電力の問題は、設備の名前や図の読み方に加えて、水力の出力、電圧降下、短絡電流のような計算が出てきます。式の形と記号の意味を単元ごとに1か所で見られると、問題文から使う式を選びやすくなります。
この記事は、電験三種の電力で使う公式を、単元の順に並べた一覧です。各単元に、式、記号の意味、詳しい記事へのリンクを置きました。式の導き方や例題は、リンク先の記事で確認できます。
電力の公式の全体像
- 発電所・蓄電所
- 水力・火力・原子力・太陽光・風力・蓄電池
- 出力、熱効率、発電電力量の式
- 変電所
- 変圧器・開閉設備・保護継電方式・調相設備
- 変圧比、電圧変動率、効率、遮断容量
- 送電線路・配電線路
- 電圧降下、短絡電流、地絡電流、力率改善
- 送電と配電で、同じ形の式を使う
- 電気材料
- 導電材料・絶縁材料・磁性材料
- 抵抗、絶縁破壊の強さ、鉄損
- 公式の選び方
電験三種 電力の公式一覧とは
この記事では、電験三種の電力の単元を、発電所、蓄電所、変電所、送電線路、配電線路、電気材料の6つに分けて、この順に式を並べます。図1に、扱う単元の地図を示します。
図1 電力の6分野と単元。この記事は、この順に式を並べる
使い方は、式を探し、記号の意味と単位を確かめ、必要なら詳しい記事で導き方を読む、という順です。電力は、設備の仕組みを覚える単元が多く、式は一部の単元に集まっています。式が無い単元は、設備の名前と役割を短く書きました。
発電所と蓄電所の公式
発電所の式は、水力、火力、原子力、その他の発電(太陽光・風力)で、出力と効率を求める形が中心です。蓄電所は、電力量と効率の式を使います。水力から順に見ていきます。
水力発電
出力と有効落差
水の持つ力に、水車と発電機の効率を順に掛けると、発電機の出力になります。図2は、その流れです。
図2 水力発電の出力。損失を引いた落差と、2つの効率を順に掛ける
P0PH=9.8QH=9.8QHηwηg=H0−h
P0 は水の持つ力 [kW]、P は発電機の出力 [kW]、Q は流量 [m3/s]、H は有効落差 [m] です。ηw は水車効率、ηg は発電機効率、H0 は総落差、h は損失水頭です。詳しくは水力発電の出力の求め方、落差と流量とは、水力発電のしくみで確認できます。
水の流速と、運転時間 t における発電電力量は、次のとおりです。
vW=2gH=Pt
v は流速 [m/s]、g は重力加速度、W は発電電力量 [kWh]、t は時間 [h] です。
流量と流況曲線
流域に降った雨から、年平均の流量を見積もる式です。
Q=365×86400A×P×C
Q は年平均流量 [m3/s]、A は流域面積 [m2]、C は流出係数です。この式の P は、出力ではなく年降水量 [m] です。流量を大きさの順に並べた曲線の読み方は、流況曲線とはにあります。
水車と発電機の回転
Nsf=H5/4NP=120pN
Ns は比速度、N は回転速度 [min−1]、P は水車の出力 [kW]、H は有効落差 [m] です。下の式は、f が周波数 [Hz]、p が発電機の極数のときの関係です。水車の型ごとの使い分けは水車の種類と選び方、極数と回転速度は水車発電機とはで確認できます。
吸出し高さとキャビテーション
キャビテーションを避けるには、吸出し高さ Hs を次の範囲にします。
Hs<Ha−Hv−2gv22−v32
Hs は放水面からランナ出口までの高さ、Ha は大気圧水頭、Hv は飽和蒸気圧水頭です。v2 はランナ出口、v3 は吸出し管出口の流速です。キャビテーションとはの記事で、各項の意味を確かめられます。
速度調定率と水撃作用
RδΔp=NnN0−Nn×100=NnNmax−Nn×100=ρaΔv
R は速度調定率 [%]、N0 は定格出力から無負荷にしたときの速度、Nn は定格速度です。δ は速度変動率で、Nmax は負荷遮断のときの最大の速度です。Δp は水撃作用による圧力の上昇、ρ は水の密度、a は圧力波の速さ、Δv は流速の変化です。速度調定率とはで、調速機の仕組みと例題を確かめられます。
揚水発電
揚水の入力と、総合効率の式です。
Pη=ηpηm9.8QH=H0+hH0−hηtηgηpηm
P は揚水のときの電動機の入力 [kW]、H は全揚程(実揚程に損失水頭を加えた高さ)です。H0 は実揚程、h は損失水頭、ηp はポンプ効率、ηm は電動機効率、ηt は水車効率、ηg は発電機効率です。揚水発電とはに、例題があります。水力の問題の型は、水力発電の正誤問題のポイント、水力発電の計算問題 型別演習①、型別演習②で練習できます。
火力発電
火力発電は、蒸気の持つ熱を、タービンで回転に変えます。熱効率は、各点の比エンタルピー h[kJ/kg] で表します。h1 はタービン入口、h2 はタービン出口(復水器入口)、h3 は復水器出口(ポンプ入口)、h4 はポンプ出口(ボイラ入口)です。
ランキンサイクルの熱効率
ηη=h1−h4(h1−h2)−(h4−h3)≒h1−h3h1−h2
下の式は、ポンプ仕事 h4−h3 を小さいとみなして無視した形です。ポンプ仕事は、水の比体積を v[m3/kg]、ボイラの圧力を p1、復水器の圧力を p2 として、次のように近似できます。
h4−h3≒v(p1−p2)
実際の膨張のタービン出口を h2′ とすると、タービン内部効率は次の式です。
ηti=h1−h2h1−h2′
ランキンサイクルとはで、T-s 線図とあわせて確かめられます。
熱効率と燃料消費量
ηB=BH3600W=ηH3600Pt
W は発電電力量 [kWh]、B は燃料の消費量 [kg]、H は燃料の発熱量 [kJ/kg]、P は出力 [kW]、t は時間 [h] です。ここでの H は、水力の落差ではなく発熱量です。
発電端効率と送電端効率
ηGηS=ηbηtηg=ηG(1−L)
ηG は発電端効率、ηS は送電端効率です。ηb はボイラ効率、ηt はタービン効率(熱サイクルの効率を含む)、ηg は発電機効率、L は所内率です。ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクルの熱効率は、次のとおりです。
η=ηGT+(1−ηGT)ηST
ηGT はガスタービンの熱効率、ηST は排熱を蒸気サイクルで電気に変える効率です。火力発電の熱効率の求め方に、例題があります。
復水器の冷却水
Q=mcΔt
Q は冷却水が受け取る熱量 [kJ/s]、m は冷却水の流量 [kg/s]、c は水の比熱 [kJ/(kg⋅K)]、Δt は温度上昇 [K] です。設備の構成は、火力発電の仕組みと汽力発電の設備で確認できます。
原子力発電
原子力発電は、ウランの核分裂で出る熱で蒸気を作り、タービンを回します。核分裂の前後で、わずかに質量が減り、その分がエネルギーに変わります。
E=Δmc2
E は発生するエネルギー [J]、Δm は質量欠損 [kg]、c は光の速さ(約 3.0×108[m/s])です。電気出力は、熱出力に熱効率を掛けた値です。沸騰水型と加圧水型の違いは、原子力発電の仕組みで確認できます。
その他の発電
太陽光発電
PPmaxFFηP=VI=VpmIpm=VocIscPmax=GAP=GAηK
Pmax は最大出力で、Vpm、Ipm はそのときの電圧と電流です。FF は曲線因子、Voc は開放電圧、Isc は短絡電流です。A はパネルの面積 [m2]、G は日射強度 [kW/m2]、K は総合設計係数です。太陽光発電の仕組みと出力計算で、I-V 特性とあわせて確かめられます。
風力発電
P0P=21ρAv3=CpP0
P0 は風の持つ力 [W]、ρ は空気の密度 [kg/m3]、A は風車の回転面積 [m2]、v は風速 [m/s]、Cp は出力係数です。Cp の理論上の上限(ベッツ限界)は 16/27(約 0.593)です。詳しくは風力発電の出力の求め方にあります。
蓄電池と蓄電所
蓄電池と蓄電所の単元は、電流、電圧、電力量の関係で計算できます。蓄電池の容量は、電流と時間の積で表し、電力量は電圧を掛けて求めます。
QWt=It=VQ=PW
Q は容量 [Ah]、I は電流 [A]、t は時間 [h]、V は電圧 [V]、W は電力量 [Wh] です。P を放電する電力 [W] とすると、放電できる時間が t です。たとえば、48[V]、100[Ah] の蓄電池は、48×100=4800[Wh] の電力量です。
充電と放電の効率は、次の割合です。
充放電効率=充電電力量放電電力量×100[%]
蓄電所では、蓄電池と、直流と交流を変換する装置を組み合わせて運用します。
変電所の公式
変電所は、送電の電圧を変圧器で変え、開閉設備と保護装置で系統を守る設備です。図3は、変電所に置かれる大型の変圧器です。
1ブッシング(碍子)2放熱器3コンサベータ4本体のタンク- ブッシング(碍子) 外の電線と巻線をつなぐ部分
- 放熱器 油の熱を逃がす
- コンサベータ 右上の円筒、油の量の変化を受ける
- 本体のタンク 鉄心と巻線が入る
図3 変電所の変圧器。上のブッシングから、外の電線につながる(写真はイメージ)
変電所の構成
変電所の単元は、式より、機器の役割と並びを覚える単元です。電線から入った電気は、断路器、遮断器を通って変圧器へ入り、電圧を変えて次の線路へ送られます。母線は、複数の線路をまとめる太い導体です。調相設備と避雷器も、変電所に置かれます。この単元は、式を載せていません。機器の並びは、変電所の役割と構成機器で確かめられます。
変圧器
変圧器の基本は、巻数比と、電圧、電流の関係です。損失を無視した理想変圧器で、次のとおりです。
aV1I1E=N2N1=V2V1=V2I2=4.44fNΦm
a は巻数比、N1、N2 は一次と二次の巻数、V1、V2 は電圧、I1、I2 は電流です。E は誘導起電力の実効値、f は周波数、Φm は磁束の最大値です。詳しくは変圧器の巻数比と電圧・電流の関係で確認できます。
電圧変動率
εε=V2nV20−V2n×100≒pcosθ+qsinθ
V20 は無負荷のときの二次電圧、V2n は定格の二次電圧です。p は百分率抵抗降下、q は百分率リアクタンス降下、θ は負荷の力率角です。電圧変動率とはで、例題を確かめられます。
効率と最大効率
η=αPncosθ+Pi+α2PcαPncosθ
α は負荷率、Pn は定格容量、Pi は鉄損、Pc は銅損です。効率が最大になるのは、鉄損と銅損が等しいときです。
α=PcPi
変圧器の効率とはの記事で、全日効率まで確認できます。
V 結線
単相変圧器2台を V 結線にすると、三相を供給できます。1台の容量を P1 とすると、次のとおりです。
SV=3VI=3P1
V は線間電圧、I は線電流です。変圧器の利用率は 3/2(約 0.866)、同じ変圧器3台の Δ 結線に対する出力の比は 1/3(約 0.577)です。結線の違いは、変圧器の結線にあります。負荷を分け合う条件は、変圧器の並行運転で確認できます。
開閉設備(遮断器・断路器)
遮断器は、負荷電流や故障電流を開閉でき、断路器は、電流が流れていないときだけ開閉できます。操作の順序は決まっています。
- 投入するとき:断路器を先に入れ、そのあとで遮断器を入れる
- 停止するとき:遮断器を先に切り、そのあとで断路器を切る
違いと消弧の方式は、遮断器と断路器の違いで確認できます。遮断器の定格遮断容量は、次の式です。
Sb=3VnIb
Sb は定格遮断容量、Vn は定格電圧、Ib は定格遮断電流です。たとえば 66[kV]、25[kA] なら、約 2858[MV⋅A] です。定格遮断容量は、その場所の短絡容量以上のものを選びます。
保護継電方式
保護継電方式の単元は、継電器の名前と、何を検出して動作するかを覚えます。式は、変流器と計器用変圧器の変換だけです。
I2V2=kI1=kvV1
I1、I2 は変流器の一次と二次の電流、k は変流比です。V1、V2 は計器用変圧器の一次と二次の電圧、kv は変成比です。変流器の二次側は、開放してはいけません。計器用変圧器の二次側は、短絡してはいけません。継電器のしくみは、保護継電器の種類と役割にあります。
主な継電器と、検出するものは次のとおりです。
| 継電器 | 検出するもの |
|---|
| 過電流継電器 | 設定値を超える電流 |
| 地絡継電器 | 地絡による電流 |
| 比率差動継電器 | 入力と出力の電流の差 |
| 距離継電器 | 電圧と電流の比 |
| ブッフホルツ継電器 | 油入変圧器内のガスや油流 |
調相設備
調相設備は、無効電力を調整して、力率と電圧を保つ設備です。進相コンデンサは遅れの無効電力を補い、分路リアクトルは進みの無効電力を吸収します。同期調相機は、励磁を加減して、進みと遅れのどちらにも使えます。容量の計算は、配電線路の力率改善と同じ式です。力率改善と進相コンデンサの容量計算で確認できます。設備ごとの使い分けは、調相設備の種類と電圧調整にあります。
送電線路の公式
送電線路の式は、線路の電圧降下、故障電流、地絡電流の3つが中心です。図4は、三相3線式の1線分の等価回路で、電圧降下の式の記号を示します。
図4 送電線路の等価回路。R、X は1線分の値で、v は線間の電圧降下
架空送電線路
がいし、架空地線、多導体など、線路の構成は架空送電線路の構成にあります。ここでは、計算に使う式をまとめます。
電線のたるみと実長
DL=8TWS2=S+3S8D2
D はたるみ [m]、S は径間 [m]、T は水平張力 [N]、W は電線1mあたりの荷重 [N/m]、L は電線の実長 [m] です。詳しくは電線のたるみの計算と実長の求め方で確認できます。
線路定数
三相3線式の作用インダクタンスと作用静電容量の式です。
LC=0.05+0.4605log10rDe=log10(De/r)0.02413
L は作用インダクタンス [mH/km]、C は作用静電容量 [μF/km]、r は電線の半径、De は等価線間距離(3本の線間距離の幾何平均)です。r と De は同じ単位で入れます。C の係数は、真空の誘電率から求めた概数で、参考書によって末尾の桁が少し違います。
地中送電線路
地中ケーブルは、架空線より静電容量が大きいので、充電電流が流れます。
IcQ=ωCE=3ωCE2=ωCV2
Ic は1線の充電電流、ω は角周波数、C は1線の静電容量、E は相電圧、V は線間電圧、Q は三相の充電容量です。地中送電線路とケーブルの充電電流に、例題があります。
電圧降下と送電電力
vIvεplP=3I(Rcosθ+Xsinθ)=3VcosθP=VrPR+QX=VrVs−Vr×100=3I2R=XVsVrsinδ
v は線間の電圧降下、I は線電流、R、X は1線の抵抗とリアクタンス、θ は負荷の力率角です。P は三相の有効電力、Q は無効電力、V は線間電圧です。Vs は送電端、Vr は受電端の線間電圧、ε は電圧降下率、pl は三相の電力損失です。最後の式は送電電力で、δ は送電端と受電端の電圧の位相差です。三相3線式の電圧降下の求め方で、例題を確かめられます。
中性点接地方式
地絡電流は、接地の方式によって変わります。非接地方式の1線地絡電流と、消弧リアクトルのインダクタンスは、次のとおりです。
IgL=3ωCE=3ωCV=3ω2C1
Ig は1線地絡電流、C は1線の対地静電容量、E は相電圧、V は線間電圧、L は消弧リアクトルのインダクタンスです。非接地方式では、1線が完全に地絡したとき、健全な相の対地電圧は 3 倍になります。方式ごとの比較は、中性点接地方式の種類と比較にあります。
異常電圧と雷害対策
この単元に、式はありません。雷による異常電圧を、架空地線、避雷器、アークホーン、埋設地線で防ぐ、という対策の組み合わせを覚えます。1線地絡で健全な相の電圧が上がる関係は、中性点接地方式の記事に書かれています。
故障計算(%インピーダンス)
%Z%ZbaseIsInSs=EZIn×100=Vn3ZIn×100=%ZnSnSbase=%Z100In=3VSbase=%Z100Sbase
Z はインピーダンス、In は定格電流、E は相電圧、Vn は定格の線間電圧です。%Zn は自己容量 Sn を基準にした値で、基準容量 Sbase に換算したものが %Zbase です。Is は三相短絡電流、Ss は短絡容量、V は線間電圧です。%インピーダンスと短絡電流の計算で、合成の方法と遮断器の選び方を確かめられます。
直流送電
直流送電は、交流を直流に変える順変換と、直流を交流に戻す逆変換を組み合わせます。往復2線で送る場合の電力と、線路の損失は、次のとおりです。
Ppl=VI=2RI2
P は送る電力、V は直流の電圧、I は電流、R は1線の抵抗、pl は線路の電力損失です。たとえば I=1000[A]、R=0.5Ω なら、損失は 2×0.5×10002=106[W] で、1000[kW] です。
配電線路の公式
配電線路は、需要家に近い、電圧の低い線路です。式は、送電線路と同じ形のものが多く、単相と三相の違いと、負荷の特性を表す率が加わります。図5は、電柱の上の変圧器です。
1柱上変圧器2腕金の上の碍子3変圧器の下から出る電線- 柱上変圧器 高圧を低圧に下げる
- 腕金の上の碍子 電線を支える
- 変圧器の下から出る電線 需要家側へ
図5 電柱の上の柱上変圧器。高圧の電気を、需要家向けの低圧に下げる(写真はイメージ)
配電方式
単相3線式は、電圧線2本と中性線1本で、2種類の電圧を取り出せます。中性線の電流と、負荷の端子電圧は、次のとおりです。
INV1V2=∣I1−I2∣=E−rI1−rn(I1−I2)=E−rI2+rn(I1−I2)
IN は中性線の電流、I1、I2 は電圧線の電流、E は電源の1つの電圧線と中性線の間の電圧、r は電圧線の抵抗、rn は中性線の抵抗、V1、V2 は負荷の端子電圧です。負荷が平衡していると、中性線に電流が流れません。単相3線式とはで、バランサまで確認できます。
電圧降下と電力損失
単相2線式と三相3線式の電圧降下の近似式と、電力損失です。
vp≒2I(Rcosθ+Xsinθ)=2I2R
上が単相2線式で、v は電圧降下、I は電流、R、X は1線の抵抗とリアクタンス、p は電力損失です。三相3線式は、次のとおりです。
vp=3I(Rcosθ+Xsinθ)=3I2R
三相の式は、送電線路と同じです。三相3線式の電圧降下の求め方で確認できます。
配電設備
変圧器の容量は、需要家の設備容量ではなく、最大電力の合計から決めます。そのための率が、需要率、負荷率、不等率です。
dLFPc=SPmax=PmaxPavg=PcPmax1+Pmax2+⋯=FS1d1+S2d2+⋯
d は需要率、S は設備容量、Pmax は最大電力です。L は負荷率、Pavg は平均電力です。F は不等率、Pmax1、Pmax2 は各需要家の最大電力、Pc は合成最大電力です。最後の式は、S1d1+S2d2+⋯ を不等率 F で割って、変圧器の容量 Pc を求める形です。詳しくは需要率・負荷率・不等率の求め方にあります。
力率改善
力率の悪い負荷に、進相コンデンサをつなぐと、無効電力が減ります。有効電力 P は変わりません。図6は、電力の三角形で見た変化です。
図6 力率改善。P は変わらず、無効電力だけが Qc の分だけ減る
cosθQc=SP=P(tanθ1−tanθ2)
S は皮相電力、Qc は進相コンデンサの容量 [kvar]、θ1 は改善前、θ2 は改善後の力率角です。P は有効電力 [kW] で、Qc と単位をそろえて入れます。力率改善と進相コンデンサの容量計算で、電力の三角形から例題まで確かめられます。
屋内配線
屋内配線の電圧降下は、リアクタンスを無視して力率を 1 とみなす簡略式で計算することがあります。電線の抵抗 R から、次のように求めます。
Ree=ρSl=2IR=3IR
ρ は抵抗率、l は電線の長さ、S は断面積です。e は電圧降下で、2行目は単相2線式、3行目は三相3線式です。ρ=1/58[Ω⋅mm2/m]、l=50[m]、S=2[mm2]、I=15[A] なら、R は約 0.431Ω で、単相2線式は約 12.9[V]、三相3線式は約 11.2[V] です。電線の太さと許容電流の決め方は、法規の範囲でもあり、許容電流と幹線の太さで確認できます。
電気材料の公式
電気材料は、導電材料、絶縁材料、磁性材料の3つで、式の数は少なめです。
導電材料
導体の抵抗と、温度による変化の式です。
RσRt=ρSl=ρ1=R0(1+αt)
R は抵抗、ρ は抵抗率、σ は導電率、l は長さ、S は断面積です。R0 は基準の温度での抵抗、Rt は基準から t∘C 上がったときの抵抗、α は温度係数です。たとえば α=0.004 で 60∘C 上がると、抵抗は 1+0.004×60=1.24 倍になります。
絶縁材料
Eb=dVb
Eb は絶縁破壊の強さ [V/m]、Vb は絶縁破壊を起こす電圧、d は絶縁物の厚さです。電界が一様なときの式です。たとえば 30[kV] で、厚さ 3[mm] の絶縁物が破壊するなら、Eb=10[MV/m] です。
磁性材料
変圧器や電動機の鉄心では、ヒステリシス損と渦電流損が発生します。周波数 f と最大磁束密度 Bm に対して、次の関係です。
ヒステリシス損渦電流損∝fBm2∝f2Bm2
| 損失 | 周波数 | 磁束密度 |
|---|
| ヒステリシス損 | 1乗 | 2乗 |
| 渦電流損 | 2乗 | 2乗 |
鉄心には、ヒステリシス曲線の面積が小さい軟磁性材料を使い、薄い鋼板を重ねて渦電流を減らします。損失の分け方は、変圧器の効率とはで確認できます。
公式の選び方と例題
電力の式は、単元ごとに記号が違い、同じ文字が別の量を表します。使う式は、求めるものと単位から探すと絞れます。図7は、求めるものから式を探す表です。水力の出力の η は、水車効率と発電機効率の積です。
図7 求めるものから、使う式を探す
次の2問で、式を選ぶ手順を確かめます。
解答と解説を見る
手順1 求めるのは電圧降下なので、送電線路の電圧降下の式を使います。
手順2 3I を、電力から先に求めます。
3I=VrcosθP=6600×0.81320×103=250手順3 sinθ=0.6 なので、Rcosθ=0.4、Xsinθ=0.24 です。
v=250(Rcosθ+Xsinθ)=250(0.4+0.24)=160[V]手順4 電圧降下率は、受電端の電圧で割ります。
ε=Vrv×100=6600160×100≒2.4[%]検算します。無効電力は Q=Ptanθ=990[kvar] です。v=(PR+QX)/Vr に入れると、(660×103+396×103)/6600=160[V] で一致します。
答え v=160[V]、ε≒2.4[%]
解答と解説を見る
手順1 求めるのはコンデンサの容量なので、力率改善の式を使います。
手順2 改善前と改善後の tanθ を求めます。
tanθ1tanθ2=0.80.6=43=0.960.28=247手順3 式に入れます。
Qc=P(tanθ1−tanθ2)=1320(43−247)=1320×2411=605[kvar]検算します。改善前の無効電力は 990[kvar]、改善後は 1320×7/24=385[kvar] で、差は 605[kvar] です。改善後の皮相電力は 1320/0.96=1375[kV⋅A] で、13202+3852=1375 と一致します。
答え 605[kvar]
公式を覚えるより先に
電力の式は、数が多く見えますが、水力、火力、送電、配電のそれぞれで、使う形はいくつかに絞れます。式を丸暗記するより、図で意味をつかみ、単位で確かめるほうが、思い出しやすくなります。水力の出力なら、図2の「落差を引く、効率を掛ける」の流れを描けるようにします。
式を使う前に、求めるものの単位を書きます。[kW] なら出力や電力、[kvar] なら無効電力やコンデンサの容量、[kV⋅A] なら皮相電力や容量です。単位がそろっているかを確かめる習慣が、計算の間違いを減らします。
よくある質問
電力の公式は、すべて暗記しないといけませんか。
すべてを丸暗記する必要はありません。水力の出力、電圧降下、短絡電流、力率改善の式は、すぐに書けるようにします。そのほかは、図や単位から思い出せるかどうかで分けておくと、覚える量を絞れます。
理論や機械の公式は、電力でも使いますか。
使います。三相の電力 P=3VIcosθ のような理論の式は、送電線路の計算の土台です。変圧器の式は機械の科目と重なります。理論は電験三種 理論の公式一覧、機械は電験三種 機械の公式一覧で見られます。
P や η、H のように、同じ記号が別の量に使われるのはなぜですか。
単元ごとに、慣習として使われる記号が決まっているためです。H は水力では落差 [m]、火力では発熱量 [kJ/kg] です。L は所内率、負荷率、インダクタンス、電線の実長に使われます。問題文の定義と単位を見て、読み替えます。
公式は、どの順に確認すればよいですか。
求めるものと、その単位を先に書きます。次に、発電、変電、送電、配電のどの単元かを絞り、式を選びます。数を入れる前に、文字のまま整理すると、計算の途中で間違いに気づきやすくなります。
思い出してみよう
答えを見る前に、まず自分で思い出してからタップしてください。
水力発電の出力 P[kW] を、流量 Q、有効落差 H、効率で書くと?
P=9.8QHηwηg です。
三相3線式の線間の電圧降下 v の近似式は?
v=3I(Rcosθ+Xsinθ) です。
三相短絡電流 Is を、%インピーダンスと定格電流で書くと?
Is=%Z100In です。
力率を cosθ1 から cosθ2 に改善するコンデンサの容量は?
Qc=P(tanθ1−tanθ2) です。
非接地方式の1線地絡電流は?
Ig=3ωCE です。
ヒステリシス損と渦電流損は、周波数の何乗に比例しますか?
ヒステリシス損は1乗、渦電流損は2乗に比例します。
まとめ
- 電験三種の電力の式は、発電所、蓄電所、変電所、送電線路、配電線路、電気材料の6分野に分けて整理できる
- 発電所は、水力の P=9.8QHηwηg、火力の η=3600W/(BH) のように、出力と効率を求める
- 送電と配電は、電圧降下 v=3I(Rcosθ+Xsinθ)、短絡電流 Is=(100/%Z)In、力率改善 Qc=P(tanθ1−tanθ2) を押さえる
- 式を選ぶときは、求めるものの単位から単元を絞り、問題文の記号の定義に合わせて読み替える
式の導き方は、各単元の記事で確かめられます。水力発電の出力の求め方から順に読むと、発電所から進められます。理論の科目は電験三種 理論の公式一覧、機械の科目は電験三種 機械の公式一覧、法規の科目は電験三種 法規の公式一覧で、同じ形で式を見られます。式の変形に不安があるときは電験三種に必要な数学、勉強の順番は電験三種の勉強の始め方を見てください。