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理論電気理論 / 直流回路16分で読めます

キルヒホッフの法則の解き方|電流則・電圧則と連立方程式の立て方

電験三種のキルヒホッフの法則を図解で整理します。電流則と電圧則の意味、符号の決め方、枝電流法による連立方程式の解き方、答えが負になる場合、電力での検算を、四つの例題と写真で順に確認できます。

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二つの電池ボックスと三本の抵抗をブレッドボード上の枝分かれした配線につないだ写真
この記事の目次
  1. キルヒホッフの法則とは
  2. 電流則(第1法則)
  3. 電圧則(第2法則)
  4. 一巡の回路で確かめる
  5. 解き方の手順(枝電流法)
  6. 式は何本立てればよいか
  7. 三つの解き方の違い
  8. 例題:連立方程式の解き方と検算
  9. 別解:節点電位法と網目電流法
  10. 答えが負になる場合
  11. 符号の間違いを防ぐ
  12. よくある質問
  13. キルヒホッフの法則の符号の決め方は?
  14. 電流の向きを逆に仮定したらどうなる?
  15. キルヒホッフの法則で式は何本立てればよい?
  16. キルヒホッフの法則は交流回路でも使える?
  17. まとめ
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並列回路
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前の記事の並列回路では、直列と並列だけの回路を一本の合成抵抗にまとめて解きました。ところが電源が二つになると、合成抵抗にまとめるだけでは解けません。

キルヒホッフの法則は、回路の一つの点では電流の出入りが釣り合い(電流則)、閉じた一周では電圧の上がり下がりが釣り合う(電圧則)という、二つの決まりです。この二つで式を立てれば、電源が複数あって合成抵抗にまとめられない回路も、連立方程式として解けます。この記事では、二つの法則の意味、符号の決め方、解き方の手順、電験三種で出る形の例題を順に確認します。

キルヒホッフの法則の全体像
  • キルヒホッフの法則とは
    • 合成抵抗にまとめられない回路で使う
    • 節点・枝・閉回路の三つの言葉
  • 電流則(第1法則)
    • 節点に入る電流の和 = 出る電流の和
  • 電圧則(第2法則)
    • 一周すると電位は元に戻る
    • 符号は、通る向きで決める
  • 解き方の手順
    • 電流を仮定し、電流則と電圧則で式を立てる
    • 式の本数は「節点の数 − 1」と「窓の数」
  • 例題
    • 二電源の回路を解き、電力で検算する
    • 答えが負なら、仮定と逆向き

キルヒホッフの法則とは

キルヒホッフの法則は、直流回路で、複雑な回路を解くときの基本の道具です。1845年にドイツの物理学者キルヒホッフが示した、電流についての法則(第1法則、電流則)と、電圧についての法則(第2法則、電圧則)の二つからなります。

直列と並列だけの回路は、合成抵抗にまとめて、オームの法則で解けます。しかし、電源が二つ以上ある回路や、抵抗が橋渡しになっている回路は、一本の抵抗にまとめられません。こうした回路で使うのが、キルヒホッフの法則です。

回路を 1 本の抵抗にまとめられる? はい いいえ 合成抵抗にまとめて オームの法則で解く キルヒホッフの法則 で式を立てて解く 例 直列と並列だけの回路 例 電源が 2 個以上の回路 例 抵抗が橋渡しになる回路
図1 合成抵抗で解ける回路と、キルヒホッフの法則が必要な回路の見分け方

電源が二つある身近な例が、故障した車のバッテリーを、別の車のバッテリーとケーブルでつなぐ場面です。電源が二つ入ると、電流がどちらの電池からどちらへ流れるのかも、計算してみるまでは分かりません。向きが分からないまま解き始められるようにするのが、キルヒホッフの法則の使い方です。

二台の車のバッテリーが、赤いケーブルと黒いケーブルでつながれている写真
  1. 電池A 一つ目の電源
  2. 電池B 二つ目の電源
  3. 赤いケーブル 電池を結ぶ道の一つ
  4. 黒いケーブル もう一つの道
図2 二つの電池をケーブルでつなぐ。電源が二つあると、電流の向きは計算で決まる(写真はイメージ。実際の作業は車の取扱説明書に従うこと)

キルヒホッフの法則には、三つの言葉が出てきます。

言葉意味図3の例
節点三本以上の枝が集まる点上の点 a と下の点 b
枝節点から次の節点までの、分かれ道のない一本の道左・中央・右の三本
閉回路(ループ)同じ点を二度通らずに、一周できる道左の窓、右の窓
R1 R2 R3 + + a b 節点 枝が 3 本以上集まる点(a と b) 枝 節点から節点までの 1 本の道(3 本ある) 閉回路 ぐるっと一周できる道(窓が 2 つ)
図3 節点・枝・閉回路。この記事の例題の回路にあてはめる

図3は、この記事の例題で使う回路です。一周できる道は、左の窓、右の窓、外側の大きな一周の三つあります。ただし、式として独立なのは、内側に枝を含まない「窓」にあたる二つだけです。

電流則(第1法則)

電流則(キルヒホッフの第1法則)は、節点に流れ込む電流の和が、流れ出る電流の和に等しいという法則です。節点に電荷がたまったり、湧き出したりしないことを表しています。

流れ込む電流の和=流れ出る電流の和\text{流れ込む電流の和} = \text{流れ出る電流の和}

図4の節点では、I1I_1 と I2I_2 が流れ込み、I3I_3 と I4I_4 が流れ出ます。

I1 = 6 A I2 = 3 A I3 = 4 A I4 = ? A 節点 流れ込む合計 = 流れ出る合計 I1 + I2 = I3 + I4
図4 電流則。節点に流れ込む電流の和は、流れ出る電流の和に等しい
I1+I2=I3+I4I_1 + I_2 = I_3 + I_4

流れ込む向きを正、流れ出る向きを負として、すべてを足すと 00 になる、と書いても同じ式です。

解答と解説を見る

流れ込む電流の合計は 6+3=9 [A]6 + 3 = 9\,\mathrm{[A]} です。電流則より、

9=4+I49 = 4 + I_4

よって I4=5 [A]I_4 = 5\,\mathrm{[A]} です。正の値なので、図に描いた流れ出る向きのままです。

家庭の分電盤にも、電流則が現れます。主幹ブレーカーから入った電流は、母線で各分岐ブレーカーへ分かれます。母線を節点と見れば、入る電流は、分岐に流れる電流の合計に等しくなります。

住宅の分電盤の写真。上に主幹ブレーカー、下に並んだ分岐ブレーカーと配線がある
  1. 主幹ブレーカー ここから電流が入る
  2. 母線 電流が各分岐へ分かれる節点
  3. 分岐ブレーカー 流れ出る電流の一つ
  4. 各回路の配線 分かれた電流の行き先
図5 分電盤。主幹ブレーカーを通る電流は、各分岐に流れる電流の合計に等しい(写真はイメージ)

電圧則(第2法則)

電圧則(キルヒホッフの第2法則)は、閉回路を一周したとき、電源の起電力の和が、抵抗の電圧降下の和に等しいという法則です。

起電力の和=電圧降下の和\text{起電力の和} = \text{電圧降下の和}

別の言い方をすると、一周して元の点に戻れば、電位も元に戻ります。山道を一周して出発点へ戻れば、登った高さと下った高さが等しいのと同じです。電源を通るときに電位が上がり、抵抗を通るときに電位が下がる分が、ちょうど釣り合います。抵抗での電圧降下 RIRI は、オームの法則と直列回路で扱った量です。

式を立てるときに迷うのは、符号です。符号は「一周する向き」を一つ決めて、その向きに通ったときの関係で決まります。

式の形 起電力の和 = 電圧降下の和 + − E − から + へ通る 起電力は +E + − E + から − へ通る 起電力は −E R I 電流と同じ向きに通る 電圧降下は +RI R I 電流と逆向きに通る 電圧降下は −RI
図6 電圧則の符号の決め方。ループの向きと、電源の極・電流の向きを見比べる

電源は、通る向きだけで符号が決まります。負極から正極へ通れば電位が上がるので +E+E、正極から負極へ通れば下がるので −E-E です。抵抗は、電流の向きと見比べます。電流と同じ向きに通れば電位は RIRI だけ下がるので、電圧降下は +RI+RI、逆向きに通れば −RI-RI です。

一巡の回路で確かめる

まず、一周するだけの回路で確かめます。

R1 R2 + + E1 = 20 V E2 = 8 V R1 = 2 Ω R2 = 4 Ω I = 2 A 一周 a b c d
図7 例題2の回路。電池が逆向きに入っているので、電流は大きい方の向きに流れる
解答と解説を見る

a から b、c、d の順に、時計回りに一周します。E1E_1 は負極から正極へ通るので +E1+E_1、E2E_2 は正極から負極へ通るので −E2-E_2 です。二つの抵抗は、電流と同じ向きに通ります。

E1−E2=R1I+R2IE_1 - E_2 = R_1 I + R_2 I

数値を入れると、

20−8=2I+4I20 - 8 = 2I + 4I

12=6I12 = 6I より、I=2 [A]I = 2\,\mathrm{[A]} です。正の値なので、仮定した時計回りのとおりに流れます。

この答えを、電位の動きで追ってみます。a の電位を 0 [V]0\,\mathrm{[V]} として、時計回りに一周します。E1E_1 で 20 [V]20\,\mathrm{[V]} 上がって b は 20 [V]20\,\mathrm{[V]}、R1R_1 で 2×2=4 [V]2 \times 2 = 4\,\mathrm{[V]} 下がって c は 16 [V]16\,\mathrm{[V]} です。E2E_2 を逆向きに通って 8 [V]8\,\mathrm{[V]} 下がり、d は 8 [V]8\,\mathrm{[V]}、R2R_2 で 4×2=8 [V]4 \times 2 = 8\,\mathrm{[V]} 下がって a の 0 [V]0\,\mathrm{[V]} に戻ります。

20 V 16 V 8 V 0 V a b c d a 20 V 16 V 8 V E1 +20 V R1 −4 V E2 −8 V R2 −8 V
図8 一周したときの電位の変化。上がった分と下がった分の合計は 0 になる

上がった 20 [V]20\,\mathrm{[V]} と、下がった 4+8+8=20 [V]4 + 8 + 8 = 20\,\mathrm{[V]} が等しくなっています。これが「一周すると電位は元に戻る」の中身です。

抵抗の両端にテスター棒を当てると、電圧降下 RIRI を実際に読み取れます。電圧則の式に出てくる RIRI は、測れる量です。

ブレッドボード上の一つの抵抗の両端に、手で持った赤と黒のテスター棒を当てている写真
  1. 電池ボックス 電源
  2. テスター棒 測りたい部分に当てる
  3. 抵抗 電圧降下 RI が現れる
  4. テスター本体 電圧を読み取る
図9 抵抗の両端にテスター棒を当て、電圧降下を測る(写真はイメージ)

解き方の手順(枝電流法)

二つの法則を使った解き方には、決まった手順があります。ここでは、各枝の電流を未知数にする「枝電流法」で説明します。

1 電流の向きを仮定する 各枝の電流に名前と向きをつける(向きは自由) 2 電流則で式を立てる 節点の数 − 1 本だけ立てる 3 ループを選ぶ 窓の数だけ選び、一周する向きを決める 4 電圧則で式を立てる 起電力の和 = 電圧降下の和 5 連立方程式を解いて検算 負の答えは「仮定と逆向き」と読む
図10 キルヒホッフの法則の解き方。五つの手順(枝電流法)

手順を、二電源の回路にあてはめます。左の枝に E1E_1 と R1R_1、右の枝に E2E_2 と R2R_2、中央に R3R_3 がある回路です。

R1 R2 R3 + + E1 E2 I1 I2 I3 ループ 1 ループ 2 a b 青の矢印が仮定した電流、緑の矢印がループの向き
図11 電流とループの向きの決め方。向きは自由で、あとで答えの符号を見て読み替える

手順1 電流の向きを仮定する。 図11のように、左と右の枝の電流 I1I_1、I2I_2 は上向き、中央の枝の電流 I3I_3 は下向きと仮定します。向きは自由です。実際と逆でも、答えが負になるだけで、解き方は変わりません。

手順2 電流則で式を立てる。 節点 a では、I1I_1 と I2I_2 が流れ込み、I3I_3 が流れ出ます。

I3=I1+I2I_3 = I_1 + I_2

手順3 ループを選び、一周する向きを決める。 窓の数だけ選びます。ここでは、左の窓(ループ1)を時計回り、右の窓(ループ2)を反時計回りにします。

手順4 電圧則で式を立てる。 ループ1では、左の枝を上向きに通って E1E_1 は負極から正極へ、R1R_1 も電流と同じ向きです。中央の R3R_3 は下向きに通るので、これも I3I_3 と同じ向きです。

E1=R1I1+R3I3E_1 = R_1 I_1 + R_3 I_3

ループ2も、右の枝を上向き、中央を下向きに通るので、同じ形になります。

E2=R2I2+R3I3E_2 = R_2 I_2 + R_3 I_3

手順5 連立方程式を解く。 三つの式で、未知数は I1I_1、I2I_2、I3I_3 の三つです。解いたあと、元の式に代入して確かめます。

式は何本立てればよいか

立てる式の本数は、未知の電流の数と同じ、つまり枝の数だけです。内訳は次のとおりです。

  • 電流則は、節点の数が nn のとき、n−1n - 1 本
  • 電圧則は、枝の数が bb のとき、窓の数にあたる b−n+1b - n + 1 本

この回路では n=2n = 2、b=3b = 3 なので、電流則が 11 本、電圧則が 22 本の、合計 33 本です。電流則を nn 本立てないのは、すべての節点の式を足すと 0=00 = 0 になるからです。最後の一つの式は、ほかの式から導けてしまい、新しい情報になりません。節点 b で式を立てても、節点 a と同じ式になります。

ループの向きも自由です。ループ2を時計回りにすると、式は −E2=−R2I2−R3I3-E_2 = -R_2 I_2 - R_3 I_3 となりますが、これは両辺の符号を変えただけで、同じ式です。

実際の回路でも、配線が枝分かれする点は節点です。基板では、配線が三方向に分かれる丸い銅の部分が、節点にあたります。

緑の基板の上で、銅の配線が丸いはんだの部分から三方向に分かれている写真
  1. 配線 電流の通り道(枝)
  2. はんだの部分 節点にあたる
  3. ほかの枝 別の方向へ分かれる
図12 基板の配線が三方向に分かれる点。ここに出入りする電流は電流則で釣り合う(写真はイメージ)

三つの解き方の違い

同じ回路でも、未知数の取り方で式の本数が変わります。

解き方未知数この回路での式の本数
枝電流法各枝の電流3 本
網目電流法各窓を回る電流2 本
節点電位法節点の電位1 本

この記事で説明する枝電流法は、手順がいちばん素直です。網目電流法と節点電位法は、式が少なくなる反面、考え方に慣れが要ります。例題3の後で、同じ回路を二つの別解で解いてみます。

例題:連立方程式の解き方と検算

二電源の回路を、実際に解きます。

解答と解説を見る

電流の向きは図11のとおりに仮定し、三つの式を立てます。

I3=I1+I2⋯①I_3 = I_1 + I_2 \quad \cdots \text{①}24=3I1+6I3⋯②24 = 3I_1 + 6I_3 \quad \cdots \text{②}20=2I2+6I3⋯③20 = 2I_2 + 6I_3 \quad \cdots \text{③}

①を②と③に代入して、I3I_3 を消します。②は 24=3I1+6(I1+I2)=9I1+6I224 = 3I_1 + 6(I_1 + I_2) = 9I_1 + 6I_2 なので、33 で割って、

8=3I1+2I2⋯④8 = 3I_1 + 2I_2 \quad \cdots \text{④}

③は 20=2I2+6(I1+I2)=6I1+8I220 = 2I_2 + 6(I_1 + I_2) = 6I_1 + 8I_2 なので、22 で割って、

10=3I1+4I2⋯⑤10 = 3I_1 + 4I_2 \quad \cdots \text{⑤}

⑤から④を引くと 2=2I22 = 2I_2 なので、I2=1 [A]I_2 = 1\,\mathrm{[A]} です。④に入れて 8=3I1+28 = 3I_1 + 2 より、I1=2 [A]I_1 = 2\,\mathrm{[A]}、①より I3=3 [A]I_3 = 3\,\mathrm{[A]} です。

三つとも正の値なので、仮定した向きのとおりに流れています。②に代入すると 3×2+6×3=243 \times 2 + 6 \times 3 = 24、③に代入すると 2×1+6×3=202 \times 1 + 6 \times 3 = 20 となり、どちらも成り立ちます。

求めた電流を、回路図に書き込みます。中央の抵抗の電圧は R3I3=6×3=18 [V]R_3 I_3 = 6 \times 3 = 18\,\mathrm{[V]} で、これが a と b の間の電圧です。

R1 R2 R3 + + R1 = 3 Ω R2 = 2 Ω R3 = 6 Ω E1 24 V E2 20 V I1 = 2 A I2 = 1 A I3 = 3 A a b Vab = 18 V 電源が出す電力 24×2 + 20×1 = 68 W 抵抗が使う電力 12 + 2 + 54 = 68 W
図13 例題3の答え。電源が出す電力と抵抗が使う電力は、どちらも 68 W で一致する

電力でも検算できます。電源が出す電力は、24×2+20×1=68 [W]24 \times 2 + 20 \times 1 = 68\,\mathrm{[W]} です。抵抗が使う電力は、I2RI^2R で、R1R_1 が 22×3=12 [W]2^2 \times 3 = 12\,\mathrm{[W]}、R2R_2 が 12×2=2 [W]1^2 \times 2 = 2\,\mathrm{[W]}、R3R_3 が 32×6=54 [W]3^2 \times 6 = 54\,\mathrm{[W]} で、合計 68 [W]68\,\mathrm{[W]} です。電源が出す電力と抵抗が使う電力が等しいことは、解の確かめになります。

別解:節点電位法と網目電流法

同じ回路を、式の少ない方法で解いてみます。

節点電位法。 b を基準とした a の電位を V [V]V\,\mathrm{[V]} とおくと、各枝の電流は次のように書けます。

I1=24−V3,I2=20−V2,I3=V6I_1 = \frac{24 - V}{3}, \quad I_2 = \frac{20 - V}{2}, \quad I_3 = \frac{V}{6}

電流則 I1+I2=I3I_1 + I_2 = I_3 に入れて、両辺に 66 を掛けます。

2(24−V)+3(20−V)=V2(24 - V) + 3(20 - V) = V

108=6V108 = 6V より V=18 [V]V = 18\,\mathrm{[V]} です。I1=6/3=2 [A]I_1 = 6/3 = 2\,\mathrm{[A]}、I2=2/2=1 [A]I_2 = 2/2 = 1\,\mathrm{[A]}、I3=18/6=3 [A]I_3 = 18/6 = 3\,\mathrm{[A]} となり、枝電流法と同じ答えです。式が一本で済みます。この形の式を公式にしたものは、ミルマンの定理と呼ばれます。

網目電流法。 左の窓に時計回りの電流 JaJ_a、右の窓に反時計回りの電流 JbJ_b が回っていると考えます。左の枝の電流は I1=JaI_1 = J_a、右の枝の電流は I2=JbI_2 = J_b で、中央の抵抗は二つの電流がどちらも下向きに通るので I3=Ja+JbI_3 = J_a + J_b です。電圧則だけで、式は二本になります。

24=3Ja+6(Ja+Jb)20=2Jb+6(Ja+Jb)\begin{gathered} 24 = 3J_a + 6(J_a + J_b) \\ 20 = 2J_b + 6(J_a + J_b) \end{gathered}

整理すると 24=9Ja+6Jb24 = 9J_a + 6J_b、20=6Ja+8Jb20 = 6J_a + 8J_b で、解は Ja=2J_a = 2、Jb=1J_b = 1 です。やはり同じ答えになります。

答えが負になる場合

電源の値を変えると、仮定した向きと実際の向きが逆になることがあります。

解答と解説を見る

式の形は例題3と同じで、③の 2020 が 88 に変わります。

I3=I1+I224=3I1+6I38=2I2+6I3\begin{aligned} I_3 &= I_1 + I_2 \\ 24 &= 3I_1 + 6I_3 \\ 8 &= 2I_2 + 6I_3 \end{aligned}

②は例題3と同じなので 8=3I1+2I28 = 3I_1 + 2I_2 です。③は 8=2I2+6(I1+I2)=6I1+8I28 = 2I_2 + 6(I_1 + I_2) = 6I_1 + 8I_2 なので、22 で割って 4=3I1+4I24 = 3I_1 + 4I_2 になります。二つの式を引き算すると 2I2=−42I_2 = -4 なので、

I2=−2 [A]I_2 = -2\,\mathrm{[A]}

です。8=3I1−48 = 3I_1 - 4 より I1=4 [A]I_1 = 4\,\mathrm{[A]}、I3=4+(−2)=2 [A]I_3 = 4 + (-2) = 2\,\mathrm{[A]} です。

②に代入すると 3×4+6×2=243 \times 4 + 6 \times 2 = 24、③に代入すると 2×(−2)+6×2=82 \times (-2) + 6 \times 2 = 8 で、どちらも成り立ちます。

I2I_2 が負なので、右の枝の電流は、仮定した上向きと逆の下向きに 2 [A]2\,\mathrm{[A]} 流れています。

R1 R2 R3 + + R1 = 3 Ω R2 = 2 Ω R3 = 6 Ω E1 24 V E2 8 V I1 = 4 A I3 = 2 A I2 = −2 A a b I2 が負 = 仮定した上向きと逆に、下向きへ 2 A 流れている 右の電池は 8 V × 2 A = 16 W を受け取る(充電される) 電源が出す 96 W − 16 W = 抵抗が使う 80 W
図14 答えが負のときは、仮定と逆向きに流れている。右の電池は充電される側になる

負の答えは、間違いではありません。仮定と逆向きに流れている、という意味です。この例では、右の電池 E2E_2 の正極に向かって電流が流れ込むので、右の電池は電流を送り出す側ではなく、受け取る側(充電される側)になっています。電力で確かめると、電源 E1E_1 が 24×4=96 [W]24 \times 4 = 96\,\mathrm{[W]} を出し、E2E_2 は 8×2=16 [W]8 \times 2 = 16\,\mathrm{[W]} を受け取ります。抵抗が使う電力は 3×42+2×22+6×22=80 [W]3 \times 4^2 + 2 \times 2^2 + 6 \times 2^2 = 80\,\mathrm{[W]} で、96−16=80 [W]96 - 16 = 80\,\mathrm{[W]} と一致します。

この例では、a と b の間の電圧が R3I3=6×2=12 [V]R_3 I_3 = 6 \times 2 = 12\,\mathrm{[V]} で、E2=8 [V]E_2 = 8\,\mathrm{[V]} より高いため、右の電池に電流が押し込まれます。二台のバッテリーをつないだ図2も同じで、電池の状態に差があると、電圧の高い側から低い側へ電流が流れ込み、低い側が充電される形になります。実際の作業の手順は、車の取扱説明書に従ってください。

符号の間違いを防ぐ

よくある質問

キルヒホッフの法則の符号の決め方は?

符号は「通る向き」で決まります。電源は、負極から正極へ通るなら +E+E、正極から負極へ通るなら −E-E とします。抵抗は、一周する向きが電流と同じなら電圧降下 +RI+RI、逆なら −RI-RI です。これを「起電力の和 = 電圧降下の和」の形に当てはめれば、迷いません。

電流の向きを逆に仮定したらどうなる?

解き方は変わりません。その枝の電流が負の値で求まるだけで、大きさは同じです。「仮定と逆向きに流れている」と読み替えます。向きを最初から当てようとするより、とりあえず仮定して解く方が、早く確実です。

キルヒホッフの法則で式は何本立てればよい?

未知の電流と同じ数だけ立てます。電流則は「節点の数 − 1」本、電圧則は「窓の数」だけです。この記事の回路は、節点が二つ、窓が二つなので、1+2=31 + 2 = 3 本で、未知数 I1I_1、I2I_2、I3I_3 と数が合います。

キルヒホッフの法則は交流回路でも使える?

使えます。交流でも、各瞬間の電流や電圧(瞬時値)で成り立ち、複素数のベクトル表示(複素数と記号法)にすれば直流と同じ形の式で書けます。ただし、電圧の大きさ(実効値)をそのまま足してはいけません。位相を含めて足します。コイルやコンデンサを含む回路の扱いは、交流回路の単元で学びます。

思い出してみよう

答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。

電流則(第1法則)を、言葉で説明してください。

節点に流れ込む電流の和は、流れ出る電流の和に等しい、という法則です。

電圧則(第2法則)を、言葉で説明してください。

閉回路を一周すると、電源の起電力の和が、抵抗の電圧降下の和に等しくなる、という法則です。一周すれば電位が元に戻る、とも言えます。

電源を、負極から正極へ通るときと、正極から負極へ通るときの、起電力の符号は?

負極から正極へなら +E+E、正極から負極へなら −E-E です。

抵抗を、電流と同じ向きに通るときと、逆向きに通るときの、電圧降下の符号は?

同じ向きなら +RI+RI、逆向きなら −RI-RI です。

節点が二つ、枝が三つ、窓が二つの回路で、立てる式の本数は?

電流則が 2−1=12 - 1 = 1 本、電圧則が窓の数の 22 本で、合計 33 本です。

連立方程式を解いて、ある枝の電流が負の値になったら、どう読みますか。

仮定した向きと逆に、その大きさの電流が流れています。解き間違いではありません。

まとめ

  • キルヒホッフの法則は、合成抵抗にまとめられない回路(電源が複数ある回路など)を、連立方程式で解く道具
  • 電流則(第1法則)は、節点に流れ込む電流の和 = 流れ出る電流の和
  • 電圧則(第2法則)は、閉回路を一周したとき、起電力の和 = 電圧降下の和。符号は、通る向きで決める
  • 手順は、電流を仮定し、電流則(節点の数 − 1 本)、電圧則(窓の数)の式を立てて、連立方程式を解く
  • 答えが負なら、仮定と逆向きに流れている。電力の一致や、別のループへの代入で検算する

重ね合わせの理やテブナンの定理、ミルマンの定理など、この先の解き方も、二つの法則が土台です。式の立て方で迷ったら、合成抵抗にまとめる考え方を、並列回路とオームの法則と直列回路で見直しましょう。電流の合流で式を立てる考え方は、オペアンプの加算回路でもそのまま使います。

図解でわかる 電験三種 理論 2 並列回路 の表紙この単元を1冊で通して読む図解でわかる 電験三種 理論 / 第2巻並列回路分流・キルヒホッフからテブナン・ブリッジ・Δ-Y 変換までこの記事と同じ図解で、例題と練習問題まで1冊にまとめた Kindle 本です。Kindle Unlimited の対象なので、会員は追加料金なしで読めます。Amazon で見る

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デンケンラボ編集部

電験三種の合格プランをつくる問題集アプリ「デンケンラボ」の編集部です。試験センターの出題範囲に沿って、計算の考え方と覚えどころを図と式で解説しています。

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