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電力送電線路 / 電圧降下と送電電力12分で読めます

三相3線式の電圧降下の求め方|近似式・電圧降下率・送電損失を例題で解く

電験三種の三相3線式の電圧降下 v=√3I(Rcosθ+Xsinθ) を、ベクトル図から導いて解説します。電圧降下率と電圧変動率、送電損失と力率の関係、送電電力の式を三つの例題つきで確認できます。

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山の稜線に沿って鉄塔が並び、鉄塔の間に送電線が張られている写真
この記事の目次
  1. 三相3線式の電圧降下とは
  2. 電圧降下の近似式とベクトル図
  3. 電圧降下率と電圧変動率
  4. 送電損失と力率の関係
  5. 送電電力の式
  6. 三相3線式の電圧降下の例題
  7. よくある質問
  8. 電圧降下の式に 3\sqrt{3} が付くのはなぜですか。
  9. 電圧降下を小さくするには、どうすればよいですか。
  10. 電圧降下率と電圧変動率は同じものですか。
  11. まとめ
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三相3線式の送電線の電圧降下は、近似式 v=3 I (Rcos⁡θ+Xsin⁡θ) [V]v = \sqrt{3}\,I\,(R\cos\theta + X\sin\theta)\ \mathrm{[V]} で求めます。II は線電流、RR と XX は 1 線あたりの抵抗とリアクタンス、cos⁡θ\cos\theta は負荷の力率です。電験三種の「電力」では、この式に加えて電圧降下率、送電損失と力率の関係、送電電力の式がセットで問われます。結論から言うと、「1 相分で考えて、最後に 3\sqrt{3} を掛ける」が基本の型です。

三相3線式の電圧降下の全体像
  • 三相3線式の電圧降下とは
    • 送電端電圧と受電端電圧の差
    • 1 相分の等価回路で考える
  • 電圧降下の近似式とベクトル図
    • v=3I(Rcos⁡θ+Xsin⁡θ)v=\sqrt{3}I(R\cos\theta+X\sin\theta)
    • 電力で書くと v=(PR+QX)/Vv=(PR+QX)/V
  • 電圧降下率と電圧変動率
    • 分母は受電端電圧
  • 送電損失と力率の関係
    • 損失は 1/cos⁡2θ1/\cos^2\theta に比例
  • 送電電力の式
    • P=VsVrsin⁡δ/XP=V_sV_r\sin\delta/X
  • 例題
    • 電圧降下、損失、送電電力の 3 問

三相3線式の電圧降下とは

送電線は長い電線なので、電線には抵抗 RR と、電流の周りの磁束によるリアクタンス XX があります。電流 II が流れると、この RR と XX の両端に電圧が生じ、受電端の電圧は送電端より低くなります。この差が電圧降下 v=Vs−Vrv = V_s - V_r です。VsV_s は送電端電圧、VrV_r は受電端電圧で、どちらも線間電圧で表します。

三相3線式の電圧降下は、図1のように 1 相分の等価回路で考えます。三相が平衡していれば、3 本の電線は同じ状態なので、1 本分を取り出して計算し、最後に線間電圧へ直せば足ります。電圧降下の考え方の土台は、直列につないだ抵抗に電圧が分かれるオームの法則と直列回路と同じです。

R X 負荷 電流 I 線路(1 線あたり) 送電端 受電端 電圧降下 v = 送電端電圧 Vs − 受電端電圧 Vr
図1 送電線の 1 相分の等価回路。抵抗 R とリアクタンス X を通る電流が電圧降下を生む

図2は、送電線を支える鉄塔の実物です。電線 3 本が三相の 1 回線にあたり、鉄塔の左右にある 2 組で 2 回線になります。

鉄塔の腕に、がいし連で吊られた電線が左右に 3 本ずつ見える送電鉄塔を下から見上げた写真
  1. 架空地線 雷が電線に落ちないよう最上部に張る
  2. がいし 電線を鉄塔から絶縁して吊る
  3. 腕金 電線を離して支える鉄塔の腕
  4. 電線 3 本で三相 1 回線。この R と X が電圧降下を生む
図2 送電鉄塔。腕金に、がいしを介して三相の電線が吊られる(写真はイメージ)

電圧降下の近似式とベクトル図

電圧降下の近似式は、受電端電圧を基準にしたベクトル図から導きます。1 相分の受電端電圧を ErE_r、送電端電圧を EsE_s とします。負荷は遅れ力率なので、電流 II は ErE_r より力率角 θ\theta だけ遅れます。送電端電圧は、受電端電圧に抵抗の電圧降下 IRIR(電流と同じ向き)とリアクタンスの電圧降下 IXIX(電流より 90∘90^\circ 進み)を足したものです。

Er IR IX Es I θ IRcosθ IXsinθ Er の方向の降下 ≈ IRcosθ + IXsinθ
図3 電圧降下のベクトル図。Er の方向に射影した長さが、電圧降下の近似値になる

EsE_s と ErE_r の位相差はわずかなので、EsE_s の大きさは ErE_r の方向の成分で近似できます。図3の ErE_r の方向の成分を足すと、1 相分の電圧降下 ee は次のとおりです。

e=Es−Er≒IRcos⁡θ+IXsin⁡θ=I (Rcos⁡θ+Xsin⁡θ)\begin{aligned} e &= E_s - E_r \fallingdotseq I R\cos\theta + I X\sin\theta \\ &= I\,(R\cos\theta + X\sin\theta) \end{aligned}

線間電圧は相電圧の 3\sqrt{3} 倍(三相交流回路の計算)なので、線間電圧で表した電圧降下は両辺に 3\sqrt{3} を掛けます。

v=Vs−Vr=3 I (Rcos⁡θ+Xsin⁡θ) [V]v = V_s - V_r = \sqrt{3}\,I\,(R\cos\theta + X\sin\theta)\ \mathrm{[V]}

受電電力 P=3 VrIcos⁡θP = \sqrt{3}\,V_r I\cos\theta、無効電力 Q=3 VrIsin⁡θQ = \sqrt{3}\,V_r I\sin\theta を使うと、電流を使わない形にも書けます。

v=PR+QXVr [V]v = \frac{P R + Q X}{V_r}\ \mathrm{[V]}
項目近似式計算に使う量
線間電圧の降下3 I (Rcos⁡θ+Xsin⁡θ)\sqrt{3}\,I\,(R\cos\theta + X\sin\theta)線電流 II、力率 cos⁡θ\cos\theta
電力で書いた降下(PR+QX)/Vr(PR + QX)/V_r三相の有効電力 PP、無効電力 QQ
1 相分の降下I (Rcos⁡θ+Xsin⁡θ)I\,(R\cos\theta + X\sin\theta)相電圧との比較に使う

電圧降下率と電圧変動率

電圧降下が受電端電圧の何 % にあたるかを表したものが電圧降下率 ε\varepsilon です。分母は送電端電圧ではなく、受電端電圧です。

ε=Vs−VrVr×100 [%]\varepsilon = \frac{V_s - V_r}{V_r}\times 100\ \mathrm{[\%]}

似た量に電圧変動率があります。送電端電圧を一定にしたまま、負荷を外したときと全負荷のときで、受電端電圧がどれだけ変わるかを見る量です。無負荷時の受電端電圧を Vr0V_{r0}、全負荷時の受電端電圧を VrV_r として、次のとおりです。

εv=Vr0−VrVr×100 [%]\varepsilon_{\mathrm{v}} = \frac{V_{r0} - V_r}{V_r}\times 100\ \mathrm{[\%]}
項目電圧降下率電圧変動率
比べるもの送電端電圧と受電端電圧無負荷と全負荷の受電端電圧
分子Vs−VrV_s - V_rVr0−VrV_{r0} - V_r
分母受電端電圧 VrV_r全負荷時の受電端電圧 VrV_r
一致する場合静電容量を無視した短距離線路では、無負荷時の受電端電圧が送電端電圧に等しく、両者は同じ値になる

電圧降下率は、電力で書き直すと送電電圧の影響が見えます。v=(PR+QX)/Vrv = (PR + QX)/V_r なので、次の式になります。

ε=vVr×100=PR+QXVr 2×100 [%]\varepsilon = \frac{v}{V_r}\times 100 = \frac{PR + QX}{V_r^{\,2}}\times 100\ \mathrm{[\%]}

同じ電力を同じ力率で送るとき、送電電圧を 2 倍にすると電圧降下 vv は 1/21/2、電圧降下率 ε\varepsilon は 1/41/4 になります。

送電損失と力率の関係

送電線の電力損失(線路損失)は、電線の抵抗で熱になる分です。三相3線式では 3 本の電線すべてに電流が流れるので、次のとおりです。

pl=3I2R [W]p_l = 3 I^2 R\ \mathrm{[W]}

電流を電力 P=3 VIcos⁡θP = \sqrt{3}\,V I\cos\theta から I=P3 Vcos⁡θI = \dfrac{P}{\sqrt{3}\,V\cos\theta} と書き換えて代入すると、損失は力率と電圧で表せます。

pl=3R(P3 Vcos⁡θ)2=R P2V2cos⁡2θ [W]p_l = 3R\left(\frac{P}{\sqrt{3}\,V\cos\theta}\right)^2 = \frac{R\,P^2}{V^2\cos^2\theta}\ \mathrm{[W]}

同じ電力 PP を送るとき、損失は力率の 2 乗に反比例し、電圧の 2 乗にも反比例します。力率が低いと、同じ電力でも電流が増えるため、電圧降下も損失も大きくなります。図4は、力率 1.0 の損失を 1 としたときの比です。

損失の比(力率 1.0 のとき 1) 1.00 1.23 1.56 2.04 2.78 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 力率 cosθ(遅れ)
図4 力率と送電損失の関係。同じ電力を送るとき、損失は 1/cos²θ に比例して増える

力率 0.8 の損失は、力率 1.0 の 1/0.82=1.56251/0.8^2 = 1.5625 倍です。逆に力率を 0.8 から 1.0 に改善すると、損失は 0.82=0.640.8^2 = 0.64 倍に減り、36 % の削減になります。力率の改善には、受電端に電力用コンデンサなどの調相設備を置き、遅れ無効電力を打ち消します(必要な容量の求め方は力率改善)。

送電電圧を高くする理由も、この式から読めます。送電電力 PP、力率、線路を同じにして、送電電圧を 2 倍にすると、次のように変わります。

量変化
線電流 II1/21/2
電圧降下 vv1/21/2
電圧降下率 ε\varepsilon1/41/4
送電損失 plp_l1/41/4

送電電力の式

電圧降下の式は「負荷を決めて電圧を求める」使い方でした。送電電力の式は逆に、「送電端と受電端の電圧と、線路のリアクタンスから、送れる電力を求める」使い方です。電線の抵抗は XX に比べて小さいので無視し、送電端電圧 VsV_s と受電端電圧 VrV_r の位相差を δ\delta(相差角)とすると、三相の送電電力は次のとおりです。

P=VsVrXsin⁡δ [W]P = \frac{V_s V_r}{X}\sin\delta\ \mathrm{[W]}

VsV_s、VrV_r は線間電圧、XX は 1 線あたりのリアクタンスです。図5のように、sin⁡δ\sin\delta は δ=90∘\delta = 90^\circ のとき最大の 1 になり、このときの Pmax⁡=VsVr/XP_{\max} = V_s V_r / X が理論上送れる限界(定態安定極限)です。

送電電力 P 最大 VsVr / X 30°で半分 0° 30° 90° 180° 相差角 δ
図5 相差角 δ と送電電力 P。δ = 90° で最大になり、その手前の範囲で運転する

式から、送電電力を増やす方法が分かります。電圧を上げる、リアクタンス XX を減らす、の二つです。電圧を 2 倍にすると VsVrV_s V_r は 4 倍になり、送電できる電力も 4 倍になります。XX を減らす方法には、1 相を複数の電線に分ける多導体方式(図6)や、直列コンデンサによる補償があります。

1 相分の電線を 4 本に分け、間隔保持用の金具で束ねた多導体の送電線のクローズアップ写真
  1. 素導体 1 相を 4 本などに分けて流す
  2. 取付部 電線を締めつけてスペーサに固定する
  3. スペーサ 素導体の間隔を保つ金具
  4. 鉄塔 多導体の送電線は次の鉄塔まで続く
図6 多導体方式。素導体をスペーサで束ねてリアクタンスを小さくする(写真はイメージ)

多導体方式では、電線の等価半径が大きくなって、リアクタンスが小さくなります。そのため、電圧降下が減り、送電電力が増えます。さらにコロナ放電も起こりにくくなるので、超高圧の送電線に使われます。

三相3線式の電圧降下の例題

手順は次の 4 つです。

手順やること使う式
1力率から sin⁡θ\sin\theta を出すsin⁡θ=1−cos⁡2θ\sin\theta = \sqrt{1-\cos^2\theta}
2線電流を求めるI=P/(3 Vrcos⁡θ)I = P/(\sqrt{3}\,V_r\cos\theta)
3近似式に代入するv=3 I (Rcos⁡θ+Xsin⁡θ)v = \sqrt{3}\,I\,(R\cos\theta + X\sin\theta)
4降下率や損失を求めるε=v/Vr\varepsilon = v/V_r、pl=3I2Rp_l = 3I^2R
解答と解説を見る

力率が 0.80.8 なので、sin⁡θ=0.6\sin\theta = 0.6 です。線電流は、

I=P3 Vrcos⁡θ=6000×1033×66×103×0.8≒65.6 [A]\begin{aligned} I &= \frac{P}{\sqrt{3}\,V_r\cos\theta} \\ &= \frac{6000\times 10^3}{\sqrt{3}\times 66\times 10^3\times 0.8} \\ &\fallingdotseq 65.6\ \mathrm{[A]} \end{aligned}

電圧降下は、

v=3 I (Rcos⁡θ+Xsin⁡θ)=3×65.6×(4×0.8+8×0.6)≒909 [V]\begin{aligned} v &= \sqrt{3}\,I\,(R\cos\theta + X\sin\theta) \\ &= \sqrt{3}\times 65.6\times(4\times 0.8 + 8\times 0.6) \\ &\fallingdotseq 909\ \mathrm{[V]} \end{aligned}

電力の形でも確かめます。無効電力は Q=Ptan⁡θ=6000×0.75=4500 [kvar]Q = P\tan\theta = 6000\times 0.75 = 4500\ \mathrm{[kvar]} なので、

v=PR+QXVr=6000×103×4+4500×103×866×103≒909 [V]\begin{aligned} v &= \frac{PR + QX}{V_r} \\ &= \frac{6000\times 10^3\times 4 + 4500\times 10^3\times 8}{66\times 10^3} \\ &\fallingdotseq 909\ \mathrm{[V]} \end{aligned}

電圧降下率は、分母を受電端電圧にして、

ε=vVr×100=90966000×100≒1.38 [%]\begin{aligned} \varepsilon &= \frac{v}{V_r}\times 100 \\ &= \frac{909}{66000}\times 100 \\ &\fallingdotseq 1.38\ \mathrm{[\%]} \end{aligned}

送電端電圧は Vs=66000+909=66909 [V]V_s = 66000 + 909 = 66909\ \mathrm{[V]}、つまり約 66.9 kV66.9\ \mathrm{kV} です。

答え:線電流 約 65.6 A65.6\ \mathrm{A}、電圧降下 約 909 V909\ \mathrm{V}、電圧降下率 約 1.38 %1.38\ \%、送電端電圧 約 66.9 kV66.9\ \mathrm{kV}

解答と解説を見る

損失は pl=3I2Rp_l = 3 I^2 R です。I≒65.6 AI \fallingdotseq 65.6\ \mathrm{A} を代入して、

pl=3×65.62×4≒51.7×103 [W]=51.7 [kW]\begin{aligned} p_l &= 3\times 65.6^2\times 4 \fallingdotseq 51.7\times 10^3\ \mathrm{[W]} \\ &= 51.7\ \mathrm{[kW]} \end{aligned}

受電電力に占める割合は 51.7/6000×100≒0.86 %51.7/6000\times 100 \fallingdotseq 0.86\ \% です。

力率を 1.01.0 にすると、損失は cos⁡2θ\cos^2\theta の比で、0.82=0.640.8^2 = 0.64 倍になります。

pl′=51.7×0.64≒33.1 [kW]p_l' = 51.7\times 0.64 \fallingdotseq 33.1\ \mathrm{[kW]}

減る損失は 51.7−33.1≒18.6 [kW]51.7 - 33.1 \fallingdotseq 18.6\ \mathrm{[kW]}(約 36 % の削減)です。

答え:損失 約 51.7 kW51.7\ \mathrm{kW}(約 0.86 %0.86\ \%)、力率改善で約 18.6 kW18.6\ \mathrm{kW} 減る

解答と解説を見る

送電電力の式 P=VsVrXsin⁡δP = \dfrac{V_s V_r}{X}\sin\delta に代入します。

P=154×103×154×10340×sin⁡30∘=5.929×108×0.5≒2.96×108 [W]\begin{aligned} P &= \frac{154\times 10^3\times 154\times 10^3}{40}\times\sin 30^\circ \\ &= 5.929\times 10^8\times 0.5 \\ &\fallingdotseq 2.96\times 10^8\ \mathrm{[W]} \end{aligned}

最大電力は δ=90∘\delta = 90^\circ、つまり sin⁡δ=1\sin\delta = 1 のときで、

Pmax⁡=VsVrX=5.929×108 [W]≒593 [MW]\begin{aligned} P_{\max} &= \frac{V_s V_r}{X} = 5.929\times 10^8\ \mathrm{[W]} \\ &\fallingdotseq 593\ \mathrm{[MW]} \end{aligned}

答え:δ=30∘\delta = 30^\circ で 約 296 MW296\ \mathrm{MW}、最大 約 593 MW593\ \mathrm{MW}

例題1の電圧降下は近似式の値です。ベクトル図から EsE_s を厳密に求めると約 910.6 V910.6\ \mathrm{V} で、近似式との差は約 1.5 V1.5\ \mathrm{V}(0.2 % 程度)です。試験は近似式で解きます。

よくある質問

電圧降下の式に 3\sqrt{3} が付くのはなぜですか。

I (Rcos⁡θ+Xsin⁡θ)I\,(R\cos\theta + X\sin\theta) は 1 相分の電圧降下、つまり相電圧の差です。送電端と受電端の電圧は線間電圧で表すのが普通で、線間電圧は相電圧の 3\sqrt{3} 倍です。そのため、相電圧の降下に 3\sqrt{3} を掛けて線間電圧の降下にします。

電圧降下を小さくするには、どうすればよいですか。

式の各項を小さくします。電線を太くして RR を減らす、多導体方式や直列コンデンサで XX を減らす、電力用コンデンサで力率を改善して sin⁡θ\sin\theta を小さくする、の三つです。いちばん効くのは送電電圧を上げることで、電圧を 2 倍にすれば電圧降下率は 1/41/4 になります。

電圧降下率と電圧変動率は同じものですか。

求め方も意味も違います。電圧降下率は送電端と受電端の電圧の差を、受電端電圧に対する割合で表したものです。電圧変動率は、無負荷時と全負荷時の受電端電圧の差を、全負荷時の受電端電圧に対する割合で表したものです。静電容量を無視する短距離線路では、無負荷時の受電端電圧が送電端電圧に等しいので、同じ値になります。

思い出してみよう

答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。

三相3線式の電圧降下の近似式は何ですか?

v=3 I (Rcos⁡θ+Xsin⁡θ)v = \sqrt{3}\,I\,(R\cos\theta + X\sin\theta) です。電力で書くと v=(PR+QX)/Vrv = (PR + QX)/V_r です。

電圧降下率の分母は、送電端電圧と受電端電圧のどちらですか?

受電端電圧です。ε=(Vs−Vr)/Vr×100 [%]\varepsilon = (V_s - V_r)/V_r \times 100\ \mathrm{[\%]} と書きます。

三相3線式の送電損失の式は何ですか?

pl=3I2Rp_l = 3I^2R です。電力で書くと RP2/(V2cos⁡2θ)R P^2/(V^2\cos^2\theta) になります。

力率を 0.8 から 1.0 に改善すると、送電損失は何倍になりますか?

0.82=0.640.8^2 = 0.64 倍になり、36 % 減ります。

送電電圧を 2 倍にすると、電圧降下率と送電損失はどうなりますか?

どちらも 1/41/4 になります。電圧降下 vv は 1/21/2 です。

送電電力の式と、送電できる限界は何ですか?

P=VsVrsin⁡δ/XP = V_sV_r\sin\delta/X で、δ=90∘\delta = 90^\circ のとき最大の VsVr/XV_sV_r/X になります。

まとめ

  • 三相3線式の電圧降下は v=3 I (Rcos⁡θ+Xsin⁡θ)=(PR+QX)/Vrv = \sqrt{3}\,I\,(R\cos\theta + X\sin\theta) = (PR + QX)/V_r で、ベクトル図の ErE_r 方向の成分から出る
  • 電圧降下率は (Vs−Vr)/Vr×100 %(V_s - V_r)/V_r\times 100\ \% で、分母は受電端電圧
  • 送電損失は 3I2R=RP2/(V2cos⁡2θ)3I^2R = RP^2/(V^2\cos^2\theta) で、力率が低いほど、電圧が低いほど大きい
  • 送電電圧を 2 倍にすると、電圧降下率も損失も 1/41/4、送れる電力は 4 倍
  • 送電電力は P=VsVrsin⁡δ/XP = V_sV_r\sin\delta/X で、δ=90∘\delta = 90^\circ が限界

電圧降下の考え方に自信がなければ、直列回路の分圧を扱ったオームの法則と直列回路の記事で、電圧が抵抗に分かれる様子を復習しましょう。低圧の配電で使う方式の電圧降下は単相3線式で、ケーブルの静電容量と充電電流は地中送電線路で扱います。

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デンケンラボ編集部

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