抵抗の測定方法|電圧降下法の誤差・ブリッジ・接地抵抗の測り方を図解
電験三種の抵抗の測定を、図と例題で整理します。電圧降下法の2つのつなぎ方と誤差の向き、使い分けの境目、ブリッジ、低抵抗の四端子法、絶縁抵抗計、接地抵抗の測り方まで、順に確認できます。

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電圧計と電流計で抵抗を測ると、計器そのものの抵抗のせいで、測定値が少しずれます。どちらにずれるかが分かれば、つなぎ方を選べます。
この記事では、抵抗の大きさで変わる測り方の全体像から、電圧降下法の2つのつなぎ方と誤差の向き、ブリッジ、四端子法、絶縁抵抗計、接地抵抗の測り方までを、図と例題で順に確認します。
- 抵抗の測定とは
- 抵抗の大きさ(低・中・高)で、測り方が変わる
- 電圧降下法
- 電圧計と電流計で を求める
- 電圧計を抵抗の両端につなぐ形(A)は小さく、電流計を抵抗の手前につなぐ形(B)は大きく出る
- 選び方の境目の目安は
- ブリッジ
- 中抵抗を、平衡条件から精密に測る
- 低抵抗と高抵抗
- 低抵抗は四端子法、高抵抗は絶縁抵抗計
- 接地抵抗
- 補助極 P・C を使う電位降下法
抵抗の測定とは
抵抗の測定は、抵抗の大きさによって、使う方法が変わります。小さい抵抗では、測定用のリード線や接触部の抵抗が、無視できなくなります。大きい抵抗では、わずかな漏れ電流が測定値を左右します。そこで、図1のように、低抵抗・中抵抗・高抵抗に分けて、方法を選びます。
区分の境目は、資料によって少しずつ違います。図の値は、あくまで目安です。区分ごとに、測るものと、気をつける点は次のとおりです。
| 区分 | 測るもの | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 低抵抗 | 太い電線・接触部 | リード線・接触の抵抗 |
| 中抵抗 | 抵抗器・巻線 | 計器の内部抵抗 |
| 高抵抗 | 絶縁物 | 微小な漏れ電流 |
中抵抗の測定の基本になるのが、電圧計と電流計を使う電圧降下法です。次の節から、2つのつなぎ方を比べます。
電圧降下法とは:2つのつなぎ方
電圧降下法は、電圧計で抵抗の両端の電圧 を、電流計で流れる電流 を測り、オームの法則で と求める方法です。電圧計と電流計を使うので、電圧計・電流計法とも呼ばれます。
ところが、電圧計にも電流計にも内部抵抗があります。電圧計の内部抵抗 は大きく、電流計の内部抵抗 は小さく作られています(倍率器と分流器で扱いました)。理想の計器ではないので、つなぎ方によって、測定値 が真の値 からずれます。誤差率は、指示電気計器と同じ定義で、真の値を 、測定値を として と表します。 が正なら大きく、負なら小さく測れています。
つなぎ方は2つあります。この記事では、次のように呼びます。
- つなぎ方 A:電圧計を、抵抗のすぐ両端につなぐ
- つなぎ方 B:電流計を抵抗のすぐ手前につなぎ、電圧計はその外側につなぐ
つなぎ方 A:電圧計を抵抗の両端につなぐ
図2で、電圧計の指示 は、 の両端の電圧そのものです。しかし電流計は、 に流れる電流に、電圧計に流れる電流を足した値を指します。電流を多めに測るので、 は小さく出ます。電圧計は と並列につながっているので、測定値は と の並列の合成抵抗です。
が よりずっと小さいときは、 と近似できます。
つなぎ方 B:電流計を抵抗の手前につなぐ
図3では、電流計の指示 は、 に流れる電流そのものです。しかし電圧計は、 の電圧に、電流計の電圧降下 を足した値を指します。電圧を多めに測るので、 は大きく出ます。測定値は と の直列の合成抵抗です。
電圧降下法の誤差とつなぎ方の選び方
2つのつなぎ方の誤差を比べます。 は、 が小さいほど小さくなります。 は、 が大きいほど小さくなります。したがって、 が小さいときは A、大きいときは B が、誤差が小さくなって向いています。
| つなぎ方 | 向く抵抗 | 誤差の原因 |
|---|---|---|
| A | 小さい抵抗 | 電圧計の電流 |
| B | 大きい抵抗 | 電流計の電圧降下 |
図4は、、 の計器で、 を変えたときの誤差率の大きさです。2本の線は、 が約 100 Ω のところで交わります。この交点が、2つのつなぎ方を使い分ける境目です。
境目の値は、誤差の大きさが等しい条件 から出せます。
は よりずっと小さいので、 は に比べて無視できます。すると、境目は次のようになります。
図の例では、 です。
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つなぎ方 A は、 と の並列です。
つなぎ方 B は、 と の直列です。
誤差の大きさは、A が約 0.50 %、B が 0.20 % なので、B のほうが小さくなります。境目の目安 より が大きいので、B が向く、という見積もりとも合っています。
測定値から真の値を求め直すこと(補正)もできます。つなぎ方 B なら、 から です。つなぎ方 A なら、 を について解いて、 となります。
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測定値は、電圧を電流で割った値です。
つなぎ方 B では なので、電流計の内部抵抗を引くと、真の値が出ます。
誤差率は、次のとおりです。
ブリッジで中抵抗を精密に測る
ブリッジは、既知の抵抗と見比べて、未知の抵抗を測る方法です。検流計の指示が 0 になるように調整すると、向かい合う辺の抵抗の積が等しくなる平衡条件 が成り立ちます(導き方はブリッジ回路)。平衡条件には、電源の電圧も検流計の抵抗も出てきません。そのため、電圧降下法のような、計器の内部抵抗による誤差の問題が起きません。測定値の精度は、比べる相手の既知の抵抗の精度で決まります。
測りたい抵抗には、たとえば基板に取り付ける抵抗器があります。抵抗器は色帯で値を表しますが、表示値には幅(許容差)があります。実際の値を精密に知りたいときに、ブリッジの出番があります。

- 抵抗器 基板に取り付けられている
- はんだ付け リード線を基板に固定
- 色帯 抵抗の値を表す
- 配線 金色の線で部品をつなぐ
ブリッジには、電源の種類で2つあります。
| 種類 | 電源 | 測るもの |
|---|---|---|
| 直流ブリッジ | 直流 | 抵抗 |
| 交流ブリッジ | 交流 | インピーダンス |
交流ブリッジは、4つの辺をインピーダンスにしたブリッジです。平衡条件は です。インピーダンス(RLC 直列回路のインピーダンス)は大きさと位相をもつので、条件が2つになります。各インピーダンスの大きさを 、位相角を とすると、次の2つが同時に成り立つときに平衡します。
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平衡条件を使います。(a-c)と (d-b)は向かい合う辺で、(a-d)と (c-b)も向かい合う辺です。この2組の積が等しくなります。
比で確かめます。、 で、一致します。
低抵抗の測定と四端子法
1 Ω 前後より小さい抵抗では、測定用のリード線の抵抗や、リード線と端子の接触の抵抗が、測りたい抵抗と同じくらいの大きさになります。これらが電圧計の測定に入り込むと、測定値は大きく出ます。
四端子法は、電流を流す端子と、電圧を測る端子を分けて、この影響を除く方法です。図7で、二端子法と比べます。
二端子法では、電流が通るリード線と同じ線で電圧を測るので、リード線と接触の抵抗 の電圧降下が、電圧計の指示に入ります。四端子法では、電圧計を別の端子で の両端につなぎます。電圧計に電流はほとんど流れないので、その線の電圧降下は 0 とみなせて、電圧計は の電圧だけを指します。
数値で比べます。真の値 の抵抗を、リード線と接触の抵抗が 1 本あたり 、電流 で測るとします。二端子法では、リード線は 2 本分入ります。
真の値の 5 倍で、誤差率は です。四端子法なら、 と測れます。
低抵抗の測定には、接触抵抗の影響を消すように工夫したブリッジ(ダブルブリッジ)も使われます。
絶縁抵抗計で高抵抗を測る
絶縁物の抵抗は非常に大きく、低い電圧では流れる電流が小さすぎて測れません。絶縁抵抗計は、絶縁物に直流の高い電圧をかけて、流れるわずかな漏れ電流から、抵抗を求める計器です。

- 赤のプローブ 遮断器の端子に当てる
- 絶縁抵抗計 直流の高電圧を出す
- 端子 リード線をつなぐ
- 黒のプローブ 金属の筐体に当てる
測るときは、測りたい電線などに線路端子 L を、大地や金属の筐体に接地端子 E をつなぎます。たとえば、500 V をかけて 0.5 mA の電流が流れたとき、絶縁抵抗は次のとおりです。
絶縁の考え方は、絶縁耐力試験の記事で整理しています。
接地抵抗の測定方法(電位降下法)
接地抵抗は、接地極と大地の間の抵抗です。接地極は大地につながっているので、普通の抵抗のように「もう一方の端子」を置く場所がありません。そこで、補助の電極を地面に打って測ります。

- 銅色の棒 地面に打ち込む
- クランプ 線を棒に固定する
- 緑の線 クランプで棒につながる
- 土 棒のまわりの大地
測り方は、電位降下法(三極法)です。接地抵抗計の E 端子に被測定接地極 E を、P 端子に電位補助極 P を、C 端子に電流補助極 C をつなぎます。E・P・C を一直線に並べて打ちます。
測定の手順は、次のとおりです。
- E と C の間に電流 を流す
- E と P の間の電圧 を測る
- で、接地抵抗を求める
電位は、E や C の近くでは急に変化しますが、その中間ではなだらかです。P をなだらかな所に置くと、E と P の間の電圧が、P の位置に左右されにくくなります。
接地抵抗計は、一般に直流ではなく交流の電流で測ります。直流を土に流すと、電極のまわりで電気分解による分極が起きて、測定値が乱れるためです。
補助極の間隔は、E・P・C を一直線に、十分離して打ちます。具体的な間隔は、接地抵抗計の取扱説明書に従い、P の位置を少し動かしても値が変わらない所を探します。

なお、半球状の電極と一様な土壌を仮定した理論では、E から C までの距離の約 61.8 % の位置に P を置くと、真の値が得られることが知られています(61.8 % 法)。実際の測定では、土壌が一様とは限らないので、取扱説明書の手順に従います。
規定の接地抵抗値は、接地工事の種類と接地抵抗値で整理しています。
解答と解説を見る
正解は、エです。
- ア 正しい。電圧計に電流がほとんど流れないので、リード線と接触の抵抗の影響が入らない。
- イ 正しい。絶縁物の漏れ電流は小さいので、高い電圧をかけて測る。
- ウ 正しい。電位の分布を使う測定なので、一直線に、十分離して打つ。
- エ 誤り。補助極が近すぎると、E と C のまわりの電位の変化が重なる。P の電位が正しい値にならず、測定値が真の値からずれる。
よくある質問
電圧降下法で、つなぎ方 A が向くのはどんなとき?
測る抵抗 が、境目の目安 より小さいときです。A の誤差の大きさは で、 が小さいほど、電圧計に流れる電流の割合が小さくなるからです。 が大きいときは、B のほうが誤差が小さくなります。
電圧計の内部抵抗は、大きいほどよい?
大きいほど、誤差が小さくなります。つなぎ方 A の誤差は なので、 が大きいほど小さくなるからです。反対に、電流計の内部抵抗は、小さいほどよい計器です。つなぎ方 B の誤差 は、 が小さいほど小さくなります。
ブリッジで測ると、精密に測れるのはなぜ?
平衡のとき、検流計に電流が流れず、平衡条件に電源の電圧や検流計の抵抗が出てこないからです。電圧降下法のような、計器の内部抵抗による誤差が入りません。精度は、比べる既知の抵抗の精度で決まります。
接地抵抗の補助極の間隔は、何 m にする?
一般に、E・P・C を一直線に十分離して打ちます。何 m にするかは、接地抵抗計の取扱説明書に従います。土壌の状態で変わるので、P の位置を少し動かしても値が変わらない所を探すのが、確かな方法です。
思い出してみよう
答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。
つなぎ方 A(電圧計を抵抗の両端につなぐ形)の測定値は、真の値より大きいですか、小さいですか。
小さくなります。電流計が、電圧計に流れる電流まで測るからです。
つなぎ方 B の測定値と誤差率は、どう書けますか。
、誤差率は です。
2つのつなぎ方の境目の目安は、何ですか。
です。これより が小さければ A、大きければ B が向きます。
低抵抗の測定で、四端子法を使うのはなぜですか。
リード線と接触の抵抗の電圧降下が、測定値に入らないようにするためです。
絶縁抵抗計は、どのようにして高抵抗を測りますか。
直流の高い電圧をかけて、流れる漏れ電流から求めます。
接地抵抗の測定で、E・P・C はどう並べ、何を測りますか。
一直線に十分離して並べ、E と C の間の電流 と、E と P の間の電圧 から、 を求めます。
まとめ
- 抵抗の測定は、大きさで方法が変わる。低抵抗は四端子法、中抵抗は電圧降下法やブリッジ、高抵抗は絶縁抵抗計
- 電圧降下法のつなぎ方 A は、測定値が小さく出る()。つなぎ方 B は、大きく出る()
- 境目の目安は 。これより小さい抵抗は A、大きい抵抗は B で測る
- ブリッジは、平衡条件で未知の抵抗を出す。電源や検流計の内部抵抗の影響を受けない。交流ブリッジの平衡条件は、大きさと位相の2つ
- 接地抵抗は、E・P・C を一直線に十分離して打ち、E と C の間の電流と、E と P の間の電圧から求める








