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電力発電所 / 水力発電19分で読めます

流況曲線とは|豊水量・渇水量の読み方と年間発電電力量の求め方

電験三種の流況曲線を解説。流量図から流況曲線を作る手順、豊水量・平水量・低水量・渇水量の日数、最大使用水量の考え方、年間発電電力量と調整池の容量の計算を、図解と例題つきで整理します。

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緑の山あいの清流に築かれた小さな取水堰を、水が静かに越えて流れ落ちる写真
この記事の目次
  1. 流況曲線とは
  2. 川の流量はどこから来るか 降水量と流出係数
  3. 包蔵水力は降水量から出る理論値
  4. 豊水量・平水量・低水量・渇水量
  5. 最大使用水量と使用水量
  6. 年間発電電力量の求め方
  7. 流況曲線を読み取って使う
  8. 調整池とは?容量の計算
  9. 運転が複数の時間帯に分かれるとき
  10. よくある質問
  11. 流況曲線と流量図の違いは?
  12. 豊水量・平水量・低水量・渇水量の日数はどう覚えますか?
  13. 調整池式と貯水池式は何が違いますか?
  14. まとめ
図解でわかる 電験三種 電力 1 水力発電 の表紙この単元を1冊で読む図解でわかる 電験三種 電力 1
水力発電
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水力発電の出力の求め方 では、使用水量 QQ と有効落差 HH から出力 P=9.8QHηP = 9.8QH\eta を求めました。ところが川の流量は季節や天気で毎日変わるので、1 年にどれだけ発電できるかは出力の式だけでは決まりません。流況曲線とは、1 年間の日々の流量を大きい順に並べた曲線のことで、豊水量などの目安を読み取り、最大使用水量を決め、年間発電電力量を求めるのに使います。

流況曲線の全体像
  • 流況曲線とは
    • 流量図を大きい順に並べ替えた曲線
    • 川の流量の「年間の様子」が一目で分かる
  • 川の流量はどこから来るか
    • 流域面積 ×\times 降水量 ×\times 流出係数が、川の水量と包蔵水力のもと
  • 豊水量・平水量・低水量・渇水量
    • 95・185・275・355 日目の流量
  • 最大使用水量と使用水量
    • 水車が使える水量の上限で、流況曲線を切る
  • 年間発電電力量の求め方
    • 使える水量の面積 ×\times 9.8Hη×249.8H\eta \times 24
    • 図や式で与えられた流況曲線は、日数の流量を読んで最大使用水量で切る
  • 調整池の容量の計算
    • 流入を一定にならし、使う時間に集中させる
    • 運転が複数の時間帯に分かれても、ためた量 = 足す量

流況曲線とは

水力発電所は、川の水を取り入れて使います。この「川の流量」が毎日違うことが、水力発電の計画のむずかしさです。図1は、前回までと同じ水の流れの断面で、この記事が扱う範囲を示したものです。取水口から入る水の量 QQ が、1 年のあいだどう変わるかを見ます。

川(取水堰) 取水口 導水路・水槽 水圧管路 水車・発電機 → 放水路 この記事 流量 Q は 日々変わる 前回まで 落差・出力 P = 9.8QHη
図1 水の流れの断面と、この記事の範囲。取水口で取り入れる水量の 1 年の変化を扱う

川の流量は、観測所で水位を測って求めます。水位と流量の関係をあらかじめ調べておけば、水位計の読みから毎日の流量が分かります。この日々の流量を暦の順に並べたものが流量図です。流量図は、梅雨や台風の増水、冬の渇水がそのまま折れ線に出るので、何日ぐらい水が多いかは読み取りにくくなります。

そこで、同じデータを大きい日から順に並べ替えます。これが流況曲線で、図2は同じ 1 年の流量を 2 通りに描いたものです。横軸は暦の日付ではなく「その流量以上の日が何日あるか」になるので、曲線は必ず右下がりになります。

流量図(暦の順に並べる) 1月 4月 7月 10月 12月末 大きい順に並べ替える 流況曲線(流量の大きい順に並べる) 0 182 365 日 最も多い日 最も少ない日
図2 流量図(上)を大きい順に並べ替えると、流況曲線(下)になる
川岸の護岸に建つ水位計の小屋と、川の中に立つ量水標
  1. 水位計の小屋 水位を自動で記録する計器が入る
  2. 量水標 水位を目盛りで読む標尺
  3. 川の流れ この流量を毎日記録して、流況曲線を作る
図3 流量観測所。水位を測って、水位から毎日の流量を求める(写真はイメージ)

川の流量はどこから来るか 降水量と流出係数

流況曲線の元になる川の流量は、もとをたどれば流域に降る雨や雪です。流域とは、降った水が 1 本の川に集まる範囲のことで、その面積を流域面積 AA といいます。流域に降った水のすべてが川に出るわけではなく、一部は蒸発したり、地下へしみ込んだりします。降水量のうち川に出る割合が流出係数 CC です。

流域に降る雨や雪(年降水量 P) 降った水の総量 = 流域面積 A × 年降水量 P 川に出る分 降水の C 倍(C は流出係数) 蒸発・しみ込み 残りの (1 − C) 倍 年平均流量 Q = A × P × C ÷ (365 × 86400)
図4 降水から川の流量まで。流出係数 C が、降った水のうち川に出る割合を表す

年降水量 PP を高さ(mm\mathrm{mm})で表すと、1 年に流域へ降る水の体積は A×PA \times P です。川に出る体積はその CC 倍で、これを 1 年の秒数 365×86400 [s]365 \times 86400\ \mathrm{[s]} で割ると、年平均流量 QQ になります。

Q=A×P×C365×86400 [m3/s]Q = \frac{A \times P \times C}{365 \times 86400}\ \mathrm{[m^3/s]}

計算で間違えやすいのは単位です。流域面積が km2\mathrm{km^2} なら 10610^6 を掛けて m2\mathrm{m^2} に、降水量が mm\mathrm{mm} なら 10−310^{-3} を掛けて m\mathrm{m} にそろえてから掛けます。なお、図2で見た流況曲線の下の面積は、1 年に川を流れる水の量でした。その面積を 365 日で割った値が年平均流量で、これは A×P×CA \times P \times C から求めた値と一致します。

解答と解説を見る

(1) 年に川へ出る水の体積は

4000×106×1.8×0.6=4.32×109 [m3]\begin{aligned} &4000 \times 10^{6} \times 1.8 \times 0.6 \\ &= 4.32 \times 10^{9}\ \mathrm{[m^3]} \end{aligned}

です。これを 365×86400=3.1536×107 [s]365 \times 86400 = 3.1536 \times 10^{7}\ \mathrm{[s]} で割ります。

Q=4.32×1093.1536×107≈137 [m3/s]Q = \frac{4.32 \times 10^{9}}{3.1536 \times 10^{7}} \approx 137\ \mathrm{[m^3/s]}

(2) 最大出力は

P=9.8×137×80×0.85≈91300 [kW]\begin{aligned} P &= 9.8 \times 137 \times 80 \times 0.85 \\ &\approx 91300\ \mathrm{[kW]} \end{aligned}

年間発電電力量は、最大出力に 1 年の時間数と設備利用率を掛けて、

W=91300×8760×0.55≈4.40×108 [kW⋅h]=440 [GW⋅h]\begin{aligned} W &= 91300 \times 8760 \times 0.55 \\ &\approx 4.40 \times 10^{8}\ \mathrm{[kW \cdot h]} \\ &= 440\ \mathrm{[GW \cdot h]} \end{aligned}

です。

包蔵水力は降水量から出る理論値

流域に降った水が持つ位置エネルギーを、流域の平均の標高 HH から海面まで落ちるものとして求めた量を、理論包蔵水力といいます(資源の大きさを見る目安の値で、実際に開発できる量とは別です)。降った水のうち川に出る分を V=A×P×CV = A \times P \times C とすると、1 年あたりの電力量は

E=ρgVH=1000×9.8×V×H [J]E = \rho g V H = 1000 \times 9.8 \times V \times H\ \mathrm{[J]}

です。ジュールから電力量への換算は 1 TW⋅h=3.6×1015 [J]1\ \mathrm{TW \cdot h} = 3.6 \times 10^{15}\ \mathrm{[J]} を使います。

解答と解説を見る

川に出る水の体積は V=2000×106×1.5×0.7=2.1×109 [m3]V = 2000 \times 10^{6} \times 1.5 \times 0.7 = 2.1 \times 10^{9}\ \mathrm{[m^3]} です。位置エネルギーは

E=1000×9.8×2.1×109×600≈1.23×1016 [J]\begin{aligned} E &= 1000 \times 9.8 \times 2.1 \times 10^{9} \times 600 \\ &\approx 1.23 \times 10^{16}\ \mathrm{[J]} \end{aligned}

これを 3.6×10153.6 \times 10^{15} で割って、E≈3.43 [TW⋅h]E \approx 3.43\ \mathrm{[TW \cdot h]} です。

豊水量・平水量・低水量・渇水量

流況曲線から、川の水の多さを表す 4 つの目安を読み取ります。それぞれ、流況曲線の左から数えて 95 日目、185 日目、275 日目、355 日目の流量です。図5では、豊水量 30 [m3/s]30\ \mathrm{[m^3/s]} のように流量を書き込んでいます。

20 40 60 0 流量 [m3/s] 30 豊水量 95日 20 平水量 185日 12 低水量 275日 6 渇水量 355日 日数(流量の大きい日から数える。1 年 = 365 日)
図5 流況曲線と 4 つの流量。日数が大きいほど、流量は小さい
名前日数意味
豊水量95 日1 年のうち 95 日は、この流量以上ある
平水量185 日1 年のうち 185 日は、この流量以上ある(ほぼ半年)
低水量275 日1 年のうち 275 日は、この流量以上ある
渇水量355 日1 年のうち 355 日は、この流量以上ある(最も少ない 10 日を除く)

日数は「95 から 90 日ずつ増え、最後だけ 355」と覚えます。名前の順(豊 → 平 → 低 → 渇)に日数が増え、流量は小さくなります。

乾いた石の河原に細い一筋の水だけが流れる渇水期の川
  1. 流域の山 雨や雪どけ水が集まる。ここの降水が川の流量を決める
  2. 河原 水が少ない時期は干上がって石が出る
  3. 細い流れ 渇水期に残る流量。渇水量に近い
図6 渇水期の川。流量が少なく、細い流れだけが残る。流況曲線の右端に当たる(写真はイメージ)
茶色く濁った水が川幅いっぱいに勢いよく流れる増水期の川
  1. 雨雲 上流で降った雨が川に集まり、流量がふえる
  2. 川岸 水位が上がり、河原が水に隠れる
  3. 濁流 豊水量をはるかに超える流量が流れる
図7 増水期の川。流量が多く、流況曲線の左端に当たる(写真はイメージ)

図6の渇水期と図7の増水期では、川の流量が桁違いに違います。流況曲線は、この 2 つの極端な日から平らな日までを 1 本の線に収めたものです。曲線の左端が立ち上がっているのは、年に数日だけの大きな増水を表します。

最大使用水量と使用水量

水車に流せる水量には上限があります。水車と水圧管路が受け持てる最大の流量が、最大使用水量です。川の流量が最大使用水量を超えた日は、超えた分を使えずに流します。反対に、川の流量が最大使用水量より少ない日は、流れてきた水をすべて使っても足りないので、使用水量は川の流量そのものになります。

つまり、ある日の使用水量は「川の流量」と「最大使用水量」の小さいほうです。流況曲線を最大使用水量の線で切り、線より下の部分が、1 年間に発電に使える水量になります。図8は最大使用水量を 20 [m3/s]20\ \mathrm{[m^3/s]}(平水量)とした例です。

20 40 60 0 流量 [m3/s] 最大使用水量 20 使えずに流す分 (余水として放流) 発電に使う水量 185日 これ以上は最大使用水量を使う 日数
図8 最大使用水量で切った流況曲線。青い部分が、発電に使える水量

最大使用水量は大きいほどよいとは限りません。大きくするほど、水車・発電機・水圧管路が大きくなり、建設費が増えます。しかも、その大きな設備は流量が多い短い期間しか満たされません。建設費と、増える発電量のつり合いを見て決めます。

最大使用水量設備運転日数設備利用率
小さくする小さく安い長い高くなる
大きくする大きく高い短い低くなる

年間発電電力量の求め方

年間の発電電力量は、使用水量の面積から求めます。出力は P=9.8QHηP = 9.8QH\eta でした。落差と効率が一定なら、出力は使用水量に比例するので、1 日あたりの電力量は「その日の使用水量 × 9.8Hη×24 h\times\ 9.8H\eta \times 24\ \mathrm{h}」です。これを 1 年分足し合わせたものが、使用水量の面積を使った次の式です。

W=9.8 H η×(使用水量の面積)×24 [kW⋅h]\begin{aligned} W &= 9.8\,H\,\eta \times (\text{使用水量の面積}) \\ &\quad \times 24\ \mathrm{[kW \cdot h]} \end{aligned}

使用水量の面積の単位は [m3/s⋅日]\mathrm{[m^3/s} \cdot \text{日}\mathrm{]} です。24 を掛けて日を時間に直します。面積は、長方形と台形に分けると計算できます。

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誤っているのは (4) です。豊水量は 95 日目、渇水量は 355 日目の流量で、流況曲線は右下がりなので、豊水量のほうが大きい流量です。(1)〜(3) は正しい記述です。

5 15 30 0 流量 [m3/s] 最大使用水量 15 100日 365日 長方形 A 15 × 100 台形 B (15 + 5) ÷ 2 × 265 放流(数えない) 日数
図9 例題4の流況曲線。使える水量を長方形と台形に分ける
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最大使用水量 15 [m3/s]15\ \mathrm{[m^3/s]} より上は使えないので、線より下の面積を求めます。0〜100 日は川の流量が 15 [m3/s]15\ \mathrm{[m^3/s]} 以上なので、使用水量は 15 のままです(長方形 A)。100〜365 日は川の流量そのままです(台形 B)。

面積=15×100+15+52×265=1500+2650=4150 [m3/s⋅日]\begin{aligned} \text{面積} &= 15 \times 100 + \frac{15 + 5}{2} \times 265 \\ &= 1500 + 2650 \\ &= 4150\ \mathrm{[m^3/s} \cdot \text{日}\mathrm{]} \end{aligned}W=9.8×120×0.85×4150×24≈9.96×107 [kW⋅h]≈99.6 [GW⋅h]\begin{aligned} W &= 9.8 \times 120 \times 0.85 \times 4150 \times 24 \\ &\approx 9.96 \times 10^{7}\ \mathrm{[kW \cdot h]} \\ &\approx 99.6\ \mathrm{[GW \cdot h]} \end{aligned}

最大出力は 9.8×15×120×0.85≈14994 [kW]9.8 \times 15 \times 120 \times 0.85 \approx 14994\ \mathrm{[kW]} なので、設備利用率は 415015×365≈0.758\dfrac{4150}{15 \times 365} \approx 0.758、つまり約 75.8 [%]75.8\ \mathrm{[\%]} です。面積の比がそのまま設備利用率になります。

流況曲線を読み取って使う

試験では、流況曲線が図で与えられたり、式で与えられたりします。どちらも「どの日数の流量を読むか」と「最大使用水量で切る」の 2 つで解けます。

まず、図で与えられる型です。縦に上げた日数の位置で曲線に当たった高さが、その日数の流量(確保できる流量)です。たとえば 200 日の位置で読んだ値は、1 年のうち 200 日はそれ以上ある流量になります。

流量 [m3/s] 0 12 200日 6 355日 日数(流量の大きい日から数える)
図10 例題の流況曲線。日数から縦に上げ、曲線に当たった高さを横へ読む
解答と解説を見る

図から、渇水量(355 日)は 6 [m3/s]6\ \mathrm{[m^3/s]}、200 日の流量は 12 [m3/s]12\ \mathrm{[m^3/s]} と読めます。

(1) 出力は 9.8×6×100×0.85=4998 [kW]9.8 \times 6 \times 100 \times 0.85 = 4998\ \mathrm{[kW]} で、1 年のうち 355 日以上は、この出力を出せます。1 日の発電電力量は 4998×24≈1.2×105 [kW⋅h]4998 \times 24 \approx 1.2 \times 10^{5}\ \mathrm{[kW \cdot h]} です。

(2) 1 日に流れ込む水は 6×246 \times 24、これを 6 時間で使うので、

Qmax⁡=6×246=24 [m3/s]Q_{\max} = \frac{6 \times 24}{6} = 24\ \mathrm{[m^3/s]}

停止している 18 時間にためる量が必要容量で、6×18×3600=388800 [m3]6 \times 18 \times 3600 = 388800\ \mathrm{[m^3]} です。運転中に足りない分 (24−6)×6×3600(24 - 6) \times 6 \times 3600 も同じ値になります。

(3) 流入量を 12 [m3/s]12\ \mathrm{[m^3/s]} とみなすと、運転中に足りない分は

V=(24−12)×6×3600=259200 [m3]\begin{aligned} V &= (24 - 12) \times 6 \times 3600 \\ &= 259200\ \mathrm{[m^3]} \end{aligned}

です。(2) より小さい容量で済みますが、この容量で 24 の流量を 6 時間使えるのは、流入が 12 [m3/s]12\ \mathrm{[m^3/s]} 以上ある、1 年のうち約 200 日だけです。確保できる流量をどこに置くかで、必要な容量が変わります。

次に、曲線が式で与えられる型です。式の形は「流量 QQ が日数 dd の一次式」で、グラフは直線になります。この型では、(1) 最大使用水量を式から求める、(2) 最大使用水量を超える日数(溢水日数)を式から求める、(3) 最大使用水量で切った線より下の面積を長方形と台形で求める、の順に進めます。最大使用水量は「渇水量(355 日の流量)の 2 倍」のように、渇水量の倍数で与えられることもあります。

流量 [m3/s] 28 24.5 11.75 0 最大使用水量 24.5 110日 355日 渇水量 12.25 長方形 A 24.5 × 110 台形 B (24.5 + 11.75) ÷ 2 × 255 溢水(数えない) 日数
図11 一次式で与えた流況曲線。最大使用水量で切った線より下を、長方形と台形に分ける
解答と解説を見る

(1) 渇水量は 30−0.05×355=12.25 [m3/s]30 - 0.05 \times 355 = 12.25\ \mathrm{[m^3/s]} なので、最大使用水量はその 2 倍の 24.5 [m3/s]24.5\ \mathrm{[m^3/s]} です。

(2) 30−0.05d=24.530 - 0.05d = 24.5 から d=110d = 110 なので、110 日です。d=110d = 110 までは流量が 24.524.5 以上あり、使えずに流します。d≦40d \leqq 40 の一定の部分は、切り落とされるので計算に関係しません。

(3) 使える水量の面積は、d=110d = 110 までが長方形、そこから 365 日までが台形です。d=365d = 365 の流量は 30−0.05×365=11.7530 - 0.05 \times 365 = 11.75 なので、

面積=24.5×110+24.5+11.752×255=2695+4621.9≈7317[m3/s⋅日]\begin{aligned} \text{面積} &= 24.5 \times 110 \\ &\quad + \frac{24.5 + 11.75}{2} \times 255 \\ &= 2695 + 4621.9 \\ &\approx 7317 \\ &\quad \mathrm{[m^3/s} \cdot \text{日}\mathrm{]} \end{aligned}W=9.8×60×0.85×7317×24≈8.78×107 [kW⋅h]≈87.8 [GW⋅h]\begin{aligned} W &= 9.8 \times 60 \times 0.85 \times 7317 \times 24 \\ &\approx 8.78 \times 10^{7}\ \mathrm{[kW \cdot h]} \\ &\approx 87.8\ \mathrm{[GW \cdot h]} \end{aligned}

設備利用率は面積の比で、731724.5×365≈0.818\dfrac{7317}{24.5 \times 365} \approx 0.818、つまり約 81.8 [%]81.8\ \mathrm{[\%]} です。

調整池とは?容量の計算

川の流量は一定でも、電力の需要は一日の中で大きく変わります。そこで、取水堰の近くに水をためる池をつくり、需要の多い時間にまとめて使う方式があります。この池が調整池です。調整池があると、流れ込む水量より大きな使用水量で、短い時間だけ発電できます。

取水堰の上流側に水が広がり、堰の脇に取水口のゲートと導水路が続く山あいの河川
  1. 調整池 流れ込む水をためる。水位の高低で一日の水量を調整する
  2. 取水口ゲート 導水路へ送る水量を開閉で調節する
  3. 取水堰 川をせき止めて水位を保つ
  4. 導水路 取り入れた水を発電所へ送る水路
図12 取水堰と調整池。水をためて、取水口から導水路へ送る(写真はイメージ)

発電所の方式は、水をためられる量で分けられます。調整池のない流れ込み式(自流式。試験では「流込み式」と書かれることもあります)は、川の流量がそのまま使用水量になります。調整池式は、日〜数日の流量の変化をならします(試験でも「日〜数日の流量調整」と書かれます)。貯水池式は、豊水期の水をためて渇水期に使うなど、季節単位で調整します。

方式水のため方使い方
流れ込み式(自流式)ためない川の流量をそのまま使う
調整池式日〜数日の単位でためる需要の多い時間に集中して発電する
貯水池式季節の単位でためる豊水期の水を渇水期に回す
揚水式下池から上池へくみ上げる→ 揚水発電とは

調整池の容量は、「ためる量」と「足す量」が等しくなることから決まります。図13は、川の流量が 10 [m3/s]10\ \mathrm{[m^3/s]} で一定の日に、6 時間だけ 40 [m3/s]40\ \mathrm{[m^3/s]} で発電する例です。発電しない 18 時間にためた水が、発電する 6 時間に足りない分に回ります。

10 40 0 流量 [m3/s] 川の流量 10(一定) 池にためる 10 × 18 h 池から足す 30 × 6 h 使用水量 40 0時 6時 12時 17時 23時 発電 6 時間 ためる量 = 足す量(面積が等しい)
図13 調整池の働き。発電しない時間にためた水を、発電する時間に足す
解答と解説を見る

(1) 1 日に流れ込む水の量は 10×24=240 [m3/s⋅h]10 \times 24 = 240\ \mathrm{[m^3/s \cdot h]} です。これを 6 時間で使うので、

Q=10×246=40 [m3/s]Q = \frac{10 \times 24}{6} = 40\ \mathrm{[m^3/s]}

(2) 運転中は 1 秒に 40−10=30 [m3]40 - 10 = 30\ \mathrm{[m^3]} 足りないので、6 時間分を池から足します。

V=(40−10)×6×3600=648000 [m3]\begin{aligned} V &= (40 - 10) \times 6 \times 3600 \\ &= 648000\ \mathrm{[m^3]} \end{aligned}

発電しない 18 時間にためる量 10×18×3600=648000 [m3]10 \times 18 \times 3600 = 648000\ \mathrm{[m^3]} と一致します。

(3) 出力は

P=9.8×40×80×0.85=26656 [kW]≈26.7 [MW]\begin{aligned} P &= 9.8 \times 40 \times 80 \times 0.85 \\ &= 26656\ \mathrm{[kW]} \approx 26.7\ \mathrm{[MW]} \end{aligned}

です。

運転が複数の時間帯に分かれるとき

運転の時間帯が 3 つ以上に分かれても、考え方は同じです。「停止してためた量」と「あとで足す量」が等しくなるように、水の収支を立てます。流入と同じ流量で運転している時間は、池の水が増えも減りもしないので、収支には関係しません。

流量 [m3/s] 12 22.8 0 流入 12 停止して貯水 12 × 9 h 流入と同じ 池は 増減なし 池から足す 10.8 × 10 h 使用水量 22.8 0時 9時 14時 24時 ためた量 = 後で足す量(どちらも 388800 m³)
図14 運転が 3 つの時間帯に分かれる調整池。停止中にためた水を、最後の時間帯で使い切る
解答と解説を見る

(1) 発電しない 9 時間にためる量が必要容量です。

V=12×9×3600=388800 [m3]V = 12 \times 9 \times 3600 = 388800\ \mathrm{[m^3]}

(2) 14 時から 24 時までの 10 時間に、流入に加えてこの量を使うので、

Qp=12+38880010×3600=12+10.8=22.8 [m3/s]\begin{aligned} Q_p &= 12 + \frac{388800}{10 \times 3600} = 12 + 10.8 \\ &= 22.8\ \mathrm{[m^3/s]} \end{aligned}

1 日の水の収支で確かめます。流入は 12×24=28812 \times 24 = 288、使用は 12×5+22.8×10=28812 \times 5 + 22.8 \times 10 = 288 で一致します。

(3) 出力は

P=9.8×22.8×75×0.90×0.95≈14300 [kW]\begin{aligned} P &= 9.8 \times 22.8 \times 75 \times 0.90 \times 0.95 \\ &\approx 14300\ \mathrm{[kW]} \end{aligned}

です。

よくある質問

流況曲線と流量図の違いは?

流量図は日々の流量を暦の順に並べたもので、いつ増水したかが分かります。流況曲線は同じデータを大きい順に並べ替えたもので、何日ぐらいその流量以上かが分かります。発電計画では、日数が分かる流況曲線を使います。

豊水量・平水量・低水量・渇水量の日数はどう覚えますか?

95・185・275・355 日です。95 日から 90 日ずつ増え、最後は 365 日から最も少ない 10 日を除いた 355 日になります。日数が増えるほど、その流量以上の日が多くなるので、流量は小さくなります。

調整池式と貯水池式は何が違いますか?

ためる水の量と、調整する期間が違います。調整池式は日〜数日の変化をならし、需要の多い時間に発電を集中させます。貯水池式は大きな池で、豊水期の水を渇水期へ回すなど季節の単位で調整します。

思い出してみよう

答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。

流況曲線とは、どんな曲線ですか?

1 年間の日流量を大きい順に並べた曲線です。横軸は日数、縦軸は流量 [m3/s]\mathrm{[m^3/s]} で、必ず右下がりになります。

豊水量・平水量・低水量・渇水量は、それぞれ何日目の流量ですか?

95 日・185 日・275 日・355 日目の流量です。左から数えるので、豊水量が最も大きく、渇水量が最も小さくなります。

ある日の使用水量は、何で決まりますか?

川の流量と最大使用水量の小さいほうです。最大使用水量を超えた分は使えずに流します。

川の流量 10 [m3/s]10\,\mathrm{[m^3/s]} で一定の取水点で、1 日 6 時間だけ発電するとき、使用水量と調整池の容量は?

使用水量は 10×24÷6=40 [m3/s]10 \times 24 \div 6 = 40\,\mathrm{[m^3/s]}、容量は (40−10)×6×3600=648000 [m3](40-10) \times 6 \times 3600 = 648000\,\mathrm{[m^3]} です。

流域面積・年降水量・流出係数から、年平均流量はどう求めますか?

Q=A×P×C÷(365×86400)Q = A \times P \times C \div (365 \times 86400) です。面積は m2\mathrm{m^2}、降水量は m\mathrm{m} にそろえます。

一次式で与えられた流況曲線で、溢水日数と設備利用率はどう求めますか?

最大使用水量と式が等しくなる日数が溢水日数です。設備利用率は、最大使用水量で切った線より下の面積を、最大使用水量×365\text{最大使用水量} \times 365 で割ります。

まとめ

  • 流況曲線は、1 年間の日流量を大きい順に並べた曲線。流量図を並べ替えたもの
  • 豊水量・平水量・低水量・渇水量は、95・185・275・355 日目の流量
  • 使用水量は、川の流量と最大使用水量の小さいほう。流況曲線を最大使用水量の線で切って使う
  • 年間発電電力量は W=9.8Hη×(使用水量の面積)×24 [kW⋅h]W = 9.8H\eta \times (\text{使用水量の面積}) \times 24\ \mathrm{[kW \cdot h]}
  • 川の年平均流量は A×P×C÷(365×86400)A \times P \times C \div (365 \times 86400)。降水量から包蔵水力も求められる
  • 図や式で与えられた流況曲線は、読んだ日数の流量を最大使用水量で切って使う
  • 調整池は、ためる量と足す量が等しくなる容量で、需要の多い時間に発電を集中させる
求めるもの式・数
年平均流量Q=A×P×C÷(365×86400) [m3/s]Q = A \times P \times C \div (365 \times 86400)\ \mathrm{[m^3/s]}
4 つの流量の日数95・185・275・355 日
年間発電電力量W=9.8Hη×(面積)×24 [kW⋅h]W = 9.8H\eta \times (\text{面積}) \times 24\ \mathrm{[kW \cdot h]}
設備利用率使用水量の面積最大使用水量×365\dfrac{\text{使用水量の面積}}{\text{最大使用水量} \times 365}(落差・効率が一定のとき)
調整池の容量V=(Q使用−Q流入)×t×3600 [m3]V = (Q_{\text{使用}} - Q_{\text{流入}}) \times t \times 3600\ \mathrm{[m^3]}

水の量が分かったので、次はその水を受けて回る機械を見ます。次に読む記事は 水車の種類と選び方 です。全体の流れに戻って確かめたいときは 水力発電のしくみ を、出力の計算を見直すときは 水力発電の出力の求め方 を読んでください。

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デンケンラボ編集部

電験三種の合格プランをつくる問題集アプリ「デンケンラボ」の編集部です。試験センターの出題範囲に沿って、計算の考え方と覚えどころを図と式で解説しています。

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