだんは閉じていて、操作すると開く接点です(図2)。
「ふだん」とは、押しボタンなら手を離した状態、リレーならコイルに電流が流れていない状態です。a接点・b接点の区別は、操作したあとの状態ではなく、このふだんの状態で決まります。
押しボタンスイッチ(図中では BS と書きます)は、押している間だけ接点が動き、手を離すと元に戻ります(図3)。一般に、始動には緑のボタン、停止には赤のボタンが使われ、始動には a接点、停止には b接点が入ります。

- 緑のボタン 始動に使われる色
- 赤のボタン 停止に使われる色
- 金属ケース ボタンを取り付ける箱
電磁リレーは、コイルに電流を流すと接点が動く部品です。コイルに電流を流す(励磁する)と鉄心が磁石になり、可動鉄片を引きつけて接点を動かします。電流を切ると、接点は元の状態に戻ります(図4)。小さな電流で、別の回路の入り切りができます。
大きな電流を扱う場合は、電磁接触器を使います。電磁リレーは信号の中継に、電磁接触器は三相の電動機のように大きな電流の入り切りに使い、しくみは同じです(図5)。この記事の回路図では、電磁接触器のコイルを MC と書きます。

- 端子 電線をつなぐ部分
- 電磁接触器 大きな電流を入り切りする
- 小形の機器 端子が上下に並ぶ
- 電線の束 配線ダクトにまとめる
AND・OR・NOT を接点で作る方法
接点の並べ方で、論理が作れます。ランプを点けたいとき、接点を直列にすると、すべての接点が閉じたときだけ電流が流れます(AND)。並列にすると、どれか1つが閉じれば流れます(OR)。b接点は、操作していないときに電流が流れるので、否定(NOT)にあたります(図6)。
接点 A、B を「操作している(ON)」を 1、「操作していない(OFF)」を 0 とすると、回路は論理式で書けます。
| 回路 | 論理式 | 点灯する条件 |
|---|---|---|
| 直列 | A も B も ON | |
| 並列 | A か B が ON | |
| b接点 | A が OFF |
組み合わせた回路も、同じように式にできます。たとえば、「a接点 A と b接点 B の直列」に「a接点 C」を並列にした回路なら、出力は です。論理式の簡単化は論理回路とカルノー図で詳しく扱います。
解答と解説を見る
回路を論理式にします。b接点 B は、操作していない(B = 0)ときに閉じます。
- (ア) で、励磁されない
- (イ) で、励磁される
- (ウ) で、励磁される
答え:(イ) と (ウ)
自己保持回路の動作とタイムチャートの読み方
押しボタンは、手を離すと元に戻ります。それでも電動機を回し続けたいときに使うのが、自己保持回路です。始動ボタン BS1 の a接点と、電磁接触器 MC 自身の a接点を並列にし、停止ボタン BS2 の b接点を直列に入れて、MC のコイルにつなぎます(図7)。
動作は、次の3段階です。
- BS1 を押す。電流が BS1 を通って MC のコイルに流れ、MC が励磁される。MC の a接点が閉じる。
- BS1 を離す。BS1 を通る経路は切れるが、閉じた MC の a接点を通ってコイルへ電流が流れ続けるので、MC は入ったまま。
- BS2 を押す。b接点が開いて電流が切れ、MC が元に戻る。BS2 を離しても、BS1 の経路も MC の a接点も開いているので、再び入ることはない。
この動作を時間の流れで表したものがタイムチャートです(図8)。上から入力の BS1、BS2、出力の MC の順に並べ、横軸を時間にします。縦の点線を目印にして、同じ時刻の信号をそろえて読みます。
図8を、番号の順に読みます。
- 1 s に BS1 を押すと、MC が入る。BS1 を 2 s に離しても、MC は入ったまま
- 5 s に BS2 を押すと、MC が切れる。BS2 を離しても、MC は切れたまま
- 7 s に BS1 を押すと、MC が再び入る
図7の回路では、BS1 と BS2 を同時に押すと、BS2 の b接点が開くので、MC は入らず、入っていた場合も切れます。このように、停止が優先される回路を停止優先(リセット優先)といいます。停止の b接点を自己保持の側にだけ入れると、始動が優先される始動優先(セット優先)の回路になります。
運転中だけ点灯させる表示灯は、MC の別の a接点につなぎます(図9)。MC が入っている間だけ接点が閉じて、点灯します。

- 緑 点灯中
- 橙 消灯中
- 赤 消灯中
- 台座 金属台に固定する
自己保持回路には、次の性質があります。
- 停電すると MC のコイルへの電流が途切れ、保持が解けます。電源が戻っても、始動ボタンを押さないかぎり、再び動き出しません。
- 実際の電動機の回路では、過負荷から電動機を守る熱動継電器の b接点も、停止の b接点と直列に入ります。
- 始動で入り、停止で切れて、その状態を保つ働きは、フリップフロップとはで学ぶ RS フリップフロップと同じです。
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BS1 を押すと MC が入り、自己保持します。BS2 を押したときに切れます。
- 2 s に BS1 で入り、3 s に離しても保持される。4 s に BS2 を押して切れる。
- 6 s に BS1 で入る。7 s に BS2 を押すと、BS1 を押したままでも停止が優先されて切れる。
- 8 s に BS1 を離しても、MC は入らない。
答え:2〜4 s と 6〜7 s
インタロック・オンディレータイマとラダー図
インタロック
電動機を正転と逆転で切り替える回路では、正転用の電磁接触器 MCF と、逆転用の MCR が同時に入ってはいけません。三相電動機は、電源の3線のうち2線を入れ替えると逆向きに回ります(三相誘導電動機とは)。逆転用の接触器は、この2線の入れ替えを受け持つので、両方が同時に入ると、入れ替えた2線が電源側でつながり、短絡します。
そこで、相手側の b接点を自分のコイルの回路に直列に入れます。片方が入っている間は、もう片方のコイルに電流が流れません。これをインタロックといいます(図10)。
MCF が入っていると、MCF の b接点が開くので、逆転ボタン BSR を押しても MCR は入りません。向きを変えるには、いったん BS0 で止めてから、反対側のボタンを押します。
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MCR のコイルの回路には、MCF の b接点が直列に入っています。MCF が励磁されている間、この b接点は開いています。そのため、BSR を押しても、MCR のコイルへ電流は流れません。
この b接点がないと、MCF と MCR が同時に入り、入れ替えた2線が電源側で短絡します。
答え:MCF の b接点が開いているため
オンディレータイマ
オンディレータイマ(限時動作のタイマ)は、コイルに電流が流れてから、設定した時間がたって、接点が動くタイマです。a接点は閉じ、b接点は開きます。コイルへの電流を切ると、接点はすぐに元に戻ります。
図11は、設定時間 3 s のタイマで、BS1 を押している間だけタイマのコイルに電流を流し、タイマの限時動作 a接点でランプをつないだ場合です。
- 1 s に BS1 を押すと、タイマが動き始める
- 設定時間 3 s がたった 4 s に、接点が閉じて、ランプが点灯する
- 6 s に BS1 を離すと、接点がすぐ戻って、ランプが消える
7〜8 s の操作は 1 s だけで、設定時間 3 s に届かないので、ランプは点灯しません。
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BS1 を押し始めてから 5 s たたないと、ランプは点灯しません。
- (ア) 4 s で離すと、設定時間の 5 s に届かないので、点灯しない
- (イ) 5 s で点灯し、8 s で離すと消える。点灯している時間は
答え:(ア) 点灯しない、(イ) 3 s 間点灯
PLC とラダー図
PLC などの制御機器は、DIN レールに並べて取り付け、ねじ端子に入力のボタンや出力のコイルの電線をつなぎます(図12)。

- 電線 赤・青・黒の電線がつながる
- ねじ端子 電線を締めて固定する
- DINレール 機器を並べる金属の溝
- 本体 灰色のモジュール
PLC のプログラムは、ラダー図(梯子図)で書きます。左右の縦線(母線)の間に、接点とコイルを横に並べ、左から右へ電流が流れるものとして読みます。図7の自己保持回路をラダー図にすると、図13のようになります。
接点は、a接点を2本の縦線、b接点を斜線の入った2本の縦線、コイルを括弧で表します。図13では、X0 を押すと Y0 のコイルが励磁され、Y0 の接点が閉じて自己保持します。X1 を操作すると、b接点が開いて保持が解けます。入力の X や出力の Y の番号の付け方は、メーカーによって違います。
よくある質問
a接点とb接点の違いは何ですか。
ふだん(ボタンから手を離した状態や、コイルに電流がない状態)に、開いているのが a接点、閉じているのが b接点です。操作すると、a接点は閉じ、b接点は開きます。
自己保持回路で、始動ボタンを離しても動き続けるのはなぜですか。
始動ボタンの a接点と並列に、MC 自身の a接点が入っているからです。MC が励磁されると、この a接点が閉じて、始動ボタンを離しても、コイルへの電流が流れ続けます。
インタロックと自己保持は、どう違いますか。
自己保持は、自分の接点で自分への電流を保ち、動作を続けるための回路です。インタロックは、相手の b接点で、2つの動作が同時に起こらないようにするための回路です。
停止ボタンに b接点を使うのはなぜですか。
停止ボタンを b接点にすると、押したときに回路が切れます。ボタンの配線が外れたり切れたりしても回路が開くので、機器は止まる側に動きます。安全のうえで都合のよい方法です。
思い出してみよう
答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。
a接点とb接点は、どこが違いますか?
ふだんの状態が違います。a接点は開いていて、操作すると閉じます。b接点は閉じていて、操作すると開きます。
接点の直列、並列、b接点は、論理の何にあたりますか?
直列は AND、並列は OR、b接点は NOT です。
自己保持回路は、どのように組みますか?
始動の a接点と MC 自身の a接点を並列にし、停止の b接点を直列に入れて、MC のコイルにつなぎます。
始動と停止のボタンを同時に押すと、自己保持回路はどうなりますか?
停止の b接点が直列に入っているので、MC は入りません。停止が優先されます。
インタロックは、何のために、どう組みますか?
正転と逆転の同時投入による短絡を防ぐためです。相手側の b接点を、自分のコイルの回路に直列に入れます。
オンディレータイマは、どう動きますか?
コイルに電流が流れてから、設定時間がたって接点が動きます。設定時間より短い操作では動作せず、電流を切るとすぐ元に戻ります。
まとめ
- シーケンス制御は、決めた順序・条件で出力を入り切りする制御
- a接点はふだん開き、b接点はふだん閉じる。直列は AND、並列は OR、b接点は NOT
- 自己保持回路は、始動と並列に自分の a接点を入れ、停止の b接点を直列に入れる
- インタロックは、相手の b接点を直列に入れて、同時に入らないようにする
- オンディレータイマは、設定時間がたってから接点が動き、電流を切るとすぐ戻る
次は、フリップフロップとはで記憶の働きを、ブロック線図と伝達関数でフィードバック制御を確かめましょう。








