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機械電気機器 / 変圧器17分で読めます

電圧変動率とは|変圧器の近似式と力率による違いを例題つきで図解

電験三種の変圧器の電圧変動率を、定義と二次電圧が下がる理由から整理します。近似式 ε≒p cosθ+q sinθ の導き方、遅れ・進み力率での違い、最大になる力率、例題まで図解で確認できます。

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夕暮れの住宅街で、柱上変圧器のある電柱と、明かりのついた家の窓が並ぶ様子の写真
この記事の目次
  1. 電圧変動率とは?定義と二次電圧が下がる理由
  2. 電圧変動率の近似式:ベクトル図から導く
  3. 百分率抵抗降下 p と百分率リアクタンス降下 q の求め方
  4. 力率で変わる電圧変動率:遅れ・力率 1・進み
  5. 電圧変動率が最大になる力率
  6. 負荷が定格より軽いとき
  7. 電圧の下がりを抑える方法
  8. 電圧変動率の例題と間違えやすいところ
  9. よくある質問
  10. 電圧変動率が負になることはありますか?
  11. 電圧変動率は小さいほどよいのですか?
  12. 近似式と厳密な式の、どちらで解けばよいですか?
  13. %Z と電圧変動率は、何が違うのですか?
  14. まとめ
図解でわかる 電験三種 機械 2 変圧器 の表紙この単元を1冊で読む図解でわかる 電験三種 機械 2
変圧器
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変圧器の等価回路の記事では、巻線の抵抗とリアクタンスを rr、xx にまとめた簡易等価回路を作りました。この rr、xx に負荷電流が流れると電圧降下が生じ、遅れ力率の負荷では、二次側の端子電圧が無負荷のときより低くなります。その変わり方を、定格二次電圧に対する百分率で表したものが電圧変動率 ε\varepsilon です。電験三種では、百分率抵抗降下 pp、百分率リアクタンス降下 qq、負荷の力率 cos⁡θ\cos\theta から、近似式 ε≒pcos⁡θ+qsin⁡θ\varepsilon \fallingdotseq p\cos\theta + q\sin\theta で求めるのが基本です。この記事では、定義、近似式の導き方、力率による違い、例題を順に確認します。

電圧変動率の全体像
  • 電圧変動率とは
    • 無負荷電圧 V20V_{20} と定格電圧 V2nV_{2n} の差を、V2nV_{2n} に対する百分率で表したもの
  • 近似式
    • ベクトル図の横成分から ε≒pcos⁡θ+qsin⁡θ\varepsilon \fallingdotseq p\cos\theta + q\sin\theta
  • pp・qq の求め方
    • p=rI/V2n×100p = rI/V_{2n} \times 100、q=xI/V2n×100q = xI/V_{2n} \times 100、%Z=p2+q2\%Z = \sqrt{p^2 + q^2}
  • 力率による違い
    • 遅れで大きく、力率 1 で pp、進みで小さく(負にもなる)。最大値は %Z\%Z
  • 例題と間違えやすいところ
    • pp、qq、sin⁡θ\sin\theta、ε\varepsilon、V20V_{20} の順に解く

電圧変動率とは?定義と二次電圧が下がる理由

電圧変動率とは、変圧器の一次電圧を一定にしたまま、定格の負荷をつないだ状態から負荷を切り離したとき、二次側の端子電圧がどれだけ変わるかを百分率で表したものです。式で書くと、次のとおりです。

ε=V20−V2nV2n×100 [%]\varepsilon = \dfrac{V_{20} - V_{2n}}{V_{2n}} \times 100\ \mathrm{[\%]}
  • V2nV_{2n}:定格負荷(定格電流が流れる負荷)をつないだときの二次電圧。定格二次電圧
  • V20V_{20}:一次電圧はそのままで、負荷を切り離した無負荷のときの二次電圧

分母は V20V_{20} ではなく、定格二次電圧 V2nV_{2n} です。

家庭や工場で使う電気は、変圧器の二次側から送られてきます(図1)。使う電気が増えると二次電流が増え、変圧器の巻線の抵抗とリアクタンスによる電圧降下も増えます。そのぶん、負荷をつないだときの端子電圧は、無負荷のときより低くなります。

夕暮れの住宅街で、電柱の上の柱上変圧器から引込線が家へ伸びている様子の写真
  1. 柱上変圧器 配電用の変圧器
  2. 引込線 二次側から家へ電気を送る
  3. 引込口 家の中へ入る位置
図1 柱上変圧器から引込線を通って家へ電気が届く(写真はイメージ)

無負荷のときの電圧 V20V_{20} と、定格負荷のときの電圧 V2nV_{2n} を並べると、図2のようになります。この差が小さいほど、負荷が変わっても電圧が安定している変圧器です。

V20 V2n 無負荷 (負荷なし) 定格負荷 (定格電流) 下がった分 V20 − V2n 差は見やすいよう 大きく描いています ε = ( V20 − V2n ) ÷ V2n × 100 [%]
図2 電圧変動率は、負荷を切ったときに二次電圧が上がる分を、定格二次電圧に対する割合で表したもの

身近なところでは、コンセントの電圧をテスターで測ると、使っている電気の量によって値が変わることがあります(図3)。ただし、この変化には、配電線や屋内配線の電圧降下も含まれます。電圧変動率が表すのは、そのうち変圧器の内部で生じる電圧降下の分だけです。

コンセントの穴に測定棒を差し込んで電圧を測っている様子の写真
  1. コンセント 電圧を測る場所
  2. 測定棒 穴に差し込んで測る
  3. テスター 電圧を読み取る
図3 コンセントの電圧をテスターで測る(写真はイメージ)

電圧変動率の近似式:ベクトル図から導く

電圧変動率は、等価回路とベクトル図から求められます。二次側へ換算した簡易等価回路を、図4に示します。励磁回路は、励磁電流が負荷電流に比べてごく小さいので省いてあります。

V20 r 抵抗 x リアクタンス 負荷 I V2 ここで電圧が下がる V20:無負荷電圧 V2:負荷の端子電圧 I:負荷電流 r、x:二次側に換算した巻線の抵抗とリアクタンス
図4 二次側から見た簡易等価回路。負荷電流 I が r と x を通るぶん、端子電圧 V2 は V20 より低くなる

定格負荷のとき、負荷電流 I˙\dot I は定格電流で、端子電圧は V˙2n\dot V_{2n} です。無負荷電圧は、この端子電圧に rr と xx の電圧降下を足したものになります。

V˙20=V˙2n+(r+jx)I˙\dot V_{20} = \dot V_{2n} + (r + jx)\dot I

これを、V˙2n\dot V_{2n} を基準にしたベクトル図に描きます(図5)。電流 I˙\dot I は、力率角 θ\theta だけ遅れているとします。

  • rIrI は、電流と同じ向き
  • xIxI は、電流より 90° 進んだ向き
rI cosθ + xI sinθ θ V2 I V20 rI xI I は V2 より θ だけ遅れている(遅れ力率) rI と xI は見やすいよう、実際より大きく描いている
図5 V2 を基準にしたベクトル図。V20 は V2 に rI と xI を足したもの。縦成分は小さいので、横成分で近似する

V˙20\dot V_{20} は、V˙2n\dot V_{2n} にこの二つを足したものです。その横成分と縦成分は、次のとおりです。

横成分=V2n+rIcos⁡θ+xIsin⁡θ縦成分=xIcos⁡θ−rIsin⁡θ\begin{gathered} \text{横成分} = V_{2n} + rI\cos\theta + xI\sin\theta \\ \text{縦成分} = xI\cos\theta - rI\sin\theta \end{gathered}

縦成分は V2nV_{2n} に比べてごく小さいので、V20V_{20} の大きさは横成分とほぼ等しいと考えます。すると、V20−V2n≒rIcos⁡θ+xIsin⁡θV_{20} - V_{2n} \fallingdotseq rI\cos\theta + xI\sin\theta です。これを V2nV_{2n} で割って 100 を掛けると、電圧変動率が次のように出ます。

ε≒rIcos⁡θ+xIsin⁡θV2n×100=rIV2n×100⋅cos⁡θ+xIV2n×100⋅sin⁡θ\begin{aligned} \varepsilon &\fallingdotseq \dfrac{rI\cos\theta + xI\sin\theta}{V_{2n}} \times 100 \\ &= \dfrac{rI}{V_{2n}} \times 100 \cdot \cos\theta \\ &\quad + \dfrac{xI}{V_{2n}} \times 100 \cdot \sin\theta \end{aligned}

ここで、pp と qq を次のように定めます。

p=rIV2n×100 [%]q=xIV2n×100 [%]\begin{gathered} p = \dfrac{rI}{V_{2n}} \times 100\ \mathrm{[\%]} \\ q = \dfrac{xI}{V_{2n}} \times 100\ \mathrm{[\%]} \end{gathered}

すると、電圧変動率の近似式が得られます。

ε≒pcos⁡θ+qsin⁡θ [%]\varepsilon \fallingdotseq p\cos\theta + q\sin\theta\ \mathrm{[\%]}

縦成分まで含めた厳密な値との差は、後の例題1で確かめます。

百分率抵抗降下 p と百分率リアクタンス降下 q の求め方

pp は、定格電流が流れたときの抵抗 rr の電圧降下が、定格電圧の何 % にあたるかを表します。qq は、リアクタンス xx の電圧降下について、同じ割合を表します。それぞれ、百分率抵抗降下、百分率リアクタンス降下といいます。

pp と qq は、一次側で計算しても二次側で計算しても、同じ値になります。一次換算すると、抵抗は a2a^2 倍、電流は 1/a1/a 倍、電圧は aa 倍になり、次のように打ち消し合うからです。

a2r×(I/a)aV2n=rIV2n\dfrac{a^2 r \times (I/a)}{a V_{2n}} = \dfrac{rI}{V_{2n}}

pp と qq を直角をはさむ二辺とすると、斜辺が百分率インピーダンス降下 %Z\%Z です(図6)。%Z\%Z については、パーセントインピーダンスでくわしく扱っています。

φ p q %Z p 百分率抵抗降下 rI ÷ V2n × 100 q 百分率リアクタンス降下 xI ÷ V2n × 100 %Z 百分率インピーダンス降下 √(p2 + q2) 例:p = 1.2 %、q = 1.6 % のとき %Z = √(1.44 + 2.56) = 2.0 %
図6 p と q は直角をはさむ二辺で、%Z はその斜辺。%Z = √(p² + q²) で求める
%Z=p2+q2\%Z = \sqrt{p^2 + q^2}

図6の例では、p=1.2 [%]p = 1.2\ \mathrm{[\%]}、q=1.6 [%]q = 1.6\ \mathrm{[\%]} なので、%Z=1.22+1.62=2.0 [%]\%Z = \sqrt{1.2^2 + 1.6^2} = 2.0\ \mathrm{[\%]} です。

問題では、pp、qq が次のような形で与えられます。

与えられるものpp、qq、%Z\%Z の求め方
rr、xx と定格電流・定格電圧p=rI/V2n×100p = rI/V_{2n} \times 100、q=xI/V2n×100q = xI/V_{2n} \times 100
インピーダンスワットと定格容量pp = インピーダンスワット ÷ 定格容量 × 100
インピーダンス電圧と定格電圧%Z\%Z = インピーダンス電圧 ÷ 定格電圧 × 100
pp と %Z\%Zq=%Z2−p2q = \sqrt{\%Z^2 - p^2}

インピーダンスワットは、短絡試験で定格電流を流したときの電力で、ほぼ巻線の抵抗で消費される銅損 rI2rI^2 にあたります。これを定格容量 V2nIV_{2n}I で割ると、rI/V2nrI/V_{2n} となり、pp に一致します。インピーダンス電圧は、定格電流を流すのに必要な電圧 ZIZI です。短絡試験は、この pp、qq を測る試験です。

力率で変わる電圧変動率:遅れ・力率 1・進み

近似式の中で、負荷によって変わるのは θ\theta です。図7は、図5のベクトル図を、力率ごとに並べたものです。

遅れ力率 V20 > V2 V2 I V20 p cosθ + q sinθ ε は大きい 力率 1 V20 > V2 V2 I V20 ε = p q の項が消える 進み力率 V20 < V2 V2 I V20 p cosθ − q sinθ ε は負にもなる 点線は V2 の先端の位置。V20 の先端がその右にあれば ε は正 rI と xI は見やすいよう、実際より大きく描いている
図7 力率によるベクトル図の違い。電流が進むと、V20 の先端が V2 の先端より左へ寄り、ε は小さくなる
  • 遅れ力率(誘導電動機など):電流が遅れ、sin⁡θ>0\sin\theta > 0 です。pcos⁡θp\cos\theta も qsin⁡θq\sin\theta も正なので、ε\varepsilon は大きくなり、二次電圧は下がります。
  • 力率 1:θ=0\theta = 0、sin⁡θ=0\sin\theta = 0 なので、ε=p\varepsilon = p です。リアクタンスの影響は出ません。
  • 進み力率(進相コンデンサなど):sin⁡θ<0\sin\theta < 0 なので、qsin⁡θq\sin\theta は負です。ε\varepsilon は小さくなり、負になることもあります。

p=1.2 [%]p = 1.2\ \mathrm{[\%]}、q=1.6 [%]q = 1.6\ \mathrm{[\%]} の変圧器(%Z=2.0 [%]\%Z = 2.0\ \mathrm{[\%]})で、力率を変えて計算すると、次のようになります。

負荷の力率sin⁡θ\sin\thetaε\varepsilon の計算ε [%]\varepsilon\ \mathrm{[\%]}
0.6(遅れ)0.80.81.2×0.6+1.6×0.81.2 \times 0.6 + 1.6 \times 0.82.02.0
0.8(遅れ)0.60.61.2×0.8+1.6×0.61.2 \times 0.8 + 1.6 \times 0.61.921.92
1001.2×1+1.6×01.2 \times 1 + 1.6 \times 01.21.2
0.8(進み)−0.6-0.61.2×0.8+1.6×(−0.6)1.2 \times 0.8 + 1.6 \times (-0.6)00
0.6(進み)−0.8-0.81.2×0.6+1.6×(−0.8)1.2 \times 0.6 + 1.6 \times (-0.8)−0.56-0.56

ε\varepsilon が負のとき、V20<V2nV_{20} < V_{2n} です。負荷をつなぐと、二次電圧はかえって上がります。

電圧変動率が最大になる力率

ε\varepsilon を θ\theta の関数として見ると、遅れ力率のどこかで最大になります。pcos⁡θ+qsin⁡θp\cos\theta + q\sin\theta は、三角関数の合成で次のように書けます。

pcos⁡θ+qsin⁡θ=%Z(p%Zcos⁡θ+q%Zsin⁡θ)=%Z(cos⁡φcos⁡θ+sin⁡φsin⁡θ)=%Zcos⁡(θ−φ)\begin{aligned} & p\cos\theta + q\sin\theta \\ &= \%Z\left(\dfrac{p}{\%Z}\cos\theta + \dfrac{q}{\%Z}\sin\theta\right) \\ &= \%Z\left(\cos\varphi\cos\theta + \sin\varphi\sin\theta\right) \\ &= \%Z\cos(\theta - \varphi) \end{aligned}

φ\varphi は図6の三角形の角で、cos⁡φ=p/%Z\cos\varphi = p/\%Z、sin⁡φ=q/%Z\sin\varphi = q/\%Z です。θ=φ\theta = \varphi のとき cos⁡(θ−φ)=1\cos(\theta - \varphi) = 1 となり、ε\varepsilon は最大値 %Z\%Z になります(図8)。

−90° −60° −30° 0° 30° 60° 90° −2 −1 0 1 2 最大 ε = %Z 力率 1:ε = p ε = 0 ε [%] 進み力率 遅れ力率 力率角 θ
図8 ε と力率角 θ の関係(p = 1.2 %、q = 1.6 % の例)。θ が約 53°(cosθ = 0.6)のとき ε は最大の 2.0 % になる

負荷が定格より軽いとき

実際の変圧器は、定格より軽い負荷で使うことも多くあります。電流が定格の α\alpha 倍(負荷率 α\alpha)なら、rIrI も xIxI も α\alpha 倍になるので、電圧変動率も α\alpha 倍です。

εα≒α (pcos⁡θ+qsin⁡θ)\varepsilon_\alpha \fallingdotseq \alpha\,(p\cos\theta + q\sin\theta)

図8の例で力率 0.6(遅れ)のとき、定格の半分の電流(α=0.5\alpha = 0.5)なら、εα=0.5×2.0=1.0 [%]\varepsilon_\alpha = 0.5 \times 2.0 = 1.0\ \mathrm{[\%]} です。

電圧の下がりを抑える方法

電圧が下がる原因は、遅れの電流が rr、xx を流れることでした。そこで、次の二つで下がりを抑えます。

  • 力率を改善する:進相コンデンサをつなぐと、変圧器を流れる遅れ電流が減ります。II が小さくなり、sin⁡θ\sin\theta も小さくなるので、電圧降下が減ります。くわしくは力率改善の記事で確認できます。
  • タップで巻数比を変える:ε\varepsilon 自体は pp、qq で決まる変圧器の性質です。ただし、巻数比を切り換えて二次電圧を持ち上げれば、下がった分を補えます。負荷の変化に合わせてこの切り換えを行う装置を、負荷時タップ切換装置といい、大きな変圧器に取り付けられているものがあります(図9)。巻数比の基本は、変圧器の巻数比で確認できます。
変電所の屋外に置かれた大型変圧器の、円筒形の容器と操作箱と放熱器が見える写真
  1. ブッシング 外部の電線と結ぶ端子
  2. 円筒形容器 切換装置を収める例
  3. 操作箱 切り換えの操作や制御
  4. 放熱器 本体の熱を逃がす
図9 大型変圧器の外観の例。負荷時タップ切換装置が付いているものもある(写真はイメージ)

電圧変動率の例題と間違えやすいところ

電圧変動率の問題は、次の手順で解きます(図10)。

① p と q を出す p = rI ÷ V2n × 100、q = xI ÷ V2n × 100 ② cosθ から sinθ を出す sinθ = √(1 − cos2θ) 進みなら sinθ は負にする ③ ε を求める ε ≒ p cosθ + q sinθ ④ 電圧に直す V20 = V2n × ( 1 + ε / 100 )
図10 電圧変動率の問題の解き方。四つの手順を順に進める
解答と解説を見る

力率 cos⁡θ=0.8\cos\theta = 0.8(遅れ)なので、sin⁡θ=1−0.82=0.6\sin\theta = \sqrt{1 - 0.8^2} = 0.6 です。近似式に入れます。

ε≒pcos⁡θ+qsin⁡θ=1.0×0.8+3.0×0.6=0.8+1.8=2.6 [%]\begin{aligned} \varepsilon &\fallingdotseq p\cos\theta + q\sin\theta \\ &= 1.0 \times 0.8 + 3.0 \times 0.6 \\ &= 0.8 + 1.8 = 2.6\ \mathrm{[\%]} \end{aligned}

無負荷電圧は V20=V2n(1+ε/100)V_{20} = V_{2n}(1 + \varepsilon/100) です。

V20=200×(1+0.026)=205.2 [V]V_{20} = 200 \times (1 + 0.026) = 205.2\ \mathrm{[V]}

厳密な式では、V2nV_{2n} を 1 とおいて、横成分と縦成分から V20V_{20} を求めます。横成分は 1+0.0261 + 0.026、縦成分は (qcos⁡θ−psin⁡θ)/100=(3.0×0.8−1.0×0.6)/100=0.018(q\cos\theta - p\sin\theta)/100 = (3.0 \times 0.8 - 1.0 \times 0.6)/100 = 0.018 です。

V20V2n=1.0262+0.0182=1.053≒1.0262\begin{aligned} \dfrac{V_{20}}{V_{2n}} &= \sqrt{1.026^2 + 0.018^2} \\ &= \sqrt{1.053} \fallingdotseq 1.0262 \end{aligned}

厳密な ε\varepsilon は約 2.62 [%]2.62\ \mathrm{[\%]}(V20≒205.2 [V]V_{20} \fallingdotseq 205.2\ \mathrm{[V]})で、近似式との差は 0.02 ポイントほどです。近似式で十分に求められます。

答え:ε=2.6 [%]\varepsilon = 2.6\ \mathrm{[\%]}、V20=205.2 [V]V_{20} = 205.2\ \mathrm{[V]}

解答と解説を見る

どの場合も cos⁡θ\cos\theta から sin⁡θ\sin\theta を求め、近似式に入れます。

(1)  ε=2.0×0.6+3.0×0.8=3.6 [%](2)  ε=2.0×1+3.0×0=2.0 [%](3)  ε=2.0×0.6+3.0×(−0.8)=−1.2 [%]\begin{aligned} \text{(1)}\ \ \varepsilon &= 2.0 \times 0.6 + 3.0 \times 0.8 \\ &= 3.6\ \mathrm{[\%]} \\ \text{(2)}\ \ \varepsilon &= 2.0 \times 1 + 3.0 \times 0 \\ &= 2.0\ \mathrm{[\%]} \\ \text{(3)}\ \ \varepsilon &= 2.0 \times 0.6 + 3.0 \times (-0.8) \\ &= -1.2\ \mathrm{[\%]} \end{aligned}

(3) は進み力率なので、sin⁡θ=−0.8\sin\theta = -0.8 とします。ε\varepsilon が負なので、V20<V2nV_{20} < V_{2n} です。

V20=6600×(1−0.012)=6520.8 [V]V_{20} = 6600 \times (1 - 0.012) = 6520.8\ \mathrm{[V]}

負荷をつなぐと、二次電圧は約 6520.8 [V]6520.8\ \mathrm{[V]} から 6600 [V]6600\ \mathrm{[V]} へ、上がります。

答え:(1) 3.6 [%]3.6\ \mathrm{[\%]}、(2) 2.0 [%]2.0\ \mathrm{[\%]}、(3) −1.2 [%]-1.2\ \mathrm{[\%]}(二次電圧は上がる)

解答と解説を見る

(1) %Z\%Z は、pp と qq を二辺とする直角三角形の斜辺です。

%Z=0.52+1.22=1.69=1.3 [%]\%Z = \sqrt{0.5^2 + 1.2^2} = \sqrt{1.69} = 1.3\ \mathrm{[\%]}

(2) 最大になるのは cos⁡θ=p/%Z\cos\theta = p/\%Z のときで、最大値は %Z\%Z です。

cos⁡θ=0.51.3≒0.385 (遅れ)εmax⁡=%Z=1.3 [%]\begin{gathered} \cos\theta = \dfrac{0.5}{1.3} \fallingdotseq 0.385\ \text{(遅れ)} \\ \varepsilon_{\max} = \%Z = 1.3\ \mathrm{[\%]} \end{gathered}

(3) sin⁡θ=0.6\sin\theta = 0.6 なので、次のようになります。

ε=0.5×0.8+1.2×0.6=1.12 [%]\varepsilon = 0.5 \times 0.8 + 1.2 \times 0.6 = 1.12\ \mathrm{[\%]}

最大値 1.3 [%]1.3\ \mathrm{[\%]} より小さい値になっています。

答え:(1) 1.3 [%]1.3\ \mathrm{[\%]}、(2) 力率 約 0.3850.385(遅れ)で 1.3 [%]1.3\ \mathrm{[\%]}、(3) 1.12 [%]1.12\ \mathrm{[\%]}

解答と解説を見る

(1) 巻数比は a=6600/220=30a = 6600/220 = 30 なので、a2=900a^2 = 900 です。一次側へ換算した合成抵抗と合成リアクタンスは、次のとおりです。

r=r1+a2r2=3.0+900×0.0040=6.6 [Ω]x=x1+a2x2=6.0+900×0.0080=13.2 [Ω]\begin{aligned} r &= r_1 + a^2 r_2 \\ &= 3.0 + 900 \times 0.0040 = 6.6\ \mathrm{[\Omega]} \\ x &= x_1 + a^2 x_2 \\ &= 6.0 + 900 \times 0.0080 = 13.2\ \mathrm{[\Omega]} \end{aligned}

一次側の定格電圧 6600 [V]6600\ \mathrm{[V]}、定格電流 10 [A]10\ \mathrm{[A]} で、pp と qq を求めます。

p=6.6×106600×100=1.0 [%]q=13.2×106600×100=2.0 [%]\begin{gathered} p = \dfrac{6.6 \times 10}{6600} \times 100 = 1.0\ \mathrm{[\%]} \\ q = \dfrac{13.2 \times 10}{6600} \times 100 = 2.0\ \mathrm{[\%]} \end{gathered}

(2) sin⁡θ=0.6\sin\theta = 0.6 なので、次のようになります。

ε=1.0×0.8+2.0×0.6=2.0 [%]\varepsilon = 1.0 \times 0.8 + 2.0 \times 0.6 = 2.0\ \mathrm{[\%]}

(3) 定格負荷のときの二次電圧が V2n=220 [V]V_{2n} = 220\ \mathrm{[V]} なので、次のようになります。

V20=220×(1+0.020)=224.4 [V]V_{20} = 220 \times (1 + 0.020) = 224.4\ \mathrm{[V]}

答え:(1) p=1.0 [%]p = 1.0\ \mathrm{[\%]}、q=2.0 [%]q = 2.0\ \mathrm{[\%]}、(2) 2.0 [%]2.0\ \mathrm{[\%]}、(3) 224.4 [V]224.4\ \mathrm{[V]}

よく間違える点を、次の表にまとめます。

間違い正しくは
進み力率でも qsin⁡θq\sin\theta を足す進みのときは sin⁡θ\sin\theta を負にする
pp に sin⁡θ\sin\theta、qq に cos⁡θ\cos\theta を掛けるpp(抵抗)には cos⁡θ\cos\theta、qq(リアクタンス)には sin⁡θ\sin\theta を掛ける。力率 1 なら ε=p\varepsilon = p
分母を V20V_{20} にする分母は定格二次電圧 V2nV_{2n}
%Z\%Z と ε\varepsilon を同じものとするε\varepsilon は力率で変わり、その最大値が %Z\%Z

よくある質問

電圧変動率が負になることはありますか?

あります。進み力率の負荷では qsin⁡θq\sin\theta が負になり、その大きさが pcos⁡θp\cos\theta を上回ると、ε\varepsilon が負になります。このとき V20<V2nV_{20} < V_{2n} で、負荷をつないだほうが二次電圧は高くなります。たとえば p=1.2 [%]p = 1.2\ \mathrm{[\%]}、q=1.6 [%]q = 1.6\ \mathrm{[\%]} で力率 0.6(進み)なら、ε=−0.56 [%]\varepsilon = -0.56\ \mathrm{[\%]} です。

電圧変動率は小さいほどよいのですか?

負荷が変わっても二次電圧が安定するので、電圧の面では小さいほうが望ましいです。ただし、ε\varepsilon を小さくするには pp、qq を小さくします。つまり %Z\%Z を小さくします。すると、短絡事故のときに流れる短絡電流が大きくなります。短絡電流は定格電流の 100/%Z100/\%Z 倍なので、電圧変動率と短絡電流は、トレードオフの関係にあります。くわしくはパーセントインピーダンスの記事で確認できます。

近似式と厳密な式の、どちらで解けばよいですか?

問題文に式や条件が書かれていれば、それに従います。書かれていなければ、近似式 pcos⁡θ+qsin⁡θp\cos\theta + q\sin\theta で解くのが基本です。縦成分を含めた厳密な値との差は、例題1で約 0.02 ポイントでした。

%Z と電圧変動率は、何が違うのですか?

%Z\%Z は、定格電流が流れたときの電圧降下の大きさだけを表し、力率には関係しません。電圧変動率は、その電圧降下のうち、電圧の大きさを実際に変える分を表します。力率によって値が変わり、遅れ力率で cos⁡θ=p/%Z\cos\theta = p/\%Z のとき、最大値 %Z\%Z になります。

思い出してみよう

答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。

電圧変動率 ε\varepsilon の定義式は何ですか? 分母は何ですか?

ε=(V20−V2n)/V2n×100 [%]\varepsilon = (V_{20} - V_{2n})/V_{2n} \times 100\ \mathrm{[\%]} です。分母は定格二次電圧 V2nV_{2n} です。

電圧変動率の近似式は何ですか? 進み力率ではどう扱いますか?

ε≒pcos⁡θ+qsin⁡θ\varepsilon \fallingdotseq p\cos\theta + q\sin\theta です。進み力率では sin⁡θ\sin\theta を負にします。

pp、qq、%Z\%Z は、それぞれ何を表し、どう求めますか?

p=rI/V2n×100p = rI/V_{2n} \times 100 は抵抗の電圧降下、q=xI/V2n×100q = xI/V_{2n} \times 100 はリアクタンスの電圧降下の割合です。%Z=p2+q2\%Z = \sqrt{p^2 + q^2} です。

力率 1 のとき ε\varepsilon は何になりますか? また、ε\varepsilon が最大になる力率と最大値は?

力率 1 では ε=p\varepsilon = p です。最大になるのは遅れ力率 cos⁡θ=p/%Z\cos\theta = p/\%Z のときで、最大値は %Z\%Z です。

p=1.0 [%]p = 1.0\ \mathrm{[\%]}、q=2.0 [%]q = 2.0\ \mathrm{[\%]} の変圧器に、力率 0.60.6(遅れ)の定格負荷をつなぐと、ε\varepsilon はいくらですか?

sin⁡θ=0.8\sin\theta = 0.8 なので、ε=1.0×0.6+2.0×0.8=2.2 [%]\varepsilon = 1.0 \times 0.6 + 2.0 \times 0.8 = 2.2\ \mathrm{[\%]} です。

ε\varepsilon が負になるのは、どんな負荷のときですか? そのとき二次電圧は無負荷より高いですか、低いですか?

進み力率の負荷のときです。V20<V2nV_{20} < V_{2n} なので、二次電圧は無負荷のときより高くなります。

まとめ

  • 電圧変動率 ε\varepsilon は、無負荷電圧 V20V_{20} と定格電圧 V2nV_{2n} の差を、V2nV_{2n} に対する百分率で表したもの
  • 近似式は ε≒pcos⁡θ+qsin⁡θ\varepsilon \fallingdotseq p\cos\theta + q\sin\theta。進み力率では sin⁡θ\sin\theta を負にする
  • pp、qq は、定格電流が流れたときの rr、xx の電圧降下の割合で、一次側でも二次側でも同じ値
  • 力率 1 で ε=p\varepsilon = p。遅れ力率 cos⁡θ=p/%Z\cos\theta = p/\%Z のとき最大値 %Z\%Z
求めるもの式
電圧変動率ε=(V20−V2n)/V2n×100\varepsilon = (V_{20} - V_{2n})/V_{2n} \times 100
近似式ε≒pcos⁡θ+qsin⁡θ\varepsilon \fallingdotseq p\cos\theta + q\sin\theta
pp、qq、%Z\%Zp=rI/V2n×100p = rI/V_{2n} \times 100、q=xI/V2n×100q = xI/V_{2n} \times 100、%Z=p2+q2\%Z = \sqrt{p^2 + q^2}
最大の電圧変動率cos⁡θ=p/%Z\cos\theta = p/\%Z(遅れ)のとき ε=%Z\varepsilon = \%Z
無負荷電圧V20=V2n(1+ε/100)V_{20} = V_{2n}(1 + \varepsilon/100)

次の記事では、変圧器の効率を扱います。簡易等価回路の考え方は、変圧器の等価回路に戻って確かめられます。%Z\%Z については、パーセントインピーダンスも合わせて確認してください。

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デンケンラボ編集部

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