水力発電の計算問題 型別演習① では、出力・流量・比速度の型を解きました。この記事は演習の後半で、調整池、流況曲線、揚水という「水の量を時間で足し引きする」計算を、過去問の型に沿って7つに分けて解きます。どの型も、手順は決まっています。合図の言葉から型を決め、式に当てはめて、最後に検算するだけです。
型別演習②の全体像
- 計算問題の「型」とは
- 調整池の1日調整と多段運転
- 流入量 × 24 時間を、運転する時間に集中させる
- 時間帯ごとに貯水量を足し引きして、最大値が容量
- 流況曲線の読み取りと調整池の容量
- 一次式で与えられた流況曲線
- 揚水の出力・入力・所要時間・変換効率
- 発電は引いて掛け、揚水は足して割る
- 水量の収支で時間を決め、電力量の比で効率を出す
- 故障原因を症状から推定する型
水力発電の計算問題の「型」とは
水力発電の計算問題は、問題ごとに数字は違いますが、組み立ては何通りかに決まっています。この「組み立て」が型です。型が分かれば、問題文を読んで最初にやることが決まり、計算が迷わなくなります。
この記事で扱う7つの型を、図1にまとめます。右の欄が、問題文に出てくる合図の言葉です。
図1 7つの型と、見分けるための合図。合図が決まれば、使う式も決まる
どの型も、水の量を扱います。調整池の型は「流入した量とためた量」、流況曲線の型は「流量の面積」、揚水の型は「上げた水と落とした水」です。つまり、水の量は必ず収支が合うことを使います。計算の途中で量が合わなくなったら、どこかで単位か時間を取り違えています。
なお、各型の説明では、過去問で同じ型が出た年度を添えます。数値と文章はすべてオリジナルで、答えは python で検算してあります。解説記事での基本は 流況曲線とは と 揚水発電とは にあり、出力の式は 水力発電の出力の求め方 にあります。
調整池の1日調整と多段運転
型1 調整池の1日調整
出題の形 調整池式発電所で、川の流量は1日を通じて一定。この水を貯めておき、1日のうちの数時間だけ集中して発電する。そのときの使用水量、必要な貯水量、出力を求める。令和7年度上期の電力で出た型です。
調整池は、水を貯めておいて、電気が必要な時間に集中して使うための池です。図2は、川をせき止めて水を貯める取水堰と池の例です。
1池の水面2堰3取水口ゲート4導水路- 池の水面 休止中は水が貯まって上がり、運転中は使って下がる
- 堰 川の水をせき止めて、池の水位を保つ
- 取水口ゲート 発電に回す水量を開閉で調節する
- 導水路 取り入れた水を、発電所へ送る
図2 堰と調整池。池の水位が、1日の水量の貯めと使いを受け持つ(写真はイメージ)
解く手順
- 1日に流入する水の量を求める。流入量 × 24 時間
- 運転中は、その全量を運転時間で使い切る。使用水量 Q=Q流入×24÷t
- 貯水量は、停止している時間の流入量。V=Q流入×(24−t)×3600
- 出力は、使用水量 Q を使って P=9.8QHη
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(1) 1日の流入量 9×24 を、5 時間で使い切るので、
Q=59×24=43.2 [m3/s](2) 水車を止めている 19 時間の流入が、池に貯まります。
V=9×19×3600=615600 [m3]運転中も 9 [m3/s] は流れ込み続けるので、池から出る分は (43.2−9)×5×3600=615600 [m3] で、貯めた量と一致します。
(3) 出力は、
P=9.8×43.2×120×0.88×0.96≈4.29×104 [kW]答え:(1) 43.2 m3/s、(2) 615600 m3、(3) 約 4.29×104 kW(約 43 MW)。
ひっかけ 池の容量を Q×t にしてしまうこと。運転中も川の水は流れ込み続けるので、池から出る分は (Q−Q流入)×t です。これは、止めている間に貯めた量と同じ値になるので、検算に使えます。時間を秒にする ×3600 の掛け忘れも、よくある誤りです。
型2 多段運転
出題の形 流入は一定で、1日が「休止・中負荷・休止・ピーク」のように複数の時間帯に分かれる。池の水は、1日の終わりにちょうど使い切る。ピーク時の使用水量と出力、必要な貯水量を求める。令和4年度上期の法規で出た型です。
型1との違いは、時間帯が複数に分かれることだけです。やることは同じで、時間帯ごとに貯水量を足し引きします。流入より多く使う時間帯は貯水量が減り、使わない時間帯は増えます。
解く手順
- 時間帯の表を書く。各時間帯の「使用水量」と「時間」
- 時間帯ごとに、貯水量の変化 (Q流入−Q使用)×t×3600 を求める
- 1日の終わりに池が空になる条件から、ピーク時の使用水量を決める
- 貯水量の最大値が、池に必要な有効貯水量になる
解答と解説を見る
時間帯ごとに、貯水量の変化 (15−Q使用)×t×3600 [m3] を足し引きします。表の時間帯のかっこ内は使用水量 [m3/s] です。たとえば 0 〜 9 時は 15×9×3600=486000 です。
| 時間帯 | 増減 | 終わりの貯水量 |
|---|
| 0 〜 9 時(0) | +486000 | 486000 |
| 9 〜 13 時(21) | −86400 | 399600 |
| 13 〜 16 時(0) | +162000 | 561600 |
| 16 〜 24 時(Qp) | (15−Qp)×28800 | 0 |
(1) 16 時の貯水量 561600 を、8 時間で使い切るので、
(Qp−15)×8×3600Qp=561600=15+28800561600=34.5 [m3/s]検算:1日に使う水は 21×4+34.5×8=360、流入は 15×24=360 で一致します。
(2) 貯水量が最大になるのは 16 時で、561600 [m3] です。図3のように、最初の休止(9 時)の 486000 が最大ではありません。
(3) ピーク運転の出力は、
P=9.8×34.5×75×0.88×0.96≈2.14×104 [kW]答え:(1) 34.5 m3/s、(2) 561600 m3、(3) 約 2.14×104 kW。
図3 例題2の貯水量の変化。増える時間帯と減る時間帯を足し引きすると、最大値が池の容量になる
ひっかけ 有効貯水量は、池が最も満ちたときの量です。最初の休止の終わりと、最大の時刻が一致するとは限りません。例題2では、中負荷運転で一度減った後、再び休止で貯めて 16 時に最大になります。時間帯の表を書いて、各行の終わりの貯水量を確かめれば、取り違えません。
流況曲線の読み取りと調整池の容量
型3 流況曲線から確保流量を読む
出題の形 流況曲線の図が付く。図から渇水量(355 日)や 200 日の流量を読み取り、それを基準に最大使用水量と調整池の容量を求める。令和7年度上期の電力で出た型です。
流況曲線は、日流量を大きい順に並べた曲線です。何日目の流量かで読むので、読み取る位置を間違えないことが大切です。図4は、流量を観測する川の施設の例です。
1水位計の小屋2量水標3護岸4川の流れ- 水位計の小屋 水位を自動で記録する計器が入っている
- 量水標 水位を目盛りで読む標尺
- 護岸 流れる位置を安定させる、川岸の石積み
- 川の流れ この流量を毎日記録して並べ替えると流況曲線になる
図4 流量の観測所。ここで毎日の水位と流量を測って、流況曲線をつくる(写真はイメージ)
解く手順
- 図の横軸の日数から、問題が指定する日数の流量を読む(渇水量は 355 日)
- 最大使用水量を決める。渇水量を毎日貯めて t 時間で使う場合は Qmax=Q渇水×24÷t
- 容量は V=(Qmax−Q確保)×t×3600。確保する流量は、問題が指定した日数の値
図5 例題3の流況曲線。線の上の2点を読み、横の破線が最大使用水量
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図5から、渇水量は 6 [m3/s]、200 日値は 12 [m3/s] と読めます。
(1) 最大使用水量は、1日の流入 6×24 を 8 時間で使い切るので、
Qmax=86×24=18 [m3/s]有効貯水量は、止めている 16 時間の流入で、
V=6×16×3600=345600 [m3](2) 流入を 12 [m3/s] とみなすと、運転中の不足分を池から補います。
V=(18−12)×8×3600=172800 [m3]答え:(1) 18 m3/s、345600 m3、(2) 172800 m3。
ひっかけ (2) の池は (1) の半分で済みますが、流量が 12 [m3/s] を下回る日(一般に、年の 165 日ほど)は、池が足りなくて 8 時間の運転ができません。確保する流量を大きく取るほど、池は小さくて済み、運転できない日が増えます。読み取る日数は問題文で指定されるので、豊水・平水・低水・渇水の日数(95・185・275・355)を取り違えないことが肝心です。
一次式で与えられた流況曲線
型4 式で与えられた流況曲線の日数と電力量
出題の形 流込み式で、流況曲線が日数 d の一次式で与えられる。最大使用水量を超える日数(溢水日数)、年間の発電電力量、設備利用率を求める。令和6年度下期と令和7年度上期の法規で出た型です。
流込み式は池を持たないので、流量が最大使用水量を超える日は、超えた分が捨てられます(溢水)。年間の使える水量は、流況曲線を最大使用水量の線で切った面積です。
解く手順
- 最大使用水量 Qmax を決める。直接与えられるか、「渇水量の何倍」で与えられる
- Q(d)=Qmax となる日数 d0 を式から求める。これが溢水日数
- 使える水量の面積 A=Qmax×d0+2Qmax+Q(365)×(365−d0)(長方形 + 台形)
- 電力量 W=9.8Hη×A×24 [kW⋅h]、設備利用率 =Qmax×365A
図6 一次式の流況曲線(例題4)。20 を超える部分は溢水で、使えるのは線の下の面積
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(1) 流量が 20 [m3/s] を超えるのは、
28.75−0.05d>20⇒d<175より、溢水日数は 175 日です。
(2) 365 日目の流量は 28.75−0.05×365=10.5 [m3/s]。使える水量の面積は、図6の長方形と台形を足して、
A=20×175+220+10.5×190=3500+2897.5=6397.5 [m3/s]⋅[日]総合効率は 0.90×0.95=0.855 なので、
W=9.8×40×0.855×6397.5×24≈5.15×107 [kW⋅h](3) 設備利用率は、
20×3656397.5≈0.876答え:(1) 175 日、(2) 約 5.15×107 kW⋅h(約 51.5 GW・h)、(3) 約 87.6 %。
最大使用水量が「渇水量の何倍」で与えられる場合は、先に渇水量を式から読みます。
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(1) 渇水量は 355 日目の流量で、28.75−0.05×355=11.0 [m3/s]。最大使用水量は、
Qmax=11.0×1.5=16.5 [m3/s](2) 溢水の境の日数は、28.75−0.05d=16.5 より d=245 日です。使える水量の面積は、
A=16.5×245+216.5+10.5×120=4042.5+1620=5662.5 [m3/s]⋅[日]W=9.8×60×0.80×5662.5×24≈6.39×107 [kW⋅h](3) 設備利用率は、
16.5×3655662.5≈0.940答え:(1) 16.5 m3/s、(2) 約 6.39×107 kW⋅h、(3) 約 94.0 %。
ひっかけ 年間電力量の式の最後の ×24 は、面積の単位が「m3/s⋅日」なので、日を時間にするために必要です。落とすと 24 分の 1 になります。溢水日数は「流量が最大使用水量を超える日数」で、使える日数ではありません。また、設備利用率を面積の比で求められるのは、落差と効率が一年を通じて一定のときだけです。
揚水の出力・入力・所要時間・変換効率
揚水の計算は、型5〜7の3つに分かれます。どれも 揚水発電とは の式の使い方で、手順は図8の流れの一部を使うだけです。最近の出題では、令和4年度上期、令和6年度上期、令和8年度上期と、およそ2年おきに出ています。
1上池の水面2取水塔3管理道路4堤の外側斜面- 上池の水面 発電のときの水の出どころで、揚水のときの行き先
- 取水塔 上池への水の出入口。発電にも揚水にも使う
- 管理道路 堤の上を囲み、点検に使う
- 堤の外側斜面 岩石を積んで水圧を支える
図7 山の上の上池。水位の差が、揚水と発電の「落差」になる(写真はイメージ)
図8 揚水の計算の流れ。型5は1〜3、型6は4と5、型7は3を変形する
型5 揚水の出力と入力
出題の形 総落差と、総落差の何 % かで表された損失水頭が与えられる。発電の出力と、揚水の電動機入力を求める。令和6年度上期と令和8年度上期で出た型です。
解く手順 図8の 1〜3。損失水頭 h=xH0 を、発電では引き(有効落差 H0(1−x))、揚水では足す(全揚程 H0(1+x))。出力は効率を掛け、入力は効率で割ります。
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損失水頭は 320×0.02=6.4 [m] です。有効落差は 320−6.4=313.6 [m]、全揚程は 320+6.4=326.4 [m] です。
(1) 発電出力は、効率を掛けて、
Pg=9.8×45×313.6×0.89×0.97≈1.19×105 [kW](2) 電動機入力は、効率で割って、
Pp=0.88×0.979.8×36×326.4≈1.35×105 [kW]答え:(1) 約 1.19×105 kW(約 119 MW)、(2) 約 1.35×105 kW(約 135 MW)。
ひっかけ 損失水頭を「足す・引く」を逆にすること、効率を「掛ける・割る」を逆にすることの2つです。さらに、発電の水量と揚水の水量が別々に与えられるので、Q を取り違えないようにします。発電の式に揚水の水量を入れる誤りが、選択肢にそのまま用意されています。
型6 揚水の所要時間と変換効率
出題の形 発電に使った水を、別の水量でくみ戻す。揚水の所要時間と、発電電力量と揚水電力量の比である変換効率を求める。令和8年度上期で出た型です。
解く手順 図8の 4 と 5。まず水量の収支から揚水の時間を決めます。
QgTg=QpTp⇒Tp=QpQgTg
次に、変換効率を電力量の比で求めます。
η=PpTpPgTg
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有効落差は 420×0.97=407.4 [m]、全揚程は 420×1.03=432.6 [m] です。
(1) Pg=9.8×54×407.4×0.90≈1.94×105 [kW]
(2) Pp=0.869.8×42×432.6≈2.07×105 [kW]
(3) 水の収支から、
Tp=4254×7=9 [h](4) 発電電力量は 1.940×105×7≈1.358×106 [kW⋅h]、揚水電力量は 2.070×105×9≈1.863×106 [kW⋅h] なので、
η=1.863×1061.358×106≈0.729約 72.9 [%] です。検算として、水の収支が合うときは η=432.6407.4×0.90×0.86≈0.729 となり、水量に関係なく同じ値になります。
答え:(1) 約 1.94×105 kW、(2) 約 2.07×105 kW、(3) 9 時間、(4) 約 72.9 %。
ひっかけ 揚水の時間を、発電と同じ 7 時間にしてしまうこと。水量が違えば、時間も違います。同じ 7 時間にすると、変換効率が 194÷207≈93.7 [%] のように、不自然に高くなります。揚水の変換効率は、1 より小さく、7 割前後になるのがふつうです。
型7 電動機入力からの逆算
出題の形 全揚程と効率が与えられ、揚げる水量から電動機が使う電力量を求める。または、電動機入力から揚水の流量を求める。令和4年度上期で出た型です。
解く手順 揚水入力の式 P=9.8QH/(ηpηm) を、求めたい量について変形します。流量なら Q=9.8HPηpηm、電力量なら水量 V から W=ηpηm×36009.8VH [kW⋅h] です。
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効率の積は 0.85×0.96=0.816 です。
(1) 水を揚げる仕事は 9.8VH で、これを効率で割ります。
W=0.816×36009.8×2.7×106×400≈3.60×106 [kW⋅h]約 3 600 MW・h です。
(2) 入力 294 [MW]=2.94×105 [kW] から、
Q=9.8×4002.94×105×0.816=61.2 [m3/s](3) 時間は水量を流量で割って、
T=61.2×36002.7×106≈12.3 [h]検算として、294×12.25≈3600 [MW⋅h] で、(1) と一致します。
答え:(1) 約 3 600 MW・h、(2) 61.2 m3/s、(3) 約 12.3 時間。
ひっかけ 電力量の単位です。水を揚げる仕事を 9.8VH で出すと、単位は kW⋅s なので、3600 で割って kW⋅h にします。さらに、kW⋅h を MW⋅h にするときは 1000 で割ります。全揚程が、損失水頭を含んだ値として与えられているのか、実揚程と別に与えられているのかも、問題文で確かめます。
故障原因を症状から推定する型
最後は、計算ではなく推論の型です。過去問には、運転中の症状が並べられて、故障の場所を選ばせる問題が出ています。計算は要らないのに難しいと言われる型ですが、考え方は一つで、水の流れを上流から並べ、症状がどこで起きたかに合う場所を探すことです。
図9は、山腹の水槽(ヘッドタンク)から水圧管路が伸びる部分です。水槽の水位は、この写真のように外から見えます。
1水槽の水面2格子3水圧管路の入口4水圧管路- 水槽の水面 ここの水位が、上流と下流のどちらの異常かを分ける
- 格子 ごみが水圧管へ入るのを防ぐ
- 水圧管路の入口 ここから下流が、水車までの管
- 水圧管路 水槽の水が落ちて、水車へ向かう
図9 水槽と水圧管路の入口。水位の変化が、詰まりの場所を教える(写真はイメージ)
手順 まず、電気側の異常かどうかを見ます。系統に並列しているとき、発電機の電圧と周波数は系統が決めるので、出力が下がっても変わりません。出力は P=9.8QHη で決まるので、出力低下は水の量 Q の減少で説明できます。次に、水槽の水位と水車入口の圧力計の2つで、詰まった場所を絞ります(図10)。
図10 詰まった場所と症状の対応。水槽の水位と入口の圧力計の2つで、場所が絞れる
水槽より上流が詰まると、水槽に入る水が減るので、水位が下がります。水槽より下流が詰まると、水槽へ入る水が余るので、水位が上がります。下流の詰まりが圧力計より上流(水圧管や入口弁)なら、圧力計の指示は下がり、下流(ガイドベーンやランナ)なら、水が出られず管の中の圧力は上がります。以上は一般的な水の流れの考え方で、設備ごとの細部は異なります。
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症状は「流量の低下」「水槽の水位の上昇」「圧力計の上昇」の3つで、電圧・周波数は変わっていません。
- (ア)(イ) は、水槽より上流の詰まりです。水槽に入る水が減るので、水位は下がります。症状と合いません
- (ウ) は、圧力計より上流の詰まりです。水位は上がりますが、圧力計は下がります。症状と合いません
- (オ) は電気側の異常で、電圧や励磁電圧に異常が出るはずです。流量の低下と水槽の水位の上昇を説明できません
- (エ) は、圧力計より下流の詰まりです。水が通れず流量が減り、水槽の水位は上がり、圧力計の指示も上がります。症状と全て合います
答え:(エ)
ひっかけ 水槽の水位だけで決めると、(ウ) と (エ) が残って決まりません。水位と圧力計の2つの向きの組み合わせで、上流か下流かを分けるのが要点です。選択肢に「発電機の故障」があっても、電圧や周波数が正常なら、電気側ではありません。
よくある質問
揚水の計算で、効率は掛けるのですか、割るのですか?
出力を求める発電は、効率を掛けます。電気がもらえる量は、水の力より小さくなるからです。入力を求める揚水は、効率で割ります。電気を余計に使わないと、必要な水の仕事をさせられないからです。「出力は小さくなる向き、入力は大きくなる向き」と考えると、間違えません。
調整池の容量は、運転時間と休止時間のどちらで計算しますか?
どちらでも同じ値になります。止めている間に貯めた量 Q流入×(24−t)×3600 と、運転中に池から出す量 (Qmax−Q流入)×t×3600 が等しいからです。2通りで計算して一致すれば、検算になります。多段運転のときは、時間帯の表で貯水量の最大値を取ります。
選択肢の値と少しずれたときは、どうしますか?
試験の計算問題は、選択肢の値が有効数字 3 桁程度で並んでいて、途中の丸めでずれることがあります。効率の積や 3600 などを先にまとめて計算し、最後に丸めると、ずれにくくなります。それでも合わないときは、最も近い選択肢を選びます。大きくずれたときは、型の取り違え(時間か、効率の向きか)を疑います。
思い出してみよう
答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。
調整池式で、流入 Q流入 が一定、1日 t 時間だけ運転するとき、使用水量と池の容量は?
使用水量は Q=Q流入×24÷t、容量は V=Q流入×(24−t)×3600 [m3] です。
多段運転の問題で、有効貯水量はどの時刻の値を取りますか?
時間帯ごとに貯水量を足し引きして、貯水量が最大になった時刻の値です。最初の休止の終わりとは限りません。
一次式の流況曲線で、溢水日数はどう求めますか?
Q(d)=Qmax を解いた日数 d0 です。それより小さい d の日が、流量が最大使用水量を超える日です。
損失水頭が総落差の x 倍のとき、発電と揚水の落差はそれぞれ?
発電は有効落差 H0(1−x)、揚水は全揚程 H0(1+x) です。出力は効率を掛け、入力は効率で割ります。
発電水量 Qg を Tg 時間、揚水水量 Qp で行うとき、揚水の所要時間と変換効率は?
Tp=QgTg/Qp で、変換効率は PgTg/(PpTp) です。水量が違っても、1 より小さい値になります。
出力低下で水槽の水位が上がり、水車入口の圧力計も上がったとき、詰まりはどこにありますか?
圧力計より下流の、ガイドベーンやランナなどです。水位が下がるなら水槽の上流、圧力計が下がるなら水槽と圧力計の間を疑います。
まとめ
- 型は7つ。合図の言葉から型を決め、水の収支で検算する
- 調整池の1日調整は、使用水量 Q=Q流入×24÷t、容量は止めている間の流入量
- 多段運転は、時間帯の表で貯水量を足し引きし、最大値が有効貯水量
- 流況曲線の読み取りは、渇水量が 355 日、200 日値などを指定の日数で読む
- 一次式の流況曲線は、溢水日数を式から出し、長方形と台形の面積で電力量と設備利用率を求める
- 揚水は、発電は引いて掛け、揚水は足して割る。所要時間は水量の収支、変換効率は電力量の比
- 故障の推定は、電気側が正常かを見て、水槽の水位と圧力計の向きで場所を絞る
| 型 | 要の式・考え方 |
|---|
| 調整池の1日調整 | Q=Q流入×24÷t、V=Q流入(24−t)×3600 |
| 多段運転 | 時間帯ごとの足し引き、最大値が容量 |
| 流況曲線の読み取り | 指定の日数の流量を図から読む |
| 一次式の流況曲線 | A=Qmaxd0+2Qmax+Q(365)(365−d0) |
| 揚水の出力・入力 | H0(1∓x)、発電は掛け、揚水は割る |
| 所要時間と変換効率 | QgTg=QpTp、η=PgTg/(PpTp) |
| 電動機入力からの逆算 | P=9.8QH/(ηpηm) を変形 |
基本を確かめたいときは、流況曲線とは、揚水発電とは、水力発電の出力の求め方 に戻ってください。次は、計算ではなく正誤の問題です。次に読む記事は 水力発電の正誤問題のポイント です。