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機械自動制御 / 安定判別7分で読めます

安定判別の方法|特性方程式の根とナイキストの安定判別を図解

電験三種 機械の安定判別を図解で整理します。特性方程式の根と極の位置で決まる安定の条件、ナイキストの安定判別でのベクトル軌跡の見方、ハンチングまでを、例題と解答つきで順に確認できます。

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木の枠から細い糸で吊るされた金属の球(振り子)の写真
この記事の目次
  1. 安定判別とは?安定と不安定の違い
  2. 特性方程式と極の位置で決まる安定条件
  3. ナイキストの安定判別
  4. 例題
  5. よくある質問
  6. 特性方程式の根が虚軸上にあると、どうなりますか。
  7. まとめ
図解でわかる 電験三種 機械 1 直流機 の表紙機械を図解で読む図解でわかる 電験三種 機械 1
直流機
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フィードバック制御は、強くかけすぎると、出力が行き過ぎては戻りを繰り返して、おさまらなくなります。この持続的な上下の振動をハンチングと言います。どこまでなら安全かを調べるのが、安定判別です。この記事では、特性方程式と極の位置、ナイキストの安定判別を、図と例題で順に確認します。

結論から言うと、押さえるのは 2 点です。特性方程式の根(極)がすべて ss 平面の左半面にあれば安定。開ループが安定なとき、ベクトル軌跡を ω\omega が増える向きにたどって、点 (−1, j0)(-1,\ j0) が進行方向の左側にあれば安定です。

安定判別の全体像
  • 安定判別とは
    • 目標値を変えたあと、出力が落ち着くかどうか
  • 特性方程式と極の位置
    • 根がすべて左半面なら安定、1 つでも右半面なら不安定
  • ナイキストの安定判別
    • (−1, j0)(-1,\ j0) との位置関係で判定。ハンチングと例題で確認

安定判別とは?安定と不安定の違い

安定とは、入力を加えたあと、時間がたてば出力が一定の値に落ち着くことです。不安定とは、出力が振動しながら大きくなり続けたり、一方向に離れ続けたりして、落ち着かないことです。図1は、目標値を変えたあとの出力の例です。

(1) なめらかに落ち着く 安定 目標値 時間 t → (2) 振動しながら落ち着く 安定 目標値 時間 t → (3) 振動が大きくなり続ける 不安定 目標値 時間 t →
図1 目標値を変えたあとの出力。落ち着けば安定、振動が大きくなり続ければ不安定

左の 2 つは、行き過ぎの大小は違っても、最後は目標値に落ち着くので安定です。右は、振れ幅が大きくなり続けるので不安定です。

安定のイメージは、鉢の底のビー玉です。ゆらしても、底に戻ります(図2)。逆に、伏せた鉢のてっぺんに置いたビー玉は、少しずれただけで転がり落ちて戻りません。これが不安定です。

透明なガラスの鉢の底に、青い筋の入ったビー玉が 1 つ置かれている写真。鉢は木の机の上にある
図2 鉢の底のビー玉は、ゆらしても底に戻る。安定のたとえ(写真はイメージ)

フィードバック制御では、定常偏差 1/(1+K)1/(1+K) を小さくしたくて、ゲイン KK を上げたくなります(フィードバック制御と PID 制御)。しかし、多くの制御系では、KK を上げすぎると不安定になります。そこで、KK をどこまで上げられるかを、あらかじめ調べておく必要があります。

身近な不安定の例が、ハウリングです。マイクがスピーカーの音を拾い、それを増幅してまたスピーカーから出すと、ぐるっと一周した音が大きくなり続けて、キーンという音になります(図3)。一周のゲインが 1 以上で、位相も合う周波数があると起こる、フィードバックの不安定です。

黒いスピーカーボックスの正面に、スタンドに立てたマイクが向き合っている写真。背景は暗く、床は灰色
  1. マイク スピーカーの音を拾う
  2. スピーカー 拾った音を増幅して出す
  3. スタンド マイクを支える
図3 スピーカーに向き合うマイク。音が一周して大きくなると、ハウリングになる(写真はイメージ)

特性方程式と極の位置で決まる安定条件

フィードバック系の閉ループ伝達関数は、前向きの G(s)G(s) と帰還の H(s)H(s) を使って G/(1+GH)G/(1+GH) と書けます(ブロック線図と伝達関数)。この分母を 0 とおいた式を、特性方程式と呼びます。

1+G(s)H(s)=01 + G(s)H(s) = 0

G(s)H(s)G(s)H(s) は、フィードバックのループを 1 周したときの伝達関数で、開ループ伝達関数 L(s)L(s) と呼びます。L(s)=N(s)/D(s)L(s) = N(s)/D(s) と分数で書けるなら、1+L=01 + L = 0 の両辺に DD を掛けて、

D(s)+N(s)=0D(s) + N(s) = 0

となり、ss の多項式の方程式になります。この方程式の根を、閉ループの極と言います。

極が s=σ+jωs = \sigma + j\omega のとき、応答には eσtcos⁡(ωt+θ)e^{\sigma t}\cos(\omega t + \theta) の形の項が現れます。eσte^{\sigma t} が時間とともに小さくなるか大きくなるかは、実部 σ\sigma の符号で決まります(過渡現象の指数関数と同じです。複素数の扱いは電験の複素数の使い方で説明しています)。

  • σ<0\sigma < 0(左半面):減衰して 0 に近づく。安定
  • σ=0\sigma = 0(虚軸上):振幅が一定の振動が続く。安定限界
  • σ>0\sigma > 0(右半面):時間とともに大きくなる。不安定
実軸 σ 虚軸 jω 左半面 (安定) 右半面 (不安定) A B C D A 減衰する B 振動しながら減衰 C 振動が続く D 振動が増大
図4 極の位置と応答の形。左半面の極は減衰、虚軸上は持続、右半面の極は増大する

図4は、極の位置と応答の形の対応です。極が複素数のときは、虚部があるので振動し、実部で振動が減衰するか増大するかが決まります。実数の極(A)は、振動せずに減衰します。

2 次式で確かめてみます。

  • s2+2s+5=0s^2 + 2s + 5 = 0 の根は −1±j2-1 \pm j2:実部が負なので安定
  • s2+4=0s^2 + 4 = 0 の根は ±j2\pm j2:実部が 0 で、振幅一定の振動が続く(安定限界)
  • s2−2s+5=0s^2 - 2s + 5 = 0 の根は 1±j21 \pm j2:実部が正なので不安定

ナイキストの安定判別

ナイキストの安定判別は、開ループ伝達関数 L(jω)L(j\omega) の周波数応答から、閉ループの安定を調べます(周波数応答の見方はボード線図の書き方で説明しています)。

特性方程式 1+L=01 + L = 0 は、L=−1L = -1 と同じです。つまり、L(jω)L(j\omega) が複素平面の点 (−1, j0)(-1,\ j0) に当たるとき、ちょうど虚軸上に極が出る(安定限界)ことになります。そこで、ベクトル軌跡と点 (−1, j0)(-1,\ j0) の位置関係を見ます。

開ループが安定な場合の簡易な見方は、次のとおりです。ω\omega を 00 から ∞\infty まで変えてベクトル軌跡を描き、軌跡を ω\omega が増える向きにたどったとき、点 (−1, j0)(-1,\ j0) が進行方向の左側にあれば安定、右側にあれば不安定です。

実軸 虚軸 K = 4:(−1, j0) が進む向きの左 → 安定 K = 16:(−1, j0) が進む向きの右 → 不安定 ω = 0 (−1, j0) 進む向きは ω が増える向き
図5 開ループ K/(1 + s)³ のベクトル軌跡。(−1, j0) が軌跡の左側なら安定

図5は、L(s)=K/(1+s)3L(s) = K/(1+s)^3 の例です。K=4K = 4 の軌跡は、負の実軸を −0.5-0.5 で横切り、(−1, j0)(-1,\ j0) は進行方向の左側にあるので安定です。K=16K = 16 は −2-2 で横切り、(−1, j0)(-1,\ j0) が右側にあるので不安定です。

ゲインを上げすぎて不安定になる状態が、ハンチングです。制御盤のメーターの指針が、行き過ぎては戻る動きを止めずに振れ続けます(図6)。

灰色の盤に、丸い指針式のメーターが 4 つ並び、その下に赤・緑・黄・青の押しボタンが並んでいる写真。メーターの目盛りに数字は見えない
  1. メーター 制御量の値を指針で示す
  2. 指針 振れ続けると不安定
  3. 赤ボタン 機器の操作に使う
図6 制御盤のメーター。K を上げすぎると、指針が振れ続けて落ち着かなくなる(写真はイメージ)

例題

解答と解説を見る

誤っているのは (2) です。

根が 1 つでも右半面にあれば、ほかの根がすべて左半面でも不安定です。

(1) は安定条件そのものです。(3) は、実部が 0 の根が、減衰も増大もしない振動を表すことを言っています。(4) はナイキストの安定判別の見方のとおりです。

よくある質問

特性方程式の根が虚軸上にあると、どうなりますか。

安定でも不安定でもない、安定限界です。応答は減衰も増大もせず、同じ振幅の振動が続きます。ゲインを少しでも上げると、根が右半面に動いて不安定になります。

思い出してみよう

答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。

閉ループ系が安定である条件は、極の位置でどう表されますか?

特性方程式の根(極)が、すべて ss 平面の左半面(実部が負)にあることです。

特性方程式とは何で、開ループ伝達関数 LL とはどんな関係ですか?

閉ループ伝達関数の分母を 0 とおいた 1+L(s)=01 + L(s) = 0 です。L=N/DL = N/D なら D+N=0D + N = 0 です。

特性方程式の根が虚軸上にあると、どうなりますか?

減衰も増大もしない、振幅が一定の振動が続きます。安定限界です。

ナイキストの安定判別では、何をどう見て判定しますか?

開ループのベクトル軌跡を ω\omega が増える向きにたどったとき、点 (−1, j0)(-1,\ j0) が進行方向の左側にあれば安定、右側にあれば不安定です(開ループが安定な場合)。

ハンチングとは何ですか?

ゲインを上げすぎて不安定になり、行き過ぎては戻る動きを止めずに振れ続ける状態です。

まとめ

  • 安定とは、入力を加えたあと、出力が落ち着くこと。特性方程式 1+G(s)H(s)=01 + G(s)H(s) = 0 の根がすべて左半面なら安定、虚軸上は安定限界、1 つでも右半面なら不安定
  • ナイキストの安定判別は、開ループのベクトル軌跡を ω\omega が増える向きにたどったとき、点 (−1, j0)(-1,\ j0) が進行方向の左側にあれば安定、右側にあれば不安定(開ループが安定な場合)

ボード線図やベクトル軌跡の描き方は、ボード線図の書き方で確認できます。PID 制御の動作や定常偏差は、フィードバック制御と PID 制御で確認できます。

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デンケンラボ編集部

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