燃料を使わない代わりに、出力は空模様と時刻で決まる。それが太陽光発電です。原子力発電 までは、熱で蒸気をつくってタービンを回す発電でした。太陽光発電は、タービンも発電機も使わず、光から直接電気をつくります。この記事では、太陽電池が光を電気に変える仕組み、I-V 特性と最大電力点、変換効率と温度の影響、パワーコンディショナのはたらき、出力と発電電力量の計算を、図と例題で整理します。電験三種の「電力」では、太陽電池の特性と出力の計算が問われます。
太陽光発電の全体像
太陽光発電とは
太陽電池が光から直接、直流の電気をつくる。燃料もタービンもいらない
太陽電池の仕組み
pn 接合に光が当たると電子と正孔が分かれ、電流が流れる
セル 1 枚は約 0.5〜0.6 V。直列で電圧、並列で電流を増やす
I-V 特性と最大電力点
電力が最大になる点が最大電力点。曲線因子 F F = P m a x V o c I s c \mathrm{FF}=\dfrac{P_{\mathrm{max}}}{V_{\mathrm{oc}}I_{\mathrm{sc}}} FF = V oc I sc P max
日射強度は電流に、温度は電圧に効く
変換効率と出力の求め方
P = G A η K P=G\,A\,\eta\,K P = G A η K 。温度補正と発電電力量の式もある
パワーコンディショナ
直流を交流に変え、MPPT と系統連系保護を受け持つ
長所と短所
太陽光発電とは
太陽光発電は、太陽電池に光を当てて、直流の電気を直接つくる発電方式です。火力・水力・原子力のような、蒸気や水でタービンを回す工程はありません。光が電気に変わり、パワーコンディショナで交流に直してから、負荷や系統へ送ります(図1)。
太陽光
太陽電池
光を電気に
パワー
コンディショナ
系統
負荷へ送る
光
直流
交流
太陽電池が出すのは直流。系統に合わせて交流に変える
タービンや発電機のような回転する機械は使わない
図1 太陽光発電の流れ。太陽電池が光から直流をつくり、パワーコンディショナが交流に変えて系統へ送る
回る機械がないので、発電そのものに燃料は要りません。一方で、出力は日射の強さに左右されます。夜は 0 になり、雲が出れば下がります。蒸気の流れを制御して出力を決める火力発電の仕組み とは、ここが大きく違います。この「出力が天気まかせ」という性質が、太陽光発電の計算と運用の両方に影響します。
発電所として並べるときは、多数のパネルを架台に固定して、広い敷地に列にして敷き詰めます。
1 遠くの山 2 パネル 3 コンクリート基礎 4 影 遠くの山 周りの山や建物の影が落ちない場所に設置するパネル 光を受けて発電する面。傾けて架台に固定するコンクリート基礎 架台を地面に固定する影 パネルの影が地面に落ちる。次の列にかからないよう、列の間を空ける図2 地上に並べた太陽電池パネル。架台に固定して列にする(写真はイメージ)
太陽電池が光を電気に変える仕組み
太陽電池の中身は、p 形半導体と n 形半導体を合わせた pn 接合です。ダイオードと同じ構造で、光を受ける面に電極をつけています。光が当たると、半導体の中で電子と正孔のペアができます。接合部には内部電界があり、電子は n 形側へ、正孔は p 形側へ引き分けられます(図3)。これを光起電力効果といいます。負荷をつなぐと、分けられた電子が外の回路を通って戻り、電流が流れます。
太陽光
n形半導体
電子が多い
空乏層
内部電界ができる
p形半導体
正孔が多い
内部電界
−
電子
+
正孔
負荷
電流
裏面電極
表面電極
光が当たると、電子と正孔のペアができる
内部電界が電子を n 側、正孔を p 側へ分け、電流が流れる
図3 太陽電池の断面。光で生じた電子と正孔が内部電界で分けられ、負荷に電流が流れる
セル 1 枚(シリコンの場合)が出す電圧は約 0.5 ∼ 0.6 [ V ] 0.5\sim 0.6\ \mathrm{[V]} 0.5 ∼ 0.6 [ V ] と小さいので、使い道に合わせて直列・並列につなぎます。セルを何枚かつないでパネル状にしたものがモジュール、モジュールをつないで必要な電圧と電流にしたものがアレイです(図4)。
セル
モジュール
アレイ
約 0.5〜0.6 V
例:60 枚を直列に
約 30 V
直列の列を並べる
直列は電圧が足し算、並列は電流が足し算
図4 セルからアレイまで。直列にすると電圧が、並列にすると電流が足し算になる
接続のルールは、電池の直列・並列と同じです。
接続 電圧 電流 直列 足し算 変わらない 並列 変わらない 足し算
セルの表面には、細い線と太い線が見えます。細い線で電流を集め、太い線でまとめて取り出します。光をさえぎる面積を減らしたいので、集電用の線は細くしてあります。
1 反射光 2 細い電極線 3 バスバー 4 セル本体 反射光 ガラス面は光の一部を反射する細い電極線 セルの表面で電流を集めるバスバー 集めた電流をまとめて取り出す太い線セル本体 光を受けて電気をつくる面図5 セルの表面。細い電極線で電流を集め、太い線でまとめる(写真はイメージ)
太陽電池は、材料の違いで変換効率が変わります。変換効率は、受けた光のエネルギーのうち、電気として取り出せる割合です。
種類 変換効率の目安 特徴 単結晶シリコン 約 15〜20 %台 効率が高い 多結晶シリコン 約 15〜18 % 小さな結晶の集まり アモルファス(薄膜) 約 7〜10 % 薄く軽い。効率は低め
数値は製品や年代で幅があるので目安です。計算問題では、効率は問題文で与えられます。
注意
直列につないだ回路では、同じ電流が全体に流れます。パネルの一部に影がかかると、その部分の電流が下がり、直列につながった全体の出力が下がります。そのため、モジュールにはバイパスダイオードがついていて、影のかかったセルの列を迂回して電流を流します。
例題1
1 枚あたり、最大出力時に 30 [ V ] 30\ \mathrm{[V]} 30 [ V ] 、8 [ A ] 8\ \mathrm{[A]} 8 [ A ] を出すモジュールがある。このモジュールを 12 枚直列にした列を、3 列並列につないだアレイの出力電圧、出力電流、出力電力を求めよ。ただし、接続による損失は無視する。
解答と解説を見る 直列 12 枚で電圧が 12 倍、並列 3 列で電流が 3 倍になります。
V = 30 × 12 = 360 [ V ] I = 8 × 3 = 24 [ A ] \begin{aligned}
V &= 30\times 12 = 360\ \mathrm{[V]} \\
I &= 8\times 3 = 24\ \mathrm{[A]}
\end{aligned} V I = 30 × 12 = 360 [ V ] = 8 × 3 = 24 [ A ] 出力電力は、電圧と電流の積です。
P = V I = 360 × 24 = 8640 [ W ] = 8.64 [ k W ] \begin{aligned}
P &= VI \\
&= 360\times 24 \\
&= 8640\ \mathrm{[W]} \\
&= 8.64\ \mathrm{[kW]}
\end{aligned} P = V I = 360 × 24 = 8640 [ W ] = 8.64 [ kW ] 1 枚の出力 30 × 8 = 240 [ W ] 30\times 8=240\ \mathrm{[W]} 30 × 8 = 240 [ W ] に、枚数 12 × 3 = 36 12\times 3=36 12 × 3 = 36 を掛けた値と一致します。
I-V特性と最大電力点
太陽電池に光を当てたまま、負荷を変えて電圧 V V V と電流 I I I を測ると、図6の曲線になります。これが I-V 特性です。電力 P = V I P=VI P = V I の曲線も重ねて描いてあります。
電流 I(左軸)
電力 P(右軸)
0
3
6
9
0
100
200
300
0
10
20
30
40
50
[A]
[W]
[V]
Vpm × Ipm
最大電力点
短絡電流 Isc
開放電圧
Voc
Vpm
Ipm
最大出力 = 黄色の長方形の面積。灰色の点線の枠に近いほど FF が大きい
図6 太陽電池の I-V 特性と P-V 特性。電力が最大になる点が最大電力点
曲線の両端には、名前がついています。
名称 状態 値 短絡電流 I s c I_{\mathrm{sc}} I sc 端子を短絡(V = 0 V=0 V = 0 ) 電流が最大 開放電圧 V o c V_{\mathrm{oc}} V oc 何もつながない(I = 0 I=0 I = 0 ) 電圧が最大
どちらの端でも、電圧か電流が 0 なので電力 P = V I P=VI P = V I は 0 です。途中で電力が最大になる点があり、これを最大電力点といいます。そのときの電圧を V p m V_{\mathrm{pm}} V pm 、電流を I p m I_{\mathrm{pm}} I pm とすると、最大出力は次の式です。
P m a x = V p m I p m P_{\mathrm{max}}=V_{\mathrm{pm}}\,I_{\mathrm{pm}} P max = V pm I pm
図6の黄色の長方形の面積が、最大出力にあたります。この長方形が、V o c V_{\mathrm{oc}} V oc と I s c I_{\mathrm{sc}} I sc でつくる大きな長方形にどれだけ近いかを表すのが、曲線因子(FF)です。
F F = P m a x V o c I s c \mathrm{FF}=\frac{P_{\mathrm{max}}}{V_{\mathrm{oc}}\,I_{\mathrm{sc}}} FF = V oc I sc P max
FF は 1 を超えず、1 に近いほど曲線が角ばっていて、取り出せる電力が大きくなります。シリコンのモジュールでは、0.7〜0.8 程度が目安です。
図6は、60 枚のセルを直列にしたモジュールを、単一ダイオードモデルで計算した例です。実際の製品の値ではありませんが、V o c V_{\mathrm{oc}} V oc は約 37.5 [ V ] 37.5\ \mathrm{[V]} 37.5 [ V ] 、I s c I_{\mathrm{sc}} I sc は 9.0 [ A ] 9.0\ \mathrm{[A]} 9.0 [ A ] 、V p m V_{\mathrm{pm}} V pm は約 30 [ V ] 30\ \mathrm{[V]} 30 [ V ] 、I p m I_{\mathrm{pm}} I pm は約 8.4 [ A ] 8.4\ \mathrm{[A]} 8.4 [ A ] 、P m a x P_{\mathrm{max}} P max は約 250 [ W ] 250\ \mathrm{[W]} 250 [ W ] です。
例題2
ある太陽電池モジュールの開放電圧が 38 [ V ] 38\ \mathrm{[V]} 38 [ V ] 、短絡電流が 9.0 [ A ] 9.0\ \mathrm{[A]} 9.0 [ A ] で、最大電力点の電圧が 30 [ V ] 30\ \mathrm{[V]} 30 [ V ] 、電流が 8.4 [ A ] 8.4\ \mathrm{[A]} 8.4 [ A ] である。このモジュールの最大出力と曲線因子を求めよ。
解答と解説を見る 最大出力は、最大電力点の電圧と電流の積です。
P m a x = V p m I p m = 30 × 8.4 = 252 [ W ] \begin{aligned}
P_{\mathrm{max}} &= V_{\mathrm{pm}}\,I_{\mathrm{pm}} \\
&= 30\times 8.4 \\
&= 252\ \mathrm{[W]}
\end{aligned} P max = V pm I pm = 30 × 8.4 = 252 [ W ] 曲線因子は、V o c I s c V_{\mathrm{oc}}I_{\mathrm{sc}} V oc I sc に対する最大出力の割合です。
F F = P m a x V o c I s c = 252 38 × 9.0 ≈ 0.74 \begin{aligned}
\mathrm{FF} &= \frac{P_{\mathrm{max}}}{V_{\mathrm{oc}}\,I_{\mathrm{sc}}} \\
&= \frac{252}{38\times 9.0} \\
&\approx 0.74
\end{aligned} FF = V oc I sc P max = 38 × 9.0 252 ≈ 0.74
I-V 特性は、日射強度と温度で変わります(図7)。
日射強度が変わると
電流
電圧
1000 W/m2
600 W/m2
200 W/m2
電流が日射強度にほぼ比例
温度が変わると
電流
電圧
25℃
50℃
75℃
電圧が下がる
温度が上がると電圧が下がる
日射強度は電流に、温度は電圧に効く
図7 日射強度と温度による I-V 特性の変化。日射強度は電流に、温度は電圧に効く
日射強度が下がると、電流がほぼ比例して小さくなります。光が減ると、つくられる電子と正孔の数が減るためです。電圧はあまり変わりません。
温度が上がると、電流はほとんど変わらず、電圧が下がります。その結果、最大出力は小さくなります。
結晶シリコンでは、セル温度が 1℃ 上がるごとに、最大出力がおよそ 0.3〜0.5 % 小さくなります。この割合を出力の温度係数といい、−0.40 %/℃ のように負の値で与えられます。
日射強度や温度が変わると、最大電力点の位置も動きます。そこでパワーコンディショナは、動作点を少しずつ動かしながら、出力が最大になる点を探し続けます。これを最大電力点追従制御(MPPT)といいます。
変換効率と出力の求め方
変換効率 η \eta η は、受けた日射エネルギーに対する、取り出した電力の割合です。面積 A [ m 2 ] A\ \mathrm{[m^{2}]} A [ m 2 ] のパネルに、日射強度 G [ k W / m 2 ] G\ \mathrm{[kW/m^{2}]} G [ kW/ m 2 ] の光が当たるとき、入ってくる光の電力は G A GA G A です。
η = P G A \eta=\frac{P}{G\,A} η = G A P
これを出力 P [ k W ] P\ \mathrm{[kW]} P [ kW ] について解き、さらに配線やパワーコンディショナなどの損失をまとめた損失係数 K K K を掛けると、実際の出力が見積もれます(図8)。
日射強度
G [kW/m2 ]
晴れで約 1
面積
A [m2 ]
パネルの面積
変換効率
η
0.15〜0.20
損失
K
1 以下
×
×
×
=
出力
P [kW]
P = G × A × η × K
破線の K は、温度・汚れ・配線・変換の損失をまとめた係数
損失を無視する問題では K = 1 として計算する
図8 太陽電池の出力。日射強度、面積、変換効率、損失係数を掛け合わせる
P = G A η K P=G\,A\,\eta\,K P = G A η K
水力発電の出力 の P = 9.8 Q H η P=9.8\,QH\eta P = 9.8 Q H η と同じく、入るエネルギーに効率を掛ける形です。損失を無視してよい問題では K = 1 K=1 K = 1 として計算します。
モジュールの定格出力は、標準試験条件(STC)での出力です。STC は、日射強度 1000 [ W / m 2 ] 1000\ \mathrm{[W/m^{2}]} 1000 [ W/ m 2 ] (= 1 [ k W / m 2 ] =1\ \mathrm{[kW/m^{2}]} = 1 [ kW/ m 2 ] )、セル温度 25℃、大気質量 AM1.5 の条件をいいます。実際の日射強度やセル温度が STC と違うときは、次のように補正します。
P = P S T C × G 1000 × { 1 + α ( T − 25 ) } \begin{aligned}
P &= P_{\mathrm{STC}}\times\frac{G}{1000} \\
&\times\{1+\alpha\,(T-25)\}
\end{aligned} P = P STC × 1000 G × { 1 + α ( T − 25 )}
P S T C P_{\mathrm{STC}} P STC は定格出力、G G G は日射強度 [ W / m 2 ] \mathrm{[W/m^{2}]} [ W/ m 2 ] 、T T T はセル温度、α \alpha α は出力の温度係数(負の値)です。T − 25 T-25 T − 25 は、セル温度が STC より何℃高いかを表します。
例題3
面積 1.6 [ m 2 ] 1.6\ \mathrm{[m^{2}]} 1.6 [ m 2 ] の太陽電池モジュールが、標準試験条件(日射強度 1000 [ W / m 2 ] 1000\ \mathrm{[W/m^{2}]} 1000 [ W/ m 2 ] )で 288 [ W ] 288\ \mathrm{[W]} 288 [ W ] を出力する。次の問いに答えよ。
(1) このモジュールの変換効率を求めよ。
(2) 同じ変換効率の太陽電池を 30 [ m 2 ] 30\ \mathrm{[m^{2}]} 30 [ m 2 ] 設置したとき、日射強度が 700 [ W / m 2 ] 700\ \mathrm{[W/m^{2}]} 700 [ W/ m 2 ] の間の出力は何 [ k W ] \mathrm{[kW]} [ kW ] か。ただし、損失は無視する。
解答と解説を見る (1) モジュールに入る光の電力は、日射強度と面積の積です。
η = P G A = 288 1000 × 1.6 = 0.18 \begin{aligned}
\eta &= \frac{P}{G\,A} \\
&= \frac{288}{1000\times 1.6} \\
&= 0.18
\end{aligned} η = G A P = 1000 × 1.6 288 = 0.18 変換効率は 0.18 0.18 0.18 (18 %)です。
(2) 日射強度、面積、効率を掛けます。
P = G A η = 700 × 30 × 0.18 = 3780 [ W ] = 3.78 [ k W ] \begin{aligned}
P &= G\,A\,\eta \\
&= 700\times 30\times 0.18 \\
&= 3780\ \mathrm{[W]} \\
&= 3.78\ \mathrm{[kW]}
\end{aligned} P = G A η = 700 × 30 × 0.18 = 3780 [ W ] = 3.78 [ kW ]
例題4
定格出力(標準試験条件)が 4.0 [ k W ] 4.0\ \mathrm{[kW]} 4.0 [ kW ] の太陽電池アレイがある。出力の温度係数は −0.40 %/℃ で、セル温度が 55℃、日射強度が 800 [ W / m 2 ] 800\ \mathrm{[W/m^{2}]} 800 [ W/ m 2 ] のとき、アレイの直流出力は何 [ k W ] \mathrm{[kW]} [ kW ] か。また、パワーコンディショナの効率が 0.96 0.96 0.96 のとき、系統へ出る交流の電力は何 [ k W ] \mathrm{[kW]} [ kW ] か。ただし、そのほかの損失は無視する。
解答と解説を見る セル温度は STC より 30℃ 高いので、温度による出力の低下は、次の倍率になります。
1 − 0.0040 × 30 = 0.88 1-0.0040\times 30=0.88 1 − 0.0040 × 30 = 0.88 日射強度の倍率は 800 1000 = 0.8 \dfrac{800}{1000}=0.8 1000 800 = 0.8 です。直流出力は次のとおりです。
P d c = 4.0 × 0.8 × 0.88 = 2.816 [ k W ] \begin{aligned}
P_{\mathrm{dc}} &= 4.0\times 0.8\times 0.88 \\
&= 2.816\ \mathrm{[kW]}
\end{aligned} P dc = 4.0 × 0.8 × 0.88 = 2.816 [ kW ] パワーコンディショナの効率を掛けて、交流の電力を求めます。
P a c = 2.816 × 0.96 ≈ 2.70 [ k W ] \begin{aligned}
P_{\mathrm{ac}} &= 2.816\times 0.96 \\
&\approx 2.70\ \mathrm{[kW]}
\end{aligned} P ac = 2.816 × 0.96 ≈ 2.70 [ kW ]
出力 P P P は、ある瞬間の電力です。1 日や 1 か月の発電電力量 E [ k W h ] E\ \mathrm{[kWh]} E [ kWh ] を見積もるときは、期間中の日射量 H [ k W h / m 2 ] H\ \mathrm{[kWh/m^{2}]} H [ kWh/ m 2 ] を使います。
E = P S T C × H G S T C × K E=P_{\mathrm{STC}}\times\frac{H}{G_{\mathrm{STC}}}\times K E = P STC × G STC H × K
G S T C G_{\mathrm{STC}} G STC は STC の日射強度 1 [ k W / m 2 ] 1\ \mathrm{[kW/m^{2}]} 1 [ kW/ m 2 ] 、K K K は温度・汚れ・配線・パワーコンディショナの損失をまとめた総合設計係数です。H G S T C \dfrac{H}{G_{\mathrm{STC}}} G STC H は、定格出力で何時間発電したのと同じ日射量か、を表します。K K K は問題文で与えられます。
例題5
定格出力が 5.0 [ k W ] 5.0\ \mathrm{[kW]} 5.0 [ kW ] の太陽電池アレイがある。ある日の傾斜面の日射量が 4.0 [ k W h / m 2 ] 4.0\ \mathrm{[kWh/m^{2}]} 4.0 [ kWh/ m 2 ] 、総合設計係数が 0.80 0.80 0.80 のとき、この日の発電電力量は何 [ k W h ] \mathrm{[kWh]} [ kWh ] か。ただし、標準試験条件の日射強度を 1.0 [ k W / m 2 ] 1.0\ \mathrm{[kW/m^{2}]} 1.0 [ kW/ m 2 ] とする。
解答と解説を見る 日射量を STC の日射強度で割ると、定格出力で発電したとみなす時間が求まります。
H G S T C = 4.0 1.0 = 4.0 [ h ] \frac{H}{G_{\mathrm{STC}}}=\frac{4.0}{1.0}=4.0\ \mathrm{[h]} G STC H = 1.0 4.0 = 4.0 [ h ] 発電電力量は次のとおりです。
E = P S T C × H G S T C × K = 5.0 × 4.0 × 0.80 = 16 [ k W h ] \begin{aligned}
E &= P_{\mathrm{STC}}\times\frac{H}{G_{\mathrm{STC}}}\times K \\
&= 5.0\times 4.0\times 0.80 \\
&= 16\ \mathrm{[kWh]}
\end{aligned} E = P STC × G STC H × K = 5.0 × 4.0 × 0.80 = 16 [ kWh ]
パワーコンディショナのはたらき
太陽電池が出すのは直流で、日射強度や温度によって電圧と電流が変わります。一方、系統は一定の電圧と周波数の交流です。そのままつなぐことはできません。この変換と制御を受け持つ装置が、パワーコンディショナ(パワコン)です(図9)。
太陽電池
アレイ
パワーコンディショナ
MPPT
最大電力点を追う
インバータ
DC → AC
連系保護
単独運転検出
電圧の異常
周波数の異常
系統
交流
直流
交流
交流
直流を、系統と同じ交流にそろえて送り出す
図9 パワーコンディショナの構成。MPPT で出力を最大にし、インバータで交流に変え、連系保護を通して系統へ送る
機能 はたらき インバータ 直流を交流に変える MPPT 出力が最大になる動作点を探す 系統連系保護 電圧・周波数の異常で系統から切り離す 単独運転検出 停電した系統へ送電し続けない
インバータは、半導体のスイッチで直流を交流に変え、系統の電圧と周波数にそろえます。半導体のスイッチで交流をつくるしくみは、インバータ の記事でくわしく扱います。MPPT は、動作点の電圧を少し動かして、出力が増えればその向きに、減れば逆向きに動かす、という操作をくり返して最大電力点に追従します。
系統連系保護は、系統の電圧が高すぎる、低すぎる、周波数が上がる、下がる、といった異常を検出して、太陽光発電を系統から切り離します。
ポイント
単独運転は、系統が停電したのに、太陽光発電が送電を続けてしまう状態です。系統側で復旧作業をしている人が感電するおそれがあるため、パワコンが検出して運転を止めます。検出方式には、電圧や周波数の急な変化を見る受動方式と、わざと小さな変動を加えて系統の反応を見る能動方式があります。
パワーコンディショナの変換効率は、直流の入力に対する交流の出力の割合で、約 95〜98 % が目安です。機種や負荷の大きさで変わるので、計算問題では問題文の値を使います。
住宅の外壁などに、白い箱形の機器として取り付けられることがあります。
1 箱形の本体 2 蛇腹の管 3 外壁 箱形の本体 直流を交流に変える回路などを収める蛇腹の管 配線を通して保護する外壁 屋外の壁に取り付けた例図10 外壁に取り付けた箱形の機器。パワーコンディショナの外観のイメージ(写真はイメージ)
太陽光発電の長所と短所
ここまでの仕組みから、太陽光発電の特徴が整理できます。
特徴 理由 燃料が要らない 光から直接電気をつくる 回る機械がない タービンも発電機も使わない 出力が天候で変わる 日射強度で電流が変わる 夜は発電しない 日射がなく、出力が 0 になる パワコンが必要 直流を交流に変えるため
一番の課題は、出力の変動です(図11)。晴れた日の出力は、正午ごろに最大になる山形です。朝夕は日射が弱く、夜は 0 になります。雲が多い日は、出力が小さくなるうえ、雲が通るたびに急に上下します。
晴れの日
雲が多い日
出力
0
6
12
18
24
[時]
夜は 0
夜は 0
正午ごろが最大
朝夕は日射が弱く、雲が通ると出力は急に下がる
図11 晴れの日と雲が多い日の 1 日の出力。晴れの日は正午ごろに最大となる山形で、雲が多い日は出力が小さく、細かく変動する
日が傾くと、パネルに当たる光は弱くなります。夕方に出力が落ちていくのは、このためです。
1 雲 2 夕日 3 パネル 4 架台の脚 雲 日射を弱め、出力を下げる夕日 日が低いと、パネルに当たる光が弱いパネル 光が弱いと電流が小さくなる架台の脚 パネルを傾けて支える図12 夕方のパネルの列。日が低くなると、当たる光が弱まる(写真はイメージ)
出力が天気で変わる分は、ほかの発電で補います。揚水発電 は、電気が余るときにポンプで水をくみ上げ、足りないときに発電するので、出力の変動を支える役を担えます。
よくある質問
気温が高いほど、太陽光発電の出力は大きくなりますか?
いいえ。日射強度が同じなら、温度が上がると電圧が下がり、出力は小さくなります。結晶シリコンでは、セル温度が 1℃ 上がるごとに、最大出力が約 0.3〜0.5 % 下がります。
変換効率と曲線因子は、どう違いますか?
変換効率は、受けた光の電力に対する、取り出せる最大出力の割合です。曲線因子は、V o c I s c V_{\mathrm{oc}}I_{\mathrm{sc}} V oc I sc に対する最大出力の割合で、I-V 曲線がどれだけ角ばっているかを表します。
パワーコンディショナとインバータは、同じものですか?
インバータは、直流を交流に変える回路の名前です。パワーコンディショナは、インバータに MPPT や系統連系保護などの機能を加えた、装置全体を指します。
太陽電池は、直列と並列のどちらでつなぎますか?
両方を組み合わせます。必要な電圧は直列の枚数で、必要な電流は並列の列数で決めます。
定格出力は、どんな条件での値ですか?
標準試験条件(STC)での出力です。日射強度 1000 [ W / m 2 ] 1000\ \mathrm{[W/m^{2}]} 1000 [ W/ m 2 ] 、セル温度 25℃、大気質量 AM1.5 の条件で測ります。屋外では日射強度もセル温度も変わるので、実際の出力は定格出力とずれます。
思い出してみよう
答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。
太陽電池は、どのような仕組みで光を電気に変えますか? pn 接合に光が当たると、電子と正孔のペアができます。内部電界で電子は n 形側、正孔は p 形側へ分けられ、負荷をつなぐと電流が流れます。
直列と並列で、電圧と電流はそれぞれどう変わりますか? 直列は電圧が足し算で電流は変わりません。並列は電流が足し算で電圧は変わりません。
短絡電流、開放電圧、最大電力点とは何ですか? 曲線因子の式は? 短絡電流は V = 0 V=0 V = 0 のときの電流、開放電圧は I = 0 I=0 I = 0 のときの電圧です。最大電力点は P = V I P=VI P = V I が最大になる点で、F F = P m a x V o c I s c \mathrm{FF}=\dfrac{P_{\mathrm{max}}}{V_{\mathrm{oc}}I_{\mathrm{sc}}} FF = V oc I sc P max です。
日射強度が下がったときと、温度が上がったとき、I-V 特性はどう変わりますか? 日射強度が下がると電流がほぼ比例して小さくなります。温度が上がると電流はほぼ変わらず、電圧が下がって出力が小さくなります。
出力 P P P と発電電力量 E E E を求める式は? P = G A η K P=G\,A\,\eta\,K P = G A η K 、E = P S T C × H G S T C × K E=P_{\mathrm{STC}}\times\dfrac{H}{G_{\mathrm{STC}}}\times K E = P STC × G STC H × K です。G G G は日射強度、A A A は面積、η \eta η は変換効率、K K K は損失係数、H H H は日射量です。
パワーコンディショナの主な機能を 3 つあげてください。 直流を交流に変えるインバータ、出力が最大になる点を探す MPPT、異常時に系統から切り離す系統連系保護(単独運転検出を含む)です。
まとめ
太陽光発電は、太陽電池が光から直接、直流の電気をつくる。燃料もタービンもいらない
pn 接合に光が当たると、電子と正孔が内部電界で分けられて電流が流れる
セルを直列にすると電圧が、並列にすると電流が足し算になる
I-V 特性で電力が最大になる点が最大電力点。曲線因子 FF は曲線の角ばり具合を表す
日射強度が下がると電流が、温度が上がると電圧が下がる。温度係数は負の値
パワーコンディショナは、インバータ・MPPT・系統連系保護を受け持つ
出力は天候と時刻で変わり、夜は 0 になる
求めるもの 式 最大出力 P m a x = V p m I p m P_{\mathrm{max}}=V_{\mathrm{pm}}\,I_{\mathrm{pm}} P max = V pm I pm 曲線因子 F F = P m a x V o c I s c \mathrm{FF}=\dfrac{P_{\mathrm{max}}}{V_{\mathrm{oc}}\,I_{\mathrm{sc}}} FF = V oc I sc P max 変換効率 η = P G A \eta=\dfrac{P}{G\,A} η = G A P 出力 P = G A η K P=G\,A\,\eta\,K P = G A η K 発電電力量 E = P S T C H G S T C K E=P_{\mathrm{STC}}\dfrac{H}{G_{\mathrm{STC}}}K E = P STC G STC H K
次は、風のエネルギーで発電する風力発電 です。風車の出力は、風速の 3 乗に比例します。太陽光のように出力が変わる発電を支える仕組みは、揚水発電 も合わせて読んでください。