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電力発電所 / その他の発電16分で読めます

太陽光発電の仕組みと出力計算|変換効率・I-V特性・パワーコンディショナ

電験三種の太陽光発電を解説。太陽電池が光から電気をつくる仕組み、I-V特性と最大電力点、変換効率と温度の影響、パワーコンディショナのはたらき、出力と発電電力量の計算を図と例題で整理します。

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暗い色の屋根の斜面に、青い太陽電池パネルが縦長に2段、8枚ならんで固定されている
この記事の目次
  1. 太陽光発電とは
  2. 太陽電池が光を電気に変える仕組み
  3. I-V特性と最大電力点
  4. 変換効率と出力の求め方
  5. パワーコンディショナのはたらき
  6. 太陽光発電の長所と短所
  7. よくある質問
  8. 気温が高いほど、太陽光発電の出力は大きくなりますか?
  9. 変換効率と曲線因子は、どう違いますか?
  10. パワーコンディショナとインバータは、同じものですか?
  11. 太陽電池は、直列と並列のどちらでつなぎますか?
  12. 定格出力は、どんな条件での値ですか?
  13. まとめ
図解でわかる 電験三種 電力 1 水力発電 の表紙電力を図解で読む図解でわかる 電験三種 電力 1
水力発電
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燃料を使わない代わりに、出力は空模様と時刻で決まる。それが太陽光発電です。原子力発電までは、熱で蒸気をつくってタービンを回す発電でした。太陽光発電は、タービンも発電機も使わず、光から直接電気をつくります。この記事では、太陽電池が光を電気に変える仕組み、I-V 特性と最大電力点、変換効率と温度の影響、パワーコンディショナのはたらき、出力と発電電力量の計算を、図と例題で整理します。電験三種の「電力」では、太陽電池の特性と出力の計算が問われます。

太陽光発電の全体像
  • 太陽光発電とは
    • 太陽電池が光から直接、直流の電気をつくる。燃料もタービンもいらない
  • 太陽電池の仕組み
    • pn 接合に光が当たると電子と正孔が分かれ、電流が流れる
    • セル 1 枚は約 0.5〜0.6 V。直列で電圧、並列で電流を増やす
  • I-V 特性と最大電力点
    • 電力が最大になる点が最大電力点。曲線因子 FF=PmaxVocIsc\mathrm{FF}=\dfrac{P_{\mathrm{max}}}{V_{\mathrm{oc}}I_{\mathrm{sc}}}
    • 日射強度は電流に、温度は電圧に効く
  • 変換効率と出力の求め方
    • P=G A η KP=G\,A\,\eta\,K。温度補正と発電電力量の式もある
  • パワーコンディショナ
    • 直流を交流に変え、MPPT と系統連系保護を受け持つ
  • 長所と短所
    • 燃料は不要だが、出力は天候と時刻で変わる

太陽光発電とは

太陽光発電は、太陽電池に光を当てて、直流の電気を直接つくる発電方式です。火力・水力・原子力のような、蒸気や水でタービンを回す工程はありません。光が電気に変わり、パワーコンディショナで交流に直してから、負荷や系統へ送ります(図1)。

太陽光 太陽電池 光を電気に パワー コンディショナ 系統 負荷へ送る 光 直流 交流 太陽電池が出すのは直流。系統に合わせて交流に変える タービンや発電機のような回転する機械は使わない
図1 太陽光発電の流れ。太陽電池が光から直流をつくり、パワーコンディショナが交流に変えて系統へ送る

回る機械がないので、発電そのものに燃料は要りません。一方で、出力は日射の強さに左右されます。夜は 0 になり、雲が出れば下がります。蒸気の流れを制御して出力を決める火力発電の仕組みとは、ここが大きく違います。この「出力が天気まかせ」という性質が、太陽光発電の計算と運用の両方に影響します。

発電所として並べるときは、多数のパネルを架台に固定して、広い敷地に列にして敷き詰めます。

青空と緑の山を背景に、傾いた太陽電池パネルが砂利の地面に何列も並んでいる
  1. 遠くの山 周りの山や建物の影が落ちない場所に設置する
  2. パネル 光を受けて発電する面。傾けて架台に固定する
  3. コンクリート基礎 架台を地面に固定する
  4. 影 パネルの影が地面に落ちる。次の列にかからないよう、列の間を空ける
図2 地上に並べた太陽電池パネル。架台に固定して列にする(写真はイメージ)

太陽電池が光を電気に変える仕組み

太陽電池の中身は、p 形半導体と n 形半導体を合わせた pn 接合です。ダイオードと同じ構造で、光を受ける面に電極をつけています。光が当たると、半導体の中で電子と正孔のペアができます。接合部には内部電界があり、電子は n 形側へ、正孔は p 形側へ引き分けられます(図3)。これを光起電力効果といいます。負荷をつなぐと、分けられた電子が外の回路を通って戻り、電流が流れます。

太陽光 n形半導体 電子が多い 空乏層 内部電界ができる p形半導体 正孔が多い 内部電界 − 電子 + 正孔 負荷 電流 裏面電極 表面電極 光が当たると、電子と正孔のペアができる 内部電界が電子を n 側、正孔を p 側へ分け、電流が流れる
図3 太陽電池の断面。光で生じた電子と正孔が内部電界で分けられ、負荷に電流が流れる

セル 1 枚(シリコンの場合)が出す電圧は約 0.5∼0.6 [V]0.5\sim 0.6\ \mathrm{[V]} と小さいので、使い道に合わせて直列・並列につなぎます。セルを何枚かつないでパネル状にしたものがモジュール、モジュールをつないで必要な電圧と電流にしたものがアレイです(図4)。

セル モジュール アレイ 約 0.5〜0.6 V 例:60 枚を直列に 約 30 V 直列の列を並べる 直列は電圧が足し算、並列は電流が足し算
図4 セルからアレイまで。直列にすると電圧が、並列にすると電流が足し算になる

接続のルールは、電池の直列・並列と同じです。

接続電圧電流
直列足し算変わらない
並列変わらない足し算

セルの表面には、細い線と太い線が見えます。細い線で電流を集め、太い線でまとめて取り出します。光をさえぎる面積を減らしたいので、集電用の線は細くしてあります。

セルの表面のクローズアップ。濃い青色の面に細い電極線が等間隔に並び、太い銀色の線が走っている。左上に光の反射が写る
  1. 反射光 ガラス面は光の一部を反射する
  2. 細い電極線 セルの表面で電流を集める
  3. バスバー 集めた電流をまとめて取り出す太い線
  4. セル本体 光を受けて電気をつくる面
図5 セルの表面。細い電極線で電流を集め、太い線でまとめる(写真はイメージ)

太陽電池は、材料の違いで変換効率が変わります。変換効率は、受けた光のエネルギーのうち、電気として取り出せる割合です。

種類変換効率の目安特徴
単結晶シリコン約 15〜20 %台効率が高い
多結晶シリコン約 15〜18 %小さな結晶の集まり
アモルファス(薄膜)約 7〜10 %薄く軽い。効率は低め

数値は製品や年代で幅があるので目安です。計算問題では、効率は問題文で与えられます。

解答と解説を見る

直列 12 枚で電圧が 12 倍、並列 3 列で電流が 3 倍になります。

V=30×12=360 [V]I=8×3=24 [A]\begin{aligned} V &= 30\times 12 = 360\ \mathrm{[V]} \\ I &= 8\times 3 = 24\ \mathrm{[A]} \end{aligned}

出力電力は、電圧と電流の積です。

P=VI=360×24=8640 [W]=8.64 [kW]\begin{aligned} P &= VI \\ &= 360\times 24 \\ &= 8640\ \mathrm{[W]} \\ &= 8.64\ \mathrm{[kW]} \end{aligned}

1 枚の出力 30×8=240 [W]30\times 8=240\ \mathrm{[W]} に、枚数 12×3=3612\times 3=36 を掛けた値と一致します。

I-V特性と最大電力点

太陽電池に光を当てたまま、負荷を変えて電圧 VV と電流 II を測ると、図6の曲線になります。これが I-V 特性です。電力 P=VIP=VI の曲線も重ねて描いてあります。

電流 I(左軸) 電力 P(右軸) 0 3 6 9 0 100 200 300 0 10 20 30 40 50 [A] [W] [V] Vpm × Ipm 最大電力点 短絡電流 Isc 開放電圧 Voc Vpm Ipm 最大出力 = 黄色の長方形の面積。灰色の点線の枠に近いほど FF が大きい
図6 太陽電池の I-V 特性と P-V 特性。電力が最大になる点が最大電力点

曲線の両端には、名前がついています。

名称状態値
短絡電流 IscI_{\mathrm{sc}}端子を短絡(V=0V=0)電流が最大
開放電圧 VocV_{\mathrm{oc}}何もつながない(I=0I=0)電圧が最大

どちらの端でも、電圧か電流が 0 なので電力 P=VIP=VI は 0 です。途中で電力が最大になる点があり、これを最大電力点といいます。そのときの電圧を VpmV_{\mathrm{pm}}、電流を IpmI_{\mathrm{pm}} とすると、最大出力は次の式です。

Pmax=Vpm IpmP_{\mathrm{max}}=V_{\mathrm{pm}}\,I_{\mathrm{pm}}

図6の黄色の長方形の面積が、最大出力にあたります。この長方形が、VocV_{\mathrm{oc}} と IscI_{\mathrm{sc}} でつくる大きな長方形にどれだけ近いかを表すのが、曲線因子(FF)です。

FF=PmaxVoc Isc\mathrm{FF}=\frac{P_{\mathrm{max}}}{V_{\mathrm{oc}}\,I_{\mathrm{sc}}}

FF は 1 を超えず、1 に近いほど曲線が角ばっていて、取り出せる電力が大きくなります。シリコンのモジュールでは、0.7〜0.8 程度が目安です。

図6は、60 枚のセルを直列にしたモジュールを、単一ダイオードモデルで計算した例です。実際の製品の値ではありませんが、VocV_{\mathrm{oc}} は約 37.5 [V]37.5\ \mathrm{[V]}、IscI_{\mathrm{sc}} は 9.0 [A]9.0\ \mathrm{[A]}、VpmV_{\mathrm{pm}} は約 30 [V]30\ \mathrm{[V]}、IpmI_{\mathrm{pm}} は約 8.4 [A]8.4\ \mathrm{[A]}、PmaxP_{\mathrm{max}} は約 250 [W]250\ \mathrm{[W]} です。

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最大出力は、最大電力点の電圧と電流の積です。

Pmax=Vpm Ipm=30×8.4=252 [W]\begin{aligned} P_{\mathrm{max}} &= V_{\mathrm{pm}}\,I_{\mathrm{pm}} \\ &= 30\times 8.4 \\ &= 252\ \mathrm{[W]} \end{aligned}

曲線因子は、VocIscV_{\mathrm{oc}}I_{\mathrm{sc}} に対する最大出力の割合です。

FF=PmaxVoc Isc=25238×9.0≈0.74\begin{aligned} \mathrm{FF} &= \frac{P_{\mathrm{max}}}{V_{\mathrm{oc}}\,I_{\mathrm{sc}}} \\ &= \frac{252}{38\times 9.0} \\ &\approx 0.74 \end{aligned}

I-V 特性は、日射強度と温度で変わります(図7)。

日射強度が変わると 電流 電圧 1000 W/m2 600 W/m2 200 W/m2 電流が日射強度にほぼ比例 温度が変わると 電流 電圧 25℃ 50℃ 75℃ 電圧が下がる 温度が上がると電圧が下がる 日射強度は電流に、温度は電圧に効く
図7 日射強度と温度による I-V 特性の変化。日射強度は電流に、温度は電圧に効く
  • 日射強度が下がると、電流がほぼ比例して小さくなります。光が減ると、つくられる電子と正孔の数が減るためです。電圧はあまり変わりません。
  • 温度が上がると、電流はほとんど変わらず、電圧が下がります。その結果、最大出力は小さくなります。

結晶シリコンでは、セル温度が 1℃ 上がるごとに、最大出力がおよそ 0.3〜0.5 % 小さくなります。この割合を出力の温度係数といい、−0.40 %/℃ のように負の値で与えられます。

日射強度や温度が変わると、最大電力点の位置も動きます。そこでパワーコンディショナは、動作点を少しずつ動かしながら、出力が最大になる点を探し続けます。これを最大電力点追従制御(MPPT)といいます。

変換効率と出力の求め方

変換効率 η\eta は、受けた日射エネルギーに対する、取り出した電力の割合です。面積 A [m2]A\ \mathrm{[m^{2}]} のパネルに、日射強度 G [kW/m2]G\ \mathrm{[kW/m^{2}]} の光が当たるとき、入ってくる光の電力は GAGA です。

η=PG A\eta=\frac{P}{G\,A}

これを出力 P [kW]P\ \mathrm{[kW]} について解き、さらに配線やパワーコンディショナなどの損失をまとめた損失係数 KK を掛けると、実際の出力が見積もれます(図8)。

日射強度 G [kW/m2] 晴れで約 1 面積 A [m2] パネルの面積 変換効率 η 0.15〜0.20 損失 K 1 以下 × × × = 出力 P [kW] P = G × A × η × K 破線の K は、温度・汚れ・配線・変換の損失をまとめた係数 損失を無視する問題では K = 1 として計算する
図8 太陽電池の出力。日射強度、面積、変換効率、損失係数を掛け合わせる
P=G A η KP=G\,A\,\eta\,K

水力発電の出力の P=9.8 QHηP=9.8\,QH\eta と同じく、入るエネルギーに効率を掛ける形です。損失を無視してよい問題では K=1K=1 として計算します。

モジュールの定格出力は、標準試験条件(STC)での出力です。STC は、日射強度 1000 [W/m2]1000\ \mathrm{[W/m^{2}]}(=1 [kW/m2]=1\ \mathrm{[kW/m^{2}]})、セル温度 25℃、大気質量 AM1.5 の条件をいいます。実際の日射強度やセル温度が STC と違うときは、次のように補正します。

P=PSTC×G1000×{1+α (T−25)}\begin{aligned} P &= P_{\mathrm{STC}}\times\frac{G}{1000} \\ &\times\{1+\alpha\,(T-25)\} \end{aligned}

PSTCP_{\mathrm{STC}} は定格出力、GG は日射強度 [W/m2]\mathrm{[W/m^{2}]}、TT はセル温度、α\alpha は出力の温度係数(負の値)です。T−25T-25 は、セル温度が STC より何℃高いかを表します。

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(1) モジュールに入る光の電力は、日射強度と面積の積です。

η=PG A=2881000×1.6=0.18\begin{aligned} \eta &= \frac{P}{G\,A} \\ &= \frac{288}{1000\times 1.6} \\ &= 0.18 \end{aligned}

変換効率は 0.180.18(18 %)です。

(2) 日射強度、面積、効率を掛けます。

P=G A η=700×30×0.18=3780 [W]=3.78 [kW]\begin{aligned} P &= G\,A\,\eta \\ &= 700\times 30\times 0.18 \\ &= 3780\ \mathrm{[W]} \\ &= 3.78\ \mathrm{[kW]} \end{aligned}
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セル温度は STC より 30℃ 高いので、温度による出力の低下は、次の倍率になります。

1−0.0040×30=0.881-0.0040\times 30=0.88

日射強度の倍率は 8001000=0.8\dfrac{800}{1000}=0.8 です。直流出力は次のとおりです。

Pdc=4.0×0.8×0.88=2.816 [kW]\begin{aligned} P_{\mathrm{dc}} &= 4.0\times 0.8\times 0.88 \\ &= 2.816\ \mathrm{[kW]} \end{aligned}

パワーコンディショナの効率を掛けて、交流の電力を求めます。

Pac=2.816×0.96≈2.70 [kW]\begin{aligned} P_{\mathrm{ac}} &= 2.816\times 0.96 \\ &\approx 2.70\ \mathrm{[kW]} \end{aligned}

出力 PP は、ある瞬間の電力です。1 日や 1 か月の発電電力量 E [kWh]E\ \mathrm{[kWh]} を見積もるときは、期間中の日射量 H [kWh/m2]H\ \mathrm{[kWh/m^{2}]} を使います。

E=PSTC×HGSTC×KE=P_{\mathrm{STC}}\times\frac{H}{G_{\mathrm{STC}}}\times K

GSTCG_{\mathrm{STC}} は STC の日射強度 1 [kW/m2]1\ \mathrm{[kW/m^{2}]}、KK は温度・汚れ・配線・パワーコンディショナの損失をまとめた総合設計係数です。HGSTC\dfrac{H}{G_{\mathrm{STC}}} は、定格出力で何時間発電したのと同じ日射量か、を表します。KK は問題文で与えられます。

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日射量を STC の日射強度で割ると、定格出力で発電したとみなす時間が求まります。

HGSTC=4.01.0=4.0 [h]\frac{H}{G_{\mathrm{STC}}}=\frac{4.0}{1.0}=4.0\ \mathrm{[h]}

発電電力量は次のとおりです。

E=PSTC×HGSTC×K=5.0×4.0×0.80=16 [kWh]\begin{aligned} E &= P_{\mathrm{STC}}\times\frac{H}{G_{\mathrm{STC}}}\times K \\ &= 5.0\times 4.0\times 0.80 \\ &= 16\ \mathrm{[kWh]} \end{aligned}

パワーコンディショナのはたらき

太陽電池が出すのは直流で、日射強度や温度によって電圧と電流が変わります。一方、系統は一定の電圧と周波数の交流です。そのままつなぐことはできません。この変換と制御を受け持つ装置が、パワーコンディショナ(パワコン)です(図9)。

太陽電池 アレイ パワーコンディショナ MPPT 最大電力点を追う インバータ DC → AC 連系保護 単独運転検出 電圧の異常 周波数の異常 系統 交流 直流 交流 交流 直流を、系統と同じ交流にそろえて送り出す
図9 パワーコンディショナの構成。MPPT で出力を最大にし、インバータで交流に変え、連系保護を通して系統へ送る
機能はたらき
インバータ直流を交流に変える
MPPT出力が最大になる動作点を探す
系統連系保護電圧・周波数の異常で系統から切り離す
単独運転検出停電した系統へ送電し続けない

インバータは、半導体のスイッチで直流を交流に変え、系統の電圧と周波数にそろえます。半導体のスイッチで交流をつくるしくみは、インバータの記事でくわしく扱います。MPPT は、動作点の電圧を少し動かして、出力が増えればその向きに、減れば逆向きに動かす、という操作をくり返して最大電力点に追従します。

系統連系保護は、系統の電圧が高すぎる、低すぎる、周波数が上がる、下がる、といった異常を検出して、太陽光発電を系統から切り離します。

パワーコンディショナの変換効率は、直流の入力に対する交流の出力の割合で、約 95〜98 % が目安です。機種や負荷の大きさで変わるので、計算問題では問題文の値を使います。

住宅の外壁などに、白い箱形の機器として取り付けられることがあります。

ベージュの外壁に取り付けた白い箱形の機器。下から蛇腹の管が下へ延びている
  1. 箱形の本体 直流を交流に変える回路などを収める
  2. 蛇腹の管 配線を通して保護する
  3. 外壁 屋外の壁に取り付けた例
図10 外壁に取り付けた箱形の機器。パワーコンディショナの外観のイメージ(写真はイメージ)

太陽光発電の長所と短所

ここまでの仕組みから、太陽光発電の特徴が整理できます。

特徴理由
燃料が要らない光から直接電気をつくる
回る機械がないタービンも発電機も使わない
出力が天候で変わる日射強度で電流が変わる
夜は発電しない日射がなく、出力が 0 になる
パワコンが必要直流を交流に変えるため

一番の課題は、出力の変動です(図11)。晴れた日の出力は、正午ごろに最大になる山形です。朝夕は日射が弱く、夜は 0 になります。雲が多い日は、出力が小さくなるうえ、雲が通るたびに急に上下します。

晴れの日 雲が多い日 出力 0 6 12 18 24 [時] 夜は 0 夜は 0 正午ごろが最大 朝夕は日射が弱く、雲が通ると出力は急に下がる
図11 晴れの日と雲が多い日の 1 日の出力。晴れの日は正午ごろに最大となる山形で、雲が多い日は出力が小さく、細かく変動する

日が傾くと、パネルに当たる光は弱くなります。夕方に出力が落ちていくのは、このためです。

夕焼けの空に太陽が低く沈み、手前に架台で傾けた太陽電池パネルの列が並ぶ
  1. 雲 日射を弱め、出力を下げる
  2. 夕日 日が低いと、パネルに当たる光が弱い
  3. パネル 光が弱いと電流が小さくなる
  4. 架台の脚 パネルを傾けて支える
図12 夕方のパネルの列。日が低くなると、当たる光が弱まる(写真はイメージ)

出力が天気で変わる分は、ほかの発電で補います。揚水発電は、電気が余るときにポンプで水をくみ上げ、足りないときに発電するので、出力の変動を支える役を担えます。

よくある質問

気温が高いほど、太陽光発電の出力は大きくなりますか?

いいえ。日射強度が同じなら、温度が上がると電圧が下がり、出力は小さくなります。結晶シリコンでは、セル温度が 1℃ 上がるごとに、最大出力が約 0.3〜0.5 % 下がります。

変換効率と曲線因子は、どう違いますか?

変換効率は、受けた光の電力に対する、取り出せる最大出力の割合です。曲線因子は、VocIscV_{\mathrm{oc}}I_{\mathrm{sc}} に対する最大出力の割合で、I-V 曲線がどれだけ角ばっているかを表します。

パワーコンディショナとインバータは、同じものですか?

インバータは、直流を交流に変える回路の名前です。パワーコンディショナは、インバータに MPPT や系統連系保護などの機能を加えた、装置全体を指します。

太陽電池は、直列と並列のどちらでつなぎますか?

両方を組み合わせます。必要な電圧は直列の枚数で、必要な電流は並列の列数で決めます。

定格出力は、どんな条件での値ですか?

標準試験条件(STC)での出力です。日射強度 1000 [W/m2]1000\ \mathrm{[W/m^{2}]}、セル温度 25℃、大気質量 AM1.5 の条件で測ります。屋外では日射強度もセル温度も変わるので、実際の出力は定格出力とずれます。

思い出してみよう

答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。

太陽電池は、どのような仕組みで光を電気に変えますか?

pn 接合に光が当たると、電子と正孔のペアができます。内部電界で電子は n 形側、正孔は p 形側へ分けられ、負荷をつなぐと電流が流れます。

直列と並列で、電圧と電流はそれぞれどう変わりますか?

直列は電圧が足し算で電流は変わりません。並列は電流が足し算で電圧は変わりません。

短絡電流、開放電圧、最大電力点とは何ですか? 曲線因子の式は?

短絡電流は V=0V=0 のときの電流、開放電圧は I=0I=0 のときの電圧です。最大電力点は P=VIP=VI が最大になる点で、FF=PmaxVocIsc\mathrm{FF}=\dfrac{P_{\mathrm{max}}}{V_{\mathrm{oc}}I_{\mathrm{sc}}} です。

日射強度が下がったときと、温度が上がったとき、I-V 特性はどう変わりますか?

日射強度が下がると電流がほぼ比例して小さくなります。温度が上がると電流はほぼ変わらず、電圧が下がって出力が小さくなります。

出力 PP と発電電力量 EE を求める式は?

P=G A η KP=G\,A\,\eta\,K、E=PSTC×HGSTC×KE=P_{\mathrm{STC}}\times\dfrac{H}{G_{\mathrm{STC}}}\times K です。GG は日射強度、AA は面積、η\eta は変換効率、KK は損失係数、HH は日射量です。

パワーコンディショナの主な機能を 3 つあげてください。

直流を交流に変えるインバータ、出力が最大になる点を探す MPPT、異常時に系統から切り離す系統連系保護(単独運転検出を含む)です。

まとめ

  • 太陽光発電は、太陽電池が光から直接、直流の電気をつくる。燃料もタービンもいらない
  • pn 接合に光が当たると、電子と正孔が内部電界で分けられて電流が流れる
  • セルを直列にすると電圧が、並列にすると電流が足し算になる
  • I-V 特性で電力が最大になる点が最大電力点。曲線因子 FF は曲線の角ばり具合を表す
  • 日射強度が下がると電流が、温度が上がると電圧が下がる。温度係数は負の値
  • パワーコンディショナは、インバータ・MPPT・系統連系保護を受け持つ
  • 出力は天候と時刻で変わり、夜は 0 になる
求めるもの式
最大出力Pmax=Vpm IpmP_{\mathrm{max}}=V_{\mathrm{pm}}\,I_{\mathrm{pm}}
曲線因子FF=PmaxVoc Isc\mathrm{FF}=\dfrac{P_{\mathrm{max}}}{V_{\mathrm{oc}}\,I_{\mathrm{sc}}}
変換効率η=PG A\eta=\dfrac{P}{G\,A}
出力P=G A η KP=G\,A\,\eta\,K
発電電力量E=PSTCHGSTCKE=P_{\mathrm{STC}}\dfrac{H}{G_{\mathrm{STC}}}K

次は、風のエネルギーで発電する風力発電です。風車の出力は、風速の 3 乗に比例します。太陽光のように出力が変わる発電を支える仕組みは、揚水発電も合わせて読んでください。

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